次男坊の改心
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ミレイを丁重に埋葬した後、ユンはテジュンの様子を最後に見に行くと言い出した。それに対してヨナはシンアの毛皮を取って一緒についていくと言い出す。
「ねぇハク
シンアの毛で変装するから行っていい??」
毛を取られたシンアが呆然とする中、ハクが断固駄目と許可を出さなかった。それに、えーと不貞腐れるヨナからルイが毛皮を取り、シンアに被せてあげた。
「どうしても行きたいなら日が暮れてからにしなよ」
それなら顔バレはしないからいいだろ?
と、ルイは渋い顔をするハクに笑ってみせた。それにハクは渋々頷き、ヨナは手を取るように喜んだ。そんな彼らに見送られてユンはジェハとともにテジュンが行った炎里村に向かった。
見送り終えたルイは、お世話になったセドルおじさん達にお礼を述べていき、身支度を整えた。そして丁度終わった頃、ルイの視界に黄色が過ぎる。それを確認したルイは急いで彼を追いかけるのだった。
「ゼノ!どこ行くの??」
「ちょっと、生姜汁兄ちゃんのことにな
姉ちゃんも来るか??」
腕を後頭部に組んで無邪気な笑みを見せるゼノの誘いにルイがのらないわけがなく快く同道を申し入れるのだった。
*****
一方で炎里村に着いたテジュンは1人の病人に困惑していた。なぜなら今この場に医術師がいないのだ。だから流行り病なのかは断定できないのだ。部下とともに考え悩むテジュン。そんな彼の耳にこの場にいるはずがない人物の声が入るのだった。
「腹痛を起こしてるね」
ガクガクとテジュンは横に目をやる。するとそこにいたのはユンだった。ユンが何故ココにいるのだと顔を引き攣らせるテジュンの表情に違和感を覚える部下が知り合いですか?と首を捻る。その彼の一声にアタフタするテジュンの横でユンは、近くに住む薬売りだと名乗り、適切な治療を施していく。
「…お前こんな所に出てきたら…ッ」
「何が?
僕は善良な火の部族の民だよ」
慌てたテジュンがユンに耳打ちするがユンは呆気からんと笑って答えるのだった。ユンは”暗黒龍とゆかいな腹減り達”の戦闘員ではないため役人達への印象が薄かったのだ。そしてそのままユンは今日一日ここで医術師をやると言い出すのだった。
その村の外では大きな樹の太い枝に座り幹に背を預けながらその光景を眺めている者がいた。その彼が凭れ掛かる樹に1人の人物が近づいた。そして樹の下まで来た彼女は、気づく様子がない彼を一瞥すると幹に手をかけて登った。
「…ジェハ」
「え?あ??ルイ!?
どうしてここに!?!?」
唐突に下から聞こえてきた声にビクッと身体を震わしたジェハは勢いよく下に視線をやった。すると直ぐ近くにルイの姿。ジェハは慌てて凭れていた上半身を起こし、彼女に手を差し伸べ枝元まで引きあげた。
「ゼノについてきちゃった」
「あぁ…ゼノ君も来たのね」
引き上げて貰ったルイはジェハの隣に腰掛けると、彼の問いにおどけながら答えるのだった。そのルイの返しにジェハは頭を抱え込むのだった。その彼の様子にルイは小さく笑うとココからよく見える村の様子を眺めた。
「ユン、凄い人気だね」
「そうなんだよ
ユン君ちやほやされてて…」
二人の視界の先ではユンの周囲に役人が群がっていた。というのも、ムサイ男と病人・老人ばかりで役人達は久々に見る可愛い子に目を輝かせていたのだ。その彼らにユンは持っている薬の知識を教え始める。
「僕もちやほやされたい…」
「…ハイハイ」
ジェハがちやほやされたいのは綺麗な女性達だろうと思いつつルイは、ガクリとしょぼけるジェハを慰める事せずに遠い目をして適当にあしらった。
「ルイが冷たい…」
「いつも通りでしょ」
普段通りに塩対応したルイは知らない内に己の腰に回っている彼の手の温もりに気づくが仕方ないなと小さく笑うのだった。
一方でルイと別れたゼノは村に堂々と入り、座り込んだまま動かないおじいさんの前で無邪気にお手玉をするのだった。突然現れたゼノにどうしてお前もココに来ているのだと当然困惑するテジュン。だが、彼の目の前で無表情だった先程のおじいさんが子どものように手を叩いて笑うのだった。
「凄いなお前…」
「人は鏡だから
笑えば笑顔が返ってくるのさ」
「子どもの癖に勉強になる事を言うんじゃない」
唖然とするテジュンにゼノは太陽のような笑顔を振りまくのだった。そしてゼノは彼に一つの予言を残すのだった。その彼の表情はテジュンには、数日前に見たルイと重なって見えた。
