岩鳶高校へ
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「ハル!早く早く!!」
慌ただしく校舎の廊下を走る二人の男子生徒。茶髪の背の高い男の子は黒髪の男の子を急かし、何とか二人はチャイムが鳴るギリギリに自身の教室に駆け込むのだった。
危なかった...
毎度毎度ギリギリでヒヤヒヤする。と、急かしていた彼...橘真琴はホッと息をつく。
そして自分の席に座ったのだが、いつもと教室の雰囲気が違く不思議に思った。何故なら、周りがいつもよりざわざわとしていたからだ。
「ねぇねぇ...なんかあったの?」
真琴は気になり隣に座る男子生徒に声をかけた。
「なんだよ...橘知らないのか?今日転校生来るんだってよ!」
「そうなの?」
「らしいぜ!やっぱり、女がいいよなぁ〜。そして可愛い子なら尚更良し!」
すると真琴の斜め前に座っている男子生徒が後ろを向き会話に割り込んできた。
「えー、俺は綺麗な子がいいなぁ」
「マジかよ!じゃあ橘は?」
票が割れたため、彼は真琴に話をふってきた。話を振られた本人はたまらず苦笑いを浮かべた。
「いやぁ...考えたことないかなぁ」
嘘だろ!と彼の好みに関心を示した彼らは言葉を失った。そんな中...
「真琴は昔も今も眼中にあるのは一人だけだからな。しょうがないんじゃないか?」
話に興味なさげに窓の外を見ていた黒髪の男の子...七瀬遙が漂う空気を断ち切るように言葉を発した。
遙の言葉に言葉を失ってた彼らは驚きで目を開いた後、真意を確かめるために矢継ぎ早に真琴に質問をぶっかけ始める。
「オイ!マジかよ!!」
「なんだよ!意外と隅に置けねぇーな!
どんな子だよ!」
前のめりになる彼らの勢いに押され真琴は身体をのけ反らせる。そして目をキョロキョロさせ慌た様子の真琴はこの状況をどう乗り切ればよいのかわからなかった。
「ハル!なんとかしてよ!!」
助けを求め、この現状を作った張本人を呼ぼうと後ろを向く。が、遙は真顔のまま首を傾げた。
「なんでだ?」
「なんでって...こうなったのはハルのせいだろ!」
「俺は事実を言っただけだが...
それとも違うのか?」
「い..いや...違くないけどさ」
核心をつかれ、歯切れ悪く返事をする。そしてそれを耳にした男子生徒達はおぉー!!と目を輝かせるのだった。
「いるのか!!誰なんだよ!!」
「いい加減話せよ!!」
一方その頃...
「これから宜しくお願いします」
岩鳶高校の職員室。真新しい制服を身にまとった女の子がそこにはいた。彼女が挨拶をしたのはこれからお世話になる担任の女性の天方先生。
「宜しくね!宮沢さん
といっても私も着任したばかりだから何もわかんないんだけどね」
「そ...そうなんですね」
4年ぶりに岩鳶に戻ってきた宮沢蒼。変わらない風景を懐かしく思いながら高校の門を潜った彼女はこの言葉に、大丈夫かな...と顔を曇らすのだった。
「じゃあ行きましょうか」
そんな彼女の様子を気にする素振りもなく先生は立ち上がり歩き始めた。
「あ...ハイ!」
蒼は慌てて彼女の背中を追った。教室が近づく中、クラスに馴染めるかな...と緊張でドクドクと時分の心臓音が鳴ってるのを感じ取るのだった。
*
「はいは~い...皆席ついてね。」
教室に天方が入ってきたことにより、真琴に降り掛かっていた質問は止んだ。
真琴は先程の事で疲れ切ってげんなりしていた。
一気に静寂になった教室に天方の言葉が響き渡った。
「なんか出回っちゃってるみたいだけど、転校生がいまーす。入ってきて〜」
先生の言葉を耳にした蒼は緊張しながらも教室に入り教壇に上がった。
