海上での決戦
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「あそこだ!」
「脱走者を捕えろ!!」
ユンとヨナの近くに傭兵が押し寄せる。それに気づいたジェハとルイだが、彼らの元に行くには距離がありすぎた。代わりにヨナとユンを助けるように現れたのはシンアだった。
「シンア!!来てくれたの!」
「雷獣が来るかと思ってた」
ヨナとユンは喜びと同時に驚きの声を上げる。その問いに傭兵を蹴散らしていたジェハが事情を説明した。
「ハクは重要な主戦力だからね。
跳べる僕と夜目がきくシンア君がこっちに来たんだ」
「なるほど…そういうことか」
ジェハの理がかなった簡潔な説明にルイは納得がいき相槌をうった。が、内心向こう側のサイドがどういう状況になっているかは気がかりではあった。それでも余裕ぶっこいていられる状況ではないので、ルイは目の前の敵を蹴散らすのに専念した。
「さぁーて、もう人暴れと行きましょうか?」
「頼むから無茶だけはしないでくれよ?」
闘志をメラメラと燃やし始めたルイと背中合わせになったジェハは呆れながら溜息をつくのだった。
着実に相手の戦力を半分以上落としていき、後落とす船は2隻。この戦いに勝利するためにはクムジを討たなければいけない。ルイは迫りかかってくる敵を蹴散らしながら周囲を注意深く観察する。用心深い性格のクムジのことだ。大事な商品を目のつくところに置いておくに違いない。だがこの船には乗っていなかった。ということは別の近くにある船だ。
「……なるほど、あそこか」
ルイは人知れず不敵な笑みを浮かべると目的の船に堂々と乗り込むのだった。
*****
「クムジ様っ!傭兵部隊第4隊まで壊滅です!」
海賊共も大半は動けないようですが、化け物のような奴らが次々と船を沈めて…商品も…」
とある船の一室。ここで役人が現在の情報を怯えながら報告していた。
「…何だ。」
「…商品の船も海賊により占拠されつつあります。」
「そうか…
小娘を売るどころか人質にすらできなかったということだな?
ギガンめ!!」
クムジは拳を握りしめて憤りを露わにした。そんなクムジの反応にビクビクしながらも役人は報告を続ける。
「詳しい事はわかりませんが、商品の中の誰かが海賊共を手引きしたらしく…
あっという間に襲撃を喰らったらしく…」
「商品の中…?」
クムジの脳裏で思い浮かんだのは、威圧感のある眼差しを一瞬だけ向けた赤髪の少女だった。
「こちらも傭兵を出しておりますがいくら出しても化け物共の強さはキリがなく…
持ちこたえているのはもはやこの船だけ…
クムジ様!!
商品の船への渡り梯子を外し、ここ…撤退したほうが!!」
「ちょっとそれは待ってもらおうか?」
「貴様!?!?」
「どーも!
商品の中に潜入していた者でーす」
クムジの言葉を遮るように現れたのはルイだった。暗器をクルクルと手で回しながら入ってきたルイは表情に笑みを浮かべながらも翡翠色の目は猛獣のようにギラついていた。
「お前が差し金か?やってくれたな?」
「アンタを倒すことだけをずっと考えてきた…」
クムジを射抜きながらルイは暗器の刃の先を向けた。阿波の街の惨状を目の当たりにしてからずっとこの日を待ち望んでいたのだ。怒りを押し殺した声を発したルイはジリっと足を前に踏み出し叫んだ。
「今、僕がアンタを討ち取って阿波の街を解放してやる!!覚悟!!」
「フン!威勢だけはいいようだが…
1人で来るとは無謀だな」
かかってきたルイをクムジは鼻で笑う。これから命を狙おうっていう相手を前にして怯える素振りを見せない傲慢な態度。神経を逆なでされた気分に陥ったルイは逆上して暗器を持つ部位に力を込めた。
「無謀かどうかは今証明してやるよ!」
部屋にいる役人をルイは蹴散らし吠えた。もう自身を鼓舞しないと動けないルイは歯を食いしばる。これ以上戦を長引かせるわけにはいかないと感情が先走っているルイの目にはクムジしか入っていなかった。
「…しまった!?」
ルイが背後に気配を感じ振り返ろうとする。が、その前にルイは左肩を弓矢で射抜かれた。先ほど出来た切り傷と同じ場所。ルイは左肩を押さえて床に倒れ込んだ。
「無様だな!
