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最後の試合

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主人公の名前(漢字)
主人公の名前(呼ばれ方)〔渚・真琴・江]

翌日、凛と遙を迎えに真琴とは空港に来ていた。

まだかなぁと待ち構えていると、二人の姿が人混みから現れる。

「「ハル!!凛!!」」

二人は顔を見合わせると、彼らに気づいてもらえるように声をあげ、手を振った。

「真琴!!!!」

驚いた表情で二人の名を呼びながら、凛達は近づいてきた。

「わざわざ迎えに来てくれたのか!」

「二人ともお疲れ様!」

「お帰り!二人とも!!」

真琴とは凛と遙の顔を見渡し微笑む。
対して、遙は特に真琴にバツが悪そうに眼を右往左往させる。

「ハル…お帰り」

「……ただいま」

真琴の言葉に遙は照れ臭そうに頬を染めながら答えた。

「じゃ行こうか!!会場に!!皆も待ってるよ!!」

ほらほら!!と遙の手をグイグイと嬉しそうには引っ張る。その後ろを凛と真琴は並んで歩く。

「そういえば、真琴…」

「なに?凛??」

「お前らの関係…少しは進展したのか??」

前にいる二人には聞こえないように小声で凛は真琴に投げかける。その言葉に真琴は照れ臭そうに頬を赤く染める。その反応に何かあったに違いないと感づいた凛は真琴を小突いた。

「もったいぶんなって!!」

「実は…」

ゴクリと凛は真琴の次の言葉を待つ。

「……俺たち付き合うことになったんだ」

「おぉ!!良かったじゃないか!!」

はにかむ真琴に凛は驚きと喜びの声をあげる。

「いやぁ、やっとか。
それにしても真琴、よく勇気振り絞ったな!」

長年真琴が想いを拗らせ過ぎて、告げることなく気持ちに蓋をするのではないかと秘かに心配してた凛は嬉しそうに真琴の背を思い切りた叩いた。

「この機会を逃したら、もう言えないなって思って...それに」

「それに?」

「雪菜ちゃんに発破かけられちゃって」

「雪菜ちゃんって、確かのアメリカ時代の友達だっけ?」

「そうそう」

真琴はぎこちない笑みを浮かべる。

雪菜から見ても、に対する真琴の恋心はダダ漏れ。
気づかないうちに懐に入れられてた雪菜の連絡先の紙。それ以降、毎度のごとく真琴は喝を入れられてきたのだ。

『何故そこで言わない!!』

『ヘタれ!!』

真琴から今までの事情を知っていった雪菜からは怒声に近いヤジが飛んだ。

極めつけには...

『ココで言わなきゃ男じゃない!!』

ガチで切れた雪菜の言葉。
それはもうひと押し欲しかった真琴に想いを告げる勇気をくれたのだ。

「と...とりあえず良かったな」

「うん!雪菜ちゃんには感謝しかないよ」


凛は真琴の話を聞きながら、眉間にシワを寄せる。


一体、どんだけおっかない奴なんだと内心思うのだった。




一方、会場では渚と怜が泳いでいた。

「やっとこのプールにも慣れてきたね!」

「えぇ、明後日の本番では観客席が一杯になるんですね」

「緊張する?レイちゃん?」

渚はコースロープにもたれかかり怜を見上げる。
だが、怜が返した反応は今までと全く異なるもので渚は驚く。

「いいえ!この日のために頑張ってきたんです!緊張なんかしてる場合じゃありません!」

「いよいよ心臓に毛が生えたね!」

ニコニコ笑いながら渚は怜の胸を指さす。
嫌そうに怪訝な表情をする怜は言い返そうとするが、壁にある時計の針が12時を指していることに気づき慌てはじめる。

「だから…あぁ!!そろそろ真琴先輩達が帰ってくるころです!!」

「もうそんな時間か!!急ごう!!

レイちゃん??」

勢いよく、渚はプールから上がって着替えに行こうとする。が、少し歩いて振り返ると怜は一向にあがる素振りを見せず俯いていた。

「遙先輩…元気になって帰ってきてくれるでしょうか?」

不安そうな表情を浮かべる怜を元気づけようと渚は怜がいるレーンの前で膝を抱えてしゃがみこんだ。

「大丈夫!!きっと元気になって帰ってくるよ!行こ!」

「はい!!」

渚の言葉に怜は大きく頷くと二人は会場を後にするのだった。
そして、二人は会場の近くの公園へ。そこにあるベンチに渚は座り、怜は立ちながら、目の前の川を見て待っていた所、チームに合流するといって凛と別れた3人が現れた。

「ハルちゃん!!」

「遙先輩!!」

二人は嬉しそうに遙に駆け寄った。

「渚…怜…」

遙の姿を見た渚と怜はホッとしながら笑みを溢す。

「お帰り!ハルちゃん!」

「無事の帰国…何よりです」

「も~う…心配したんだからね!レイちゃんなんて…」

「な…渚君!!」

渚は、遙がいない日の怜について持ちネタにしようとするが、慌てるように渚を止めようと怜が動きだす。
そんな彼らに遙は申し訳なさそうに頭を下げる。

「心配かけて…悪かった」

そんな遙に渚と怜は柔らかい笑みを浮かべる。

「ううん…いいんだよ」

「それより明後日の試合に向けてゆっくり体を休めてください。
その後は本番に向けての最後の調整です」

「うん!!」



「真琴、、渚、怜…
お前たちに伝えたいことがある」

遙はそう言うと目の前の川の前にしゃがみこみ、澄んだ水流れる水に手を入れる。
水の冷たい気持ちよさを感じながら遙は口をゆっくりと開いた。

「俺はこれまでタイムや勝ち負けにこだわらずに泳ぎたいから泳いできた。そこにこだわれば泳ぐ意味を失う…そう思ってた

凛には世界を目指す夢がある

その夢のために競泳の世界に飛び込もうとしている

じゃあ…俺は?

ただ泳ぎたいという思いだけで競泳の世界にいくのか?

勝ち負けの世界へ…

それは違う…俺は凛とは違う

俺にはアイツみたいな強い思いがない

だから、お前たちに言われたことにも答えられなかった…

夢なんて探して見つかると思えなかった

だけど…凛にオーストラリアに連れられて色んな景色を見せられて、世界の広さを知って、そして俺は見つけたんだ…

泳ぎたい…この世界で…」

遙は思い出すようにそっと目を閉じる。
そして目をゆっくりと開けるとしゃがんでいた体勢から立ち上がり、4人の方に振り向いた。

「泳ぎ続けたい!!

だから俺はタイムにも勝ち負けにもこだわっていく

…自分の夢のために」

迷いのない真っ直ぐな遙の瞳、そしてふっ切れた表情を浮かべる彼に皆表情を緩ませた。

「やっぱり今回の旅はハルにとって特別な旅になったんだね」

「見つかって良かったね!ハル!!」

「…良かったね!ハルちゃん!」

「それが遙先輩の見つけた夢ならば僕たちは全力で応援するだけです!!」

「…ありがとう、皆」

嬉しそうな皆の顔を見渡して遙はそう言ったのだった。
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