巫女
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「おお!小鹿だ。よく捕まえたね。」
「抱えて飛ぶのがちょっと大変だったけどね。」
「ジェハの脚って本当にすごいわ。」
旅の途中、ジェハが食料にと取ってきたのは一匹の小鹿だった。地面に横たえられた小鹿にユンとヨナが驚きの声を上げる。
「ついに天に召されたのかと思ったぜ、突然東の空へ飛んでったから。」
「まぁ、少年時代はこの力を駆使して高華国中を飛びまわっていたからね。」
ハクが皮肉を込めた言葉を吐くが、それに対してジェハは少しだけ寂しそうに呟いた。キジャはそんな彼の言葉に首を傾げる。
「そういえばそなた緑龍の里より逃げたそうだな。一体なぜだ?」
「なぜ?
両手両足鎖で繋がれたら君はそれを是として受け入れれるかい?」
ジェハはキジャの問に対して平然と疑問系で尋ね返す。その言葉にキジャは驚きの声を上げる。
「鎖!?」
「いたいけな美少年の僕を鎖で縛りつけ、その白くしなやかな身体は大人達の好奇の目にさらされ、僕は檻の中めくるめく凌辱の日々…」
「ちょっと美少年とかキャラかぶらないでよね。」
「えっえっええ??意味がわからない、緑龍の里!」
表情を変えることなく淡々と喋るものだから、キジャが顔を真っ青にして慌てだす。そんな彼の横ではハクとユンが怪訝な顔を浮かべていた。
「あまり信じるな
恐らく妄想が入ってるぞ」
ハクの冷静なツッコミに対してようやく落着きを取り戻したキジャにジェハがざっくばらんに説明する。
「代々生まれてくる緑龍はそうなる運命なんだよ」
「代々!?」
再び驚くキジャを尻目にハクが遠い目をしながら思ったことを口にする。
「まぁあれだろ?跳ばずにおれない性 なんだろ、緑龍ってヤツは。」
「ま、実はそうなんだよね!」
そのハクの指摘に対してジェハはあっけからんと答えた。
そんなやりくりが行われる中、振り向いたヨナがふと笑みを零しながら言った。
「でもジェハがこんなに速いなら黄龍がどこかにいてもすぐに追いかけて見つけられそうね。」
「ああ、そういえばあとは黄龍だけなんだっけ?
ここまで来たら黄龍の顔を拝むのも悪くないか。探してあげよう。」
「いや、その役目は私がっ」
ヨナの言葉を引き金にキジャとジェハが役割の取り合いを始め、シンアも巻き込まれてしまう。そんな3人に背を向けてユンは大きくため息をつくと放っておいて指示をだす。
「まー、焦らずいこう。俺ご飯の準備してくる。
雷獣、火おこしといて。」
「おー」
その言葉に従いハクは火おこしを、ヨナとユンは調理に必要なものを用意しジェハが獲ってきた小鹿を捌く始める。神妙な面持ちを浮かべながらゆっくりと刃を小鹿に入れていくヨナにユンが心配そうに声を掛ける。
「…ヨナ、さばくの平気になったの?」
「まだちょっと辛いけど…
城にいた頃は生き物の命を頂くということ…
何も感じていなかったの。
目をそらすということは、この子に命があることを無視することなんだわ。」
ヨナは小鹿に両手を合わせその命に感謝と祈りを捧げた。その時手を合わせて目を閉じ祈りを捧げるヨナの隣から大きなお腹の鳴る音がするのだった。場違いなほどの大きな腹の虫の声。ヨナが不思議に思い目を開け、隣を見る。するとそこには自分と同じように目を閉じて両手を合わせる黄色い髪の少年がいた。
「いやあ、娘さん。立派立派。
でも命あるもの、いつかは等しく天に還る。
娘さんは手ぇ合わせて感謝してんだ。こいつだって許してくれるさ。」
真っ当なことを言っているように見える少年、だが、言葉と裏腹ににんまりと笑っておりよだれを垂らしていた。そんな彼を見て怪訝な表情を浮かべながらユンが的確にツッコミを入れる。
「…よだれ垂れてるよ。腹鳴ってるよ。ていうか誰?」
「あ、気にしなくていいから。
ただの通りすがりだから。
よだれはいつも垂れ流しだから。」
「ふけよ!」
しかし、ユンのツッコミを気にせずその少年はヘラりと笑みを浮かべた。
「なんか美味そうなニオイがしたんで来ちゃった。」
「まだ生臭いニオイしかしてないよ。」
「えーっと…お腹すいてるの?」
