惹かれあう
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某王国に佇むとある一軒の家。外見は、華やかでご立派な豪邸。だが、内面は腐り廃れきっていた。この豪邸に住まう一家は、膨大な資産を保有していたにも関わらず粗い金遣いのため、存続の危機に立たされていたのだ。没落貴族になるのも時間の問題。そんな彼らは密かにある企みを模索していた。それは一人娘を高値で売ることだった。この家の長女のミーシャ。彼女は世にも珍しい髪色を持っていたのだ。その為か、彼女は家内では煙たがわられていて人目につかない一室に放置状態されていた。だからこそ彼女にとってはこの一室はまさに鳥籠。物心ついた頃から外に出たことが一度もない彼女は、窓越しから外の景色を眺めて、思いを馳せていた。外の世界に渇望し、焦がれていた彼女は何時ものようにベッドに腰を下ろして窓の外の景色を眺めていた。
いつもの景色
いつもの光景
何年も変わることもない景色をボウッと眺めていたミーシャの髪が突発もなく靡いた。ハッとしたミーシャは靡く髪を手で押さえて目の前の光景に目を見開いた。そこには、固く閉ざされた窓が大きく開いており窓枠に悠然と腰を下ろす青年がいたのだ。夜空に浮かび上がる満月の銀色の光を受ける青年はコチラの方を向いて不敵な笑みを零していた。
「よう、お嬢さん」
「貴方は何者ですか??」
「なに、名乗るほどの者ではありませんよ」
信じられない光景に声を掛けられたミーシャは恐る恐る口を開いた。その声は驚きと困惑で震えていた。そんな彼女が己に向ける不信感を取払おうと青年は胸に手を当てて恭しく一礼をしてみせた。
「なぁ、お嬢さん
俺が外に連れ出して差し上げましょうか?」
青年は意味深なセリフを零すと彼女に片手を伸ばした。その手は、絶望の底に叩き落されていたミーシャにとっては一筋の希望の光に見えた。思わずミーシャは立ち上がると彼の手を掴んだ。その行為に青年は目を見張った。彼女の家の事情は知っていたものの、こんなに呆気なく了承されるとは思わなかったからだ。
「連れてって下さい!!
私をこの陰気臭い場所から!!
売り飛ばされるくらいならば、貴方に攫われる方がマシです!!」
ミーシャは縋るように声を上げた。その言葉に青年はニヤリと口角を上げると彼女の手を引っ張り上げ腰に手を回した。
「嬉しい事言ってくれるじゃねーか
お望みどおり何処へだって連れてってやるよ」
唐突に引っ張られたミーシャは呆気にとられたまま、青年に抱き寄せられた。そのまま耳元で囁かれたミーシャはハッと顔を上げた。すると銀色の光を浴びた青年の端正な顔が視界に映り込んだ。颯爽と月明かりの下に現れた王子様に見えてしまった彼にミーシャは見惚れてしまうのだった。
「さて...では参りましょうか」
青年は容易くミーシャを横抱きにする。ミーシャは浮遊感に驚きながらも慌てて青年の首に両手を回した。ギュッと目を瞑って身を任せるミーシャを落とさないように抱く力を込め直した巳早は、結いた焦げ茶の髪を夜風に靡かせ颯爽とこの場を立ち去るのだった。
いつもの景色
いつもの光景
何年も変わることもない景色をボウッと眺めていたミーシャの髪が突発もなく靡いた。ハッとしたミーシャは靡く髪を手で押さえて目の前の光景に目を見開いた。そこには、固く閉ざされた窓が大きく開いており窓枠に悠然と腰を下ろす青年がいたのだ。夜空に浮かび上がる満月の銀色の光を受ける青年はコチラの方を向いて不敵な笑みを零していた。
「よう、お嬢さん」
「貴方は何者ですか??」
「なに、名乗るほどの者ではありませんよ」
信じられない光景に声を掛けられたミーシャは恐る恐る口を開いた。その声は驚きと困惑で震えていた。そんな彼女が己に向ける不信感を取払おうと青年は胸に手を当てて恭しく一礼をしてみせた。
「なぁ、お嬢さん
俺が外に連れ出して差し上げましょうか?」
青年は意味深なセリフを零すと彼女に片手を伸ばした。その手は、絶望の底に叩き落されていたミーシャにとっては一筋の希望の光に見えた。思わずミーシャは立ち上がると彼の手を掴んだ。その行為に青年は目を見張った。彼女の家の事情は知っていたものの、こんなに呆気なく了承されるとは思わなかったからだ。
「連れてって下さい!!
私をこの陰気臭い場所から!!
売り飛ばされるくらいならば、貴方に攫われる方がマシです!!」
ミーシャは縋るように声を上げた。その言葉に青年はニヤリと口角を上げると彼女の手を引っ張り上げ腰に手を回した。
「嬉しい事言ってくれるじゃねーか
お望みどおり何処へだって連れてってやるよ」
唐突に引っ張られたミーシャは呆気にとられたまま、青年に抱き寄せられた。そのまま耳元で囁かれたミーシャはハッと顔を上げた。すると銀色の光を浴びた青年の端正な顔が視界に映り込んだ。颯爽と月明かりの下に現れた王子様に見えてしまった彼にミーシャは見惚れてしまうのだった。
「さて...では参りましょうか」
青年は容易くミーシャを横抱きにする。ミーシャは浮遊感に驚きながらも慌てて青年の首に両手を回した。ギュッと目を瞑って身を任せるミーシャを落とさないように抱く力を込め直した巳早は、結いた焦げ茶の髪を夜風に靡かせ颯爽とこの場を立ち去るのだった。
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