出稼ぎ
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「ルイ、そのピアスどうしたの?」
「えっ…」
賭け射撃を終えユンの店に戻る道中。必然的に前方にヨナとルイ、その後ろにハクとジェハが並んで歩いていた。
ルイの隣を歩いていたヨナは視界の端にチラチラ見える深緑色のピアスを捉えたのだった。
ヨナに指摘されたことにルイは動揺しながらも、耳につけられたピアスに手を添えた。
「なんか、プレゼントされちゃってさ」
照れくさそうにほんのりと頬を染めて呟くルイから、ヨナは事の顛末を聞く。それを聞き終えたヨナは自分のことのように嬉しそうに頬を緩めた。
「良かったわね、ルイ
とてもお似合いよ」
「ありがと…」
ヨナに釣られるように、ルイははにかんだ笑みを零した。
もちろんヨナが気づいたのだから目聡いハクが気づかないわけがない。そして聞かずとも、そのピアスはジェハが送ったものだろうと想定できた。
「相変わらず、独占欲つえーな」
「僕が選んだわけじゃないんだけど…」
軽蔑の視線を浴びせられたジェハは心外だと苦笑いした。そして、ヨナと同じようにハクも事の顛末を聞くのだった。
「へぇー、良かったじゃねーか」
「ハク、言っている言葉と裏腹に棒読みだよ
感情が伝わってこないよ」
「当たり前だろ
逆に俺が喜んだら変だろ」
「まぁ、確かに」
鼻で軽く笑ったハクの彼らしい言葉にジェハは尤もだと口元を緩めた。そんな彼をハクは横目でチラリと見ると視線を前に戻した。
「服、新調したんだな」
「おっ?ハク、気づいちゃった?」
「なに、嬉しそうな声を上げてんだよ」
ボソッと呟くハクの着眼点の鋭さにジェハはよくぞ話題を振ってくれましたとばかりに目を輝かせた。そんな彼をハクは呆れた目で見た。
「で?それはどうしたんだ?」
「なんと実はね…
僕に内緒でルイが買ってくれたんだよ」
自慢気に新調した服を見せびらかすジェハにハクは目をくれることなくボヤく。
「へぇー、そりゃあ良かったな」
「お願いだから
ちょっとは興味持って!!」
「だれがてめぇーの惚気話を聞くか!」
鬱陶しいとハクは詰め寄ってくるジェハを大刀で殴るのだった。
ふと目に留まった一着の服。
今着ている彼のものと色合いが似ているものの、襟元が少し違うデザイン。それを見て彼がそれを着ている姿を想像してしまった。
衝動買いに近い形で値引き交渉を経て買ってしまう。
そして、それをいつ渡そうかと考えあぐねていた時に、彼がピアスを買ってくれた。
彼を彷彿させるような深緑色のピアスを
そのピアスを今つけているものと変えようと彼が耳元に手を伸ばす。その指が触れた時に心臓の高鳴りと共に一気に体温が上昇していることに気づく。
自分をまっすぐに見つめてくる桔梗色の瞳に吸い込まれた。優しく慈しみのある眼差しに。
ルイの髪の色に負けないくらい映えてるね
とても似合ってるよ、ルイ
甘く優しく紡がれた彼の声に、トキメキを感じた。
その時、もしや…と感づいてしまった。
淡い感情を抱いていることに
が、ルイはその想いは紛い物だと沸き起こった感情を振り消すのだった。
*****
「ん?どうした娘さんに姉ちゃん
2人して嬉しそうな顔して」
「「…ちょっとね」」
ゼノの問いかけに2人顔を見合わせて嬉しそうに頬を緩ました。そんな彼女たちとは違う意味でユンが今回の繁盛ぶりに目を輝かせていた。
そんな彼らを横目にハクはヨナを手招いた。
「姫さん、おまんじゅう」
どこからか取り出したのは先程購入したおまんじゅう。賭け射撃で儲けたお金でおまんじゅうを購入していたのだ。
「2百厘はコイツに化けました」
ハクの言葉に、ヨナはクスッと笑みを零しながらおまんじゅうを受け取った。
「「いただきます」」
「ちょ!!何二人して食べてんのさ!!」
「…美味しそう」
「ゼノも一口欲しいから!!」
2人コソコソとしていると思いきや、突如おまんじゅうを頬張り始める。それに誰よりも先にユンが反応した。
「コラ!皆大人げないぞ
まんじゅうの一個や二個くらい」
恨めしそうに彼らを見つめるユンとシンアとゼノを、キジャが宥めようとするが、その最中大きな腹の虫が鳴り渡った。
「食べたいようだね、キジャ君は」
「お腹は正直だね」
「なっ…こ、これは…」
ジェハとルイが冷やかし混じりの言葉を投げかける。それにキジャは赤面しながら異を唱えた。
そんな一行を見てヨナはクスッと笑みを浮かべる。
「大丈夫よ
ね、ハク!皆の分も」
「えぇ、買ってあります
一応」
ゴホンッと咳払いをし間を開けるとハクはゴソゴソとまんじゅうを取り出した。それに嬉しそうに他の皆は飛びつくのだった。