阿波の海賊
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「あれ、君…」
「あんた、昨日の…」
翌日、街中でバッタリとジェハとハクは鉢合わせしていた。
「やあやあやあ、また会えるなんて運命だね。」
「あんた昨日の今日でよく来たな。」
満面の笑みを浮かべて近づいてくるジェハにハクは怪訝な表情を浮かべた。
「お互いさまだよ。
ねぇ、君ちょーっとつきあってくれないかな。」
「いや、俺は…」
ジェハのお誘いにこれ以上厄介ごとを抱え込むわけにはいかないハクは言い淀んだ。昨日買出しに来ていたハクなのだが結局何も買うことが出来ずに今日に持ち越されていたのだ。
「実は追われているんだ。」
「役人か?」
「んー、まぁそんなとこ。」
「大丈夫。君に害は及ばないから。」
そんなハクにもう一押しとジェハが彼に耳打ちする。そして躊躇するハクの背を押してある場所に誘導するのだった。
「コラ、昼間っから何だここは。
ってなんでおまえがいるんだよ!!」
ハクは思わず声を荒げた。連れてこられた先は花街のお店。ハクとジェハを取り囲むのはこのお店の女性店員。露出度が高い服を着た女性達はイケメンな客に言い寄るように擦り寄っていた。
その店に通され怪訝な表情を浮かべるハク。彼が見つけたのは左右に女性を引き連れて楽しんでいるように見えるルイだった。ルイもハクの存在に気づいたのかニッコリと笑みを浮かべて手を上げた。
「やぁ!昨日ぶりだね!」
ルイは腰を上げるとハク達がいるテーブルへと近づいて空き椅子を引っ張ってきて輪に加わった。
「逆に君はどうしてこんなところにいるんだい?」
「コイツに無理やり連れ込まれたんだよ」
「こーゆー所の方が隠れ易いんだ」
「今にもあのエロ役人が入って来そうだけどな」
ハクはルイの問い掛けに隣の人物を指さして睨みつける。睨みつけられたジェハはニッコリと笑みを浮かべながら答える。
「こういう所は興味ない?」
「ない訳じゃねーが。」
「じゃ、いいんじゃない?」
歯切れの悪いハクにルイは小さく笑いながら軽口を叩く。が、ハクはこのままここにいるわけにはいかないと立ち上がろうとする。そんな彼に嫌だと女性達が引き留めようと声を上げた。
「つーか今はこんな事をしてる場合じゃないんで」
「やだ、お兄さん。行かないで…」
「あ?」
「引き止められてるよ」
「あ…あのお兄さん、眼差しだけで女を殺せるわ」
「なに?そんなに鋭い眼差しなの?」
「え、僕にもやってみて」
女性の引き留めの声にルイとジェハがノッてくる。そんな彼らに鬱陶しそうにハクが声をあがる。
「何もしてねェよ。
ま、いい女だったら俺の里に山ほどいたからな。」
「何!?それはどこだい?」
「風 …
あ、いや。あんたこそ変わった服着てんな。
生まれはどこよ?」
ハクは故郷の里をいいかけグッと押し堪えた。そして両者の姿を上から下まで見るとハクは疑問を投げかけた。それにルイとジェハは目を左右に泳がせた。
「えっと...」
「え!?僕かい?僕は…」
互いに詮索されたくないものを抱えていると3人は黙り込んだ。その沈黙の時間を破るようにジェハが明るい声を出す。
「僕も彼もここ!ここの生まれだよ。
この服は戒帝国からの輸入品。」
「へぇ、戒帝国…」
「ここは港町だからね色んな物が手に入るんだよ」
疑いの眼差しを向けるハクにルイはジェハの言葉に乗っかるように説明を付け加えた。
「町といえば…この町何か妙だな。
一見普通だが町の奴ら、微妙に目が死んでる。」
ハクは”町”という言葉に反応を示す。この阿波の町に入ってからハクは違和感を感じていたのだ。そのハクの指摘にルイとジェハはピリピリとした空気を纏わせた。その空気にハクは顔を顰めた。
「何かあるのか?」
「…君はスルドイね。