「尋常じゃなく減ってるから。」
ヨナが恐る恐る尋ねるとその少年は無邪気な笑みを浮かべる。それを見てユンはこれ以上追及するのを諦めると仕方なく小鹿を捌くと櫛に刺してハクが起こした火で焼き始めるのだった。
「お、美味そう!」
「今日はもりもり食べていいよ。」
「嬉しいねェ。久々の肉だ。……ところで誰、あいつ?」
火を囲むように座るハクとユンとヨナ。久々の大層な食事にハクは口元を緩める。が、この輪の中にいる見知らぬ人物にハクは目を細めて、二人に問うように遠慮なく肉を笑顔で食べている少年を指さした。だが、その問いにユンとヨナは答えられることが出来ず首を捻った。
「あー、なんか浮浪者?俺もわかんない。」
「お腹すいてたみたいだから呼んだの。」
「ところでキジャ、黄龍について情報とかないの?どこに住んでるかとか特徴とかさ。」
美味しそうに肉を頬張る少年を横目にユンが、未だに少し離れた場所で取り込み中のキジャ、シンア、ジェハに尋ねる。が、返事が返ってこずユン達は黄龍に関しての妄想を膨らめ始める。
「建国神話によると“頑丈な体を持つ者”よね。」
「体が硬い鱗で出来てんのかな。」
「ごっつい大男とか?」
「ちょっとそこ、こっち来て食べなよ。」
だが、未だにコッチに来ない3人に痺れを切らしユンが3人を呼んだ。その声にようやく振り返った3人は神妙な面持ちを浮かべていた。
「…そなたどう思う…?」
「んー…かなり間違いなく。」
すり合わせるように事実を確かめ合うキジャとジェハの言葉にユンが不思議そうに尋ねる。それにジェハが戸惑いながらも口を開く。
「ん?何どしたの。」
「いや、なんていうかさ、さっきからそこで肉を食べてる子…
なんだけど…
黄龍…だと思うよ。」
ジェハの言葉にヨナ、ハク、ユンは目を丸くする。
一方で黄龍と呼ばれた少年はきょとんとしたまま肉を両手に持って顔を上げた。
「ん?呼んだ?
あれ、よく見ると白龍、青龍、緑龍までいる!
これはこれは皆さんおそろいで。」
そう言って少年は深々と頭を下げる。そんな彼の言葉を最初呑み込められず目を点にする一行。だが、数秒後に驚きに満ちた悲鳴を森に木霊させるのだった。
「抱えて飛ぶのがちょっと大変だったけどね。」
「ジェハの脚って本当にすごいわ。」
旅の途中、ジェハが食料にと取ってきたのは一匹の小鹿だった。地面に横たえられた小鹿にユンとヨナが驚きの声を上げる。
「ついに天に召されたのかと思ったぜ、突然東の空へ飛んでったから。」
「まぁ、少年時代はこの力を駆使して高華国中を飛びまわっていたからね。」
ハクが皮肉を込めた言葉を吐くが、それに対してジェハは少しだけ寂しそうに呟いた。キジャはそんな彼の言葉に首を傾げる。
「そういえばそなた緑龍の里より逃げたそうだな。一体なぜだ?」
「なぜ?
両手両足鎖で繋がれたら君はそれを是として受け入れれるかい?」
ジェハはキジャの問に対して平然と疑問系で尋ね返す。その言葉にキジャは驚きの声を上げる。
「鎖!?」
「いたいけな美少年の僕を鎖で縛りつけ、その白くしなやかな身体は大人達の好奇の目にさらされ、僕は檻の中めくるめく凌辱の日々…」
「ちょっと美少年とかキャラかぶらないでよね。」
「えっえっええ??意味がわからない、緑龍の里!」
表情を変えることなく淡々と喋るものだから、キジャが顔を真っ青にして慌てだす。そんな彼の横ではハクとユンが怪訝な顔を浮かべていた。
「あまり信じるな
恐らく妄想が入ってるぞ」
ハクの冷静なツッコミに対してようやく落着きを取り戻したキジャにジェハがざっくばらんに説明する。
「代々生まれてくる緑龍はそうなる運命なんだよ」
「代々!?」
再び驚くキジャを尻目にハクが遠い目をしながら思ったことを口にする。
「まぁあれだろ?跳ばずにおれない
「ま、実はそうなんだよね!」
そのハクの指摘に対してジェハはあっけからんと答えた。
そんなやりくりが行われる中、振り向いたヨナがふと笑みを零しながら言った。
「でもジェハがこんなに速いなら黄龍がどこかにいてもすぐに追いかけて見つけられそうね。」
「ああ、そういえばあとは黄龍だけなんだっけ?
