その背には
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「キジャー!!」
「具合悪いって聞いたけど大丈夫ー?」
「腹減ったか〜??」
なんとかキジャに浴衣を着せ終えたジェハ。だが、一難去ってまた一難。今度はこの場にいなかった他のメンバーが集まってきたのだった。そんな彼らの登場になんとかこの場を収めようと思っていたジェハは顔を顰めた。
ああっ、ややこしいのがぞろぞろ来た!!
仕方ない脱出だ。
「おい、ジェハ」
「本当だ。具合悪そうだから休ませよう!」
善は急げと、キジャの制止を振り切りジェハは彼を背負った。そして、そのままその場を離れるために跳びあがろうとするのだが…。
「うぎゃぁあああああ!!」
キジャが突如悲鳴を上げるのだった。それに、ジェハを含めて一同は驚くのだった。
「どうしたの、キジャ!?」
「奴がッ!奴が来た!!」
「奴!?」
「誰??」
「ついにこんな所まで!!
ジャハ!頼みがあるっ」
「だからここから去るんだろ!?」
地面に屈みこんだキジャが顔を俯かせたまま、ジェハに声をかける。それに対してジェハが切羽詰まった声を上げるのだが、本人はその場を動こうとしなかった。グッと唇を噛みしめるキジャをジッと見守る一同。その視線を一身に受けたキジャは驚くべき行動を取るのだった。
「こいつを殺してくれ!!」
叫びながらキジャは折角ジェハが羽織らせた浴衣を脱ぎ捨てると己の背を一同に向けるのだった。その背には大きな蜘蛛がくっついていた。
「………」
キジャの容態を心配していたヨナ達も、傷のことを隠したかったのではないかと思っていたジェハも、皆キジャの背にくっつく蜘蛛をポカンと拍子抜けした表情で見つめるのだった。
対して当の本人はガクガクと身体を震わす。そんな彼にジェハが恐る恐る声を掛ける。
「いや、君…背中見えてるよ。」
「もう…いっそ背中ごとぶった斬って…っ」
「だから背中…」
困惑するジェハ。だが、キジャはジェハの言葉を遮るように声を震わして叫ぶのだった。
「こやつ…
こやつは風呂場でも私の邪魔をしたのだ!!
早くっ早くっ…」
そのキジャの声を聞きながらジェハは今までの彼の行動を思い起こしていた。そしてジェハはようやくある1つの仮説に辿り着く。
「……キジャ君、
まさか…君…
蜘蛛がいたから温泉入らなかったの…?」
「うむ!!」
ジェハの投げかけに力強くキジャは答える。その問いに対して取り越し苦労だったのかと大きく息を吐いてジェハは脱力する。そんな彼の行為を労うように、ルイは優しく彼の肩を叩くのだった。