阿波の港はここ一帯を仕切ってるヤン・クムジという男の力が強くてね。町の連中は皆奴に怯えてるんだ。」
「なんたって彼は国に内緒でヤバイ商売をしてるからね」
ジェハとルイはさきほどの表情が嘘のように真剣な険しい表情で話し始めた。その話にハクは喰い気味になる。
「ヤバイ?」
「人身売買だよ」
「主に女・子供をね。全く腐った奴らだ。」
眼光を光らせたルイとジェハはこの町で起こっている現状を吐き捨てるように口を開くのだった。
「この国は今奴隷すら禁じられてるってのにね。」
「王が代わったからね。これからはどうなるかわからない。人の自由を奪うというのはこの世で最も醜い行為だよ。
そういう奴らは腐って土に還って薔薇にでも生まれ変わればいいんだ。君もそう思わないかい?」
ジェハは同意を求めるようにハクに投げかけた。
「まあ、俺は人の護衛してる身だしな…」
「なんて不憫な…!」
「別に自分で決めた事だし」
「僕には理解出来ないな。
君達の護衛ならやってもいいんだけどね。」
ハクの言葉にジェハは飄々とした態度を一瞬だけ一変させたが、それを紛らわすように女性達に笑いかけるのだった。そのジェハの言葉に女性は黄色い声援を上げる。が、惑わされることなくハクは的確に核心をつくのだった。
「やけに自由にこだわるんだな。何か嫌な事でも?」
「僕はね…」
言いかけそうになるジェハの言葉を遮るように外から大きな叫び声が聞こえる。その聞き覚えがありすぎる声にハクは窓の下を覗き込む。そしてメンドクサイ奴に見つかってしまったと頭を抱え込むのだった。
「あーっ!!」
「ユン!姫さん!!
何でここに…や、これは違いますよ。こいつがムリヤリ…っていねェ!?」
弁解しようとハクは隣にいるはずの人物を指さす。が、そこに視線をやると既にそこは空席になっていた。叫び声を上げてガクリと肩を落とすハクの肩にルイは彼を憐れむようにそっと手を置くのだった。
「言ったろ?アイツは神出鬼没だって」
「あんた、昨日の…」
翌日、街中でバッタリとジェハとハクは鉢合わせしていた。
「やあやあやあ、また会えるなんて運命だね。」
「あんた昨日の今日でよく来たな。」
満面の笑みを浮かべて近づいてくるジェハにハクは怪訝な表情を浮かべた。
「お互いさまだよ。
ねぇ、君ちょーっとつきあってくれないかな。」
「いや、俺は…」
ジェハのお誘いにこれ以上厄介ごとを抱え込むわけにはいかないハクは言い淀んだ。昨日買出しに来ていたハクなのだが結局何も買うことが出来ずに今日に持ち越されていたのだ。
「実は追われているんだ。」
「役人か?」
「んー、まぁそんなとこ。」
「大丈夫。君に害は及ばないから。」
そんなハクにもう一押しとジェハが彼に耳打ちする。そして躊躇するハクの背を押してある場所に誘導するのだった。
「コラ、昼間っから何だここは。
ってなんでおまえがいるんだよ!!」
ハクは思わず声を荒げた。連れてこられた先は花街のお店。ハクとジェハを取り囲むのはこのお店の女性店員。露出度が高い服を着た女性達はイケメンな客に言い寄るように擦り寄っていた。
その店に通され怪訝な表情を浮かべるハク。彼が見つけたのは左右に女性を引き連れて楽しんでいるように見えるルイだった。ルイもハクの存在に気づいたのかニッコリと笑みを浮かべて手を上げた。
「やぁ!昨日ぶりだね!」
ルイは腰を上げるとハク達がいるテーブルへと近づいて空き椅子を引っ張ってきて輪に加わった。
「逆に君はどうしてこんなところにいるんだい?」
「コイツに無理やり連れ込まれたんだよ」
「こーゆー所の方が隠れ易いんだ」
「今にもあのエロ役人が入って来そうだけどな」
ハクはルイの問い掛けに隣の人物を指さして睨みつける。睨みつけられたジェハはニッコリと笑みを浮かべながら答える。