カツカツ
疲れ切ってうつ伏せになっていた真琴だが、靴の音を聞き顔を上げた。
先生に言われて入ってきた子は女の子。肩辺りまで伸びた黒髪を揺らしながら堂々と入ってきた彼女は教壇まであがるとハキハキとした声で自己紹介をし始めた。
「はじめまして!」
聞き覚えがある透き通った芯のある声...どこでだ?と考えていると、とある人物が思い浮かんだ。その子は俺とハルと幼馴染みで、小学校卒業と同時にアメリカへ行ってしまった子...そしてその憶測は次の彼女の言葉で当たっていたと確信した。
「宮沢蒼です。宜しくお願いします。」
蒼は一礼して辺りを見渡した。すると、教室の後方の窓際に記憶よりも大人びた幼馴染二人が目を丸くして自分を見ていた。
その二人を見た途端、蒼の胸はポカポカと温かくなった。変わらない景色を見て戻ってきたとは思っていた。だが、実感がわかなかった。だって幼馴染に会っていなかったから。
だから、遙と真琴の顔を見てようやく蒼は感じたのだ。
...あ...帰ってきたんだな...と
対する真琴は、まさかさっきまで脳裏に浮かべていた少女が成長した姿で眼の前にいることに驚き呆気にとられていた。
それでも、教壇に立つ彼女の双眼と交差した時
心臓を鷲掴されたような心地に陥った。
蒼の今の姿は昔より大人びてはいたが面影はあり、そして変わらず彼女の菫色の目は透き通っていて綺麗だった。
「久しぶりだね!遙!真琴!」
蒼は眼の前の二人にそう言うと嬉しそうに笑うのだった。
*
挨拶を済ませた蒼の周りには、転校生ということもあり沢山の人が群がる。
次々とされる質問に笑顔で答えながらも蒼は内心早く彼らのとこに行きたいのに...とムズムズしていた。
やっと落ち着いた所で蒼は勢いよく立ち彼らがいる窓際の席に歩み寄った。
「あ!アオちゃん!...久しぶり!」
「久しぶりだな...蒼」
「ホント久しぶりだね!」
体格は逞しくなっているのに中身はホントに変わってない...
ハルは表情が変わることがないが嬉しそうに見え、真琴はニコニコとしていた。
「いつ帰ってきたの?」
「ついこの前だよ」
「どうして帰ってきたんだ?」
遙が蒼を見据えてど直球な問いを投げかけた。
場の雰囲気が冷たくなるのを感じた。
それでも蒼はゆっくりと口を開いた。
「...向こうでずっと泳いでて、なんのために泳いでいるかわかんなくなって..そしたらふと、ハルだったらどうするかな?って思って...で戻ってきた!」
...アメリカでは毎日タイムとの争い...競泳留学なのだからあたりまえだ。でも苦しかった...最初は頑張っていた。でも心が追いつかなくなった。そんな時ふと頭に思い浮かんだのはハルだったのだ。
「えー、じゃあハルに会いに戻ってきたの!?」
蒼の話を聞いて残念そうに真琴はしょぼんとする。そんな彼に蒼は笑いかけた。
「そんなことないよー!どうせ真琴も一緒にいると思ったしさ!」
事実ホントに一緒のとこに進学していたのは驚きが隠せない。
「で、アオちゃんはここに水泳部あると思う?」
なに当たり前の事聞いてるんだろ?と蒼は不思議に思った。
「あるんじゃないの!?」
「ないよ」
「え...ウソ...」
「ホント」
「マジかー!」
「アオちゃんは相変わらずだね!」
前は同じくらいの背丈だったのにいつの間に大きくなった真琴を蒼は見上げる。彼女の瞳に写ったのは優しそうな表情で微笑む真琴だった。そして彼の目は相変わらず透き通っていて綺麗だった。
「あ...でもね作ったんだよ」
勝手に見惚れていると真琴がそう紡ぐ。
え?待って話が見えない...。
さっき、ココには水泳部はないと言ってなかったっけ?
