無人島合宿
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
走る江だったが、島にある商店を通りかかったとき誰かとぶつかりそうになり彼女は慌てて止まった。
「すみません!!」
江が顔を上げるとそこにいたのは鮫柄高校の人だった。彼も江に気づいたらしく、あれ…と声を漏らした。
「松岡先輩の…」
「どうかしたか??」
似鳥の背後から出てきたのは凛だった。
「お兄ちゃん!?」
「江!?」
鉢合わせした二人は驚きの声をあげる。そして凛は似鳥を一人で帰し、江をつれて近くのベンチに腰掛けるのだった。
「だから…違うんだってば!」
「なにがちげぇんだ。
ハルたちも来てるんだろ?」
「それはそうだけど…でもホント偶然
たまたま私たちも合宿で」
「合宿??
プールは俺たちが使ってんのに…
どこで泳いでるんだよ??」
凛の言葉に江は俯くとこう答えるのだった。
「……………海」
「大丈夫なのか??真琴は?」
そのフレーズに驚きの表情に変わった凛は無意識にそう呟いていた。
「えぇ??」
心当たりがないのか驚きの声をあげる江を見て、凛はいや…なんでもないと首を振り視線を逸らした。
「それよりメニューはしっかりこなせてるんだろうな」
「…うん
まぁ今日は半分くらいしかできなかったけど…」
そう言った江はクスリと笑った。そんな彼女を訝し気に凛は見た。
江は嬉しかったのだ。なんだかんだと皆を凛が気にかけているんだとわかったから。それでも彼は違うと否定した。
「でも、県大会で会おうって約束したんでしょ」
「別にあいつらに会いたいわけじゃない。
俺はハルに勝つ。それだけだ」
そう小さく言った凛は立ち上がった。そして少し歩くと凛はいまだに下を向いている江に話しかけた。
「江!!お前どこ泊ってるんだ?」
「この先の民宿だけど…」
「送ってってやる」
一言そう言った凛に、江は弾ける笑顔を浮かべると嬉しそうに凛の隣に走り寄るのだった。
「江ちゃん!!」
民宿に向かって歩く彼らの耳に入る江を呼ぶ声。思わず立ち止まった彼らの前に現れたのは息を切らした蒼だった。
「あれ?アオちゃん!?」
「良かった!!行き違いになったかと思ったよ」
「...蒼なのか??」
突然現れた彼女に凛は、己の眼を疑った。彼女も自分と同じく留学した。日本に居るはずがないと思ったからだ。
「そうだよ!凛久しぶり!!」
「...ホ...ホントに蒼なんだな」
「嫌だなぁ!そんな幽霊を見ました見たいな顔しないでよ!」
「するだろ!普通!!なんで日本にいるんだよ!?」
「留学やめて帰ってきたの!
凛だってそうなんでしょ?」
蒼の言葉に凛は何も言えず固まった。そんな彼をジッと蒼は見上げた。
「あ!私、調味料とってくるから二人は喋ってて!!」
そう言い残すと江は二人を残して民宿へ行くのだった。
残された二人の間には気不味い空気が流れる。それを断ち切るように蒼が口を開く。
「凛大きくなったね」
「ん...?ま...まぁな。あの頃から5年経ってるからな」
「だよねぇ〜。月日って経つの早いよね」
くるりと凛に背を向けると遠くを見て昔を思い出すかのように蒼は目を細めた。
「なぁ…蒼は…」
「ん??」
呼ばれた蒼は顔だけ凛の方に振り向く。
「いや…なんでもない」
なんで日本に帰ってきたんだ??
