バスケに青春を懸ける
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月日は流れ、秋が過ぎ冬がやってきた
WC
高校バスケットボール3大大会の一つの大きな試合がやってきた
そしてこの試合は3年生にとって最後の大会でもあった。
「いやぁ…もうWCか」
「季節がすぎるのホント早いよね」
「なに染み染みとしてるのさ…これからでしょ!!」
「私達が目指すのはてっぺんでしょ!!」
「そうだね…」
「1試合、1試合…全力で」
「楽しむっきゃないね」
会場に向かう道中……
先輩たちの話を一番後ろで歩きながら絢雅は聞いていた。その話を聞いて改めて絢雅は思い返されられた。
そうだ……この試合がこのチームで戦えるのが最後……
「絢雅!!」
ハッとその声に絢雅は顔を上げると少し先を歩いていた先輩たちが足を止めて振り返っていた。
「……どうしたんですか??」
「力みすぎ…」
「あぁ〜、もしかして緊張してる??」
絢雅は無意識の内にショルダーバックのベルトを握りしめ、唇を噛み締めていたのだ。
そんな絢雅の様子に気づいた彼女達は気になって声をかけたのだ。
「………してないです」
「ホントに〜〜」
ニヤニヤと笑みを浮かべて、肩を組もうとする田邉を絢雅は顔を歪ませて横にずれて回避した。
そんな彼女の対応に頬を膨らます田邉を横目に如月が彼女の前に立った。
「絢雅、勝つよたくさん」
如月のたった一言で、モヤモヤしている絢雅の心に光が射し込んだ。
あぁ…凄いなやっぱりこの人は…
笠松という存在を尊敬している、だがこんな人になりたいという憧れを抱くのは如月だった。
2年後にこんな風になれるだろうか…
絢雅はようやく正常心を取り戻すと、一人一人の顔を見渡した。そして、大きく息を吸い込むとありったけの大きな声を張り上げた。
「……はい!!」
力強い絢雅の言葉に、如月達はホッとした表情を浮かべた。
「ガンガン使ってくからね」
「どんどんパスください、坂井先輩」
「ゴール下はまっかせなさい!!」
「…頼りにしてます、田邉先輩」
「期待してるよ、次期エース」
「それはこっちのセリフです、吉野先輩」
PGの坂井、Cの田邉、PFの吉野、それぞれの彼女たちの言葉に絢雅は頼もしさを感じた。
信頼してもらってる……
わかっていはいるけど、実際に言葉をもらうほど実感が増す言葉。掛けてもらった言葉にひしひしと絢雅の心の奥底でメラメラと闘志が燃え上がってきた。
……このチームで1試合でも多く勝つ!!
絢雅は秘かに誓ったのだ。
勉強でも…スポーツでも……
天賦の才能を持っている人は確実にいる
そんな奴がたとえいても努力という練習を続ければ勝てないわけがない…
ずっと、ずっと…自分に言い聞かせて毎日毎日技術を磨いてきた
凡人だってやれば出来るんだって
証明したかった
一つの事に捧げる情熱、大好きだという気持ちに勝るものはないって思ったから
こんなに勝ちたいと思った試合はない
それでも試合には勝者と敗者が確実に存在する…
自分たちの全てを掛けた勝負なのだから……
「アンタの力じゃ……敵わないよ」
IH優勝校との4決定をかけた試合………
確実に向こうの方が力量は上だった。上には上がいるのだと見せつけられた。
PFとCは確実に競り負け、インサイドからどんどん相手に得点が入っていった
いつも窮地を救ってくれるPGの繊密な戦略もことごとく相手に見透かされチームの武器であるスピードあるパスが機能しなかった
唯一アウトサイドからはかろうじて得点を取れたが、ジリジリと確実に点差は離れていっていた。
クソっと思った矢先にふとマッチアップしている相手に言われたその言葉に絢雅は一気に叩き落された心地に陥った。
「いくら努力したって、才能を超えることはない」
歯をギシっと食いしばった絢雅に目の前の選手は言葉を続ける。
「どんなに頑張っても、アンタはその程度の力しかないよ
超えられない壁は越えることは絶対出来ないんだから」
冷めたような眼で見下されるこの気分は胸糞悪い……
絢雅は、脳のどこかで何かがプツンと切れる音が聞こえた。
「だったら、何??」
「……」
「勝ち目のない試合を諦めるなんてする気さらさらない
超えられない壁??上等だ、超えてやる
がむしゃらにボールを追いかけてしがみつく」
「無駄な足掻きね」
「無駄でもいい
最後の1秒まで走り続ける
私のチームはみんな諦め悪いんだから」
絢雅は不敵に笑みを浮かべて口角を上げた。そんな絢雅の様子をみた彼女は小さくため息をつくとギラッと眼を猛獣のように光らせるのだった。
「じゃ…二度と立ち上がれないようにコテンパンにしてやるよ」
絢雅はギアを上げてドリブルでゴール下に切り込んだ。相手側のCがいたがそんなの気にせずに宙でボールを持つ手を変えてシュートを決めた。
わぁぁぁ!!!
