狙われた赤髪の少女
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仙水に向けて山道を歩く一行。その中途、ルイとシンアはチラチラと不安げにヨナを見ていた。そして2人は顔を見合わせて小さく頷くとユンを呼んだ。
「…ン、ユン」
「わあ、びっくりした!
珍しいね、シンアが俺に話しかけるなんて。何?」
突然目の前に現れたシンアに驚くユンを尻目にルイが心配そうにヨナのことを切り出す。それにユンは視線をヨナに向けた。
「…ねぇ、ユン
ヨナのこと見てくれない?」
「えっ?ヨナ、背中痛い?」
「平気よ」
「ヨナ…顔色…悪い…」
だが、シンアとルイの目は誤魔化せなかった。強がるヨナに対して、シンアがいつもと違うヨナのことを突く。それにすかさず反応したのはハクだった。ハクは無言で彼女に近づくと彼女の額に己の手を置くのだった。その彼の行動にヨナは頬をほんのりと染めた。
「少し熱いな」
「平気…」
「顔が赤い
熱が上がってるな」
「赤くないわよ…」
近いハクに顔を赤らめてそっぽ向きヨナは否定する。そんなヨナをルイは覗き込んだ。
「やっぱり力使おうか?」
「駄目よ
こんなことで無駄な力をルイに使わせたくないわ」
「ルイも一応、怪我人!本来なら重傷者!!
ちょっと大人しくしてて!!」
ヨナの微笑みに力を使おうとしたルイはその手を止める。そして、トドメと云わんばかりにユンが声を荒げて釘を刺した。だが、ヨナの件は急を要するため、流石のユンも頭を悩ませた。
「どうしよう
仙水まであと少しかかるし、この辺に宿ないかな」
「じゃあ、僕が一足先にヨナちゃんを仙水の宿まで運ぼうか」
「「あ、それがいいね」」
ボヤくユンの言葉にジェハが提案を提示する。その案にすかさずユンとルイはポンッと手を叩いて賛同した。
「君達、僕の気配辿れるよね?」
他の四龍が小さく頷いたことを確認するとジェハは彼女を乗せるために屈む。それにヨナは素直に彼の背に乗った。
「ごめんね、ジェハ」
「君は余計な心配せずに僕の背中で寝てなさい」
申し訳無さそうに身を預けるヨナにジェハは立ち上がりながら小さく笑ってみせた。そんなジェハをルイは真っ直ぐ見上げた。
「ヨナのこと頼むよ」
「ハク
ルイが無茶しないように見張っといて」
「りょーかいした」
「ちょっ!それどういう意…」
ヨナのことは言われるまでもない。ジェハはルイに向かって小さく頷くと背後にいたハクにルイのことを頼みこんだ。その彼の真意を読み取ったハクはニヤリと笑う。そんな彼らのやり取りに完全に蚊帳の外に置かれたルイは慌てたように真意を聞こうとするが、その追求から免れるようにサッとジェハは地面を蹴って跳ぶのだった。
*****
「ヨナちゃんキツかったら言って」
「うん」
空に舞い上がったジェハは背に凭れ掛かって息を荒くしているヨナの容態を確認すると顔を顰めた。
あまり高い跳躍は着地時背中に負担がかかるな
なるべく低くいかないと
「ゴメンね
ルイと離しちゃって」
神妙な面持ちを浮かべていたジェハは、ポツリと零したヨナの一声に目を丸くし剽軽な声を上げた。
「なんでだい??」
「だってあんなに傷を負ったのに平然としてるルイを放っておけないんじゃないの?」
その見透かしたような一声にジェハは息を呑んだ。だが、我に返るとジェハは背にいるヨナに困ったようにチラッと視線を向けた。
「確かにルイのことは心配だよ
けど、今のヨナちゃんのことを放ってはおけないかな」
そう区切って彼女を見るとやはりまだ納得いってないのか不満そうな表情で、ジェハは小さく息をついた。
「皆に心配かけようとしないのはいい心がけだけど、強がるのは良くない
後、ルイの駄目な部分まで見習わない方がいい」
軽く笑いながら話すジェハの言葉にヨナは目を瞬かせた。そして、不思議そうに首を傾げながら尋ねる。
「習わないほうがいいの?
私、ルイみたいになりたい」
「いやぁ…ヨナちゃん
それはちょっとオススメしないかな」
「どーして?」
「どーしてって君ね…」
純粋に疑問を投げかけるヨナに、げんなりとした表情で深いため息を吐き出したジェハは彼女を諭すように語り始める。
「君”達”の心構えは素晴らしいと思うよ
けど、毎度無鉄砲に首を突っ込まれるこっちの身にもなって欲しいね...
