バスケに青春を懸ける
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「黄瀬!!サッサと準備しろ!!」
毎朝の早朝練習、いつもの通り体育館に入ってきた黄瀬に対して怒声が飛ぶ。
「ハイっす!!」
そう受け答えしながら黄瀬の脳裏には、初日の部活で受けた衝撃的な出来事が蘇っていた。
「よし次!」
整列した1年が順番に自己紹介していく中、一番端にいた黄瀬に遂に順番が回ってくる。
「オレっスね。じゃーせっかくのトリだし…
1年黄瀬涼太っス!! 趣味はバスケ、特技はカラオケ!あ、 逆だった。
帝光中出身!! ポジションはどこでもOK!! モデルの仕事もやってるから練習あんま出れないかもだけどヨロシクっ」
黄瀬の自己紹介に対して、周囲はザワザワと騒然した。これがキセキの世代かと…加えて、彼のチャラさに愕然としたのだ。
そんな場の雰囲気に対して唯一主将の笠間が静かに動き出す。
「うるせーよ! 聞いたのは名前・出身校・ポジションだけだ! 聞いたことだけハキハキ答えろや、チャラ僧が!!」
黄瀬の自己紹介に対して、沸点が切れた笠松は額に青筋を立てながら彼に飛び蹴りを喰らわした。
「いってぇ!!
ちょっ…スカウトされてきた期待のルーキーにこの仕打ちはなくないっスか!?」
笠松の蹴りで尻もちをついた黄瀬が不平を漏らすが、笠松にはそんなの関係なかった。
「知るか!! 1年が先輩命令に口ごたえしてんじゃねーよ」
この笠松の言葉に黄瀬が反応する。
眉をピクッと動かした黄瀬は、ゆっくりと立ち上がると途端に雰囲気を変えて鬱陶しげに笠松を見下ろした。
「苦手なんスよね…そーゆー堅苦しいの
1・2年早く生まれただけでそんな偉いんスか?
それにバスケもたぶんオレの方がうまいんスけど」
「えれーよ
上手い下手の前にまずここは海常高校バスケットボール部だ。
早く生まれたからじゃねぇ、ここにいる2・3年はみんなお前より長くこのチームで努力し貢献してきた そのことに対する敬意を持てっつってんだ!
"キセキの世代"だろーがカンケーねんだよ。
お前はもう海常1年黄瀬涼太
そんでおれはここの3年キャプテン笠松幸男だ。なんか文句あんのか」
生意気な態度を取る黄瀬に対して、笠松は怯むことなく叱った。その時、黄瀬は何も言い返す言葉が出てこなかった。
何故かすっと心にストンと笠松の言葉が落ちていったのだ。
キセキの世代の黄瀬涼太でなく、海常1年黄瀬涼太…
響きが良く、心地いいと感じた。
という訳で、なんだかんだ不服は多少あるものの郷に入ったら郷に従えという具合で黄瀬は部活には参加していた。
「兄さん」
皆の準備が終わり、整列しさて練習だと思いきや、それを遮るかのように凛とした声が体育館に響き渡った。
え???
一同騒然し、皆一斉にあたりをキョロキョロと見渡した。声の主は、制服姿の状態でショルダーバックを肩に下げている藤色の髪を持つ少女だった。そんな彼女に唯一心当たりがある人物が歩み寄るため足を一歩踏み出した。
「あ??絢雅じゃないか」
体育館の入口にいる声の発生主に声をかけたのはなんと笠松。その事実にまたもや場は騒ぎ出した。
「なんでこんなに皆驚いてるんすか??」
不思議に思った黄瀬は隣りにたまたまいた小堀に小さな声で尋ねた。
「あぁ、黄瀬は知らないのか
笠松はなあぁ見えて女子が苦手なんだよ」
「へぇ!?!?」
黄瀬は目を白黒させた。それと同時に、ようやく最近のおかしな出来事に合点がついた。黄瀬の姿を一目見ようと連日たくさんの女子生徒が押しかけ黄色い声援が体育館に響き渡っていたのだが、その時鬱陶しそうにする笠松の様子が何故か辿々しかったのだ。
いや、そんな事は今はどうでもいい!!
