バスケに青春を懸ける
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神奈川県IH予選……
この大会は、男子にとっても女子にとっても大事な試合であった。神奈川の強豪校である海常であるが、油断は禁物。両チームは主将の元、気を引き締めて試合に挑んだ。
「そういえば、黄瀬は見たことないのか」
ふと、笠松が観客席に座って呟いた言葉に黄瀬は思わず聞き返した。
「何をっすか??」
「海常の個性全開のバスケをだよ」
「あぁ…確かに今年は特に強いな」
笠松の言葉に小堀が同意する中、さらにその隣に座る森山はうーんと唸る。
「あれで、もう少し可愛げがあれば」
「……アイツらにそれは求めちゃダメだろ」
相変わらずの思考回路に顔を顰める笠松に追い打ちをかけるように森山がさらに言葉を続ける。
「……絢雅ちゃん、振り向いてくれないかな」
「おい!!」
「冗談だ」
ドスの効いた声を漏らす笠松に、森山は小さく笑みを溢した。
試合前だが、和やかないつも通りの空気がチーム内で流れる中でコート上に選手が整列する。その中にはもちろん絢雅の姿もあった。
「笠松先輩」
「どうした?黄瀬」
「絢雅っちって、ポジションどこなんすか??」
「お前と同じSFだが??」
「そうなんすか!!」
思わず黄瀬は驚きの声をあげた。てっきり笠松と同じポジションだと思っていたのだが、まさか同じとは…
バスケ選手としては平均的な身長だろうか?加えてそこまでがっしりとしてなさそうだったためインサイドでガツガツプレーするとは思っていなかったのだが、SFという考えまでは黄瀬は至らなかったのだ。
ピーー!!!
神奈川県IH予選大会、女子決勝の試合の開始を知らせる笛が鳴り響いた。
「行くよ〜!!皆」
早速ジャンプボールをものにした海常は、PG中心に攻撃を仕掛ける体制に入る。
人差し指を立てて一本!!と指示を出すのは、チームの司令塔だ。
コートを見渡した彼女は、眼の前の相手を一気にスピードを上げてかわすと、すかさず針の糸を通すようにパスを回す。
そしてそのボールは、3PラインギリギリにいるSGに送られた。
「...まずは3点」
ニヤリと口角を上げたSGで主将の彼女は確実にシュートを決めた。
「な...なんか言葉で言い表せないっすけど
凄いですね」
「アイツラは技術を極めたスピード系だ
お前みたいなセンスずば抜けのやつはいねーが、不足分はチーム全体で補ってる」
最初の立ち上がりだけ見ただけで、黄瀬は思わず目を見張った。
ガンガンと力で押すのではなく、PGの冷静な判断力で軽やかに回されるボール
そしてSGの確実に点を入れるシュート力
瞬きする隙さえ無かった。
「PGの坂井も、SGの如月も月バスで特集組まれたしな」
「そうなんすか!!」
小堀の補足説明に黄瀬は驚きの声を上げる。
「ほら、黄瀬
コートから目外すなよ...
アイツのプレーを見逃しちまわないようにな」
もっと話を聞きたいと前のめりになる黄瀬を落ち着かせようと笠松が声をかけた。その声に黄瀬はすぐ視線をコートに移した。
バシ!!!
