出稼ぎ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まさか兵糧攻めの脅しとは」
「なんて恐ろしい必殺技だ」
「ごはん…」
「ユン君が居なかったら僕ら生活出来ないからねぇ」
「客引きってどうすれば良いかな?」
改めて感じる一番権力を持つユンの恐ろしさにゾッとする一行。その中で、ヨナが初めての経験に対してどうすればいいかと漏らした。そんな彼女にジェハがニッコリと微笑んだ。
「僕に任せて」
そう言い切ったジェハは近くにいた女性に声を掛ける。そして彼女たちと談笑するとそのままユンの店へ連れて行くのだった。
「売れた…」
「すごい…」
呆ける一行に対して、客引きを終えたジェハが得意げに戻ってきた。
「2名様ご案内」
「そなた、妙な技を持っておるな。どうやった?」
「女の子の耳元で…」
不思議がるキジャとシンアの耳元にジェハは囁く。それを聞き終えたキジャはたまらず叫んだ。
「その様な事言えるかッ!!」
「?」
一方で後方にいたヨナが興味津々に目を輝かせて尋ねようとする。
「えっ、なになに?」
「姫さんは聞かなくていいぞ
たぶん腐った呪文だ」
「ああ、もう…君達は力以外は若さと美貌しか取り柄ないんだから」
じれったいとジェハはキジャとシンアを近くにいた女性の元へ強引に連れて行った。
「ほら笑ってー」
「シンア君は3秒だけ頑張れ」
そしてジェハは、キジャにそっと笑うように囁き、対してシンアにはお面を外して彼を鼓舞する一声をかける。その一声に答えようと、キジャはニコッと微笑を浮かべ、シンアは硬直しながらもパッチリと目を開けてみせた。するとそんな二人を目の当たりにした女性はうっとりとした笑みを浮かべ、そのままユンの店へ行くのだった。
「3名様ご案内~」
客引きは無事成功。その女性達の背後では、お面を返して欲しいシンアとどうしてもシンアの黄金の瞳を見たいジェハによる攻防戦が繰り広げられていた。
「シンア君~どうしたの~
ほら顔上げて~そして目を見せて~」
「3秒たった…」
「シンアに面返してやれ、人間不信になる前に」
そんな攻防戦にシンアを不憫に思ったハクがジト目をジェハに向ける。それに対して、揶揄い終えたジェハは手を伸ばすシンアにお面を返してあげた。そして、ヨナを手招くのだった。
「ほらっ
キジャ君もシンア君も頑張ったよ
ヨナちゃん褒めてあげて」
「お…お役に立てたの…か?」
「3秒って、ゆった…」
キョトンとしながらもヨナは複雑そうな表情のキジャとお面を急いで被って屈みこんでしまったシンアの頭をヨシヨシと撫でるのだった。
「ゼノもお嬢さん連れて来たから~」
「へえ、やるじゃないかゼノ君」
ふといつの間にか消えていたゼノの声が聞こえてくる。その声にジェハはクルリと振り返る。するとジェハの視界にはニッコリと笑うゼノの背中におぶられているおばあさんが入るのだった。
「…上玉だね」
「だろ~」
予想外のお客さんの客引きに片言になるジェハを置いてゼノはユン達の元におばあさんを連れていくのだった。
「連れてきたよ~」
「おばあさん、どこか痛いとことかありますか?」
「最近ねぇ~リウマチが酷くて」
「あぁそれならこの葉を煎じて…」
「それにしてもお嬢ちゃん別嬪さんだねぇ
品もいいし礼儀正しいし…
是非私の娘で欲しいくらいだね」
「ありがとうございます
私には勿体ない言葉です」
連れてきたお客に売り子の役目を担ったルイがニッコリと微笑を浮かべながら対応していく。そして、そのやり取りで得た情報を元にユンが的確な薬草を売っていった。
「おい、あそこにいる売り子すっごい美人じゃね?!」
「ちょっと立ち寄ってみようぜ」
店から動かないルイだったが、容姿端麗な為に店の前を通りかかった男性陣の目に留まるのは必然。それに加えて巧みなルイの話術により、ホイホイと薬草は売れていった。
「やっぱり俺の見立ては間違っていなかった!!」
勢いよく売れていく繁盛ぶりにユンは目を輝かせた。
ルイの容姿は客引きをせずとも人の目に留まる。そんな彼女を客引きとして使うのは勿体ないと感じたユンは、普段より華やかな衣装を用意したのだ。そして、ルイの巧みな話術は商売上有能な戦力。その2点をルイはユンの思惑通り最大限に発揮していたのだった。
「これちょっと高くないか?」
「そうですか??
お手頃な値段だと私は思いますよ~
私は是非ともお兄さんに買ってもらいたいなぁ」
いちゃもんをつけられた時も、ルイの手にかかればイチコロ。うっとりとした表情を浮かべて上目遣いで見上げて2・3言相手を乗せる言葉を紡げば、男性客は嬉しそうに購入していった。
客引きとルイの効果によりユンの店の前には人盛りが出来始める。それを見てハクはゆっくりとその場を離れようとした。
「こんだけ集まれば後は流れで人増えるだろ」
「待った
ハクも連れて来ないと、お嬢さん」
そんな彼を逃すわけがなくジェハが待ったをかけた。その一声にハクはピクッと片眉を吊り上げた。
「何で女限定なんだよ」
「ハクが声かけて何人来るのか興味あるだけ
ヨナちゃん、ハクが女の子に声かけてもいい?」
「えっ…どうして私に聞くの?
客引きでしょ」
「そうだけど一応
ハクお許しが出たよ」
ジェハはさりげなくヨナに尋ねる。その言葉にヨナは不思議そうに答えた。そのやり取りでハクが感じる後ろめたさは無くなっただろうと云わんばかりにジェハはハクに笑みを向けるのだった。
「あのな…」
「飯抜き!!だよ?」
「うっ…」
それでも渋るハクにジェハは決定打を突きつける。それに反論できないハクは大きくため息を吐くと仕方ないと頭を抱えて歩き出すのだった。
ハクが向かった先は武器屋。武器屋の店主に声を掛けるハク。それにガッカリとするジェハだったが、彼の視線の先ではハクの姿を捉えた女性達が群がり始めていたのだった。
「一人連れて来たぞ」
「一人じゃない一人じゃないよ」
キャッキャと黄色い歓声を浴びているとは全く気付かないハクは、ジェハ達の前に平然と戻ってくる。そんな彼にジェハは周りを見ろと呆れながら促すのだった。それに従いハクは視界を広げるのだが、驚きの光景に目を丸くするのだった。
「うわっ」
「ねえっ、お兄さん一人?」
「どこから来たの?」
「何してるひと?」
「良かったら私の店寄っていきませんか。」
「えっ、ここ何の列?きゃっ、格好いい人!!」
「とにかく並べ
そして買え、高いやつを」
「「「「は~い♡」」」」
ハクはめんどくさそうにぶっきらぼうに言葉を吐き捨てる。だが、その一声にさらに女性たちは虜になって嬉しそうに列を作り始めるのだった。