歓声が沸く中、絢雅は懸命にコートを走り回った
息が苦しい…
足が動かないし、頭もクラクラする...
ハァハァと絢雅は肩で息をした。
それでも、魂は
ボールをくれ!!
もっともっと!!この場所に居たい
と叫んでいた
赴くままありったけの声でバスを呼ぶ。坂井からのパスはいつ受けても気持ちよかった。
このメンバーで…このチームで勝ちたい!!
まだまだバスケをしたい!!
この想いが絢雅を突き動かした。
それは他のメンバーも同じだった。絢雅の言う通り、誰一人最後まで勝利を信じて戦った。
それでも届かなかった……
絢雅達は、IH優勝校相手に勝利出来なかったのだった。
ギュッと唇を噛みしめ、俯きながら絢雅は一人闇雲に走っていた。辺りを歩いていた人たちは異様な彼女の様子に慌てて道を開ける始末。
その中、偶然試合を見終えた青年が通りかかる。周囲を見ずに感情のままに走る馴染みがありすぎる彼女を目の前に捕らえた彼は、意図的に彼女の前に出て腕の中に閉じ込めることで止めた。
走っている中、急に誰かに当たってしまった絢雅はというと一気に頭が冷える。直ぐに謝らなければと顔を上げるのだが、ぶつかった人物の存在に気づくと目を見開くのだった。
「す!!すいませ…って黄瀬!?」
なんとぶつかった相手は、黄瀬。顔を見上げた絢雅の視界に映るのは目尻を下げ困った表情をする黄瀬だった。
「なにやってるんすか…」
こんな人混みが多い中を前を見ずに走るなんて、いつ誰に当たってもおかしくない状況を目撃した黄瀬はもちろん呆れ顔。だが、彼女の瞳から涙が流れた跡を見つけた黄瀬は無言のまま絢雅の手を取り歩き出した。
黄瀬に手を引かれるまま絢雅は人気のない外に連れられてきた。黄瀬は絢雅の手を掴んだまま周囲を見渡して誰も人がいないことを確認すると、そっと手を離した。ようやく手を離された絢雅は困惑気味に黄瀬を見上げた。そんな彼女を黄瀬は壊れ物を扱うように抱きしめた。
「………黄瀬??」
「これなら誰にも見られることないすよね」
「えぇ??」
「一人で泣くくらいなら、俺の前で思いっきり泣いて
ダメっすよ…一人で抱えこんだら」
優しい黄瀬の声が絢雅の耳の鼓膜を揺らす。そして、黄瀬の体温に包まれた絢雅は徐々に頑張って抑えていた感情が蓋を開けるように溢れ出すのだった。
頭を黄瀬の胸に預けると絢雅はギュッと黄瀬のシャツを掴んだ。身体を小刻みに震わせ、咽び泣き始めた絢雅を黄瀬は何も声をかけること無く黙って彼女の背を優しく撫でた。
「…ッ!!も…ッ、もっと…!!!
先輩達と…ッ…バスケしたかった!!
