惹かれあう
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「...ったく、無防備に寝やがって」
悪態を付きながらも巳早は優しい手付きでスヤスヤと眠るミーシャをベッドに寝かしつけた。一向に起きる気配が見られない彼女の寝顔を見ていた巳早は無意識の内に彼女の髪に手を伸ばしていた。絹のように細く綺麗な髪は絡まることなくサラサラと指の間から溢れていった。その動作を何度も何度も繰り返す巳早の目尻は下がっていた。
いつからだろうか...
巳早は、物思いに耽った。彼女を攫った目的は紛れもなく彼女の珍しい髪色目当て。髪の長さが長くなったところで何処かの貴族に買い取ってもらって莫大なお金を手に入れるつもりだった。それなのに、彼女と月日を重ねていくうちに特別な感情を抱いてしまった。自分と同じ没落貴族の出。当初は同情心から来るものだと思っていた。だが、そこから来るものではないと気づいてしまったのだ。世間知らずのお転婆娘。彼女は外の世界を知り、どんどんと押し込めていた感情を曝け出していった。感情豊かでコロコロと表情を変える彼女は、見てても飽きる事はなかった。そんな彼女をいつの間にか愛おしく想い、手放せなくなっていたのだ。
全く困ったもんだぜ
自身の心の移り変わり様に、巳早は自嘲気味に笑った。愛くるしくて止まない彼女に対する独占欲は日に日に増すばかりだった。
「....んっ」
ボゥッと眺めていた巳早は、ミーシャの身動いだ声で現実に引き戻された。ハッとして伸ばしていた手を引っ込めるのだが、目の前の彼女は別に起きたわけではないと分かると巳早はホッと胸を撫で下ろした。
あどけない姿で眠る彼女は窓からいつの間にか雲の隙間から顔を覗かせた月が放つ銀色の光を受けていた。その月光に照らされた彼女に巳早はゴクリと息を呑んだ。白いシーツに無造作に散らばる彼女の透き通ったホリゾンブルー色の髪が幻想的に輝き、彼女の陶器のように白い肌を更に際立てさせる。そんな彼女の赤い唇に堪らず巳早は手を出しそうになった。グッとなんとか理性を手繰り寄せて押し留まった巳早。だが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべると彼女のホリゾンブルー色の髪を一房掬い上げる。
「こんくらい別にいいよな」
自身に言い聞かすように巳早はそっと呟くとその掬った髪に唇を落とすのだった。