僕なんか身体精神が共に疲労困憊だよ
ホント迷惑極まりない」
だが、その面倒くさそうにボヤかれた言葉の裏の意味を汲み取ったヨナは小悪魔な笑みを浮かべた。
「それでも好きなんでしょ??」
「……!?」
「例え
振り回されても
毎回面倒事を持ってきたりしても
それを引っ包めたルイが好きなんでしょ?」
「………
ホント、ヨナちゃんには敵わないなぁ…」
小さく肩を竦めるとジェハは視線を真っ直ぐ前に向けた。
「あぁそうだよ
僕はルイのことが好きだよ」
「いつから?」
すかさず畳み掛けたヨナの言葉にジェハは困ったように笑った。
「さぁーね
知らないうちに心奪われていたよ」
空を跳びながら答えたジェハの脳裏に、彼女と過ごしてきた日々が思い浮かび消えていった。その駆け巡る記憶にジェハは口元を緩めた。
「まぁ…いつからとは断言できないけど
これだけは胸を張って言えるよ」
「僕に光を与え続けてくれるのは後にも先にも彼女だけさ」
スッキリとした顔で晴れやかに笑うジェハ。その彼が発した言葉に聞いていたヨナは嬉しそうに頬を緩ました。そのヨナの視界の先に、まだ日がそれほど経っていないのに懐かしい光景が広がっていた。
「海が見える…」
「ん?」
「懐かしい、こうやってジェハと跳んでると阿波を思い出す」
「…そうだね
あの頃のヨナちゃんはか弱い女の子だったなぁ」
ヨナの言葉に目を瞬かせたジェハは懐かしそうに遠い目をした。そして、相槌をしたジェハはおどけた口調で懐かしそうに吐露した。その言葉に聞き捨てならないとヨナは身を乗り出そうとする。
「何それ
今は私をどう思ってるの?」
「どう…」
ジェハはヨナをチラッと見ると言いかけた言葉を噤み、静かに地面に降りた。
「…言いたくないな」
「えーっ、気になるなあ」
駄々をこねて問い詰めようとするヨナ。それをはぐらかそうとするジェハ。そんな他愛のない遣り取りをする2人を密かに狙っている者らがいた。
彼らの後方で生い茂る木々の中で一箇所だけ一瞬不審に光り輝く。
「…危ない!!」
それを視界の端に捉えたジェハが大きな声を上げて身を翻したと同時に、暗器がどこからか2人を目掛けて飛んできたのだった。
「…ン、ユン」
「わあ、びっくりした!
珍しいね、シンアが俺に話しかけるなんて。何?」
突然目の前に現れたシンアに驚くユンを尻目にルイが心配そうにヨナのことを切り出す。それにユンは視線をヨナに向けた。
「…ねぇ、ユン
ヨナのこと見てくれない?」
「えっ?ヨナ、背中痛い?」
「平気よ」
「ヨナ…顔色…悪い…」
だが、シンアとルイの目は誤魔化せなかった。強がるヨナに対して、シンアがいつもと違うヨナのことを突く。それにすかさず反応したのはハクだった。ハクは無言で彼女に近づくと彼女の額に己の手を置くのだった。その彼の行動にヨナは頬をほんのりと染めた。
「少し熱いな」
「平気…」
「顔が赤い
熱が上がってるな」
「赤くないわよ…」
近いハクに顔を赤らめてそっぽ向きヨナは否定する。そんなヨナをルイは覗き込んだ。
「やっぱり力使おうか?」
「駄目よ
こんなことで無駄な力をルイに使わせたくないわ」
「ルイも一応、怪我人!本来なら重傷者!!
