暗黒龍とゆかいな腹減り達
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「あぁ…でもよかった
ルイにこんなに早く会えるとは思わなかったから」
今後の計画について話し終えると、ヨナが満面の笑みをルイに向けて嬉しそうに笑った。そんな彼女にルイは首を傾げた。
「僕を探してたのかい??」
「そうよ!」
「ルイ!本当にそなたが巫女なのか!?」
ヨナの言葉に重ねるようにキジャが身を乗り出して尋ねる。そのキジャの言葉に今まで忘れていたのか、あぁ…と思い出したように声を上げた。
「…そういえばそう言われたな
すっかり忘れてたよ」
「忘れてたのかよ…」
「ルイらしいね」
「目の前のことで手が一杯だったんだよ」
ケロッと答えるルイにハクとジェハが苦笑いを浮かべた。そんな彼らにルイは愛想笑いを浮かべた。
「あれ?でもどうして僕が巫女ってわかったんだい?
僕が知ったのは君たちと別れた後だっていうのに…」
「ルイのペンダントさ」
不思議そうに尋ねるルイにジェハは自分の首元から預かったままのペンダントを取り出してみせた。
「それ??」
「どうやらこれは代々巫女の血を引くものが受け継いでいるものらしいんだ」
「へぇ〜そうなんだ…」
キョトンとしながらルイはそのペンダントを指差す。まさかずっと身につけていたペンダントの正体がそんなものだとは思わなかったからだ。ユンの説明にルイが相槌をする中、ハクが口を挟む。
「まぁ、巫女云々関わらずお前を探してたんだけどな??」
「どうしてだい??」
「タレ目が探したいって申し出てきたんだよ」
「え…うそ…」
「ホントだよ」
ハクの口から話された事実にルイは信じられないとジェハに視線を向けた。そんなルイの逃げ場をなくすようにジェハは真剣な眼差しを向けた。そしてまだ呑み込めていないルイの手を掴んだ。
「ちょっとあっちで話してくるね」
「いいけど手短に頼むよ!!
次の村に向けて出発しないと行けないんだからね!!」
ユンの言葉にジェハはわかっていると手をヒラヒラさせて応じるとアタフタしだすルイを連れて森の中に入るのだった。
*****
「ちょ!ちょっとジェハ!?」
「……」
「…やっぱり怒ってるよね」
ズンズンと無言で歩くジェハにルイは手を引かれながら恐る恐る尋ねた。その言葉にジェハはピクリと反応し足を止めると、ルイの身体を木の幹に押し当てた。
「当たり前だろ
僕に一言もなしに1人で勝手に出ていって…」
ジェハの強い口調にルイは何も言い返せずに後ろめたそうに視線を逸した。
「そんなに僕といたくなかったかい??」
「そっ…そんなんじゃ!!」
「じゃあなんで薬を盛ってまで僕から遠ざかろうとした??」
ウッとジェハの言葉にルイは喉を詰まらせた。いつもの飄々とした態度を一変させて今のジェハは悲痛な表情を浮かべて必死に自分に問いていたからだ。
「答えてよ!!ルイ!!」
切羽詰まった声をジェハは上げた。相当ジェハにとってあの出来事は精神的に参っていたのだ。
「ジェハをずっと縛りたくなかった…」
「へぇ??」
ポツリとルイが呟いた言葉にジェハは意味がわからないとキョトンとした顔を浮かべた。そんなジェハの顔を今度はしっかりとルイは見上げた。
「ずっとジェハの優しさに甘えていたから
これ以上迷惑かけたくなかった
船長の思いを知って、ジェハが取るだろう行動を読めた時に離れようって決めたんだ
でも、ジェハに一緒に行こうって言われたら断れる気がしなかった。だから決意が揺らぐ前に静かに阿波を出たの…」
正直にルイは想いを打ち明けた。そんな彼女の本当の想いを知り、ジェハは胸が締め付けられる想いで愛おしすぎるルイを優しく抱き寄せた。
「馬鹿だなぁ…」
ジェハは目を細めて呆れたように呟いた。本当に今腕の中にいる彼女は自分の想いなどこれっぽっちもわかっていない。迷惑なんて思ったこともないし、縛られているなんて感覚もこれっぽっちも思っていない。むしろルイの迷惑なんていつでも大歓迎だし、彼女になら全然縛られても構わないと思っている。それなのに彼女は自分の為を思って敢えて決別を選んだ。
「ホント、馬鹿だよルイは」
「さっきから馬鹿馬鹿馬鹿って酷くない??」
「馬鹿だよ
僕にとってルイが隣にいないほうが胸が引き裂かれる思いなのにさ」
侮辱されている気がしてルイは拗ねたように声を上げる。が、ジェハはそんな鈍感な彼女に言い聞かすように心情を吐露した。
「え??」
「まだわからないかい??
ルイが目に届く場所にいないと僕は不安で不安で堪らないんだよ」
切なそうに眉を下げるジェハに、ルイはこれは現実なのだろうかと瞬きを何度も繰り返した。
「一緒にいていいの??」
「もちろんさ」
戸惑いながら不安げにルイは震えた声を出す。そんな彼女の不安を吹き飛ばすようにジェハは柔らかく微笑むのだった。
「ルイ、一緒に行こう」
そしてジェハはあの時言えなかった言葉を口にする。その言葉にルイは応じるように嬉しそうにはにかんで頷くのだった。それを確認するとジェハは首元からずっと身につけていたペンダントを取り出してルイの首につけ直すと晴れやかに笑うのだった。
「まぁ誰がなんと言おうが
もうルイのこと僕は離す気はさらさらないけどね!」
ジェハは拍子抜けしてしまうほど明るい声で爆弾発言をかます。その言葉にルイは寒気を覚えたのは言うまでもなかった。