兄ちゃんはこの高華国にとって大きな存在になるよ
*****
むかぁしむかし
あかいろの…
大きな太陽食べられて
世界がそまるとき
呼び合う四つ龍、頭 を垂れる
炎の龍に頭 を垂れる
夜が更けた村には賑やかな音が響いていた。ユンが作った料理に舌鼓を打つ村人や役人の中央ではゼノが楽しげに踊っていた。
「この歌は??」
「炎の神様って言って、建国神話をもとにした緋龍王の歌らしいよ」
耳に入ってくる歌に聞き覚えがないジェハにルイは教えてもらったことを話した。
「炎の神様」
火の部族の子どもが聞かされる歌。世界を統べた緋龍王は火の部族にとっては火の龍、つまり自分たちこそが緋龍王の末裔だと主張したものだった。
ふぅーんとルイの説明に相槌を打ったジェハはいつの間にか集結している仲間を一瞥する。
「というか、結局皆来たんだね」
「しかたねーだろ、姫さんがどうしてもって言うからよ」
日が落ちて炎里村まで来たハクは面白くないといった表情をするジェハを睨みつけた。その隣にはもちろんキジャとシンアの姿もあった。
「だが、姫様を1人行かせてよかったのだろうか?」
不安げに表情を曇らせるキジャにシンアが小さく頷く。が、そんな彼らの不安を払拭するようにルイが笑い飛ばすのだった。
「平気さ!
盛大な宴中だから誰も気づかないよ
それに何かあったらユンとゼノがどうにかするさ!」
そう言い切ったルイの視界の先では、テジュンが凭れる樹の反対側に背を預けたヨナがいた。彼女は、明朝にこの地を立ち去ること、ミレイが息を引き取ったことを伝えた。そしてヨナは最後にこの火の部族領の皆を守って欲しいと託すのだった。
テジュンはその言葉に深く深く頭を下げた。
大きなものなどいらない
どうか
どうかあなたが
幸せでありますように
テジュンはヨナの無事をただ祈るのだった。その土下座するテジュンを最後に一瞥するとヨナは彼のもとを離れた。それと同時に輪の中にいたユンとゼノも人知れず姿を消すのだった。
「この地を美して賊共に見せつけるぞ!!」
ユンとゼノが消えてしまって慌てふためく部下たちにテジュンは爽やかな表情で意気揚々と啖呵を切るのだった。
一方で、テジュンにこの地を託したヨナ達は明朝に新たな旅へと旅立つのだった。
「ねぇハク
シンアの毛で変装するから行っていい??」
毛を取られたシンアが呆然とする中、ハクが断固駄目と許可を出さなかった。それに、えーと不貞腐れるヨナからルイが毛皮を取り、シンアに被せてあげた。
「どうしても行きたいなら日が暮れてからにしなよ」
それなら顔バレはしないからいいだろ?
と、ルイは渋い顔をするハクに笑ってみせた。それにハクは渋々頷き、ヨナは手を取るように喜んだ。そんな彼らに見送られてユンはジェハとともにテジュンが行った炎里村に向かった。
見送り終えたルイは、お世話になったセドルおじさん達にお礼を述べていき、身支度を整えた。そして丁度終わった頃、ルイの視界に黄色が過ぎる。それを確認したルイは急いで彼を追いかけるのだった。
「ゼノ!どこ行くの??」
「ちょっと、生姜汁兄ちゃんのことにな
姉ちゃんも来るか??」
腕を後頭部に組んで無邪気な笑みを見せるゼノの誘いにルイがのらないわけがなく快く同道を申し入れるのだった。
*****
一方で炎里村に着いたテジュンは1人の病人に困惑していた。なぜなら今この場に医術師がいないのだ。だから流行り病なのかは断定できないのだ。部下とともに考え悩むテジュン。そんな彼の耳にこの場にいるはずがない人物の声が入るのだった。
「腹痛を起こしてるね」
ガクガクとテジュンは横に目をやる。するとそこにいたのはユンだった。ユンが何故ココにいるのだと顔を引き攣らせるテジュンの表情に違和感を覚える部下が知り合いですか?と首を捻る。その彼の一声にアタフタするテジュンの横でユンは、近くに住む薬売りだと名乗り、適切な治療を施していく。
「…お前こんな所に出てきたら…ッ」
「何が?
僕は善良な火の部族の民だよ」
慌てたテジュンがユンに耳打ちするがユンは呆気からんと笑って答えるのだった。ユンは”暗黒龍とゆかいな腹減り達”の戦闘員ではないため役人達への印象が薄かったのだ。そしてそのままユンは今日一日ここで医術師をやると言い出すのだった。
その村の外では大きな樹の太い枝に座り幹に背を預けながらその光景を眺めている者がいた。その彼が凭れ掛かる樹に1人の人物が近づいた。そして樹の下まで来た彼女は、気づく様子がない彼を一瞥すると幹に手をかけて登った。
「…ジェハ」
「え?あ??ルイ!?
