海上での決戦
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「いよいよ海賊共と決戦か」
「あれだけの傭兵がいあるんだ
この船までは来れんさ」
「楽な戦いだ…」
甲板に上がる最後の階段の前で佇んでいた2人は暇そうに会話をしていた。が、彼らの前に2人の女性が現れた。柱の影からそっと顔を覗かせた彼女達は小さく手を振ってみせたのだ。
「お、女だ!女が脱走したぞ!!」
「待て!!」
非常事態と気づいた彼らは捕まえようと走り出す。ユンとルイは彼らが追いかけて来るのを確認しながら目的の場所に誘導していく。そして目的の場所につくと二人は足を止めて振り向いた。
「馬鹿め!!行き止まりだ」
「観念しろ!!」
シメたと口角を上げる彼らに、ルイとユンは上手くいったと口元を緩めた。一方で彼らが来るのを待ち構えていたユリとヨナはタイミングを見計らって樽を繋いでいる縄を切るのだった。前方しか見ていなかった彼らは気づけず転がってくる大量の樽に押しつぶされるのだった。
「ちょっとの間眠ってて、おじさん。」
ユンは麻酔針で彼らを眠らそうとする。がタイミングが悪く突如大きな揺れがユンたちを襲うのだった。バランスを崩したユンは針を放つタイミングを失ってしまったのだ。その隙に1人が立ち上がりユリの背後に回り込み首元に刀を突きつけてしまうのだった。
「動くな。」
「ユリ…!」
ユリという人質を取られてしまいルイ達は身動きが取れなくなってしまった。
「阿波の女にしちゃあナメたマネしてくれたな。
脱走だけなら捕まえるだけで済んだが、今回は罰が必要だな。」
「待って!私達は大事な商品でしょ。
そんなもの振り回して勝手に傷つけたらクムジ様が…」
ユンが声を上げるが、彼は荒々しい声を出してユンの言葉を遮った。
「黙れ!!お前らは勝手に脱走した不良品だ!
阿波の人間が二度と逆らえないように見せしめに殺す!!」
「やめて、その人は関係ない!」
ヨナが悲痛な声を漏らす中、ルイとユンは冷静にこの状況を整理していた。自分たちの任務はこの船の位置を知らせる狼煙を打ち上げること。だったらここで睨み合っている時間はない。だが、この狼煙を打ち上がるには、持っているユンという存在と甲板に出る必要が発生する。
どうする…どうする…どうする!?
小刻みに肩を震わせるユンはギュッと目を瞑る。そんな彼の肩にルイはそっと手を置いた。
「ルイ??」
「ユン…後は任せたよ…」
ルイは耳元でそっと囁くと一歩前に踏み出し髪につけている薄紫色の紐を解いた。
「この3人は僕に脅されて協力しただけなんだ
本当に無関係だから許してやってくれないかな〜?」
「何?」
「まだ気づかないの?
僕のことをさ…」
不敵な笑みを浮かべたルイは、男装時のように髪を薄紫色の紐で結び直した。
「あぁ!!お前はあのクソババアの!!」
「この野郎…!潜入しやがって!
どうなるかわかってんだろうな!?」
彼らはルイのことを判別すると激情しルイを殴り蹴り飛ばした。作戦を成功させるには反撃しても避けても駄目だとルイはうめき声を必死に出さないように唇を噛み締めて苦痛に耐えていく。そしてルイは壁に突き飛ばされる。背中に走る激痛に顔を歪めながらズルズルとルイは壁に沿るように座り込んだ。ハァハァと肩で息をするルイの目の前では役人が拳を作り直していた。そんな彼にルイは手を上げて待ったをかけた。
「そう慌てないでよ
ちょっと話があるんだよねぇ〜
聞いてくれないかな?」
「あぁ!?」
「実はこの船の甲板に爆薬を仕掛けたんだよね…
後少しでその爆薬爆発するよ」
ルイの殺気を纏った眼光に彼らは狼狽えながらも反論する。
「う…嘘をつけ。甲板にそんなものなかった!」
「そりゃあ、誰にも見つからない場所に僕がひっそりと隠したからね
見つかりっこないさ
場所は僕だけが知っている…どうする??」
彼らを試すようにルイは挑発する。そんなルイは不敵な笑みを零していた。
信憑性がありかねないルイの態度に、彼らは顔を見合わせた。そして、ユリの首元に剣を突きつけていた男はユリを離すと倒れているルイに近づいていく。
「お前はその女達を部屋に戻せ
俺はこいつを甲板につれていく」
そういいながら剣を仕舞った男は縄を懐から取り出して、ルイが逃げられないように胴体に縄を何周かさせた後に後ろ手に縛っていく。
「まぁ爆薬があってもなくても
コイツの首をはねて海賊共に返すしてやるさ!」
「い…嫌!!」
「させるか!!」
その言葉を聞いたヨナとユンは表情を青ざめてルイの元へ行こうとする。が、それはもうひとりの男によって遮られてしまう。
「「ルイ!!」」
切羽詰まった彼らの声に、大人しく縛られていたルイは小さく目を開けて平気だと目配せをした。自分は平気だから、なすべきことをしてくれと思いを込めて。
「ほら!早くいけ!!」
無理やり立たされたルイは背後の男に連れられて甲板へ。その後ろ姿を追うようにヨナとユンは走り出そうとする。そんなヨナを残っていたもう一人の役人が押さえる。
「おっと、どこへ行く。お前らは部屋に戻っ…」
ヨナは彼の腕に噛み付いた。それに怒ったもう1人の男はヨナを投げ飛ばした。
「こっ、こいつ!!」
「…ッ!!ヨナ!!」
ヨナは自分の近くに倒れてきた弓矢を見て目の色を変えた。これがあればとヨナは咄嗟に弓を手に掴んで走り出した。それを見て追いかけようとする男にユンは麻酔針をユリは近くにあった棒を使って気絶させるのだった。