次男坊の改心
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テジュンが対策本部を立てて数日後、村は少しずつ綺麗になりつつあった。が、順調に上手くいっていた矢先に1人の兵士が病に罹り倒れてしまうのだった。
「やはり病が伝染ったのか?」
「こんな所で作業してるから…」
「も…もしかして僕も…」
兵士…キルソンが倒れたことによってもしかしたら自分もと兵士や役人たちの間に動揺が広がり始めた。その中、テジュンは切羽詰まっ他声を上げて周囲を見渡した。
「医術師!医術師はどこだ?」
「今日はまだ…
というかここ最近姿を見せません」
「逃げた
絶対逃げたな」
ザワザワと騒ぎ始める中、テジュンは病に倒れたテジュンを抱えた。
「では、私が運ぶ
宿舎に布団を用意せよ」
「宿舎に病を入れるのですか!?」
「私の部屋で面倒を見る」
「テジュン様!!」
周囲の制止も聞かずに他の者は持ち場に戻れと言い残しテジュンは走り出した。この病のことはユンから一通り聞いていたのだ。病の初期ならば、清潔な水と寝所、栄養のある食べ物があれば治ると。ヨナの笑顔を消してたまるかの一心で部屋に戻ったテジュン。だが。看病しようにも今まで看病なんてした事のないテジュンはおどおどするばかり。それどころか自分も病にかかるのではと怯えてしまうのだ。
今直ぐここを締め切って、二度とこの部屋に入るまいか…
弱い心が表にで始めて逃げ腰になり始めるテジュン。そんな青ざめるテジュンの耳に掠れた声で己を呼ぶ声が入るのだった。
「テジュン様…
申し訳ありません申し訳ありません…
病をテジュン様のお部屋に持ち込んでしまって…
テジュン様にご迷惑をおかけするのならば…私自害しますので…っ」
涙を流しながら言うキルソンにハッと正気に戻ったテジュンは己の頬をベシベシベシと沢山平手打ちして自分を戒めた。
「余計な事を考えるな。この病は治ると私が証明してみせる。
お前は休暇だと思ってのんびりしとけ!」
テジュンは意気揚々と啖呵を切るのだった。
その彼の奔走する姿を密かに眺めていたルイは人知れず口元を緩めた。少しずつ変わっていくテジュンの姿に持ち場に戻った兵士達も心動かされ始めていたのだ。
ルイはテジュンを一瞥すると急いで加淡村に向けて足を向けた。一先ず周囲にこの村の脅威は感じられないため、ちょっとは外してもいいだろうと思ったのだ。そしてユン達を呼びに進める足を早めるのだった。
一方で、テジュンはユンから貰った対処法の紙を頼りに夜まで走りまわり看病を続けた。
水は煮沸…解熱にはセリの葉…
看病というのは予想以上にキツいものでテジュンはフラッと身体が重くなるのを感じた。その途端ドクンという鼓動とともに感じたのは恐怖心だった。
動かない…伝染ったのだろうか…
私もあんな風に…
嫌だ…ここにいたくない!逃げようか…
どんどんと逃げ出したくなる恐怖に縛られ始めるテジュンは混沌に引きずり込まれそうになる。が意識が遠のき掛けたその瞬間、ヒンヤリと己の額に感じたことでテジュンは意識を戻すのだった。ハッとしたテジュンは目を見開く。なんとそこにいたのはヨナだったのだ。
「ひ、姫!?」
「しーっ」
驚くテジュンにヨナは人差し指をたてて静かにするように合図した。
「テジュンは少し疲れたみたい。ユン、そっちはどう?」
ヨナの声とともにテジュンが視界を向けると、するとキルソンの容態を見ているユンがいた。驚くテジュンにユンは安心させようと小さく微笑みかけた。
「大丈夫。この人は2,3日内に元気になるよ。」
「ほっ、本当か!?」
「うん。初期段階で対処したからね。よくがんばったね。」
ユンの言葉にテジュンはポロポロと涙を流し、キルソンの眠る布団に縋り付いた。
「すまない…キルソン…」
「何で看病して謝ってんの?生きてるからね?大丈夫だよ?」
慌てて慰めようとするユンを横目にヨナが優しくテジュンに笑いかけた。
「テジュン、村がキレイになってて驚いたわ。
この人の看病も私達ではここまで出来なかった。
テジュンがいなければ出来なかった。
私の正義が…この村を放っておけなくて…」