「だから蒼も入って」
「...いいよ」
よくわかんないけど泳げるならいいや。ただ無心に何も考える事なく泳ぐこと。蒼はただそれをしたかったのだ。
慌ただしく校舎の廊下を走る二人の男子生徒。茶髪の背の高い男の子は黒髪の男の子を急かし、何とか二人はチャイムが鳴るギリギリに自身の教室に駆け込むのだった。
危なかった...
毎度毎度ギリギリでヒヤヒヤする。と、急かしていた彼...橘真琴はホッと息をつく。
そして自分の席に座ったのだが、いつもと教室の雰囲気が違く不思議に思った。何故なら、周りがいつもよりざわざわとしていたからだ。
「ねぇねぇ...なんかあったの?」
真琴は気になり隣に座る男子生徒に声をかけた。
「なんだよ...橘知らないのか?今日転校生来るんだってよ!」
「そうなの?」
「らしいぜ!やっぱり、女がいいよなぁ〜。そして可愛い子なら尚更良し!」
すると真琴の斜め前に座っている男子生徒が後ろを向き会話に割り込んできた。
「えー、俺は綺麗な子がいいなぁ」
「マジかよ!じゃあ橘は?」
票が割れたため、彼は真琴に話をふってきた。話を振られた本人はたまらず苦笑いを浮かべた。
「いやぁ...考えたことないかなぁ」
嘘だろ!と彼の好みに関心を示した彼らは言葉を失った。そんな中...
「真琴は昔も今も眼中にあるのは一人だけだからな。しょうがないんじゃないか?」
話に興味なさげに窓の外を見ていた黒髪の男の子...七瀬遙が漂う空気を断ち切るように言葉を発した。
遙の言葉に言葉を失ってた彼らは驚きで目を開いた後、真意を確かめるために矢継ぎ早に真琴に質問をぶっかけ始める。
「オイ!マジかよ!!」
「なんだよ!意外と隅に置けねぇーな!
どんな子だよ!」
前のめりになる彼らの勢いに押され真琴は身体をのけ反らせる。そして目をキョロキョロさせ慌た様子の真琴はこの状況をどう乗り切ればよいのかわからなかった。
「ハル!なんとかしてよ!!」
助けを求め、この現状を作った張本人を呼ぼうと後ろを向く。が、遙は真顔のまま首を傾げた。
「なんでだ?」
「なんでって...こうなったのはハルのせいだろ!」
「俺は事実を言っただけだが...
それとも違うのか?」
「い..いや...違くないけどさ」
核心をつかれ、歯切れ悪く返事をする。そしてそれを耳にした男子生徒達はおぉー!!と目を輝かせるのだった。
「いるのか!!誰なんだよ!!」
「いい加減話せよ!!」
一方その頃...
「これから宜しくお願いします」
岩鳶高校の職員室。真新しい制服を身にまとった女の子がそこにはいた。彼女が挨拶をしたのはこれからお世話になる担任の女性の天方先生。
「宜しくね!宮沢さん
といっても私も着任したばかりだから何もわかんないんだけどね」
「そ...そうなんですね」
4年ぶりに岩鳶に戻ってきた宮沢蒼。変わらない風景を懐かしく思いながら高校の門を潜った彼女はこの言葉に、大丈夫かな...と顔を曇らすのだった。
「じゃあ行きましょうか」
そんな彼女の様子を気にする素振りもなく先生は立ち上がり歩き始めた。
「あ...ハイ!」
蒼は慌てて彼女の背中を追った。教室が近づく中、クラスに馴染めるかな...と緊張でドクドクと時分の心臓音が鳴ってるのを感じ取るのだった。
*
「はいは~い...皆席ついてね。」
教室に天方が入ってきたことにより、真琴に降り掛かっていた質問は止んだ。
真琴は先程の事で疲れ切ってげんなりしていた。
一気に静寂になった教室に天方の言葉が響き渡った。
「なんか出回っちゃってるみたいだけど、転校生がいまーす。入ってきて〜」
先生の言葉を耳にした蒼は緊張しながらも教室に入り教壇に上がった。
カツカツ
疲れ切ってうつ伏せになっていた真琴だが、靴の音を聞き顔を上げた。