どうしてここに!?!?」
唐突に下から聞こえてきた声にビクッと身体を震わしたジェハは勢いよく下に視線をやった。すると直ぐ近くにルイの姿。ジェハは慌てて凭れていた上半身を起こし、彼女に手を差し伸べ枝元まで引きあげた。
「ゼノについてきちゃった」
「あぁ…ゼノ君も来たのね」
引き上げて貰ったルイはジェハの隣に腰掛けると、彼の問いにおどけながら答えるのだった。そのルイの返しにジェハは頭を抱え込むのだった。その彼の様子にルイは小さく笑うとココからよく見える村の様子を眺めた。
「ユン、凄い人気だね」
「そうなんだよ
ユン君ちやほやされてて…」
二人の視界の先ではユンの周囲に役人が群がっていた。というのも、ムサイ男と病人・老人ばかりで役人達は久々に見る可愛い子に目を輝かせていたのだ。その彼らにユンは持っている薬の知識を教え始める。
「僕もちやほやされたい…」
「…ハイハイ」
ジェハがちやほやされたいのは綺麗な女性達だろうと思いつつルイは、ガクリとしょぼけるジェハを慰める事せずに遠い目をして適当にあしらった。
「ルイが冷たい…」
「いつも通りでしょ」
普段通りに塩対応したルイは知らない内に己の腰に回っている彼の手の温もりに気づくが仕方ないなと小さく笑うのだった。
一方でルイと別れたゼノは村に堂々と入り、座り込んだまま動かないおじいさんの前で無邪気にお手玉をするのだった。突然現れたゼノにどうしてお前もココに来ているのだと当然困惑するテジュン。だが、彼の目の前で無表情だった先程のおじいさんが子どものように手を叩いて笑うのだった。
「凄いなお前…」
「人は鏡だから
笑えば笑顔が返ってくるのさ」
「子どもの癖に勉強になる事を言うんじゃない」
唖然とするテジュンにゼノは太陽のような笑顔を振りまくのだった。そしてゼノは彼に一つの予言を残すのだった。その彼の表情はテジュンには、数日前に見たルイと重なって見えた。
兄ちゃんはこの高華国にとって大きな存在になるよ
*****
むかぁしむかし
あかいろの…
大きな太陽食べられて
世界がそまるとき
呼び合う四つ龍、
炎の龍に
夜が更けた村には賑やかな音が響いていた。ユンが作った料理に舌鼓を打つ村人や役人の中央ではゼノが楽しげに踊っていた。
「この歌は??」
「炎の神様って言って、建国神話をもとにした緋龍王の歌らしいよ」
耳に入ってくる歌に聞き覚えがないジェハにルイは教えてもらったことを話した。
「炎の神様」
火の部族の子どもが聞かされる歌。世界を統べた緋龍王は火の部族にとっては火の龍、つまり自分たちこそが緋龍王の末裔だと主張したものだった。
ふぅーんとルイの説明に相槌を打ったジェハはいつの間にか集結している仲間を一瞥する。
「というか、結局皆来たんだね」
「しかたねーだろ、姫さんがどうしてもって言うからよ」
日が落ちて炎里村まで来たハクは面白くないといった表情をするジェハを睨みつけた。その隣にはもちろんキジャとシンアの姿もあった。
「だが、姫様を1人行かせてよかったのだろうか?」
不安げに表情を曇らせるキジャにシンアが小さく頷く。が、そんな彼らの不安を払拭するようにルイが笑い飛ばすのだった。
「平気さ!
盛大な宴中だから誰も気づかないよ
それに何かあったらユンとゼノがどうにかするさ!」
そう言い切ったルイの視界の先では、テジュンが凭れる樹の反対側に背を預けたヨナがいた。彼女は、明朝にこの地を立ち去ること、ミレイが息を引き取ったことを伝えた。そしてヨナは最後にこの火の部族領の皆を守って欲しいと託すのだった。
テジュンはその言葉に深く深く頭を下げた。
大きなものなどいらない
どうか
どうかあなたが
幸せでありますように
テジュンはヨナの無事をただ祈るのだった。その土下座するテジュンを最後に一瞥するとヨナは彼のもとを離れた。それと同時に輪の中にいたユンとゼノも人知れず姿を消すのだった。
「この地を美して賊共に見せつけるぞ!!」
ユンとゼノが消えてしまって慌てふためく部下たちにテジュンは爽やかな表情で意気揚々と啖呵を切るのだった。
一方で、テジュンにこの地を託したヨナ達は明朝に新たな旅へと旅立つのだった。