ヨナはテジュンの手により綺麗になった村や村人の姿、そしてルイから聞いた率先して行動するテジュンの少し前とは違う姿に感銘を受けていた。そのヨナから吐露された心情にテジュンは顔を俯きながら、自分の醜い心を曝け出す。
「………ごめんなさい、違うんです。
本当は何度もここから逃げ出そうと…」
「…昔私、ハクを追って来たあなたは傷ついて死んでいく部下がいても顔色一つ変えずに笑っていたわ。
私はそれがとても嫌だった。
でも今のあなたは全然違う。」
ヨナは顔を上げたテジュンの頬を伝う涙をそっと指先で拭うと微笑んだ。
「今のあなたに会えて良かった。本当よ。」
その時、彼ら3人の頭上の天井の一角が開く。その穴からルイとハクが顔を覗かせた。
「もうそろそろいいかな…」
「姫さん、ユン。そろそろ行くぞ。」
「うん。」
「じゃあ、私達行くわね。」
ちゃっかりと抜け穴を作ったところから二人は縄を垂らした。その縄を伝ってユンがまず上り、ヨナもその後に続いた。
二人の姿が消えてようやく、テジュンはポツリと言葉を漏らした。
「…えっ、今告白された?」
「されてねーよ、阿呆。」
「あ、そうだ。たまには外の扉開けてやりなよ」
彼の言葉に対してわざと垂らした縄でハクは悪態を付きながらテジュンの頭を叩く。その後にルイは楽しげに笑いながら穴から顔を覗かせると扉の方を指差すのだった。そのルイの言葉通りテジュンは彼らが去った後に扉を開く。すると家の外には部下達が皆そこに座っていたのだった。扉が開きテジュンの姿が見えると部下たちは一斉に立ち上がる。
「おお、戸が開いた!」
「テジュン様!キルソンは!?どうなりました!!?」
「あいつ生きてますか!?」
テジュンに勢いままに詰め寄る部下の姿にテジュンは押されながらもキルソンの容態を伝えた。
「だ…大丈夫だ。2,3日内に回復する。」
「「「うおおおおぉぉお!!」」」
「よかった!」
「キルソン~」
「ありがとうございますありがとうございますっ!」
テジュンの声とともに部下の歓喜の声が沸き起こる。
「申し訳ありません。
今まで何も出来なくて…これからはちゃんと…ちゃんと…」
「あぁ、共に火の部族を…我々の同胞を守ろうぞ。」
兵士たちの声に口元をテジュンは緩めた。ようやく一つに纏まった部下達とともにテジュンはこの村のために尽力を注ぐのだった。
「やはり病が伝染ったのか?」
「こんな所で作業してるから…」
「も…もしかして僕も…」
兵士…キルソンが倒れたことによってもしかしたら自分もと兵士や役人たちの間に動揺が広がり始めた。その中、テジュンは切羽詰まっ他声を上げて周囲を見渡した。
「医術師!医術師はどこだ?」
「今日はまだ…
というかここ最近姿を見せません」
「逃げた
絶対逃げたな」
ザワザワと騒ぎ始める中、テジュンは病に倒れたテジュンを抱えた。
「では、私が運ぶ
宿舎に布団を用意せよ」
「宿舎に病を入れるのですか!?」
「私の部屋で面倒を見る」
「テジュン様!!」
周囲の制止も聞かずに他の者は持ち場に戻れと言い残しテジュンは走り出した。この病のことはユンから一通り聞いていたのだ。病の初期ならば、清潔な水と寝所、栄養のある食べ物があれば治ると。ヨナの笑顔を消してたまるかの一心で部屋に戻ったテジュン。だが。看病しようにも今まで看病なんてした事のないテジュンはおどおどするばかり。それどころか自分も病にかかるのではと怯えてしまうのだ。
今直ぐここを締め切って、二度とこの部屋に入るまいか…
弱い心が表にで始めて逃げ腰になり始めるテジュン。そんな青ざめるテジュンの耳に掠れた声で己を呼ぶ声が入るのだった。
「テジュン様…
申し訳ありません申し訳ありません…
病をテジュン様のお部屋に持ち込んでしまって…
テジュン様にご迷惑をおかけするのならば…私自害しますので…っ」
涙を流しながら言うキルソンにハッと正気に戻ったテジュンは己の頬をベシベシベシと沢山平手打ちして自分を戒めた。
「余計な事を考えるな。この病は治ると私が証明してみせる。
お前は休暇だと思ってのんびりしとけ!」
テジュンは意気揚々と啖呵を切るのだった。
その彼の奔走する姿を密かに眺めていたルイは人知れず口元を緩めた。少しずつ変わっていくテジュンの姿に持ち場に戻った兵士達も心動かされ始めていたのだ。