相手ボールを弾く音が響き渡った。それは、眼の前でドリブルしていた人から絢雅がスティールをした音だった。
巧みにボールを奪った絢雅はそのまま速攻を仕掛けた。
風のようにスピードに乗った彼女を止められる事は誰にも出来ず、絢雅のレイアップが決まった。
その後も絢雅は伺ったタイミングで、スティールやバックチップを仕掛けた。
これらは彼女が磨いてきた技術だった。
突出した才能はない。それでも、我武者羅にボールに向き合った結果、彼女は様々なものを身に着けたのだ。
「おぉ!!何本目だアイツ!!」
絢雅の3Pシュートが華麗に決まったことで観客席にどよめきが走った。
そんな大歓声に動じること無く絢雅は、ユニホームで汗を拭った。
そんな彼女に陽気な先輩達が近づく。
「ナイッシュ!絢雅!!」
「ありがとうございます」
SG如月がニコニコと先程からのシュートを褒める。
「たく、ちょっとは嬉しそうな顔できないの?」
その如月の隣で眉をしかめて困ったように腰に手を当てるのはPGの坂井だ。
「............」
「絢雅は、顔に出さないだけで心のなかで十分に笑ってんだよね!!」
ガバっと躊躇なく絢雅の肩に腕を回して屈託のない満面の笑みを浮かべるのは、Cの田邉だ。自分より高身長な彼女に半端無理やり肩を組まされる形となった絢雅は露骨に嫌そうな顔をする。
「......嫌がってるふうにしか見えないけど」
その様子に如月と坂井は呆れた表情を浮かべた。
そんな二人の背後では悔しそうに地団駄踏むPFの吉野がいた。
「あぁーもう!!もっとシュートしたい!」
「頑張ってガード交わしてフリーになったらバシバシパスは送るよ」
アハハと当たりが強いため中々シュートできるチャンスがない吉野に坂井がエールを送る。
「ホント!!じゃ全力で頑張る!!」
コートでガヤガヤしだす彼女達に絢雅は内心大きくため息をついた。
「アハハ...凄いっすね」
生き生きとコート上を走り回る彼女達を見ていた黄瀬は思わず心の声を漏らした。その言葉に、笠松は大きく息をつく。
「絢雅含めてバスケ馬鹿だからな」
「絢雅っちてバスケ馬鹿なんすか!?」
「逆に気付いてなかったのか?黄瀬」
「あ...いや...」
笠松の言葉に黄瀬は思い当たる節があることに気づき、黄瀬は言い淀んだ。
屋上で一人黙々とハンドリングする姿
キセキの世代が嫌いだと豪語する表情
誠凛との練習試合の後に僅かに表情を崩した時
ストバスコートで軽やかに動く姿
心当たりがあるものを思いだした結果、ようやく黄瀬は合点がいったのか、納得した表情を浮かべた。
その表情をチラ見した笠松は満足げに口角を上げた。
「さて、俺たちも負けてられねぇーな」
「そうっすね」
彼らの視界の先では勝利を勝ち取り一足先にIH出場を決めた彼女達が歓喜する姿があった。静かに席を立つ笠松に続いて他のメンバーも立ち上がる。そして、笠松を先頭に彼らは準備のため控室に向かうのだった。
その後、直ぐ男子の決勝が行われた。
誠凛との敗戦を期に、少しだが練習に対する姿勢が変わったエースを率いた海常は難なく優勝を収めた。
男女共に神奈川の代表の一枠を勝ち取った海常は、夏へ向けて再び一層熱を入れて練習を再開するのだった。
この大会は、男子にとっても女子にとっても大事な試合であった。神奈川の強豪校である海常であるが、油断は禁物。両チームは主将の元、気を引き締めて試合に挑んだ。
「そういえば、黄瀬は見たことないのか」
ふと、笠松が観客席に座って呟いた言葉に黄瀬は思わず聞き返した。
「何をっすか??」
「海常の個性全開のバスケをだよ」
「あぁ…確かに今年は特に強いな」
笠松の言葉に小堀が同意する中、さらにその隣に座る森山はうーんと唸る。
「あれで、もう少し可愛げがあれば」
「……アイツらにそれは求めちゃダメだろ」
相変わらずの思考回路に顔を顰める笠松に追い打ちをかけるように森山がさらに言葉を続ける。
「……絢雅ちゃん、振り向いてくれないかな」
「おい!!」
「冗談だ」
ドスの効いた声を漏らす笠松に、森山は小さく笑みを溢した。
試合前だが、和やかないつも通りの空気がチーム内で流れる中でコート上に選手が整列する。その中にはもちろん絢雅の姿もあった。
「笠松先輩」
「どうした?黄瀬」
「絢雅っちって、ポジションどこなんすか??」
「お前と同じSFだが??」
「そうなんすか!!」
思わず黄瀬は驚きの声をあげた。てっきり笠松と同じポジションだと思っていたのだが、まさか同じとは…
バスケ選手としては平均的な身長だろうか?加えてそこまでがっしりとしてなさそうだったためインサイドでガツガツプレーするとは思っていなかったのだが、SFという考えまでは黄瀬は至らなかったのだ。
ピーー!!!