「こういう所は興味ない?」
「ない訳じゃねーが。」
「じゃ、いいんじゃない?」
歯切れの悪いハクにルイは小さく笑いながら軽口を叩く。が、ハクはこのままここにいるわけにはいかないと立ち上がろうとする。そんな彼に嫌だと女性達が引き留めようと声を上げた。
「つーか今はこんな事をしてる場合じゃないんで」
「やだ、お兄さん。行かないで…」
「あ?」
「引き止められてるよ」
「あ…あのお兄さん、眼差しだけで女を殺せるわ」
「なに?そんなに鋭い眼差しなの?」
「え、僕にもやってみて」
女性の引き留めの声にルイとジェハがノッてくる。そんな彼らに鬱陶しそうにハクが声をあがる。
「何もしてねェよ。
ま、いい女だったら俺の里に山ほどいたからな。」
「何!?それはどこだい?」
「
あ、いや。あんたこそ変わった服着てんな。
生まれはどこよ?」
ハクは故郷の里をいいかけグッと押し堪えた。そして両者の姿を上から下まで見るとハクは疑問を投げかけた。それにルイとジェハは目を左右に泳がせた。
「えっと...」
「え!?僕かい?僕は…」
互いに詮索されたくないものを抱えていると3人は黙り込んだ。その沈黙の時間を破るようにジェハが明るい声を出す。
「僕も彼もここ!ここの生まれだよ。
この服は戒帝国からの輸入品。」
「へぇ、戒帝国…」
「ここは港町だからね色んな物が手に入るんだよ」
疑いの眼差しを向けるハクにルイはジェハの言葉に乗っかるように説明を付け加えた。
「町といえば…この町何か妙だな。
一見普通だが町の奴ら、微妙に目が死んでる。」
ハクは”町”という言葉に反応を示す。この阿波の町に入ってからハクは違和感を感じていたのだ。そのハクの指摘にルイとジェハはピリピリとした空気を纏わせた。その空気にハクは顔を顰めた。
「何かあるのか?」
「…君はスルドイね。
阿波の港はここ一帯を仕切ってるヤン・クムジという男の力が強くてね。町の連中は皆奴に怯えてるんだ。」
「なんたって彼は国に内緒でヤバイ商売をしてるからね」
ジェハとルイはさきほどの表情が嘘のように真剣な険しい表情で話し始めた。その話にハクは喰い気味になる。
「ヤバイ?」
「人身売買だよ」
「主に女・子供をね。全く腐った奴らだ。」
眼光を光らせたルイとジェハはこの町で起こっている現状を吐き捨てるように口を開くのだった。
「この国は今奴隷すら禁じられてるってのにね。」
「王が代わったからね。これからはどうなるかわからない。人の自由を奪うというのはこの世で最も醜い行為だよ。
そういう奴らは腐って土に還って薔薇にでも生まれ変わればいいんだ。君もそう思わないかい?」
ジェハは同意を求めるようにハクに投げかけた。
「まあ、俺は人の護衛してる身だしな…」
「なんて不憫な…!」
「別に自分で決めた事だし」
「僕には理解出来ないな。
君達の護衛ならやってもいいんだけどね。」
ハクの言葉にジェハは飄々とした態度を一瞬だけ一変させたが、それを紛らわすように女性達に笑いかけるのだった。そのジェハの言葉に女性は黄色い声援を上げる。が、惑わされることなくハクは的確に核心をつくのだった。
「やけに自由にこだわるんだな。何か嫌な事でも?」
「僕はね…」
言いかけそうになるジェハの言葉を遮るように外から大きな叫び声が聞こえる。その聞き覚えがありすぎる声にハクは窓の下を覗き込む。そしてメンドクサイ奴に見つかってしまったと頭を抱え込むのだった。
「あーっ!!」
「ユン!姫さん!!
何でここに…や、これは違いますよ。こいつがムリヤリ…っていねェ!?」
弁解しようとハクは隣にいるはずの人物を指さす。が、そこに視線をやると既にそこは空席になっていた。叫び声を上げてガクリと肩を落とすハクの肩にルイは彼を憐れむようにそっと手を置くのだった。
「言ったろ?アイツは神出鬼没だって」