狙われた赤髪の少女
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「あれから一日…刺客が来なくなったね」
散々暴れに暴れまわったその日の夕暮れ時。その時には差し向かれた追っ手は数時間前の出来事が嘘のようにピタッと止まっていた。その事態が動かない展開に一同は小さく息をついた。
「肝心のヒヨウは隠れたままか」
「困るなあ〜」
「ホントだね
刺客は頑なにヒヨウの居場所を吐かないし」
誘き出したかったヒヨウは現れない
彼の場所を尋ねても誰も居場所を吐かない
踏んだり蹴ったりの状態に一同は困り果てた。だが、ここで頭を抱えていても仕方がない、頭を切り替えたユンは前方を歩くヨナに声をかけた。
「ヨナ、体調はどう?」
「大丈夫」
「じゃないだろ」
すかさず答えるヨナに対して、隣を歩いていたハクがピタッと足を止めると彼女の顔を呆れたように覗き込んだ。
「無理して動いて雨に打たれて良くなる訳ないでしょーが
そんぐらいわかります」
「むう…」
ハクの指摘に言い返せずヨナは頬を膨らました。
「じゃあ今夜は宿を取ろう」
「いいね、それ賛成」
「えっ、いいわよ外で」
そのやり取りを聞いていたユンがある案を提示する。その案にすかさずルイが乗った。だが、金欠の状態でわざわざ宿をとるわけにはいかないとヨナが声を上げる。そんな彼女を宥めるようにジェハとルイが声をかけた。
「ヨナちゃん、疲れたままじゃ次の闘いで動けないよ」
「そうそう
ここは素直に甘えなさい」
「…うん」
その2人の言葉に、ヨナは困ったように眉を顰めながらも小さく頷くのだった。
*****
「えっ、満室?」
「申し訳ありません
先程いらっしゃったお客様で丁度満室になってしまいまして」
「なんだ…小さくて一番安そうな宿だったのにな」
ガクッと肩を落とすユン。そんな彼の肩をハクは軽く叩いた。そして振り向いたユンに手に持っていたこの宿の料金表を見せた。
「値段見るとそんなに安くもねぇーぞ」
「げ!ホントだ!」
「仕方ないわ、ユン
行きましょ」
仕方ないと踵を返した一行。だが、その中で何故か2人、足を止めて険しい表情を浮かべていた。
「…ジェハ」
「言われなくてもわかってる」
わざわざ言葉にしなくてもわかりあえる2人は表情を崩さないまま、互いに頷いてみせた。それを確認するとルイはたまたま近くにいたゼノの裾を引っ張った。
「ん?どーした?」
「ちょっと私達、野暮用で抜けるね
ヨナにすぐ戻るって伝えといて」
最初はキョトンとしていたゼノだが、険しい面持ちで耳元に誰にも聞こえないように囁くルイの姿で察したのか小さく笑ってみせた。
「わかった!
2人とも無茶すんなよ」
「頼んだよ、ゼノ君」
そして、一旦外に出た2人はピタッと足を止めると踵を返して再び宿へと足を踏み入れた。
先程出ていった客がすぐに戻ってきた。流石に彼らの顔を覚えていた男が不思議そうに尋ねてきた。
「おやおや?
さっきの方じゃないですか?
どうされました?」
「ちょっとココに忘れ物をしてしまいまして」
「え!?そりゃあ大変だ!
一体何をお忘れに?」
「さっき見かけた”悪い物”を回収するのを忘れてね」
ルイの一言に芝居がかった声を上げて大げさに反応をした。その男の返しに、ジェハがほんわか口角を上げて忘れ物の正体を打ち明けた。その意味深なセリフに男の瞳孔を揺れた。
「”悪いもの”…ですか??
はて?一体なんのことですか?」
「しらばっくれるおつもりですか?」
「ご主人が一番良くわかっていますよね?
だって仕入れているのはご主人でしょ?」
その些細な反応を逃すことなく、ニッコリと黒い笑みを浮かべた2人は問い詰めにかかった。その2人に只者でないと察した男は顔を青褪めた。
「わたくしはなにも…」
「悪いけど強硬手段を取らせてもらうよ」
「ぎゃぁぁぁ!!」
後ずさりしようとする男に素早く詰め寄ったジェハは彼の腕を捻り上げた。そして、呻き声を上げる男をお構いなしに傍にあった机上に勢いよく押さえつけた。
「さてと…」
一部始終を黙りと見守っていたルイがゆったりとした動きであるき出し、男の背後にある棚へと歩を進めた。そして置かれている一つの瓶に手をのばす。そのルイの行動に男は過敏に反応を示した。
「おいっ!!
お前ら盗人か!?酒瓶に触れんな!」
「…悪いけど、ココにある
ふざけんなと声を荒げ身じろぐ男。そんな男を見下ろしたルイは彼の目の前で手にとった瓶を無情にも落とすのだった。