龍であり人であり
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「これ何?」
「白い…鱗??」
とある山麓。荷台を引いていたおばあさんを引き止めたユンとルイはある物を見つけてしまった。それは1枚の透き通った白い鱗だった。ユンが手にとった鱗を二人はマジマジと見つめた。そんな二人を見ておばあさんはニコリと笑みを浮かべてゴマすりをする。
「お客さんお目が高い
その品はあの伝説の白龍の鱗です」
「「白龍の鱗?!?!」」
彼女の言葉にユンとルイは目を白黒させた。そんな二人の脳裏には生真面目なキジャの姿がチラついていた。
「そうですとも!
この品は恋を叶えてくれる鱗なんです!」
「「……」」
だんまりと互いに顔を見合って瞬きをした二人。だが、急いでいやいやいやと首を横に振ってキジャの姿をかき消した。
胡散臭い……
白い鱗が恋を叶えてくれるわけがないとユンとルイは遠い目をした。そして、ユンはそっと白い鱗を元の場所に戻すと目につけていた塩二袋を手にとった。
「じゃあ、これください」
「あいよ
じゃあこれはおまけね」
結局二人は白い鱗を買うことをしなかった。だが、おばあさんはニコニコしながら先程戻したはずの白い鱗をユンに手渡すのだった。
*****
「ルイ…これどう思う??」
「うーん…」
手元にある貰った白い鱗を見つめて考え込むユン。その彼に話を振られたルイは眉を潜めながらもユンの手元に顔を近づけた。
「とりあえず麻薬ではなさそうだね」
「え?!匂いでわかるの?!」
クンクンと匂いを嗅ぎ終えたルイはユンの手から顔を離すと淡々と答えた。そんな彼女の口から出た言葉にユンは目を丸くして驚いた。
「わかるよ
だって、阿波にいたときにしょっちゅう疑いあるブツに関しては、嗅いだり毒味したりしてたからね」
「……」
「…ユン??」
「はぁぁぁぁぁ…」
危険な道を辿っていることを感じさせないくらい爽やかに答えるルイに対して、ユンは押し黙る。そんなユンを不思議に思ったルイが首を傾げて己を覗き込むものだからユンは盛大に溜息を吐いて肩をガックリと落とした。
「これだから、ルイのことホントに放っておけないんだよね」
「…??」
「俺、ジェハに心底同情するよ」
顔を覗き込むルイに伏せていた視線を上げると、ユンは困ったような表情を浮かべる。だが、ユンの言っていることがルイにはいまいちピンとこない。そんな彼女の様子に対して、ユンはわかりきっていたと言わんばかりにガクッと肩を再び落とすのだった。
ルイの性別が女と判明したことで、ユンにはわかったことが一つある。
女好きのジェハが誰にも盗られたくないと思うほどの特定の感情を抱く相手…
それは、ルイのことだということだ。
当初は背中を預けられる相棒を心配しての行動だとユンは思っていた。だが、それでも力のあるしかも男のルイに対してジェハの一連の行動は度がつくほど過保護に感じられていたのだ。でも、その過保護は彼女を思ってこその行動。そう考えれば彼の行動は合点がついたのだった。
「ユン君??」
「あぁ〜!!
もう面倒くさいなぁ!!」
雷獣とヨナの関係と同じか、それ以上に面倒くさい案件。ユンは一人モヤモヤと悩むのをやめて、鬱憤を吐き出すように言葉を投げ捨てるのだった。
「よし!
とりあえず、キジャにこれを見せてみよ!」
言葉を吐き出したことで少しばかり心が晴れたユンは、ルイに向かって白い鱗をチラつかせてみせた。
「そうだね
キジャならなんか知ってるかもしれないね」
その言葉にルイは小さく頷いた。
”白龍の鱗”と言っていたのだから、少なからずキジャと関わりがある品であるに違いない
そう願って、二人は皆のもとに戻るのだった。