気になって聞こうと思った言葉を凛は直前で飲み込んだ。野暮な質問だと思った。自分が理由を言えないのに他人の傷をえぐるような真似はできなかった。
「いいよ…凛。
言いたくなったら言って」
小さく首を振り目線をそらした凛に蒼はそっと語りかけるように言った。はっとして慌てて彼女の方を向くと夕日に照らされた蒼は少し寂しげな表情を浮かべていた。
「多分、あの中で私が一番凛の苦しみを分かち合えると思うからさ…」
「…蒼も」
「ん??」
蒼が凜の方を見ると彼の真っ直ぐな瞳がこちらを向いていた。
「抱えられなくなったら頼れよ。
俺じゃだめなら真琴にでも」
真剣な眼差しを向けてくれる彼を見て、蒼はクスリと笑った。
「なんだよ!!こっちは真剣に…」
「ごめんって!ここで真琴の名前が出てくるとは思わなかったから」
「だって蒼は真琴ぐらいにしか弱音吐かないだろ?」
「そうだっけ??」
キョトンとする蒼に無自覚かと凛は小さくため息を吐くのだった。
*
「鯖&ホッケ!!」
「鯖&パイナップル!!」
渚と遙がそれぞれピザにトッピングしたのは絶対に合わなさそうな組み合わせ。
「うぇ…」
「私ピザにパイナップルだけは許せない」
それを見た江・天方・真琴が思わず顔を引きつらせる。
そして私だったらグリンピースを乗せて…と江や天方がトッピングについて意見を言う中、怜は一人海を見ながら黄昏ていた。
「どうしたの??」
「あ…いいえ…なんでもありません」
「そう??」
彼の様子に気になった渚が駆け寄るが彼の返事を聞いてすぐに輪の中に戻った。だが、彼の様子を気にしたのは渚だけではなかった。
「怜…練習メニューのことなら気にしなくていいよ。」
怜が声がした方を向くとそこには優しく微笑む真琴がいた。
「ゆっくり上達していけばいいから。
それより俺はみんなでこうやって練習したり合宿できるほうが嬉しい。もちろん記録も大事だけど…
やっぱり皆でこうやって泳げるのが一番嬉しいんだ」
そういった真琴の視線の先では、皆がテーブルを囲みピザを食べている姿。ほほえましい光景に真琴は目を細めた。釣られるように怜も表情を崩すのだった。
「レイちゃんならピザのトッピングどうする??やってよ!!」
ちょうどいいタイミングで蒼が怜を引っ張りにやってくる。無邪気な笑顔を浮かべる蒼にスッキリとした表情に戻った怜が意気揚々に答え始める。
「僕だったらですね…」
怜が先程真琴が見ていた輪に加わる。それを見ていた真琴の裾が小さく引っ張られる。真琴が視線をそちらに移すとそこには蒼がいた。
「ほら…真琴も行こ」
「うん…そうだね」
そして、彼らは和気あいあいとテーブルを囲みピザを食べるのだった。
*
「じゃ俺とハルはこっちのテントで…」
「えぇ!?僕ハルちゃんとがいいなぁ」
「僕とじゃ嫌ということですか?」
「だってレイちゃん歯ぎしりしそうだし…」
「しませんよ!!」
「じゃ、あみだで決めようか」
「賛成!!」
「ここの砂に書けばいい」
誰と誰が寝るかであみだすることになりじゃんけんをしてはしゃぐ彼ら。
そんな彼らを遠目に見ていた江の瞳は寂し気だった。
彼らの楽し気な輪の中にどうしてお兄ちゃんがいないのだろうか…と江はふと思ってしまったからだ。
そんな彼女に気づき蒼は声をかけた。
「どうしたの?江ちゃん??」
「あ…アオちゃん」
「悩み事??」
「ううん…そうじゃないんだけど」
「だけど??」
「あの中にお兄ちゃんがいたらいいのにって思って…」
江が向けている方に目線をやると、どうやら寝る相手の組み合わせが決まったらしく皆が騒いでいた。そんな姿に蒼も一瞬昔を思い出し目を細めた。
「そうだね…凛がいたらもっと馬鹿騒ぎになるだろうにね」
「やっぱり??」
「うんそう思うよ。だから、見守ろうよ…。凛があの輪に入る未来がくるのをさ」
「はい!!」
いつになるかわからない。それでもきっと凛なら乗り越えられる。遥たちがなんとかしてくれる。
大丈夫
また昔みたいに肩を組んで馬鹿騒ぎし笑い会える日は来る。
そう蒼は信じて疑わなかった。
「すみません!!」
江が顔を上げるとそこにいたのは鮫柄高校の人だった。彼も江に気づいたらしく、あれ…と声を漏らした。
「松岡先輩の…」
「どうかしたか??」
似鳥の背後から出てきたのは凛だった。
「お兄ちゃん!?」
「江!?」
鉢合わせした二人は驚きの声をあげる。そして凛は似鳥を一人で帰し、江をつれて近くのベンチに腰掛けるのだった。
「だから…違うんだってば!」
「なにがちげぇんだ。
ハルたちも来てるんだろ?」
「それはそうだけど…でもホント偶然
たまたま私たちも合宿で」
「合宿??
