過去と今
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「オラオラァ~!もっと気合入れていけぇ~!!」
「渚ぁ!お前膝曲げすぎぃ!リレーの飛び込みにジャンプ力はいらねぇんだよぉ!真琴ぉ!!フォームがなってねぇ!!肩が入ってねぇんだよぉ!」
岩鳶のプールから響くのは笹部の怒声。
なぜだがわからないが笹部はコーチを引き受けてくれたのだ。
「コーチ引き受けてくれたのは嬉しいけど、やっぱごろちゃんの特訓メニューはきついよぉ」
「流石、鬼のごろうと呼ばれたことはある」
「あぁ…ホントにキツイね」
ハードな練習にげんなりとした表情をする渚と真琴と蒼。
そしてプールサイドでさらに笹部の声が響く。
「タッチがあわずに流れそうならキックを押せ!そうじゃねぇ!!遙!倒れこみながらタイミングをはかれ!違う!!もっとちゃんと怜を見ろ!あぁ…もぉ!!!」
遂に頭を抱える笹部は奥の手を取り出した。
「お前ら全然わかってねぇ。こうなりゃあの手だ!
こ・れ・で!!どうだぁ!!」
頭上からと両サイドから3台のカメラで泳ぐフォームを撮っていく。その撮った動画はプールサイドに設置したテレビ画面で見れる仕組み。
「へぇ…すごいねハル。ってあれ?」
蒼が画面から遙に視線を移す。が、動画を見終わった遙はもう一度と泳ぎに入る。
「ハルちゃんが凄く前向きだ」
珍しい光景に渚も眼を見張った。だが、隣にいる人物の表情が芳しくないことに気づく。
「どうしたの?怜ちゃん」
「確かに…フォームは完璧かもしれませんが、僕の好きだった遙先輩の泳ぎはこんなんじゃない…
もっと美しかった」
その言葉に蒼は怜の言っている事がわかるような気がするのだった。
「いやぁ~…にしても、懐かしいなぁ。用具室も昔とちっとも変ってねぇ」
そう言いながら笹部はとある一角のロッカーの扉を開ける。そして驚いた表情を浮かべた。
「まだあったよ!俺が書いた落書き!フォーエバー岩鳶!」
ロッカーの扉の裏に書いてあったのは『Forerar IWAToBI』
「これ書いたのごろちゃんだったんだねぇ~…綴り間違ってるから気になってた」
「いいんだよぉ!そんなこまけーことは!」
渚の言葉に気にする素振りを見せずバタンと扉を閉める。
「コーチの腕と関係ない」
その様子を見ていた遙が口を開く。するとそれに賛同するように渚も微笑んだ。
「そうだね。ごろちゃんのおかげで、引継ぎもうまくなってきたし!」
「この調子で頑張ろう。リレーでまた、凜と勝負するために」
「おぉー!その意気だ!そろそろマジでいくぞぉ!」
真琴の言葉に笹部が張り切る。その様子に不平をもらうのは渚だ。
「えぇー!?」
「ビシビシいくぞ!ビシビシ!!」
その後方では怜が静かに出ていく。それに気づいた蒼は心配になり後を追う。
「どうしたの?レイちゃん」
「僕にはわかりません」
浮かない顔を浮かべる怜に蒼は不思議そうに首を傾げる。
「何が?」
「江さんのお兄さんの事です。
何故また急にリレーに出るなんて言い出したのか」
その言葉に怜が何を思っているのか何となく理解する。夏祭りが終わってから、突然凛がリレーに出るという情報が江から入る。それを聞いてから遙はなお一層やる気になった気がするし、蒼達自身も話題に凛を持ち出すことが増えた気がする。
そのことに怜は不服に思ったに違いない。蒼はわかった途端にクスクスと小さく笑みを浮かべた。
「レイちゃん…嫉妬??」
「ふざけないでください!蒼先輩」
「だって蚊帳の外扱いで嫌なんじゃないの?」
「…ボクだって」
「知ってるよ。レイちゃんの努力は。それに今のチームメンバーはレイちゃんだよ。」
「ホントにそうなんでしょうか?だったら誰がリレーに出ようが関係ないじゃないですか!僕たちはあくまで、岩鳶高校水泳部として!全国大会目指してるんですよ!」
「そうだね…」
「なのにみんな凜ちゃん凜ちゃんって…
本当に…意味がわからない…!」
怜のその小さい声は笹部の怒声が響き渡らない今のプールで霧のように消え去るのだった。
「渚ぁ!お前膝曲げすぎぃ!リレーの飛び込みにジャンプ力はいらねぇんだよぉ!真琴ぉ!!フォームがなってねぇ!!肩が入ってねぇんだよぉ!」
岩鳶のプールから響くのは笹部の怒声。
なぜだがわからないが笹部はコーチを引き受けてくれたのだ。
「コーチ引き受けてくれたのは嬉しいけど、やっぱごろちゃんの特訓メニューはきついよぉ」
「流石、鬼のごろうと呼ばれたことはある」
「あぁ…ホントにキツイね」
ハードな練習にげんなりとした表情をする渚と真琴と蒼。
そしてプールサイドでさらに笹部の声が響く。
「タッチがあわずに流れそうならキックを押せ!そうじゃねぇ!!遙!倒れこみながらタイミングをはかれ!違う!!もっとちゃんと怜を見ろ!あぁ…もぉ!!!」
遂に頭を抱える笹部は奥の手を取り出した。
「お前ら全然わかってねぇ。こうなりゃあの手だ!
