1章
夢小説設定
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バン!!!
ある一夜を境に、何気ない日常に終止符が打たれた。
最近ハマったカメラで夜景を撮りにこの屋上まで来た青年とその幼馴染の女性は、その場に一足先に着いていたとある人物により襲撃にあった。
振り返ったその人物の手には銃が持たれていて標準が女性に向けられていた。突然の出来事に女性は頭の中が真っ白になり避けなければいけないのに手足が一歩も動かなかった。一発の銃声音と共に聞こえるのは自分の名を呼ぶ声。それと共に身体を押し倒された女性の視界には青年が覆い被さった。青年と共に倒れた女性は、庇われたのだど察した。
青年が持っていたカメラは地面に落ちる。その音で、現実に引きずり戻された女性はもたれかかったままの青年の身体の力が抜けてグッタリとしていることに気づく。
女性は、青年の名を呼びながら彼の背に手を回す。すると、ぐっしょりと何かが手に触れ濡れる。まさかと、恐る恐るその手を視界に見える位置まで持ってくる。
すると視界に広がったのは、赤い赤い真っ赤な血だった。
多々良!!ッ多々良!!
女性は顔面蒼白で、必死に青年の名を呼んで彼を仰向けに寝かせた。
息絶え絶えで虫の息な青年を見て、女性は涙ぐみながら彼の出血部位に手を翳そうとした。
だが、彼の弱々しい手がそれを拒んだ。ゆっくりと首を横に振った彼は、か細い声で逃げろと言った。
嫌だ!!多々良を置いて逃げられない!!
絶対助かるから!!
だからそんな事を言わないでよ!!
嗚咽を漏らしながら女性は泣きじゃくり、首を大きく横に振った。
そんな彼女を青年はそっと力を振り絞って引き寄せる。そして頬に伝る涙を指で拭いながら耳元に優しく語りかけるように囁いた。
「ーーーーーー.....」
その声は駄々をこねる彼女の背を押した。
ゆっくりと青年から離れた彼女は立ち上がると、悠々と銃を構えて佇む襲撃者の方を見据えた。
月明かりで目に捉えることが出来るのは、風に揺られる白い髪。そして狂気じみた瞳だった。ニヤリと口角を上げる彼は、自分のことを無色の王であると名乗った。次はお前の番だと銃を発砲する彼に、そう簡単に死ぬわけにはいかない彼女は挑発気味にほくそ笑んだ。
華麗にステップを踏んで、避ける。だが、足場が悪い場所まで追い込まれ彼女は足を踏み外した。
と同時に、銃弾が右肩を貫いた。
バン!!!
この銃弾の音とともにビルから落下した彼女は、その音ともに意識を失った。だが意識を失いながらも彼女は何かを掴むように手を伸ばした。
多々良……ごめん
置いてきてしまった彼を最初に挙げた後、自分の大事な仲間達の名を連ねて脳裏に浮かべる。そして、最後に最愛の彼を思い浮かべ、涙を流した。
ゴメン……出雲…
襲撃者が消えた後、最後の力を振り絞って青年は端末を使ってある人物を呼び出した。かすかな青年の声に、ただごとでないと感じた通話口の彼は呼び出せる者を連れてこの現場に駆けつけた。だが、青年を看取ることしか彼らには出来なかった。
事情を呑み込めない彼らは地面に落ちていたカメラを再生し、数分前に起こった事実を知る。
無色の王を名乗る人物により
十束多々良が殺害され
水無月瑞穂はビルから落ちて生死不明
直様彼らはビルの下を捜索したが彼女を見つけることが出来なかった。
一気に二人の大切な仲間を失った彼らは、悔し涙を流し無色の王に対する憤りを露わにした。
この悪夢の一夜を境に彼ら…吠舞羅は動き出す。
血の繋がりよりも強い結束力を持つ彼らは仲間に手を出した人物を探し求める。
十束多々良を殺害した
無色の王を屠るために
そして依然、行方がわからない水無月瑞穂を見つけ出すために…
「瑞穂…
一体どこにおるんや……」
煙草をふかし、今日もまた取り残された青年は紫がかったサングラスを通して空を見上げ、彼女のことを想うのだった。