海上での決戦
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「ルイ!?
あれほど傍を離れるなって言ったのに!!」
甲板の上、シンアと共に戦っていたジェハは妙な胸騒ぎを感じて周囲を見渡した。が、ルイの姿はどこにも見当たらずジェハは呆れた声を漏らした。
「シンア!ジェハ!!
その船だ!その船のどこかにクムジはいるはずだ!!」
「任せて!!」
いつも冷静に判断するルイだが、この状況下では何をするかわからない。先走らないでくれと願いつつ、ユンの言葉にジェハは頷くと勢いよく駆け出していった。そしてそのままの勢いでジェハは階段下にいる奴らに飛び蹴りを喰らわして着地した。
「ジェハ!!
クムジはこの奥の隠し部屋にいるぜ!!」
ジェハの姿を確認したトクが梯子裏から顔を覗かせて奥の部屋を指さした。
「…なんだ、僕が一番乗りじゃなかったの?」
「それなんだけど…
さっき、ルイが通っていたのに一向に姿が見えないんだよ!
大丈夫かな…」
「なに?!?!」
ジェハはこの事実に不味いと急いで役人を2人倒して奥へ。そしてカモフラージュで付けられている地図を切り裂いた。
「クムジ覚悟!!」
が、そこはものけの殻。クムジも一足先に着いたと言ったルイの姿も見当たらなかった。真っ暗な部屋をジェハは見渡す。すると床に落ちているあるものが目に入り屈んだ。
「クソ!!ルイ!!」
ジェハはあるものを見つけると血相を変えてその場を後にした。そのジェハの手には薄紫色の紐が握られていた。
*****
その頃、クムジは燃え盛る船を横目にしながら優雅に海上を移動していた。その小船では武器を全て没収されて丸腰のルイが睨みを利かせていた。なんとか抜けだそうとルイは後ろ手に回された手を動かすが、頑丈に縛られてしまっていて縄抜けできなかった。
「なに傭兵などいくらでも雇える…
奴らを八つ裂きにする楽しみが増えただけのこと。
屋敷に戻って態勢を立て直す」
ほくそ笑んだクムジは見下すようにルイを見た。
「教えてやろう、小娘
心の権力者とはあらゆる汚い手段を使い、恥を恐れず、我が身を守る人間のことを言うのだ
このヤン・クムジが生きている限り戦は負けではない
海賊共は骨折り損のくたびれ儲けよ!!」
「尻尾撒いて逃げるの間違いじゃないの?」
「こざかしいわ!!」
負け犬の遠吠えのように聞こえたルイは口元に笑みを浮かべて挑発した。そんな彼女の挑発に神経を逆なでされたクムジは声を荒げて殴った。
「海賊無勢が調子に乗るなよ」
「その海賊相手に敗走しているのは貴方でしょ?
舐めないで!!」
ドスを利かせたクムジの声に怯むことも怯えることもせずにルイは吠える。
「フン!今のお前に何ができるというのだ?」
鼻で笑い飛ばすとクムジは睨みを利かすルイの顎を指で持ち上げた。ギラギラと光る翡翠色の瞳にクムジは顔を近づけて目を細めた。その品定めをするような厭らしい眼差しにルイは心底嫌な表情を浮かべた。
「…クッ」
「やはり、このまま殺してしまうのは惜しいな
どうだ?今、命乞いすれば俺の専属の女にしてやろう」
クムジは不敵な笑みを浮かべながらルイの濃紺の髪に手を触れる。厭らしい手つきにルイは不快感を感じた。
「ふ…ふざけんな!!
誰がアンタの女になるものか!」
「ククッ…
それは残念だ」
怒りに声が震えて叫ぶルイに、クムジは心底残念そうに手を離すのだった。
「だったら精々、人質としての役割を果たしてもらうか?」
クムジはそう言うとルイの鳩尾に拳を落とすのだった。