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南戒

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「みんな体調はどう?」

「大分いいよ、カルガン君の薬のお陰だね。」

「しかし薬のせいもあるが、高華国に戻って来たら本当に体調が良くなった気がするな。」

「熱は引いたけど傷は治ってないんだ。
もう少し寝てなよ。特にキジャとルイ。」

南戒を後にし高華国に戻った一行は療養の日々を送っていた。ユンは皆の具合を確認しながら、キジャとルイに対して鋭い視線を送る。その視線にルイは困ったように苦笑して見せた。高国華に戻る最中、1人での身勝手な行動に対してユンとヨナからお灸をすえられていたのだ。

「しかし酷い闘いだった…
惜しむらくは…シンア君が面を外したのに眼を見れなかった事だね。」

「本当そこに命懸けてるよね。」

ボソッと呟いたジェハは憂いていた表情を一変。残念そうにシンアへと視線を向けた。そんな相変わらずな彼の様子にユンはげんなりとした表情を浮かべた。

「よさぬか、シンアが困っておる。」

「だってシンア君の眼はこの世のものとは思えぬ美しさなんだろ?」

「…そんなんじゃ…ない…」

「そんなんじゃないかどうかは確かめてみないとね。」

すたっと立ち上がったジェハはシンアへと歩を進める。そんな彼の取る行動がわかったシンアは取られないように面を押さえて彼との距離を取ろうと逃げる。そんなシンアを哀れに思ったキジャがジェハを制止させようとする。
そのいつもと変わらない何気ない日常の1コマを垣間見て、嬉しそうな声が飛ぶ。

「お前ら元気だなーあんなに怪我したのにな。やー、結構結構。」

その主はゼノ。新しい服を着たゼノは普段と変わらない屈託のない笑みを浮かべている。そんな彼を一同はジッと見つめる中、ジェハが動く。すっとゼノの近くに行き、腰を下ろすとゼノの袖を捲ったのだ。

「なんだぁ?」

「一番怪我したのは君だよ。」

「傷も鱗もない…」

「時が経つと普通の身体に戻るから。」

「本当に…死なないの?」

「死なないから。」

「…あのさ、ゼノって何歳なの?」

「17歳」

ゼノの身体を確認したユンが矢継ぎ早に質問を投げかける。それに平然と答えていくゼノ。だが、最後の返答に関してはルイを除く一同が彼に対して詰め寄った。

「嘘つけ」

「何百年でも闘えると申したではないか」

「いくつサバ読んでるんだい?」

「えー…歳とか覚えてないから。数えるのもめんどくさいから。」

「つまりそれ程長く生きていると…
ゼノ、そなたは初代…なのか…?」

キジャはそっと静かに彼に問いかける。その問いに対して、一同をゆっくりと見渡したゼノは崩した体勢を戻し、背筋をピンとさせる。そして彼は真っ直ぐヨナを見据えながら凛とした声で問いに答えた。

「そだよ。俺は緋龍王に仕えていた始まりの龍、黄龍ゼノ。」

「神話の時代からの…龍…龍神から血を賜ったという…?」

その答えに小さく息を呑んだヨナは驚きながら彼を見る。それに対してゼノは呆気からんと答えた。

「そんな事もあったっけな。
昔は俺も少し神様の声が聞けるくらいのただの小僧だったんだけど。」

「神の声が?」

「そ。ボウズのとこの神官兄ちゃんと一緒。
あと…ノアも…」

身を乗り出したユンの問いにゼノは彼に視線を向けて答え、そして付け足すかのようにある者の名を口にした。その時、向いていたのはルイの方。その名がゼノの口から出てくるとは思わなかったルイはこの話題になって初めて反応を示した。俯いていた身体がムクッと起き上がり、翡翠色の瞳が大きく見開かれる。だが、そのルイの様子に気づいたのは、語り掛けるようにその者の名を紡いだゼノだけだった。

「ずっと…昔からその姿のままなの…?」

「龍の血を飲んだ時からな。
不死の体を持つ者、それが黄龍だ。」

「そなた里は…?里はとっくに出たと申していたな?」

「とっくに出たよ、生まれた里はな。」

「…」

「でももうそこには昔の面影はねェし、白龍の里みたいな里の事言ってんならそんなもんはねェよ。」

「なら…ずっと独りで…?」

「あー…ゼノね、結婚してた時もあった。」

何気なくもたらされた事実。そのゼノの一声に場はざわつき始めた。

「え…」

「けっこ…」

「結婚…」

「長い人生結婚する事くらいあるから」

「そう…だね」

「でも里はないから」

にこやかに答えていたゼノ。だが、その表情は消え、彼は遠い目をしながら思い起こすように話し始めた。

「こんな体だからな、色んなとこ巡って転々としてた。
たくさんの人々が龍達が生まれて死んだ。愚帝も賢帝も見て来た。
その中で緋龍王の生まれ変わりが現れるのを…娘さんが現れるのを待ってたんだ。」

「私…が?緋龍王の生まれ変わり…?」

「…そうであろう?やはり!
ではなぜ姫様が四龍を求めていた時すぐに現れなかった?」

身を乗り出す勢いでキジャは追求する。そのキジャの言葉にゼノは静かに答えた。

「悪い言い方だけど試してた、四龍の能力を使うに値する人物かどうかを。
娘さんが城を追われて白龍の里へ行き、青龍の里や阿波で危ない目に遭ってたのも見てた。
そして阿波を出る時、この娘さんなら大丈夫って思って会いに行ったんだ。」

「緋龍王の生まれ変わりって…私なんの力も持ってないわ。」

「緋龍王もただの人間だったよ。
別に娘さんが緋龍王の人生を辿る必要はない。
ただ俺が娘さんについて行こうと思っただけ。
…さっ、もー質問はないかな?いいかな?じゃ終わり終わり。」

一方的に話題を切り上げたゼノは普段の笑みをこぼしながらゆっくりと立ち上がる。そして普段のテンションに戻るゼノ。だが、そんなゼノにユンが待ったをかけた。

「ごはんにしよ、ごはん。」

「ちょっと待った。それだけ?
今まで生きて来てヨナに会って何か伝える事とかないの?」

「…何か…ありましたっけ?」

「ボケたの?」

惚けるかのように首を捻るゼノにユンはたまらずツッコミを入れる。その中、黙って聞いてたハクが口を開く。

「何で今まで黙ってた?」

「知らせたってどって事ない話だし、ゼノは大怪我しないと能力発動しないし。
まぁ、姉ちゃんにはバレちゃったからホントのことを教えたけど…」

大きく伸びをしながらゼノは答える。が、何気なく答えたゼノの一声は再び場をざわつかせた。

「え?」

ルイ、知ってたの?」

「ん?うん、知ってたよ」

ゼノに向けられていた視線が一気にルイへと集まる。その視線の集まり方に驚きながらもルイは、何食わぬ顔で答えた。そんな彼女に一同は遠い目をする。

「なんでわかったの?」

「風が教えてくれたから」

「わぁ〜、ルイの能力便利ー」

「ゼノ君が結婚ね…」

「どこ見てる?」

棒読みでユンが答えるその傍らでは、空を仰ぎ見るジェハ。最年少だと思っていた彼が結婚をしていたという衝撃的な事実を未だに飲み込めない状態だったのだ。そんな彼に見習って不思議そうにゼノは空を見上げるのだった。
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