飛んで火に入る夏の虫…まさしくお前のことだな」
頭上で嘲笑うクムジをルイは苦痛に顔を歪めながら睨みつけた。本当に情けない。クムジの挑発にまんまと乗っかってしまい、敵を前に冷静に対処できなかった己自身が不甲斐なかった。そんなルイの髪をクムジは引っ張り上げると、薄紫色の紐を乱雑に解き投げ捨てた。
「丁度いいお前を楯に使ってやる」
企んだように口端をつりあげたクムジはルイの耳元に囁くと思い切り壁際に放り投げた。
「クムジ様!男を連れていくつもりですか!?」
そのクムジの言葉に、手下が戸惑いの声をあげた。そんな彼にクムジは冷めた目つきを向ける。
「何を言っておる。
コヤツは女だ
人質にするには十分な逸材だろ?」
そう言葉を溢したクムジは不気味な笑みを溢すのだった。
「脱走者を捕えろ!!」
ユンとヨナの近くに傭兵が押し寄せる。それに気づいたジェハとルイだが、彼らの元に行くには距離がありすぎた。代わりにヨナとユンを助けるように現れたのはシンアだった。
「シンア!!来てくれたの!」
「雷獣が来るかと思ってた」
ヨナとユンは喜びと同時に驚きの声を上げる。その問いに傭兵を蹴散らしていたジェハが事情を説明した。
「ハクは重要な主戦力だからね。
跳べる僕と夜目がきくシンア君がこっちに来たんだ」
「なるほど…そういうことか」
ジェハの理がかなった簡潔な説明にルイは納得がいき相槌をうった。が、内心向こう側のサイドがどういう状況になっているかは気がかりではあった。それでも余裕ぶっこいていられる状況ではないので、ルイは目の前の敵を蹴散らすのに専念した。
「さぁーて、もう人暴れと行きましょうか?」
「頼むから無茶だけはしないでくれよ?」
闘志をメラメラと燃やし始めたルイと背中合わせになったジェハは呆れながら溜息をつくのだった。
着実に相手の戦力を半分以上落としていき、後落とす船は2隻。この戦いに勝利するためにはクムジを討たなければいけない。ルイは迫りかかってくる敵を蹴散らしながら周囲を注意深く観察する。用心深い性格のクムジのことだ。大事な商品を目のつくところに置いておくに違いない。だがこの船には乗っていなかった。ということは別の近くにある船だ。
「……なるほど、あそこか」
ルイは人知れず不敵な笑みを浮かべると目的の船に堂々と乗り込むのだった。
*****
「クムジ様っ!傭兵部隊第4隊まで壊滅です!」
海賊共も大半は動けないようですが、化け物のような奴らが次々と船を沈めて…商品も…」
とある船の一室。ここで役人が現在の情報を怯えながら報告していた。
「…何だ。」
「…商品の船も海賊により占拠されつつあります。」
「そうか…
小娘を売るどころか人質にすらできなかったということだな?
ギガンめ!!」
クムジは拳を握りしめて憤りを露わにした。そんなクムジの反応にビクビクしながらも役人は報告を続ける。
「詳しい事はわかりませんが、商品の中の誰かが海賊共を手引きしたらしく…
あっという間に襲撃を喰らったらしく…」
「商品の中…?」
クムジの脳裏で思い浮かんだのは、威圧感のある眼差しを一瞬だけ向けた赤髪の少女だった。
「こちらも傭兵を出しておりますがいくら出しても化け物共の強さはキリがなく…
持ちこたえているのはもはやこの船だけ…
クムジ様!!
商品の船への渡り梯子を外し、ここ…撤退したほうが!!」
「ちょっとそれは待ってもらおうか?」
「貴様!?!?」
「どーも!
商品の中に潜入していた者でーす」
クムジの言葉を遮るように現れたのはルイだった。暗器をクルクルと手で回しながら入ってきたルイは表情に笑みを浮かべながらも翡翠色の目は猛獣のようにギラついていた。
「お前が差し金か?やってくれたな?」
「アンタを倒すことだけをずっと考えてきた…」
クムジを射抜きながらルイは暗器の刃の先を向けた。阿波の街の惨状を目の当たりにしてからずっとこの日を待ち望んでいたのだ。怒りを押し殺した声を発したルイはジリっと足を前に踏み出し叫んだ。
「今、僕がアンタを討ち取って阿波の街を解放してやる!!覚悟!!」
「フン!威勢だけはいいようだが…
1人で来るとは無謀だな」
かかってきたルイをクムジは鼻で笑う。これから命を狙おうっていう相手を前にして怯える素振りを見せない傲慢な態度。神経を逆なでされた気分に陥ったルイは逆上して暗器を持つ部位に力を込めた。
「無謀かどうかは今証明してやるよ!」
部屋にいる役人をルイは蹴散らし吠えた。もう自身を鼓舞しないと動けないルイは歯を食いしばる。これ以上戦を長引かせるわけにはいかないと感情が先走っているルイの目にはクムジしか入っていなかった。
「…しまった!?」
ルイが背後に気配を感じ振り返ろうとする。が、その前にルイは左肩を弓矢で射抜かれた。先ほど出来た切り傷と同じ場所。ルイは左肩を押さえて床に倒れ込んだ。
「無様だな!
飛んで火に入る夏の虫…まさしくお前のことだな」
頭上で嘲笑うクムジをルイは苦痛に顔を歪めながら睨みつけた。本当に情けない。クムジの挑発にまんまと乗っかってしまい、敵を前に冷静に対処できなかった己自身が不甲斐なかった。そんなルイの髪をクムジは引っ張り上げると、薄紫色の紐を乱雑に解き投げ捨てた。
「丁度いいお前を楯に使ってやる」
企んだように口端をつりあげたクムジはルイの耳元に囁くと思い切り壁際に放り投げた。
「クムジ様!男を連れていくつもりですか!?」
そのクムジの言葉に、手下が戸惑いの声をあげた。そんな彼にクムジは冷めた目つきを向ける。
「何を言っておる。
コヤツは女だ
人質にするには十分な逸材だろ?」
そう言葉を溢したクムジは不気味な笑みを溢すのだった。