巫女
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その夜ヨナは、ゼノに突き付けられた言葉を考え込んでいた。
四龍を集めて自分は何をしたいのか?
確かに父親のイル王を殺して王座に君臨しているスウォンのことは憎い。でも、果たして今緋龍城に攻め入るべきなのだろうか…
「いい夜ですねぇ。」
「イクス…」
近くに流れる滝をぼんやりと眺めていたヨナの元にイクスがやってきた。そこにやってきたイクスはヨナの隣に腰かけた。
「…先程の事を考えておられるのですか?
でも…あなたの顔は迷いがないように思えます」
「私…
初めて城の外の人と話して、父上が禁じた武器を手にボロボロになるまで歩いたの。
聞こえてきたのは亡くなった父上と変わらない現状への恨みの声。
悔しかった、最も平和を愛する父上の国は幸せではなかったのだから。
知れば知る程私の力はあまりに弱かったから。
でも必死に手を伸ばしたら伸ばし返してくれた人がいた。
引き上げる力が足りなかったら後ろから手を貸してくれた人もいた。
私はこの国に守りたい人がたくさんできた。
阿波の領主クムジを討ったこと、後悔していません。」
ヨナは四龍を探す旅路であった出来事を思い起こしながら想いを口にした。城という籠の中で大切に育てられたヨナは初めて外に出ることで城の外の様々な惨状を知ったのだ。
「姫様…」
「阿波の闘いの後から…考えていたの。
高華国にはまだ…阿波のような町があるんじゃないかって…
だから私はこれから大地に立って高華国を見渡し、苦境に押しつぶされる人々を助けたい。
そしてこれは決して城の中ではできないことなの。」
ヨナは真っ直ぐな瞳でイクスを振り返った。まだ城に戻るわけにはいかない。亡き父に向けヨナは心の中で手を合わせた。禁じられた武器を国を守るためにこれからも手にとることを。
そのときヨナの脳裏にスウォンが言い残した言葉が蘇った。
今はまだ私にはやるべき事があるから
スウォンが阿波の街でヨナに言った決意を秘めた言葉。それを思い出したヨナは少し顔を俯かせ涙を流す目を前髪の陰に隠して言った。
「…イクス、あなたには見えていると思うから言うわ。
私、阿波でスウォンと会ったの。
憎いと思った…許せないと思った…なのに…剣を…抜けなかった…」
ヨナは未だに捨てられずにいるスウォンから贈られた簪を懐の中で握りしめる。
嗚咽交じりにヨナは紫紺の瞳から涙をポタポタと流す。
そんな彼女にイクスは柔らかく微笑んだ。
「…どんなに愚かで理解されずとも捨てられない情は確かにあります。
自らを許せず心の臓を止めようとしてもまた走り出す心に絶望する事もあるでしょう。
緋龍王も仰った、
“我は人間だ。人に憎まれ人に裏切られても人を愛さずにいられないのだ”
だからこそ僕は人が愛しいと思うんです。」
その時、ヨナは決意を固めた。
この国の惨状に目を背けることを決してしない。
父上が愛したこの国を人々を傷つけさせないためにも。
まだ未熟だけど、自分の力で救ってみせる。
そしてその道中でルイを見つけ出してみせると。
四龍を集めて自分は何をしたいのか?
確かに父親のイル王を殺して王座に君臨しているスウォンのことは憎い。でも、果たして今緋龍城に攻め入るべきなのだろうか…
「いい夜ですねぇ。」
「イクス…」
近くに流れる滝をぼんやりと眺めていたヨナの元にイクスがやってきた。そこにやってきたイクスはヨナの隣に腰かけた。
「…先程の事を考えておられるのですか?
でも…あなたの顔は迷いがないように思えます」
「私…
初めて城の外の人と話して、父上が禁じた武器を手にボロボロになるまで歩いたの。
聞こえてきたのは亡くなった父上と変わらない現状への恨みの声。
悔しかった、最も平和を愛する父上の国は幸せではなかったのだから。
知れば知る程私の力はあまりに弱かったから。
でも必死に手を伸ばしたら伸ばし返してくれた人がいた。
引き上げる力が足りなかったら後ろから手を貸してくれた人もいた。
私はこの国に守りたい人がたくさんできた。
阿波の領主クムジを討ったこと、後悔していません。」
ヨナは四龍を探す旅路であった出来事を思い起こしながら想いを口にした。城という籠の中で大切に育てられたヨナは初めて外に出ることで城の外の様々な惨状を知ったのだ。
「姫様…」
「阿波の闘いの後から…考えていたの。
高華国にはまだ…阿波のような町があるんじゃないかって…
だから私はこれから大地に立って高華国を見渡し、苦境に押しつぶされる人々を助けたい。
そしてこれは決して城の中ではできないことなの。」
ヨナは真っ直ぐな瞳でイクスを振り返った。まだ城に戻るわけにはいかない。亡き父に向けヨナは心の中で手を合わせた。禁じられた武器を国を守るためにこれからも手にとることを。
そのときヨナの脳裏にスウォンが言い残した言葉が蘇った。
今はまだ私にはやるべき事があるから
スウォンが阿波の街でヨナに言った決意を秘めた言葉。それを思い出したヨナは少し顔を俯かせ涙を流す目を前髪の陰に隠して言った。
「…イクス、あなたには見えていると思うから言うわ。
私、阿波でスウォンと会ったの。
憎いと思った…許せないと思った…なのに…剣を…抜けなかった…」
ヨナは未だに捨てられずにいるスウォンから贈られた簪を懐の中で握りしめる。
嗚咽交じりにヨナは紫紺の瞳から涙をポタポタと流す。
そんな彼女にイクスは柔らかく微笑んだ。
「…どんなに愚かで理解されずとも捨てられない情は確かにあります。
自らを許せず心の臓を止めようとしてもまた走り出す心に絶望する事もあるでしょう。
緋龍王も仰った、
“我は人間だ。人に憎まれ人に裏切られても人を愛さずにいられないのだ”
だからこそ僕は人が愛しいと思うんです。」
その時、ヨナは決意を固めた。
この国の惨状に目を背けることを決してしない。
父上が愛したこの国を人々を傷つけさせないためにも。
まだ未熟だけど、自分の力で救ってみせる。
そしてその道中でルイを見つけ出してみせると。