ちょっと大人しくしてて!!」
ヨナの微笑みに力を使おうとしたルイはその手を止める。そして、トドメと云わんばかりにユンが声を荒げて釘を刺した。だが、ヨナの件は急を要するため、流石のユンも頭を悩ませた。
「どうしよう
仙水まであと少しかかるし、この辺に宿ないかな」
「じゃあ、僕が一足先にヨナちゃんを仙水の宿まで運ぼうか」
「「あ、それがいいね」」
ボヤくユンの言葉にジェハが提案を提示する。その案にすかさずユンとルイはポンッと手を叩いて賛同した。
「君達、僕の気配辿れるよね?」
他の四龍が小さく頷いたことを確認するとジェハは彼女を乗せるために屈む。それにヨナは素直に彼の背に乗った。
「ごめんね、ジェハ」
「君は余計な心配せずに僕の背中で寝てなさい」
申し訳無さそうに身を預けるヨナにジェハは立ち上がりながら小さく笑ってみせた。そんなジェハをルイは真っ直ぐ見上げた。
「ヨナのこと頼むよ」
「ハク
ルイが無茶しないように見張っといて」
「りょーかいした」
「ちょっ!それどういう意…」
ヨナのことは言われるまでもない。ジェハはルイに向かって小さく頷くと背後にいたハクにルイのことを頼みこんだ。その彼の真意を読み取ったハクはニヤリと笑う。そんな彼らのやり取りに完全に蚊帳の外に置かれたルイは慌てたように真意を聞こうとするが、その追求から免れるようにサッとジェハは地面を蹴って跳ぶのだった。
*****
「ヨナちゃんキツかったら言って」
「うん」
空に舞い上がったジェハは背に凭れ掛かって息を荒くしているヨナの容態を確認すると顔を顰めた。
あまり高い跳躍は着地時背中に負担がかかるな
なるべく低くいかないと
「ゴメンね
ルイと離しちゃって」
神妙な面持ちを浮かべていたジェハは、ポツリと零したヨナの一声に目を丸くし剽軽な声を上げた。
「なんでだい??」
「だってあんなに傷を負ったのに平然としてるルイを放っておけないんじゃないの?」
その見透かしたような一声にジェハは息を呑んだ。だが、我に返るとジェハは背にいるヨナに困ったようにチラッと視線を向けた。
「確かにルイのことは心配だよ
けど、今のヨナちゃんのことを放ってはおけないかな」
そう区切って彼女を見るとやはりまだ納得いってないのか不満そうな表情で、ジェハは小さく息をついた。
「皆に心配かけようとしないのはいい心がけだけど、強がるのは良くない
後、ルイの駄目な部分まで見習わない方がいい」
軽く笑いながら話すジェハの言葉にヨナは目を瞬かせた。そして、不思議そうに首を傾げながら尋ねる。
「習わないほうがいいの?
私、ルイみたいになりたい」
「いやぁ…ヨナちゃん
それはちょっとオススメしないかな」
「どーして?」
「どーしてって君ね…」
純粋に疑問を投げかけるヨナに、げんなりとした表情で深いため息を吐き出したジェハは彼女を諭すように語り始める。
「君”達”の心構えは素晴らしいと思うよ
けど、毎度無鉄砲に首を突っ込まれるこっちの身にもなって欲しいね...
僕なんか身体精神が共に疲労困憊だよ
ホント迷惑極まりない」
だが、その面倒くさそうにボヤかれた言葉の裏の意味を汲み取ったヨナは小悪魔な笑みを浮かべた。
「それでも好きなんでしょ??」
「……!?」
「例え
振り回されても
毎回面倒事を持ってきたりしても
それを引っ包めたルイが好きなんでしょ?」
「………
ホント、ヨナちゃんには敵わないなぁ…」
小さく肩を竦めるとジェハは視線を真っ直ぐ前に向けた。
「あぁそうだよ
僕はルイのことが好きだよ」
「いつから?」
すかさず畳み掛けたヨナの言葉にジェハは困ったように笑った。
「さぁーね
知らないうちに心奪われていたよ」
空を跳びながら答えたジェハの脳裏に、彼女と過ごしてきた日々が思い浮かび消えていった。その駆け巡る記憶にジェハは口元を緩めた。
「まぁ…いつからとは断言できないけど
これだけは胸を張って言えるよ」
「僕に光を与え続けてくれるのは後にも先にも彼女だけさ」
スッキリとした顔で晴れやかに笑うジェハ。その彼が発した言葉に聞いていたヨナは嬉しそうに頬を緩ました。そのヨナの視界の先に、まだ日がそれほど経っていないのに懐かしい光景が広がっていた。
「海が見える…」
「ん?」
「懐かしい、こうやってジェハと跳んでると阿波を思い出す」
「…そうだね
あの頃のヨナちゃんはか弱い女の子だったなぁ」
ヨナの言葉に目を瞬かせたジェハは懐かしそうに遠い目をした。そして、相槌をしたジェハはおどけた口調で懐かしそうに吐露した。その言葉に聞き捨てならないとヨナは身を乗り出そうとする。
「何それ
今は私をどう思ってるの?」
「どう…」
ジェハはヨナをチラッと見ると言いかけた言葉を噤み、静かに地面に降りた。
「…言いたくないな」
「えーっ、気になるなあ」
駄々をこねて問い詰めようとするヨナ。それをはぐらかそうとするジェハ。そんな他愛のない遣り取りをする2人を密かに狙っている者らがいた。
彼らの後方で生い茂る木々の中で一箇所だけ一瞬不審に光り輝く。
「…危ない!!」
それを視界の端に捉えたジェハが大きな声を上げて身を翻したと同時に、暗器がどこからか2人を目掛けて飛んできたのだった。