爆発する感情
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「出発しましょ」
翌朝、宿を出た一行は三番地の
その時、シンアは黄金色の瞳である不審な物を目撃してしまう。そして、ルイも遙か遠く、海の向こうから何か不穏な影がヒシヒシと近寄ってきているのを感じ取っていた。
ハッとして両者は顔を見合わせた。
まさか...
ルイの脳裏で断片的な欠片と欠片がピースのように繋がっていく。
「……任せていい?」
「うん…」
小さく頷いたシンアは急いで海へと駆け出した。
「どうした
おい、シンア!」
「どうしたの?」
「先に行け
追いかける」
「ゼノも見てくるー」
真反対の方向に一言もなく駆け出したシンアをハクは呼ぶ。が、足を止めない彼を見かねてハクと続くようにゼノが後を追った。
「...ルイ、一体...」
「ジェハ……」
飛び出した彼らに困惑しながらジェハはルイを見る。すると、ルイは考え込むように難しい表情を浮かべていた。そして、彼の声に顔を上げたルイは固い表情のままボソッと彼だけに聞こるように言葉を呟くのだった。
「もしかしたらヒヨウがとんでもないものを呼んだかもしれない」
ルイが言う”とんでもないもの”
シンアが向かった先に広がるのは”海”
ピースをはめていったジェハは一つの結論に達し、息を呑んだ。
「…まさか!?」
「あくまで可能性の一つ
これが当たってないといいんだけど…」
そう言うとルイは伏せていた目を上げて、確かめに行ったシンアが駆けていった方向に視線を流すのだった。
「どうした
海に何かあるのか?」
シンアを追いかけていったハクは足を止めたシンアの横に立つ。シンアに導かれるままに着いたのは波止場。シンアはジッと海の向こうの水平線を見つめていた。
「…船が来る」
「船?」
「海の…
向こうからたくさん…
たくさんの船が…
こっちに向かってる」
シンアが捉えたのは数隻の船ではない。遥か向こうからゆっくりと近づいてくる大群の船だった。
*****
うーん…
一方リリもスウォン達と共に三番地の
「この辺だと思うんだけど」
「店も人も見当たりませんね」
キョロキョロと辺りを見渡すリリ。だが、リリは無意識のうちに風に靡く赤髪を探していた。
「あああ、あの子来るかしら
怪我してるし、麻薬中毒者に狙われてるし無理かも」
「少なくとも昨日の緑の人とルイさんは来ると思いますよ」
”ルイ”
聞き覚えのある名前にリリは驚きでピタッと足を止めた。
「ウォン、貴方…ルイのこと知ってるの?」
「えぇ…
ちょっと別の場所でお会いしたことがありまして…」
まさか深堀りされると思わなかったスウォンはキョトンとするものの、クスッと目を細めて笑ってみせた。そんな彼を訝しげに見上げていたリリは視線を前に戻し、ふぅーんと言葉を漏らした。商人と旅芸人だ。どこかで出会っていても不思議じゃないと思ったのだ。それよりも今のリリはヨナのことが気がかりだった。
「あの子そんなに力があるわけじゃないのに頑張りすぎちゃうから…」
「リリ様と同じ年頃の女性でしたよね」
「そう、赤い髪でねヨナっていうの」
ふと話の流れで尋ねたスウォン。だが、リリの口から出てきた思いもしない名前に言葉を失った。そんな彼の様子に隣を歩いていたリリは気づくことができなかった。
「あ…来た…!!」
固まってしまったスウォンを気づけずリリは、視界に入ったヨナ達に気づき駆け寄った。突如出現したリリの姿にヨナ達一行は目を見張った。
「リリ!
どうしたの、こんな所で」
「決まってるでしょ
ヒヨウをぶん殴りに来たのよ!」
「ええっ、アユラとテトラは?」
「大丈夫よ、用心棒を雇ったから
ほらあそこに…」
心配になる彼らを他所にあっけからんとリリは答えるとヨナたちに紹介しようと視線をある方向に向けた。その視線の先へヨナは興味津々な眼差しを向ける。しかし、その先にいたある人物の姿にヨナの顔からは血の気が失せた。
「えっ、用心…棒…」
それはスウォンも同じ。彼ら2人は思いもしない再会に己の目を疑った。
「リリ…この人達…は…?」
「あ、紹介するわね
私の用心棒のウォン、ジュド、ムアとギョク」
「ウォン、こっちが私の…
と、友…知り合いのヨナとゆかいな旅芸人よ
ウォンは商売をしにこの地に来たんだけど、私が暴漢に襲われそうになってた所を助けてくれたの」
対してヨナとスウォンの表情の変化に気づけずリリは互いのことを紹介していく。が、互いに紹介されたのにも関わらず挨拶を交わすことなく沈黙という膠着状態が続いた。その最中、気を利かせたジェハが口火を切った。
「あれ、君…昨夜会ったよね?」
「知り合い?」
その言葉に事情を把握していないユンが不思議そうに彼を見上げた。そのユンにジェハは横目を流して答えると、隣で固まったままのルイの肩を軽く叩いた。
「昨夜宿でちょっとね
ねぇ?ルイ」
「……うん
リリちゃんの用心棒をしていらしたのですね」
難しい表情で考え込んでいたルイは、ジェハに諭される形でハッと正気に戻ると、平然を装いつつ重たい口を開いてスウォンを見るのだった。
「ね、目立つ連中でしょ
…ウォン?」
「えっ、あ、そうですね
はい…」
スウォンを見上げたリリは、反応が悪い彼を不思議そうに眺めた。そのリリの呼びかけにようやく応じたスウォンはハッと正気を戻して返事を返した。リリは歯切れが悪いスウォンを不思議に思いながらもヨナに問いを投げかけた。
「ねぇ、あんた達はヒヨウの居場所わかった?」
「それがまだ
「そうなの…」
何かわかるかもしれないと思ったリリは肩を落としてしまった。そしてリリが口を噤んだことにより沈黙の時間が場に流れ出すのだった。