このチームで勝ちたかった!!!」
絢雅は悔しそうに唇を噛み締めながら小さく震えた声を発した。
「……絢雅っち」
「悔しい…悔しいよ…黄瀬…」
今にもかき消えそうな声でそう漏らした絢雅は、自責の念にかられていた。どうしても割り切れなかった。思い出すのは試合中の自分のプレー。こうすればよかった、あーすればよかった、色々と考えがよぎるが、絢雅自身もわかっている。もう架空論を巡らましても、過去である結果を覆すことが出来ないと。
「十分頑張ったすよ、絢雅っちは
だから責めないで、自分を」
「黄瀬…
私…ッ…もっと強くなりたいよ」
癇癪を起こしたように周囲を気にすること無くしゃくりあげて泣き始める絢雅を黄瀬は泣き止むまで自身の腕に閉じ込めるのだった。
絢雅の鳴き声は、日が暮れて真っ暗になった夜空に消えていった。
誰にでも弱音を吐きたくない
涙を見せたくない
いつも一人静かに泣いていた絢雅はどうして、黄瀬にだけ自分の弱い一面を見せたのか
それを知るのはだいぶ先である
WC
高校バスケットボール3大大会の一つの大きな試合がやってきた
そしてこの試合は3年生にとって最後の大会でもあった。
「いやぁ…もうWCか」
「季節がすぎるのホント早いよね」
「なに染み染みとしてるのさ…これからでしょ!!」
「私達が目指すのはてっぺんでしょ!!」
「そうだね…」
「1試合、1試合…全力で」
「楽しむっきゃないね」
会場に向かう道中……
先輩たちの話を一番後ろで歩きながら絢雅は聞いていた。その話を聞いて改めて絢雅は思い返されられた。
そうだ……この試合がこのチームで戦えるのが最後……
「絢雅!!」
ハッとその声に絢雅は顔を上げると少し先を歩いていた先輩たちが足を止めて振り返っていた。
「……どうしたんですか??」
「力みすぎ…」
「あぁ〜、もしかして緊張してる??」
絢雅は無意識の内にショルダーバックのベルトを握りしめ、唇を噛み締めていたのだ。
そんな絢雅の様子に気づいた彼女達は気になって声をかけたのだ。
「………してないです」
「ホントに〜〜」
ニヤニヤと笑みを浮かべて、肩を組もうとする田邉を絢雅は顔を歪ませて横にずれて回避した。
そんな彼女の対応に頬を膨らます田邉を横目に如月が彼女の前に立った。
「絢雅、勝つよたくさん」
如月のたった一言で、モヤモヤしている絢雅の心に光が射し込んだ。
あぁ…凄いなやっぱりこの人は…
笠松という存在を尊敬している、だがこんな人になりたいという憧れを抱くのは如月だった。
2年後にこんな風になれるだろうか…
絢雅はようやく正常心を取り戻すと、一人一人の顔を見渡した。そして、大きく息を吸い込むとありったけの大きな声を張り上げた。
「……はい!!」
力強い絢雅の言葉に、如月達はホッとした表情を浮かべた。
「ガンガン使ってくからね」
「どんどんパスください、坂井先輩」
「ゴール下はまっかせなさい!!」
「…頼りにしてます、田邉先輩」
「期待してるよ、次期エース」
「それはこっちのセリフです、吉野先輩」
PGの坂井、Cの田邉、PFの吉野、それぞれの彼女たちの言葉に絢雅は頼もしさを感じた。
信頼してもらってる……
わかっていはいるけど、実際に言葉をもらうほど実感が増す言葉。掛けてもらった言葉にひしひしと絢雅の心の奥底でメラメラと闘志が燃え上がってきた。
……このチームで1試合でも多く勝つ!!
絢雅は秘かに誓ったのだ。
勉強でも…スポーツでも……
天賦の才能を持っている人は確実にいる
そんな奴がたとえいても努力という練習を続ければ勝てないわけがない…
ずっと、ずっと…自分に言い聞かせて毎日毎日技術を磨いてきた
凡人だってやれば出来るんだって
証明したかった
一つの事に捧げる情熱、大好きだという気持ちに勝るものはないって思ったから
こんなに勝ちたいと思った試合はない
それでも試合には勝者と敗者が確実に存在する…
自分たちの全てを掛けた勝負なのだから……
「アンタの力じゃ……敵わないよ」
IH優勝校との4決定をかけた試合………
確実に向こうの方が力量は上だった。上には上がいるのだと見せつけられた。
PFとCは確実に競り負け、インサイドからどんどん相手に得点が入っていった
いつも窮地を救ってくれるPGの繊密な戦略もことごとく相手に見透かされチームの武器であるスピードあるパスが機能しなかった
唯一アウトサイドからはかろうじて得点を取れたが、ジリジリと確実に点差は離れていっていた。
クソっと思った矢先にふとマッチアップしている相手に言われたその言葉に絢雅は一気に叩き落された心地に陥った。
「いくら努力したって、才能を超えることはない」
歯をギシっと食いしばった絢雅に目の前の選手は言葉を続ける。
「どんなに頑張っても、アンタはその程度の力しかないよ
超えられない壁は越えることは絶対出来ないんだから」
冷めたような眼で見下されるこの気分は胸糞悪い……
絢雅は、脳のどこかで何かがプツンと切れる音が聞こえた。
「だったら、何??」
「……」
「勝ち目のない試合を諦めるなんてする気さらさらない
超えられない壁??上等だ、超えてやる
がむしゃらにボールを追いかけてしがみつく」
「無駄な足掻きね」
「無駄でもいい
最後の1秒まで走り続ける
私のチームはみんな諦め悪いんだから」
絢雅は不敵に笑みを浮かべて口角を上げた。そんな絢雅の様子をみた彼女は小さくため息をつくとギラッと眼を猛獣のように光らせるのだった。
「じゃ…二度と立ち上がれないようにコテンパンにしてやるよ」
絢雅はギアを上げてドリブルでゴール下に切り込んだ。相手側のCがいたがそんなの気にせずに宙でボールを持つ手を変えてシュートを決めた。
わぁぁぁ!!!
