狙われた赤髪の少女
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ポツ、ポツ、ポツ
頬に当たる冷たい雨粒。その冷たさに顔を上げたルイは知らず知らずのうちに空が曇天模様になっていたのに気づいた。そんな彼女の頭上で深い溜息が吐かれた。それとともにバサッと白い物が落とされた。
「…!!」
「何ボーッとしてんだ
サッサとそれ着ろ」
モゾモゾと頭に被さった物を手で掴んだルイは恨めしそうに顔を覗かせて睨みあげた。
「ボーッとしてないし」
「してただろ」
「ただ雨だって空を見上げてただけよ」
「それをボーッとって言うんだろうが」
ヤレヤレと肩を竦めたハクは痺れを切らすと強引に彼女の手にある外套を奪い取り彼女の肩に羽織らせた。
「いいからサッサと着ろ
風邪引くぞ」
納得行かないと不満そうなルイの髪を乱雑に掻き回したハクは小さく笑うと歩き始める。
最初は最前列にいたはずなのに、知らないうちに皆の後ろ姿が見える最後尾にいる。そして、皆いつの間にか外套を身に纏っていた。確かにハクの言う通り、ボーッとしていたのかもしれない。
深く息を吐き出すとルイは急いで外套の袖に腕を通し、フードを被ると、皆の後を追うのだった。
*****
「やっと着いたね」
「辛気臭ぇ街だな」
「四泉よりもココは根深そうだね」
「おい、白蛇
気配はどっちだ?」
「…アッチだ」
「「あっち!?!?」」
「宿街じゃないんだよね
もしかして、なんか不測の事態があったのか…」
キジャが指差した方は緑生い茂る木々の中。それにユンとハクは予想外の居場所に目を瞬かせる。だが、キジャの言った言葉は正しいらしく他の皆も神妙な面持ちを浮かべていた。その中、何か感じたのか目つきを変えたルイが言葉を途中で噤むと勢いよく駆け出してしまった。その後を追うようにシンアが背負った剣を抜き、続く。
「えっ…ちょ!!ルイ!?シンア!?」
「たく…何を見つけたんだ、アイツラ」
「小言言ってないで、行くぞ!」
置いてけぼりにされたキジャ達も、困惑しながらも2人の後を慌てて追いかけた。
ある一点へ向け誰よりも先に駆け出したルイの視線のその先には、1人の女性に襲いかかる男がいた。ルイは駆ける勢いのまま宙へと跳び上がると、男目掛けて右足を振り落とした。
フワリと外套からはみ出ている濃紺色の髪が揺らぐ。その前方でムクッと起き上がろうとする男目掛けて剣が振り下ろされた。それがわかっていたルイは無意識で口角を上げていた。
*****
「あ…あの!
助けていただきありがとうございました!」
「いえ!無事で何よりです」
ガバっと頭を下げた女性にルイは柔らかく微笑んだ。そんな彼らに遅れて走ってきたユン達が合流する。
「どーしたの!!」
「なにがあった!?」
「お主ら無事か!」
「なに??イケメン揃い!!」
微笑んだルイに見惚れていた女性は、駆け寄ってきた一同を見ると驚きのあまり口元を押さえて目を輝かせた。
そんな彼女にルイは向き直り経緯を尋ねる。そらに彼女は小さく頷いた。
「さっき何が起こったか話せる?」
「はい
実は、突然腕を思い切り掴まれて…
“赤い髪じゃない”
”とりあえず連れて行け”
って、連れて行かれそうに…」
その言葉に一同はハッと息を呑んだ。
「…不味いな」
「早く合流しよ!」
「コッチだ!!」
血相を変えて一同は踵を返し走り出す。それに呆気にとられる女性にルイは困ったように小さく笑った。
「慌ただしくてゴメンね
諸事情があって送り届けられないけど気をつけて帰るんだよ」
そう言い残すと後ろ髪引かれながらもルイは彼女に背を向けて彼らの後を追った。
先頭を走っていたキジャ達は、ピタッと足を止める。そこは街の繁華街を外れた郊外。ポツンと雨宿りできそうな小屋が建っていた。
「…ココか」
「…開けるぞ」
キジャが扉に手を当てる。その彼の言葉に一同は小さく頷いた。それを確認したキジャは扉を押し上けるのだった。