ルイはテジュンを一瞥すると急いで加淡村に向けて足を向けた。一先ず周囲にこの村の脅威は感じられないため、ちょっとは外してもいいだろうと思ったのだ。そしてユン達を呼びに進める足を早めるのだった。
一方で、テジュンはユンから貰った対処法の紙を頼りに夜まで走りまわり看病を続けた。
水は煮沸…解熱にはセリの葉…
看病というのは予想以上にキツいものでテジュンはフラッと身体が重くなるのを感じた。その途端ドクンという鼓動とともに感じたのは恐怖心だった。
動かない…伝染ったのだろうか…
私もあんな風に…
嫌だ…ここにいたくない!逃げようか…
どんどんと逃げ出したくなる恐怖に縛られ始めるテジュンは混沌に引きずり込まれそうになる。が意識が遠のき掛けたその瞬間、ヒンヤリと己の額に感じたことでテジュンは意識を戻すのだった。ハッとしたテジュンは目を見開く。なんとそこにいたのはヨナだったのだ。
「ひ、姫!?」
「しーっ」
驚くテジュンにヨナは人差し指をたてて静かにするように合図した。
「テジュンは少し疲れたみたい。ユン、そっちはどう?」
ヨナの声とともにテジュンが視界を向けると、するとキルソンの容態を見ているユンがいた。驚くテジュンにユンは安心させようと小さく微笑みかけた。
「大丈夫。この人は2,3日内に元気になるよ。」
「ほっ、本当か!?」
「うん。初期段階で対処したからね。よくがんばったね。」
ユンの言葉にテジュンはポロポロと涙を流し、キルソンの眠る布団に縋り付いた。
「すまない…キルソン…」
「何で看病して謝ってんの?生きてるからね?大丈夫だよ?」
慌てて慰めようとするユンを横目にヨナが優しくテジュンに笑いかけた。
「テジュン、村がキレイになってて驚いたわ。
この人の看病も私達ではここまで出来なかった。
テジュンがいなければ出来なかった。
私の正義が…この村を放っておけなくて…」
ヨナはテジュンの手により綺麗になった村や村人の姿、そしてルイから聞いた率先して行動するテジュンの少し前とは違う姿に感銘を受けていた。そのヨナから吐露された心情にテジュンは顔を俯きながら、自分の醜い心を曝け出す。
「………ごめんなさい、違うんです。
本当は何度もここから逃げ出そうと…」
「…昔私、ハクを追って来たあなたは傷ついて死んでいく部下がいても顔色一つ変えずに笑っていたわ。
私はそれがとても嫌だった。
でも今のあなたは全然違う。」
ヨナは顔を上げたテジュンの頬を伝う涙をそっと指先で拭うと微笑んだ。
「今のあなたに会えて良かった。本当よ。」
その時、彼ら3人の頭上の天井の一角が開く。その穴からルイとハクが顔を覗かせた。
「もうそろそろいいかな…」
「姫さん、ユン。そろそろ行くぞ。」
「うん。」
「じゃあ、私達行くわね。」
ちゃっかりと抜け穴を作ったところから二人は縄を垂らした。その縄を伝ってユンがまず上り、ヨナもその後に続いた。
二人の姿が消えてようやく、テジュンはポツリと言葉を漏らした。
「…えっ、今告白された?」
「されてねーよ、阿呆。」
「あ、そうだ。たまには外の扉開けてやりなよ」
彼の言葉に対してわざと垂らした縄でハクは悪態を付きながらテジュンの頭を叩く。その後にルイは楽しげに笑いながら穴から顔を覗かせると扉の方を指差すのだった。そのルイの言葉通りテジュンは彼らが去った後に扉を開く。すると家の外には部下達が皆そこに座っていたのだった。扉が開きテジュンの姿が見えると部下たちは一斉に立ち上がる。
「おお、戸が開いた!」
「テジュン様!キルソンは!?どうなりました!!?」
「あいつ生きてますか!?」
テジュンに勢いままに詰め寄る部下の姿にテジュンは押されながらもキルソンの容態を伝えた。
「だ…大丈夫だ。2,3日内に回復する。」
「「「うおおおおぉぉお!!」」」
「よかった!」
「キルソン~」
「ありがとうございますありがとうございますっ!」
テジュンの声とともに部下の歓喜の声が沸き起こる。
「申し訳ありません。
今まで何も出来なくて…これからはちゃんと…ちゃんと…」
「あぁ、共に火の部族を…我々の同胞を守ろうぞ。」
兵士たちの声に口元をテジュンは緩めた。ようやく一つに纏まった部下達とともにテジュンはこの村のために尽力を注ぐのだった。