プールは俺たちが使ってんのに…
どこで泳いでるんだよ??」
凛の言葉に江は俯くとこう答えるのだった。
「……………海」
「大丈夫なのか??真琴は?」
そのフレーズに驚きの表情に変わった凛は無意識にそう呟いていた。
「えぇ??」
心当たりがないのか驚きの声をあげる江を見て、凛はいや…なんでもないと首を振り視線を逸らした。
「それよりメニューはしっかりこなせてるんだろうな」
「…うん
まぁ今日は半分くらいしかできなかったけど…」
そう言った江はクスリと笑った。そんな彼女を訝し気に凛は見た。
江は嬉しかったのだ。なんだかんだと皆を凛が気にかけているんだとわかったから。それでも彼は違うと否定した。
「でも、県大会で会おうって約束したんでしょ」
「別にあいつらに会いたいわけじゃない。
俺はハルに勝つ。それだけだ」
そう小さく言った凛は立ち上がった。そして少し歩くと凛はいまだに下を向いている江に話しかけた。
「江!!お前どこ泊ってるんだ?」
「この先の民宿だけど…」
「送ってってやる」
一言そう言った凛に、江は弾ける笑顔を浮かべると嬉しそうに凛の隣に走り寄るのだった。
「江ちゃん!!」
民宿に向かって歩く彼らの耳に入る江を呼ぶ声。思わず立ち止まった彼らの前に現れたのは息を切らした蒼だった。
「あれ?アオちゃん!?」
「良かった!!行き違いになったかと思ったよ」
「...蒼なのか??」
突然現れた彼女に凛は、己の眼を疑った。彼女も自分と同じく留学した。日本に居るはずがないと思ったからだ。
「そうだよ!凛久しぶり!!」
「...ホ...ホントに蒼なんだな」
「嫌だなぁ!そんな幽霊を見ました見たいな顔しないでよ!」
「するだろ!普通!!なんで日本にいるんだよ!?」
「留学やめて帰ってきたの!
凛だってそうなんでしょ?」
蒼の言葉に凛は何も言えず固まった。そんな彼をジッと蒼は見上げた。
「あ!私、調味料とってくるから二人は喋ってて!!」
そう言い残すと江は二人を残して民宿へ行くのだった。
残された二人の間には気不味い空気が流れる。それを断ち切るように蒼が口を開く。
「凛大きくなったね」
「ん...?ま...まぁな。あの頃から5年経ってるからな」
「だよねぇ〜。月日って経つの早いよね」
くるりと凛に背を向けると遠くを見て昔を思い出すかのように蒼は目を細めた。
「なぁ…蒼は…」
「ん??」
呼ばれた蒼は顔だけ凛の方に振り向く。
「いや…なんでもない」
なんで日本に帰ってきたんだ??
