海上での決戦
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「全員出ろ。
騒いだら殺す。順番に進め。」
日が沈み、部屋の中から出された一行は全員目隠しをさせられて両手を後ろ手に縛られた。そのまま1列に並ばされた一行はそのまま輸送される船へと連行された。そして、船に乗り階段を降りたある一室に押し込められると整列させられ座らされた。
暫く経つと船が動き出す音が聞こえ始めたところでルイ達は行動を開始した。
「ユン…始めようか」
「アオ…」
ユンはルイの声に小さく頷くとアオの名を呼ぶ。するとユンの胸元からアオが顔を出した。アオはそのままユンの手を縛る縄を噛み切った。ルイはそのまま袖に隠し持っていた暗器を使って縄を切り、ヨナはユンにより縄を解いてもらった。
「じゃ…手はず通りに…」
ルイはユンとヨナに指示を出すと、他の女性達に耳打ちをしながら縄を解いていった。
「いい…行くよ…」
ルイの合図に持ち場に着いたユンとヨナは小さく頷く。それを確認したルイは天井にある扉を思い切り叩いてサッと梯子を降りて見えない位置に移動する。
「おい!何を騒いで…」
その音に扉口の床に座って欠伸を漏らしていた男が急いで扉を開けた。が、そこに映るのは目隠しをしながら大人しく座っている女達の姿だった。彼は不審に思いながらゆっくりと梯子を使って降りていく。
「おい!今騒いでいたやつは…」
梯子裏に息を顰めていたユンは降りてきた男に首に麻酔針を打ち込む。それでバランスを崩して地面に足をついた男の足にヨナは輪にした縄を引っ掛けた。だが、男はふらついただけですぐに体勢を立て直してしまった。
「うわっ…小娘…
どうやって縄を解いた!?」
役人は短刀を出してヨナに詰め寄って行く。その彼にゆっくりと音を立てずにルイが近づいた。
「ただですむと思ってるのか!?大人しく…」
男の言葉を遮るようにルイは彼の首に手刀を落とし気絶させた。
女性達は静かになったのを感じて目隠しを外す。
「し…死んだの?」
「いや、最初に打った麻酔針が効いて気絶しただけ。
これで半日は起きない」
「ユン、ナイス仕事」
「どーも」
上手くいった作戦にホッとしつつルイとユンは互いに顔を見合わせて口角をあげた。
「アンタ達本当に逃げ出すつもり!?」
そのときヨナが震えているのが女性の目に映った。
「あんた震えているの?
足も…怪我してるじゃない。
そんなんでよくあんな事できるわね…
よしてよ…私達を、巻き込まないで…」
彼女は小さく首を横に振って目を伏せた。そんな彼女たちにヨナは語りかける。
「…私、あなた達を助けに来たの。
この船の場所を仲間に教えるのが私達の仕事。
待ってて、必ず助けるから。」
ヨナは不安そうに見上げる彼女たちに柔らかく微笑んだ。
「そろそろ行くよ、二人共」
一刻の余談も許さない状況。早く行かないとと外の様子を警戒していたルイは梯子に足をかけた状態でユンとヨナを促した。それに頷いたヨナとユンは踵を返す。その時ヨナは足首の痛みに顔を歪ました。それに気づいた先程の黒髪の女性は昨日ヨナが言っていた言葉を思い返していた。
「ま…待って!!
外は役人がうようよいる。
私も手伝うわ。」
父が船大工で船の構造に詳しいから近道を教えられるはずだと彼女は答えた。それに3人は驚きの表情を浮かべた。だが、彼女の申し出はありがたいと3人は素直にお願いするのだった。
「ここから甲板に出るには奥の階段を登るしかないか…
船長が動き出して甲板の役人がそちらに気を取られてるスキに狼煙を上げよう」
近道を案内してもらいながらルイは小さくため息をついた。ここまでが逆に順調すぎる。ルイは緩みそうな気を引き締め直した。
「そういえばあんた大丈夫なの?えーっと…」
ユンは同行してくれている女性を気にして声をかける。が、そういえば名前を聞いていなかったと愛想笑いを浮かべた。呼び止められた彼女は自分の名を名乗った。
「ユリよ
だってあんた達みたいな危なかったしい子供だけで役人を相手にするなんて…
でも、彼女は随分手慣れているみたいだから心配いらなかったかしら?」
「そんなことないよ
ユリが居たからここまで順調に来れたんだから」
ルイは柔らかく微笑むと自分の名を名乗る。それに続くようにユンとヨナも己の名を名乗っていくのだった。
「私はユン。足引っぱらないでよね」
「私…えっとリナ」
一方でその頃海の状況も動き出す。ギガンの合図によって戦闘が始まったのだ。その騒がしい音はこちらの耳にも入ってきた。その音にルイは口角をあげた。
「どうやら始まったみたい…」
「後は狼煙を上げれば…」
ユンの言葉にルイは小さく頷くと、行くよと先陣を切って歩き出すのだった。