先生に言われて入ってきた子は女の子。肩辺りまで伸びた黒髪を揺らしながら堂々と入ってきた彼女は教壇まであがるとハキハキとした声で自己紹介をし始めた。
「はじめまして!」
聞き覚えがある透き通った芯のある声...どこでだ?と考えていると、とある人物が思い浮かんだ。その子は俺とハルと幼馴染みで、小学校卒業と同時にアメリカへ行ってしまった子...そしてその憶測は次の彼女の言葉で当たっていたと確信した。
「宮沢蒼です。宜しくお願いします。」
蒼は一礼して辺りを見渡した。すると、教室の後方の窓際に記憶よりも大人びた幼馴染二人が目を丸くして自分を見ていた。
その二人を見た途端、蒼の胸はポカポカと温かくなった。変わらない景色を見て戻ってきたとは思っていた。だが、実感がわかなかった。だって幼馴染に会っていなかったから。
だから、遙と真琴の顔を見てようやく蒼は感じたのだ。
...あ...帰ってきたんだな...と
対する真琴は、まさかさっきまで脳裏に浮かべていた少女が成長した姿で眼の前にいることに驚き呆気にとられていた。
それでも、教壇に立つ彼女の双眼と交差した時
心臓を鷲掴されたような心地に陥った。
蒼の今の姿は昔より大人びてはいたが面影はあり、そして変わらず彼女の菫色の目は透き通っていて綺麗だった。
「久しぶりだね!遙!真琴!」
蒼は眼の前の二人にそう言うと嬉しそうに笑うのだった。
*
挨拶を済ませた蒼の周りには、転校生ということもあり沢山の人が群がる。
次々とされる質問に笑顔で答えながらも蒼は内心早く彼らのとこに行きたいのに...とムズムズしていた。
やっと落ち着いた所で蒼は勢いよく立ち彼らがいる窓際の席に歩み寄った。
「あ!アオちゃん!...久しぶり!」
「久しぶりだな...蒼」
「ホント久しぶりだね!」
体格は逞しくなっているのに中身はホントに変わってない...
ハルは表情が変わることがないが嬉しそうに見え、真琴はニコニコとしていた。
「いつ帰ってきたの?」
「ついこの前だよ」
「どうして帰ってきたんだ?」
遙が蒼を見据えてど直球な問いを投げかけた。
場の雰囲気が冷たくなるのを感じた。
それでも蒼はゆっくりと口を開いた。
「...向こうでずっと泳いでて、なんのために泳いでいるかわかんなくなって..そしたらふと、ハルだったらどうするかな?って思って...で戻ってきた!」
...アメリカでは毎日タイムとの争い...競泳留学なのだからあたりまえだ。でも苦しかった...最初は頑張っていた。でも心が追いつかなくなった。そんな時ふと頭に思い浮かんだのはハルだったのだ。
「えー、じゃあハルに会いに戻ってきたの!?」
蒼の話を聞いて残念そうに真琴はしょぼんとする。そんな彼に蒼は笑いかけた。
「そんなことないよー!どうせ真琴も一緒にいると思ったしさ!」
事実ホントに一緒のとこに進学していたのは驚きが隠せない。
「で、アオちゃんはここに水泳部あると思う?」
なに当たり前の事聞いてるんだろ?と蒼は不思議に思った。
「あるんじゃないの!?」
「ないよ」
「え...ウソ...」
「ホント」
「マジかー!」
「アオちゃんは相変わらずだね!」
前は同じくらいの背丈だったのにいつの間に大きくなった真琴を蒼は見上げる。彼女の瞳に写ったのは優しそうな表情で微笑む真琴だった。そして彼の目は相変わらず透き通っていて綺麗だった。
「あ...でもね作ったんだよ」
勝手に見惚れていると真琴がそう紡ぐ。
え?待って話が見えない...。
さっき、ココには水泳部はないと言ってなかったっけ?
「だから蒼も入って」
「...いいよ」
よくわかんないけど泳げるならいいや。ただ無心に何も考える事なく泳ぐこと。蒼はただそれをしたかったのだ。