親友との衝突
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どうして!!どうしてあんな泳ぎをしたの!?
もう競泳なんてやめたら…向いてないよ…
悲痛な表情で泣き叫びながら自分に詰め寄る姿。
いつもの温かい眼差しでなく自分を拒絶する冷酷な暗い琥珀色の瞳
その瞳を向けられた時、目の前が真っ暗になった。
その時言われた言葉は自分の脳裏に焼き付き離れることは決してなかった。
毎度、戒めのように夢の中に出てくるのは過去の記憶。
蒼ならきっとできる
だから今度のメドレーリレー一緒に泳ご
うん!!雪菜と一緒に泳ぐために頑張る!!!
二人で交わした初めての約束
とても嬉しかった。
期待されてる…まだまだ速く泳げるようになれる
そう信じて猛練習を積み重ねた。
メドレーのメンバーに呼ばれたときは思わず飛び跳ねて雪菜に抱きついた。
これで一緒にリレーができると信じて疑わなかった……
だが、試合当日に現れたのは松葉杖をつく雪菜の姿
ごめん…一緒に泳げない
でも気持ちは一緒だから頑張って
項垂れながらも悲しげに微笑む雪菜の姿に、蒼の耳には全く彼女の声は入ってくることは無かった。
何も考えられなくなってしまった
一気に目標がなくなってしまい何処かに放り出されたように…
その気持ちを切り替えられるはずがなく、泳ぎにも影響を及ぼした。
チームメイトにとっては大事な試合なのに…
これに勝てば一段と大きな舞台に立てる…夢に大きく一歩近づける…
そんな大切な仲間の想いを一瞬で踏みにじった
水に入った途端感じるのは重たい水。絡みつくように自分の泳ぎを妨げる水は真っ黒に感じた。
トップで貰ったのにそれを届けられなかった。
必死に泳いで水から顔を上げた時、その順位に呆然と立ち尽くした。
チームメイトに悲しみの表情が浮かぶ。一部には怒りの色も見られた。
皆の顔をまっすぐ見れなかった。怖かったから。
トボトボと逃げるようにその場を後にしようとした時、自分の肩を思い切り掴むのは怒りの色を滲ませた雪菜だった。
絶対に拒絶されたくない相手
だが、雪菜は瞳に涙を浮かべながら自分を睨め付けてきた。
一気に奈落の底に行き着いた結果、わからなくなった。
一体何のために自分は泳いでいるのかと……
もう何も考えたくない
タイム??勝ち負け???そんなのどうでもいい
そして試合が終わった途端に水泳をやめた。逃げるように
でも、気持ちは晴れることがなかった…………
そんな自分に両親が提示してくれたのは地元に帰ることだった。
帰って…
かけがえのない仲間に出会えてようやく思い出された。
そして気付かされた
あの時一番に踏みにじったのは雪菜の期待…想いだということに
だからこそ謝りたいと強く望んだ。
願うならもう一度でいい…
一緒に泳ぎたいと…
約束を今度こそ果たしたいと…
蒼がゆっくりと目を開けると、少し後方にいるのは雪菜の姿。
大丈夫…きっと雪菜にこの想いは届く
今度は絶対に選択を間違えない
蒼は強く心に誓うのだった。