ここまで来たら黄龍の顔を拝むのも悪くないか。探してあげよう。」
「いや、その役目は私がっ」
ヨナの言葉を引き金にキジャとジェハが役割の取り合いを始め、シンアも巻き込まれてしまう。そんな3人に背を向けてユンは大きくため息をつくと放っておいて指示をだす。
「まー、焦らずいこう。俺ご飯の準備してくる。
雷獣、火おこしといて。」
「おー」
その言葉に従いハクは火おこしを、ヨナとユンは調理に必要なものを用意しジェハが獲ってきた小鹿を捌く始める。神妙な面持ちを浮かべながらゆっくりと刃を小鹿に入れていくヨナにユンが心配そうに声を掛ける。
「…ヨナ、さばくの平気になったの?」
「まだちょっと辛いけど…
城にいた頃は生き物の命を頂くということ…
何も感じていなかったの。
目をそらすということは、この子に命があることを無視することなんだわ。」
ヨナは小鹿に両手を合わせその命に感謝と祈りを捧げた。その時手を合わせて目を閉じ祈りを捧げるヨナの隣から大きなお腹の鳴る音がするのだった。場違いなほどの大きな腹の虫の声。ヨナが不思議に思い目を開け、隣を見る。するとそこには自分と同じように目を閉じて両手を合わせる黄色い髪の少年がいた。
「いやあ、娘さん。立派立派。
でも命あるもの、いつかは等しく天に還る。
娘さんは手ぇ合わせて感謝してんだ。こいつだって許してくれるさ。」
真っ当なことを言っているように見える少年、だが、言葉と裏腹ににんまりと笑っておりよだれを垂らしていた。そんな彼を見て怪訝な表情を浮かべながらユンが的確にツッコミを入れる。
「…よだれ垂れてるよ。腹鳴ってるよ。ていうか誰?」
「あ、気にしなくていいから。
ただの通りすがりだから。
よだれはいつも垂れ流しだから。」
「ふけよ!」
しかし、ユンのツッコミを気にせずその少年はヘラりと笑みを浮かべた。
「なんか美味そうなニオイがしたんで来ちゃった。」
「まだ生臭いニオイしかしてないよ。」
「えーっと…お腹すいてるの?」
「尋常じゃなく減ってるから。」
ヨナが恐る恐る尋ねるとその少年は無邪気な笑みを浮かべる。それを見てユンはこれ以上追及するのを諦めると仕方なく小鹿を捌くと櫛に刺してハクが起こした火で焼き始めるのだった。
「お、美味そう!」
「今日はもりもり食べていいよ。」
「嬉しいねェ。久々の肉だ。……ところで誰、あいつ?」
火を囲むように座るハクとユンとヨナ。久々の大層な食事にハクは口元を緩める。が、この輪の中にいる見知らぬ人物にハクは目を細めて、二人に問うように遠慮なく肉を笑顔で食べている少年を指さした。だが、その問いにユンとヨナは答えられることが出来ず首を捻った。
「あー、なんか浮浪者?俺もわかんない。」
「お腹すいてたみたいだから呼んだの。」
「ところでキジャ、黄龍について情報とかないの?どこに住んでるかとか特徴とかさ。」
美味しそうに肉を頬張る少年を横目にユンが、未だに少し離れた場所で取り込み中のキジャ、シンア、ジェハに尋ねる。が、返事が返ってこずユン達は黄龍に関しての妄想を膨らめ始める。
「建国神話によると“頑丈な体を持つ者”よね。」
「体が硬い鱗で出来てんのかな。」
「ごっつい大男とか?」
「ちょっとそこ、こっち来て食べなよ。」
だが、未だにコッチに来ない3人に痺れを切らしユンが3人を呼んだ。その声にようやく振り返った3人は神妙な面持ちを浮かべていた。
「…そなたどう思う…?」
「んー…かなり間違いなく。」
すり合わせるように事実を確かめ合うキジャとジェハの言葉にユンが不思議そうに尋ねる。それにジェハが戸惑いながらも口を開く。
「ん?何どしたの。」
「いや、なんていうかさ、さっきからそこで肉を食べてる子…
なんだけど…
黄龍…だと思うよ。」
ジェハの言葉にヨナ、ハク、ユンは目を丸くする。
一方で黄龍と呼ばれた少年はきょとんとしたまま肉を両手に持って顔を上げた。
「ん?呼んだ?
あれ、よく見ると白龍、青龍、緑龍までいる!
これはこれは皆さんおそろいで。」
そう言って少年は深々と頭を下げる。そんな彼の言葉を最初呑み込められず目を点にする一行。だが、数秒後に驚きに満ちた悲鳴を森に木霊させるのだった。