気になって聞こうと思った言葉を凛は直前で飲み込んだ。野暮な質問だと思った。自分が理由を言えないのに他人の傷をえぐるような真似はできなかった。
「いいよ…凛。
言いたくなったら言って」
小さく首を振り目線をそらした凛に蒼はそっと語りかけるように言った。はっとして慌てて彼女の方を向くと夕日に照らされた蒼は少し寂しげな表情を浮かべていた。
「多分、あの中で私が一番凛の苦しみを分かち合えると思うからさ…」
「…蒼も」
「ん??」
蒼が凜の方を見ると彼の真っ直ぐな瞳がこちらを向いていた。
「抱えられなくなったら頼れよ。
俺じゃだめなら真琴にでも」
真剣な眼差しを向けてくれる彼を見て、蒼はクスリと笑った。
「なんだよ!!こっちは真剣に…」
「ごめんって!ここで真琴の名前が出てくるとは思わなかったから」
「だって蒼は真琴ぐらいにしか弱音吐かないだろ?」
「そうだっけ??」
キョトンとする蒼に無自覚かと凛は小さくため息を吐くのだった。
*
「鯖&ホッケ!!」
「鯖&パイナップル!!」
渚と遙がそれぞれピザにトッピングしたのは絶対に合わなさそうな組み合わせ。
「うぇ…」
「私ピザにパイナップルだけは許せない」
それを見た江・天方・真琴が思わず顔を引きつらせる。
そして私だったらグリンピースを乗せて…と江や天方がトッピングについて意見を言う中、怜は一人海を見ながら黄昏ていた。
「どうしたの??」
「あ…いいえ…なんでもありません」
「そう??」
彼の様子に気になった渚が駆け寄るが彼の返事を聞いてすぐに輪の中に戻った。だが、彼の様子を気にしたのは渚だけではなかった。
「怜…練習メニューのことなら気にしなくていいよ。」
怜が声がした方を向くとそこには優しく微笑む真琴がいた。
「ゆっくり上達していけばいいから。
それより俺はみんなでこうやって練習したり合宿できるほうが嬉しい。もちろん記録も大事だけど…
やっぱり皆でこうやって泳げるのが一番嬉しいんだ」
そういった真琴の視線の先では、皆がテーブルを囲みピザを食べている姿。ほほえましい光景に真琴は目を細めた。釣られるように怜も表情を崩すのだった。
「レイちゃんならピザのトッピングどうする??やってよ!!」
ちょうどいいタイミングで蒼が怜を引っ張りにやってくる。無邪気な笑顔を浮かべる蒼にスッキリとした表情に戻った怜が意気揚々に答え始める。
「僕だったらですね…」
怜が先程真琴が見ていた輪に加わる。それを見ていた真琴の裾が小さく引っ張られる。真琴が視線をそちらに移すとそこには蒼がいた。
「ほら…真琴も行こ」
「うん…そうだね」
そして、彼らは和気あいあいとテーブルを囲みピザを食べるのだった。
*
「じゃ俺とハルはこっちのテントで…」
「えぇ!?僕ハルちゃんとがいいなぁ」
「僕とじゃ嫌ということですか?」
「だってレイちゃん歯ぎしりしそうだし…」
「しませんよ!!」
「じゃ、あみだで決めようか」
「賛成!!」
「ここの砂に書けばいい」
誰と誰が寝るかであみだすることになりじゃんけんをしてはしゃぐ彼ら。
そんな彼らを遠目に見ていた江の瞳は寂し気だった。
彼らの楽し気な輪の中にどうしてお兄ちゃんがいないのだろうか…と江はふと思ってしまったからだ。
そんな彼女に気づき蒼は声をかけた。
「どうしたの?江ちゃん??」
「あ…アオちゃん」
「悩み事??」
「ううん…そうじゃないんだけど」
「だけど??」
「あの中にお兄ちゃんがいたらいいのにって思って…」
江が向けている方に目線をやると、どうやら寝る相手の組み合わせが決まったらしく皆が騒いでいた。そんな姿に蒼も一瞬昔を思い出し目を細めた。
「そうだね…凛がいたらもっと馬鹿騒ぎになるだろうにね」
「やっぱり??」
「うんそう思うよ。だから、見守ろうよ…。凛があの輪に入る未来がくるのをさ」
「はい!!」
いつになるかわからない。それでもきっと凛なら乗り越えられる。遥たちがなんとかしてくれる。
大丈夫
また昔みたいに肩を組んで馬鹿騒ぎし笑い会える日は来る。
そう蒼は信じて疑わなかった。