その背には
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「うむ!実にいい湯だ!身を清潔に保てると気持ちが良い!」
「随分機嫌がいいじゃないかキジャ君
ぐっすり眠られたのかい?」
「まぁーな!」
翌朝、温泉の湯には既にキジャが身体を沈めてゆったりと気持ちよさそうにくつろいでいた。そこに遅れてジェハが現れた。彼の問いに答えながらキジャはジェハへ振り返る。が、ここであることに気づいてキジャは不思議そうに首を傾げた。
「そなたどうした??
目の下にクマができておるぞ??」
「あぁ…ちょっとね…」
「眠れなかったのか??」
「まぁ…そんなとこ…」
普段鈍いくせに、こういうときばかりは鋭いとキジャに対してジェハは小さく息を吐いた。
膝元で警戒心ゼロで眠るルイ。コチラは理性を保つのに精一杯なのに猫のようにすり寄ってきたのだ。そのルイの無意識の行動にジェハはたまらず手が出そうになる。が、隣で面白そうに見てくる視線に気づき寸前で止めざる終えなかったのだ。
その後すぐ月見酒の場はお開きになり、ジェハはルイを抱えて布団に寝かしつけようとしたのだが、ギュッと裾を握ってくる彼女によってそれは妨げられてしまう。それにヤレヤレと肩をすくめて一緒に寝る羽目になっていたのだ。
案の定、月光に照らされるルイが忘れられずにジェハは寝付くことができなかったのだ。
「おお、白龍と緑龍!朝っぱらおそろいでっ!
黄龍と青龍もまぜてー」
必要以上に追求されたくないと思うジェハ、そんな彼を純粋に心配するキジャ、そんな二人がいる浴場にゼノとシンアが現れた。湯に身体を沈めた二人の姿を見てキジャは口元を緩ました。
「四龍が揃ったな
ではとことん四龍の在り方について語り合おうではないか」
「…のぼせるって」
「四龍は兄弟のようなもの。何でも私に申せよ。」
「困った親戚だよ、本当」
意気揚々と意気込むキジャにジェハは困ったように目尻を下げるのだった。そんな彼らを見てゼノは嬉しそうに頬を緩ますのだった。
和やかな空気に包まれる浴場。その雰囲気を崩していいのか、更に遅れてやってきたユンは浴場の出入り口からひょっこりと顔を覗かして見せた。そのユンの背後にはハクの姿もあった。
「四龍じゃないけど入ってもいい??」
不安げに顔を覗かせるユンに、ジェハは小さく笑ってみせた。
「もちろん!おいで!」
「朝風呂も気持ちいいよね!」
そのジェハの一声にユンは一気に表情を明るくし、駆け寄ってくるのだった。
「あれ?
娘さんと姉ちゃんは部屋に??」
「いや…姫さん達も…」
一同が揃ったところで、ヨナやルイはどこにいるのだろうと気になったゼノが疑問を投げかける。それに対して、ハクが答えようと口を開くのだが、その時のもう一つの浴場からヨナがハクを呼ぶ声が聞こえてくるのだった。
「ハク〜!!」
その一声に一同は仕切られた壁の向こう側に視線をやる。
「石鹸がきれてるみたいなの!コッチにくれる??」
「ハイよ!!」
ヨナの申し出に対してハクが石鹸を持ちながら声を上げる。が、ここで視界の端に映る違和感に気づき、唖然としてしまう。ハクが石鹸を投げ入れようとする端では、同じように他の皆も石鹸を持って投げ込む体勢をとっていたのだった。
一斉に投げ込まれる石鹸。6個の石鹸が投げ込まれていく女湯では、ルイとヨナがその光景を茫然と眺めていた。
「1個でいいのに…」
「こんなに貰っても使えないつーの」
石鹸の傍にしゃがみこんだ二人は、互いに顔を見合わせて小さく笑いあうのだった。