神奈川県IH予選大会、女子決勝の試合の開始を知らせる笛が鳴り響いた。
「行くよ〜!!皆」
早速ジャンプボールをものにした海常は、PG中心に攻撃を仕掛ける体制に入る。
人差し指を立てて一本!!と指示を出すのは、チームの司令塔だ。
コートを見渡した彼女は、眼の前の相手を一気にスピードを上げてかわすと、すかさず針の糸を通すようにパスを回す。
そしてそのボールは、3PラインギリギリにいるSGに送られた。
「...まずは3点」
ニヤリと口角を上げたSGで主将の彼女は確実にシュートを決めた。
「な...なんか言葉で言い表せないっすけど
凄いですね」
「アイツラは技術を極めたスピード系だ
お前みたいなセンスずば抜けのやつはいねーが、不足分はチーム全体で補ってる」
最初の立ち上がりだけ見ただけで、黄瀬は思わず目を見張った。
ガンガンと力で押すのではなく、PGの冷静な判断力で軽やかに回されるボール
そしてSGの確実に点を入れるシュート力
瞬きする隙さえ無かった。
「PGの坂井も、SGの如月も月バスで特集組まれたしな」
「そうなんすか!!」
小堀の補足説明に黄瀬は驚きの声を上げる。
「ほら、黄瀬
コートから目外すなよ...
アイツのプレーを見逃しちまわないようにな」
もっと話を聞きたいと前のめりになる黄瀬を落ち着かせようと笠松が声をかけた。その声に黄瀬はすぐ視線をコートに移した。
バシ!!!
相手ボールを弾く音が響き渡った。それは、眼の前でドリブルしていた人から絢雅がスティールをした音だった。
巧みにボールを奪った絢雅はそのまま速攻を仕掛けた。
風のようにスピードに乗った彼女を止められる事は誰にも出来ず、絢雅のレイアップが決まった。
その後も絢雅は伺ったタイミングで、スティールやバックチップを仕掛けた。
これらは彼女が磨いてきた技術だった。
突出した才能はない。それでも、我武者羅にボールに向き合った結果、彼女は様々なものを身に着けたのだ。
「おぉ!!何本目だアイツ!!」
絢雅の3Pシュートが華麗に決まったことで観客席にどよめきが走った。
そんな大歓声に動じること無く絢雅は、ユニホームで汗を拭った。
そんな彼女に陽気な先輩達が近づく。
「ナイッシュ!絢雅!!」
「ありがとうございます」
SG如月がニコニコと先程からのシュートを褒める。
「たく、ちょっとは嬉しそうな顔できないの?」
その如月の隣で眉をしかめて困ったように腰に手を当てるのはPGの坂井だ。
「............」
「絢雅は、顔に出さないだけで心のなかで十分に笑ってんだよね!!」
ガバっと躊躇なく絢雅の肩に腕を回して屈託のない満面の笑みを浮かべるのは、Cの田邉だ。自分より高身長な彼女に半端無理やり肩を組まされる形となった絢雅は露骨に嫌そうな顔をする。
「......嫌がってるふうにしか見えないけど」
その様子に如月と坂井は呆れた表情を浮かべた。
そんな二人の背後では悔しそうに地団駄踏むPFの吉野がいた。
「あぁーもう!!もっとシュートしたい!」
「頑張ってガード交わしてフリーになったらバシバシパスは送るよ」
アハハと当たりが強いため中々シュートできるチャンスがない吉野に坂井がエールを送る。
「ホント!!じゃ全力で頑張る!!」
コートでガヤガヤしだす彼女達に絢雅は内心大きくため息をついた。
「アハハ...凄いっすね」
生き生きとコート上を走り回る彼女達を見ていた黄瀬は思わず心の声を漏らした。その言葉に、笠松は大きく息をつく。
「絢雅含めてバスケ馬鹿だからな」
「絢雅っちてバスケ馬鹿なんすか!?」
「逆に気付いてなかったのか?黄瀬」
「あ...いや...」
笠松の言葉に黄瀬は思い当たる節があることに気づき、黄瀬は言い淀んだ。
屋上で一人黙々とハンドリングする姿
キセキの世代が嫌いだと豪語する表情
誠凛との練習試合の後に僅かに表情を崩した時
ストバスコートで軽やかに動く姿
心当たりがあるものを思いだした結果、ようやく黄瀬は合点がいったのか、納得した表情を浮かべた。
その表情をチラ見した笠松は満足げに口角を上げた。
「さて、俺たちも負けてられねぇーな」
「そうっすね」
彼らの視界の先では勝利を勝ち取り一足先にIH出場を決めた彼女達が歓喜する姿があった。静かに席を立つ笠松に続いて他のメンバーも立ち上がる。そして、笠松を先頭に彼らは準備のため控室に向かうのだった。
その後、直ぐ男子の決勝が行われた。
誠凛との敗戦を期に、少しだが練習に対する姿勢が変わったエースを率いた海常は難なく優勝を収めた。
男女共に神奈川の代表の一枠を勝ち取った海常は、夏へ向けて再び一層熱を入れて練習を再開するのだった。