黄瀬はブルブルと頭を振るうと、視界に映る彼女を凝視し、勢いよく駆け寄った。
「絢雅っち〜〜!!おはようっ...」
嬉しそうに飛びつこうとする黄瀬に対して、絢雅は無表情のまま一歩横に移動して回避。勢い余った黄瀬はそのまま床に倒れ込んだ。
「酷いっす〜」
「今すぐ視界から消えてほしいんだけど」
「なんだ?黄瀬と知り合いか??」
この二人の状況に笠松は不思議そうに絢雅を見る。その言葉に絢雅はアメジストの瞳をキュッと細めるとウザそうに言葉を吐き出す。
「ただ絡まれてるだけ」
「き〜〜せ〜〜!!!」
その言葉に眉間にシワを寄せた笠松は形相な表情に。そのまま笠松は、立ち上がろうとしている黄瀬を蹴り飛ばした。
「誤解っす!!」
「絢雅が嘘つくわけ無いだろ!!」
「っーか、先輩と絢雅っちはどういう関係なんすか!!」
「あぁ??えっーとだな...」
親し気な二人の関係に疑問を感じた黄瀬の率直な問いに、笠松は言い淀みながらも言おうとする。だが、そんな彼の視界に映った光景にそれどころでないと動き出す。
「もし良かったら俺と...」
「森山ー!俺の妹を口説くんじゃね!!」
絢雅の前で跪き、彼女の手を取る森山。その先の言動が容易く読み取れた笠松は彼を思い切り蹴り飛ばした。
だが、周囲にいた黄瀬達は女性に声をかける森山を蹴る笠松という日常茶飯的な光景なんて目に入るわけがなく、半ギレ状態の笠松が口走った言葉に耳を疑うのだった。
「…………妹!?!?!?」
蹴り飛ばされた森山も含めて一同、口を揃えて驚きの声をあげる。
「ん、あぁ...厳密に言うと従姉妹なんだがな
松井絢雅だ」
笠松は、後頭部をガシガシと掻きながら彼女との関係を明かし紹介する。その笠松の言葉に絢雅は軽く会釈した。
まさかの衝撃の事実に唖然として黄瀬達中心に言葉を失う中、クスリと小さい笑い声が彼女の口から漏れる。
「随分と個性派揃いで纏めるの大変そうだね」
「んん、まぁーな
そっちはどうなんだ?」
「こっちほどではないけど賑やか」
絢雅は、部活のメンツを思い浮かべながら答えた。
「そういえば俺になんか用か?」
ふと思い出したように尋ねる笠松の視界に映るように、絢雅は手に持っている荷物を見えるように翳した。
「伯母さんからのお届け物」
「あぁ!!忘れてたわ、わりィーな」
その荷物にぎょっとした笠松は、お礼を言いながら絢雅からそれを受け取った。そして、笠松に届け物をし終えた絢雅はもう用はないと背を向けた。
「じゃ朝練頑張って」
「お前もな」
絢雅の姿が消えた後、笠松の隣に立つように小堀が近づく。そして、開口一番にあることを尋ねた。
「お前の妹、何部なんだ??」
「決まってるだろ?もちろん、バスケ部だ。
しかも、次期エース候補のスタメンだ」
小堀の言葉に、笠松は自分のことのように得意げに答えたのだった。
毎朝の早朝練習、いつもの通り体育館に入ってきた黄瀬に対して怒声が飛ぶ。
「ハイっす!!」
そう受け答えしながら黄瀬の脳裏には、初日の部活で受けた衝撃的な出来事が蘇っていた。
「よし次!」
整列した1年が順番に自己紹介していく中、一番端にいた黄瀬に遂に順番が回ってくる。
「オレっスね。じゃーせっかくのトリだし…
1年黄瀬涼太っス!! 趣味はバスケ、特技はカラオケ!あ、 逆だった。
帝光中出身!! ポジションはどこでもOK!! モデルの仕事もやってるから練習あんま出れないかもだけどヨロシクっ」
黄瀬の自己紹介に対して、周囲はザワザワと騒然した。これがキセキの世代かと…加えて、彼のチャラさに愕然としたのだ。
そんな場の雰囲気に対して唯一主将の笠間が静かに動き出す。
「うるせーよ! 聞いたのは名前・出身校・ポジションだけだ! 聞いたことだけハキハキ答えろや、チャラ僧が!!」
黄瀬の自己紹介に対して、沸点が切れた笠松は額に青筋を立てながら彼に飛び蹴りを喰らわした。
「いってぇ!!
ちょっ…スカウトされてきた期待のルーキーにこの仕打ちはなくないっスか!?」
笠松の蹴りで尻もちをついた黄瀬が不平を漏らすが、笠松にはそんなの関係なかった。
「知るか!! 1年が先輩命令に口ごたえしてんじゃねーよ」
この笠松の言葉に黄瀬が反応する。
眉をピクッと動かした黄瀬は、ゆっくりと立ち上がると途端に雰囲気を変えて鬱陶しげに笠松を見下ろした。
「苦手なんスよね…そーゆー堅苦しいの
1・2年早く生まれただけでそんな偉いんスか?
それにバスケもたぶんオレの方がうまいんスけど」
「えれーよ
上手い下手の前にまずここは海常高校バスケットボール部だ。
早く生まれたからじゃねぇ、ここにいる2・3年はみんなお前より長くこのチームで努力し貢献してきた そのことに対する敬意を持てっつってんだ!
