海上での決戦
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「どこだ、コラァ!!」
「どこに仕掛けた!?」
「それらしきものはねーじゃねェか!」
一方で甲板に連れていかれたルイは床に倒れ込んでいた。ルイの艷やかな濃紺の髪は土埃でボサボサになり、服もボロボロ。そして一方的に殴り蹴り飛ばされたルイの周りの床には血が飛び散っていた。
彼らが狼煙を上げるためにも時間稼ぎをしなくては…
身体中が悲鳴を上げている。
それでもルイは翡翠色の瞳に秘める炎を消すことはしなかった。
「馬鹿だねぇ〜
こんなわかりやすいとこに僕が隠すわけないだろ?」
腹いせの暴力が止み、ルイは懸命に肺に酸素を供給しながら彼らを嘲笑う。そんなルイの態度が気に入らず役人がルイの腹を思い切り蹴り飛ばした。
「....グハッ!!」
ルイは血を吐き出すと痛みを逃がそうと背を丸めて咳き込んだ。そんなルイの前に一人の役人が屈み込んだ。そしてルイの顎に指をかけると持ち上げるのだった。
「吐く気にはなったか?」
「まさか?」
グッと顔を近づけられたルイは眉間に皺寄せながらも黙秘を貫く。1分、1秒、作戦の成功のために。
だが、ここである誤算が生まれてしまう。
「おい、あのバァさんが女がいる船に爆弾を仕掛ける指示を出すと思うか!?」
「確かにな…」
「それにコイツ2枚看板の空舞う海賊の相棒だろ?
そんな奴をわざわざ見殺しにするマネをすると思うか?」
疑惑を抱く役人が生まれてきたのだ。その誤算にルイは顔を青ざめる。
「やっぱり嘘か!!」
ルイの顎に指をかけていた役人が形相な表情を浮かべて吠えた。そして指という支えを失ったルイの頭は床に打ち付けられる。
「おい、感謝しろよ。切った首は丁重に海賊んとこ返してやるんだからな。アンタの首を差し出したらアイツラどんな表情をするだろうな?」
「特にお前の相棒の空舞う海賊は見物だな!!」
せせわらいながら剣を抜いた役人はその銀色に光る刃をルイの目の前にチラつかせた。この下衆汚い笑い声にルイは顔を顰める。
「僕のこと過大評価しすぎじゃない?」
「ふざけんなよ、お前のせいで沢山の奴がやられてんだよ!?」
あくまで自分は価値のない人間だと思わせようとするルイ。だが、役人はそんなわけがあるわけないだろうと即座に否定し、再び彼女の腹に蹴りを入れる。
「ハァ…ハァ…
僕を殺ったら爆薬の場所わからなくなるよ?」
「どうせハッタリだろ?」
「もう時間の無駄だ…
殺っちまおうぜ!」
目の前のルイを嘲笑いながら役人はルイの頭を思い切り踏みつける。この男の言葉をルイは痛みに必死に耐えるように目を閉じながら聞いていた。
不味ったかなぁ…
このまま死んだら皆悲しんじゃうなぁ…
死を覚悟したルイ。だが、それを阻むように一本の弓が放たれた。
「ルイから離れなさい。近づいた者は討つ。」
「なんだ、さっきの小娘か。そんなヘロヘロ矢で何をするって…」
からかうように笑う役人にヨナは弓を再び構えた。そのヨナの瞳には彼女が出したものとは思えないギラギラとしたものが宿っていて役人達はこの圧力に怖じ気つく。その隙にルイは叫んだ。
「ヨナ!!あの火に爆薬を!!」
「爆薬受け取って!!ヨナ」
ヨナは遅れて甲板に上がってきたユンが投げた爆薬を受け取ると手を伸ばして明かりの火に爆薬を近づける。これは不味いと察した役人がヨナを止めようとするがそれよりも先に爆薬に火がつき夜空に花火が打ち上がるのだった。