歓声が沸く中、絢雅は懸命にコートを走り回った
息が苦しい…
足が動かないし、頭もクラクラする...
ハァハァと絢雅は肩で息をした。
それでも、魂は
ボールをくれ!!
もっともっと!!この場所に居たい
と叫んでいた
赴くままありったけの声でバスを呼ぶ。坂井からのパスはいつ受けても気持ちよかった。
このメンバーで…このチームで勝ちたい!!
まだまだバスケをしたい!!
この想いが絢雅を突き動かした。
それは他のメンバーも同じだった。絢雅の言う通り、誰一人最後まで勝利を信じて戦った。
それでも届かなかった……
絢雅達は、IH優勝校相手に勝利出来なかったのだった。
ギュッと唇を噛みしめ、俯きながら絢雅は一人闇雲に走っていた。辺りを歩いていた人たちは異様な彼女の様子に慌てて道を開ける始末。
その中、偶然試合を見終えた青年が通りかかる。周囲を見ずに感情のままに走る馴染みがありすぎる彼女を目の前に捕らえた彼は、意図的に彼女の前に出て腕の中に閉じ込めることで止めた。
走っている中、急に誰かに当たってしまった絢雅はというと一気に頭が冷える。直ぐに謝らなければと顔を上げるのだが、ぶつかった人物の存在に気づくと目を見開くのだった。
「す!!すいませ…って黄瀬!?」
なんとぶつかった相手は、黄瀬。顔を見上げた絢雅の視界に映るのは目尻を下げ困った表情をする黄瀬だった。
「なにやってるんすか…」
こんな人混みが多い中を前を見ずに走るなんて、いつ誰に当たってもおかしくない状況を目撃した黄瀬はもちろん呆れ顔。だが、彼女の瞳から涙が流れた跡を見つけた黄瀬は無言のまま絢雅の手を取り歩き出した。
黄瀬に手を引かれるまま絢雅は人気のない外に連れられてきた。黄瀬は絢雅の手を掴んだまま周囲を見渡して誰も人がいないことを確認すると、そっと手を離した。ようやく手を離された絢雅は困惑気味に黄瀬を見上げた。そんな彼女を黄瀬は壊れ物を扱うように抱きしめた。
「………黄瀬??」
「これなら誰にも見られることないすよね」
「えぇ??」
「一人で泣くくらいなら、俺の前で思いっきり泣いて
ダメっすよ…一人で抱えこんだら」
優しい黄瀬の声が絢雅の耳の鼓膜を揺らす。そして、黄瀬の体温に包まれた絢雅は徐々に頑張って抑えていた感情が蓋を開けるように溢れ出すのだった。
頭を黄瀬の胸に預けると絢雅はギュッと黄瀬のシャツを掴んだ。身体を小刻みに震わせ、咽び泣き始めた絢雅を黄瀬は何も声をかけること無く黙って彼女の背を優しく撫でた。
「…ッ!!も…ッ、もっと…!!!
先輩達と…ッ…バスケしたかった!!
このチームで勝ちたかった!!!」
絢雅は悔しそうに唇を噛み締めながら小さく震えた声を発した。
「……絢雅っち」
「悔しい…悔しいよ…黄瀬…」
今にもかき消えそうな声でそう漏らした絢雅は、自責の念にかられていた。どうしても割り切れなかった。思い出すのは試合中の自分のプレー。こうすればよかった、あーすればよかった、色々と考えがよぎるが、絢雅自身もわかっている。もう架空論を巡らましても、過去である結果を覆すことが出来ないと。
「十分頑張ったすよ、絢雅っちは
だから責めないで、自分を」
「黄瀬…
私…ッ…もっと強くなりたいよ」
癇癪を起こしたように周囲を気にすること無くしゃくりあげて泣き始める絢雅を黄瀬は泣き止むまで自身の腕に閉じ込めるのだった。
絢雅の鳴き声は、日が暮れて真っ暗になった夜空に消えていった。
誰にでも弱音を吐きたくない
涙を見せたくない
いつも一人静かに泣いていた絢雅はどうして、黄瀬にだけ自分の弱い一面を見せたのか
それを知るのはだいぶ先である