"キセキの世代"だろーがカンケーねんだよ。
お前はもう海常1年黄瀬涼太
そんでおれはここの3年キャプテン笠松幸男だ。なんか文句あんのか」
生意気な態度を取る黄瀬に対して、笠松は怯むことなく叱った。その時、黄瀬は何も言い返す言葉が出てこなかった。
何故かすっと心にストンと笠松の言葉が落ちていったのだ。
キセキの世代の黄瀬涼太でなく、海常1年黄瀬涼太…
響きが良く、心地いいと感じた。
という訳で、なんだかんだ不服は多少あるものの郷に入ったら郷に従えという具合で黄瀬は部活には参加していた。
「兄さん」
皆の準備が終わり、整列しさて練習だと思いきや、それを遮るかのように凛とした声が体育館に響き渡った。
え???
一同騒然し、皆一斉にあたりをキョロキョロと見渡した。声の主は、制服姿の状態でショルダーバックを肩に下げている藤色の髪を持つ少女だった。そんな彼女に唯一心当たりがある人物が歩み寄るため足を一歩踏み出した。
「あ??絢雅じゃないか」
体育館の入口にいる声の発生主に声をかけたのはなんと笠松。その事実にまたもや場は騒ぎ出した。
「なんでこんなに皆驚いてるんすか??」
不思議に思った黄瀬は隣りにたまたまいた小堀に小さな声で尋ねた。
「あぁ、黄瀬は知らないのか
笠松はなあぁ見えて女子が苦手なんだよ」
「へぇ!?!?」
黄瀬は目を白黒させた。それと同時に、ようやく最近のおかしな出来事に合点がついた。黄瀬の姿を一目見ようと連日たくさんの女子生徒が押しかけ黄色い声援が体育館に響き渡っていたのだが、その時鬱陶しそうにする笠松の様子が何故か辿々しかったのだ。
いや、そんな事は今はどうでもいい!!
黄瀬はブルブルと頭を振るうと、視界に映る彼女を凝視し、勢いよく駆け寄った。
「絢雅っち〜〜!!おはようっ...」
嬉しそうに飛びつこうとする黄瀬に対して、絢雅は無表情のまま一歩横に移動して回避。勢い余った黄瀬はそのまま床に倒れ込んだ。
「酷いっす〜」
「今すぐ視界から消えてほしいんだけど」
「なんだ?黄瀬と知り合いか??」
この二人の状況に笠松は不思議そうに絢雅を見る。その言葉に絢雅はアメジストの瞳をキュッと細めるとウザそうに言葉を吐き出す。
「ただ絡まれてるだけ」
「き〜〜せ〜〜!!!」
その言葉に眉間にシワを寄せた笠松は形相な表情に。そのまま笠松は、立ち上がろうとしている黄瀬を蹴り飛ばした。
「誤解っす!!」
「絢雅が嘘つくわけ無いだろ!!」
「っーか、先輩と絢雅っちはどういう関係なんすか!!」
「あぁ??えっーとだな...」
親し気な二人の関係に疑問を感じた黄瀬の率直な問いに、笠松は言い淀みながらも言おうとする。だが、そんな彼の視界に映った光景にそれどころでないと動き出す。
「もし良かったら俺と...」
「森山ー!俺の妹を口説くんじゃね!!」
絢雅の前で跪き、彼女の手を取る森山。その先の言動が容易く読み取れた笠松は彼を思い切り蹴り飛ばした。
だが、周囲にいた黄瀬達は女性に声をかける森山を蹴る笠松という日常茶飯的な光景なんて目に入るわけがなく、半ギレ状態の笠松が口走った言葉に耳を疑うのだった。
「…………妹!?!?!?」
蹴り飛ばされた森山も含めて一同、口を揃えて驚きの声をあげる。
「ん、あぁ...厳密に言うと従姉妹なんだがな
松井絢雅だ」
笠松は、後頭部をガシガシと掻きながら彼女との関係を明かし紹介する。その笠松の言葉に絢雅は軽く会釈した。
まさかの衝撃の事実に唖然として黄瀬達中心に言葉を失う中、クスリと小さい笑い声が彼女の口から漏れる。
「随分と個性派揃いで纏めるの大変そうだね」
「んん、まぁーな
そっちはどうなんだ?」
「こっちほどではないけど賑やか」
絢雅は、部活のメンツを思い浮かべながら答えた。
「そういえば俺になんか用か?」
ふと思い出したように尋ねる笠松の視界に映るように、絢雅は手に持っている荷物を見えるように翳した。
「伯母さんからのお届け物」
「あぁ!!忘れてたわ、わりィーな」
その荷物にぎょっとした笠松は、お礼を言いながら絢雅からそれを受け取った。そして、笠松に届け物をし終えた絢雅はもう用はないと背を向けた。
「じゃ朝練頑張って」
「お前もな」
絢雅の姿が消えた後、笠松の隣に立つように小堀が近づく。そして、開口一番にあることを尋ねた。
「お前の妹、何部なんだ??」
「決まってるだろ?もちろん、バスケ部だ。
しかも、次期エース候補のスタメンだ」
小堀の言葉に、笠松は自分のことのように得意げに答えたのだった。