次男坊の改心
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「「はぁぁぁ....」」
ハクとルイは同時に大きく溜息を吐いて項垂れた。その原因はもちろんユンによる治療込みの大説教だ。耳にタコができるまでユンの有り難いお話を聞いた二人はげっそりとしていたのだ。
「ユンって何者??」
「面倒見がいい俺達の”お母さん”だ」
「なるほど…
ユンの言うことは絶対ということか…」
ハクのざっくばらんな説明にルイは納得したように頷いた。そしてルイはさっぱりしたように大きく伸びをした。
「いやぁ~でも楽しかったよ
すっきりした」
「そうか?そりゃあよかった」
骨がない賊達を相手にしていたため、ハクとの手合わせをルイは楽しんでいたのだ。それはまるで昔ジェハとやったときと同じような高揚感。最近はすっかり手合わせなんてご無沙汰だったためハクとの一戦は新鮮だった。
「ハクって結構取っ付き易いよね」
「お前もな…
女だってことすっかり忘れちゃうぜ」
ルイは口元を緩めて小さく笑う。そんなルイにつられるようにハクも思わず口元を緩めて本音を言ってしまっていた。が、その言葉にルイはピタリと固まる。その様子にハクはやってしまったと青ざめる。
「え……」
「あぁ…わりぃ
男装してるの知ってた」
驚き言葉を失うルイにハクはバツが悪そうに視線を逸らしながら答えた。
「い…いつから??」
動揺し言葉を震わすルイにハクはこれまでの経緯を説明した。もちろん絶対的確証を持ったのはジェハの表情だということは伏せて。
「そうだったんだ…」
「だから俺の前では取り繕わなくていいぞ」
ハクから紡がれた事実にルイは片言で相槌をした。そんな彼女にハクは更に衝撃的な言葉を告げた。ルイはその言葉に驚いた。まさか取り繕っているとバレているとは思わなかったからだ。
「どうしてわかったの??」
アルト声から女性特有のソプラノ声に打って変わったルイの声にハクは驚きながらも口を開く。
「手合わせしている時に普段の柔らかい口調が崩れたからだ」
「あぁ~なるほどね!
確かに熱くなってたからすっかり忘れてた!!」
ハクの言葉に納得したようにルイは声を上げた。確かに思い起こしてみると素に戻っていた気がする。男装している時間が長いためしっかり染みついているを思っていたのだが、どうしても注意していないと崩れてしまうことがあるらしい。
「じゃ遠慮なく!!」
「ってかお前、いつ他の奴に話すんだ??」
「あぁ…なかなか言い出しずらくて」
ハクの核心をついた言葉にルイは後ろめたそうに愛想笑いを浮かべた。これから旅をするのならば絶対隠し通すのは厳しい。いつかは絶対バレるだろう。だが、実は…と明かすタイミングを中々掴めずにいたのだ。それに今は男として村人の人と接していることもあり直ぐに明かすことが出来ない状態だった。
「まぁ、ルイの好きなタイミングでいいだろ?」
「アハハ…
それまではお願いしますね、ハク」
「どーしようかな~」
「ちょ!ちょっと!!」
ニヤリと悪戯顔を浮かべるハクにルイは上ずった声を上げた。誰かと似て、人のことを煽ってからかうことをするハクだ。本当に話しかねないとルイは慌てたのだ。
そんな予想通りの反応をしてくるルイにハクは喉を鳴らす。
「お前、弄りがいがあるな」
「人で遊ばないでよ…」
「まぁ俺からはバラす気はないから安心しろよ」
ガクリと肩を下ろすルイにハクは愉快気に笑いながら彼女の肩をポンポンと叩いた。
「随分と距離が近くないかい?ハク??」
そんな二人の背後に音を立てずに近寄っていた人物が低い声を漏らす。その声にハッとルイは振り向き、ハクはニヤリと口角を上げる。
「なんだ?別にいいだろこんくらい??
それとも嫉妬しちゃたか??タレ目」
「いや?別に??
二人が仲睦まじい様子に微笑ましい限りだよ」
ギラギラと瞳を燃やすジェハにハクはからかい口調で挑発した。それに対してジェハは眉をピクリと動かしながらもとニッコリと笑みを浮かべて受け流すのだった。
だが、ジェハの目にルイのある部分が留まったことで彼の纏う空気がガラリと変わった。
「それよりさ~ハク
1つ聞きたいことがあるんだけど??」
「なんだ??」
「ルイの頬に傷がついているのはなぜだい??」
「さぁ~なんでだろうなぁ??」
ジェハの醸し出す黒いオーラにハクは眉をピクリと動かす。が、ハクはあくまでもとぼける選択をとった。そんな彼にジェハは黒い笑みを浮かべながら暗器を取り出す。
「…ジェハなんで怒ってるの??」
今にもハクに向かって刺しかねない勢いのジェハの行動を遮ったのは不思議そうに彼を見上げるルイの声だった。その声にピタリと手を止めたジェハはどう言えばいいかと言葉を濁らせて視線を泳がした。その困惑するジェハにルイは手を伸ばした。
「ほら?暗器仕舞って!!
ただハクと手合わせしただけだから!!」
ルイは無邪気な笑みを浮かべてジェハが持つ暗器を奪い取り元の場所に仕舞わせようとする。その行動にジェハはほんのりと頬を染めて慌て始める。
「ちょ!ちょっとルイ!!
わかったから!それ返して!自分で仕舞うよ!!」
「ジェハの言葉は信用ならない」
「少しは僕のこと信用してくれないかい?」
慌てるジェハの言葉にルイは耳を貸そうとせずに強引に彼の裾をめくりだす。その行動に更に慌て始めるジェハをハクは物珍しそうに眺めるのだった。