こ・れ・で!!どうだぁ!!」
頭上からと両サイドから3台のカメラで泳ぐフォームを撮っていく。その撮った動画はプールサイドに設置したテレビ画面で見れる仕組み。
「へぇ…すごいねハル。ってあれ?」
蒼が画面から遙に視線を移す。が、動画を見終わった遙はもう一度と泳ぎに入る。
「ハルちゃんが凄く前向きだ」
珍しい光景に渚も眼を見張った。だが、隣にいる人物の表情が芳しくないことに気づく。
「どうしたの?怜ちゃん」
「確かに…フォームは完璧かもしれませんが、僕の好きだった遙先輩の泳ぎはこんなんじゃない…
もっと美しかった」
その言葉に蒼は怜の言っている事がわかるような気がするのだった。
「いやぁ~…にしても、懐かしいなぁ。用具室も昔とちっとも変ってねぇ」
そう言いながら笹部はとある一角のロッカーの扉を開ける。そして驚いた表情を浮かべた。
「まだあったよ!俺が書いた落書き!フォーエバー岩鳶!」
ロッカーの扉の裏に書いてあったのは『Forerar IWAToBI』
「これ書いたのごろちゃんだったんだねぇ~…綴り間違ってるから気になってた」
「いいんだよぉ!そんなこまけーことは!」
渚の言葉に気にする素振りを見せずバタンと扉を閉める。
「コーチの腕と関係ない」
その様子を見ていた遙が口を開く。するとそれに賛同するように渚も微笑んだ。
「そうだね。ごろちゃんのおかげで、引継ぎもうまくなってきたし!」
「この調子で頑張ろう。リレーでまた、凜と勝負するために」
「おぉー!その意気だ!そろそろマジでいくぞぉ!」
真琴の言葉に笹部が張り切る。その様子に不平をもらうのは渚だ。
「えぇー!?」
「ビシビシいくぞ!ビシビシ!!」
その後方では怜が静かに出ていく。それに気づいた蒼は心配になり後を追う。
「どうしたの?レイちゃん」
「僕にはわかりません」
浮かない顔を浮かべる怜に蒼は不思議そうに首を傾げる。
「何が?」
「江さんのお兄さんの事です。
何故また急にリレーに出るなんて言い出したのか」
その言葉に怜が何を思っているのか何となく理解する。夏祭りが終わってから、突然凛がリレーに出るという情報が江から入る。それを聞いてから遙はなお一層やる気になった気がするし、蒼達自身も話題に凛を持ち出すことが増えた気がする。
そのことに怜は不服に思ったに違いない。蒼はわかった途端にクスクスと小さく笑みを浮かべた。
「レイちゃん…嫉妬??」
「ふざけないでください!蒼先輩」
「だって蚊帳の外扱いで嫌なんじゃないの?」
「…ボクだって」
「知ってるよ。レイちゃんの努力は。それに今のチームメンバーはレイちゃんだよ。」
「ホントにそうなんでしょうか?だったら誰がリレーに出ようが関係ないじゃないですか!僕たちはあくまで、岩鳶高校水泳部として!全国大会目指してるんですよ!」
「そうだね…」
「なのにみんな凜ちゃん凜ちゃんって…
本当に…意味がわからない…!」
怜のその小さい声は笹部の怒声が響き渡らない今のプールで霧のように消え去るのだった。