バスケに青春を懸ける
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無残に試合の終了を知らせる笛が響き渡った。
あ…叶わなかったのか…
急に力が抜けた絢雅の身体はへなりと座席に沈み込んだ。そんな彼女の瞳に映ったのは、悔しそうに立ち上がろうとしても足が限界で何度も座り込む黄瀬。床にクソっと拳を突いて悔し涙を流していた。そんな彼に笠松は手を差し伸べていた。
黄瀬に対して励ましの声をかけ
暗い空気のチームを活気づけ
チーム全体を引き纏める
これこそホントの主将の鏡でないか
笠松の偉大さに絢雅が感服していると、ため息混じりの声が聞こえてきた。
「あーぁ…強がっちゃって」
そんな笠松の姿に対して、ポツリと声を漏らしたのは如月だった。
「えぇ??」
思わず絢雅は如月の方を振り向いた。そんな彼女に、如月は悲しげに小さく表情を崩した。
「アイツは、きっとどこか人知れず悔し涙を流すよ
誰よりも…優勝に強い想いを抱いてたからね」
「あの…先輩」
絢雅は、兄という笠松しか知らない。だからこそ、気になった。
一体どんだけ重たい重責を抱えているのか…
如月の言葉を聞き終えると、礼を言うこと無く絢雅は一目散に走り出した。
「……意外と後先考えないよね」
「まぁ…自分の気持ちに真っ直ぐでいいんじゃない??」
「普段は出さないけど、内に熱いもの秘めてるよね」
「出せばいいのに〜〜」
「いや…出したら出したで面倒くない?」
「熱血漢、溢れる絢雅かぁ…想像しにくい」
「笠松の性格に異常なバスケ馬鹿が加わるって考えると御免被りたいね」
絢雅の駆ける後ろ姿を見て、彼女たちは苦笑した。
「あれ??そういえば、笠松先輩は??」
ふと荷物を背負って歩いていた黄瀬がいない笠松の存在に疑問を抱いた。その黄瀬の漏らした声に、少し前に歩いていた森山が足を止めて、歯切れ悪く答えた。
「あ…あぁ…先行ってろってさ」
「俺、様子見てくるっすよ」
その言葉に黄瀬は引き返そうとするが、そんな彼をいつになく真剣な表情をした森山が止めた。
「良いからやめとけ!!」
その声に黄瀬はハッとした。
脳裏にとっさに駆け巡るのは試合前にやり取りした会話だった。
「IHに来てからよくそうしてるっすね」
廊下のベンチに座り込み考え込む笠松を呼びに来た黄瀬はふと疑問をぶつけた。
「うちは去年のIH、優勝すら望める過去最強のメンバーだったが結果は知ってるか?」
唐突に投げかけられた問い。それに対し黄瀬はかすかな記憶を思い起こす。
「確か…
初戦敗退…」
「あれは俺のせいだ…
一点差の土壇場でパスミスして逆転をゆるした。
先輩たちの涙…
OBたちからの非難…
俺はやめようとまで思った。
けど…監督は俺をキャプテンに選んで言った。
『だから…お前がやれ…』と
その時に俺は決めた。
償えるとは思ってねぇ、救われるつもりもねぇ…
それでもIHで優勝する。
それが俺のけじめでキャプテンとしての存在意義だ。」
そうだ…今は戻っちゃだめだ
そんな暇あったら進め!!一歩でも前へ!!
唇を噛み締め黄瀬は戻ること無く前に歩いた。
海常の控室にたどり着いた絢雅は。その部屋の中から聞こえてくる笠松の悔しげに吐き出される嗚咽を壁に凭れ掛かってジッと静かに聞いていた。
普段は弱音を吐かずに部員を叱咤してまとめ上げてるけど…誰よりも一番自分に厳しい
何故なら、自分が一番許せないから…
自分のたかが一つのミスで優勝を期待されてたチームが一回戦で敗退してしまった
だから、主将としてチームを優勝させたいという気持ちが人一倍強いんだよ
「何も…知らなかった」
絢雅は、無意識で唇を噛み締めた。
自分の事を棚に上げるが、もっと弱音を吐いて欲しい…
いつも甘やかされ、勇気をくれる言葉や励ましの言葉をもらってるだけ、何か自ら与えたことはあったのだろうか……
絢雅は自問自答を暫くした。
「あれ??絢雅じゃねーか」
絢雅の思考をふと止めたのは控室から出てきた笠松の声だった。いつの間にか、笠松は溜めていた感情を吐き出し終わりスッキリした表情になっていたのだ。
だが、控室から出た途端視界に飛び込んできた絢雅の姿に笠松は眼を見張った。と、同時に状況を理解してバツが悪そうに頭をガシガシと掻いた。
「もしかして…聞いちまったか??」
その声に絢雅は小さく頷くと俯いた。そんな彼女に笠松はフッと小さく笑うと近づいた。
「なんつー顔してんだよ」
その声と同時に大きな手が頭上に乗せられた事に絢雅は気づく。その手は絢雅の髪をワシャワシャと激しく撫でた。
「ちょ!!ちょっと!!兄さん!!」
絹のように細い藤色の髪は、笠松の手によりグシャグシャに。思わず絢雅は、不満げに声を上げた。そして笠松の手を振り払い顔を上げるのだが、絢雅は喉から出そうとした言葉を引っ込めてしまった。何故なら、視界に映る笠松の表情があまりにも柔らかかったからだ。
「おっと...悪い悪い」
小さく笑みを溢しながら笠松は今度は優しく絢雅の藤色の髪を整えるように撫でた。その優しく温かい手の感触に絢雅は思わず頬を緩ました。
「絢雅はそのままでいい」
ポツリと漏らした笠松の声に絢雅は後ろめそうに表情を曇らした。
「でも…兄さんにもらってばっかで何もあげられてない」
「……そんな事ないぜ」
そんな絢雅の考えなどふっ飛ばすような言葉を笠松は彼女の頭に手を置きながら声をかけた。
親の勧めで始めたミニバスケ
その姿を見て直ぐに興味を持ったのは絢雅だった。
バスケ……したい
キラキラとした瞳でボールを持って見上げてきた絢雅。そこから、笠松の見様見真似で始めた絢雅の熱心にバスケをする姿に笠松は何度も救われた。
純粋な絢雅の瞳
バスケに対する絢雅の姿勢
心の底から楽しむ絢雅のバスケをするプレー
何度も挫折しそうになった時に、笠松は絢雅のバスケに救われていたのだ。
「俺は何度も絢雅に助けられてんだからな」
「……ッ!...グスッ!兄さんの馬鹿」
頭上に置かれてる温かい手、予想を遥かに上回るたった一言の言葉に絢雅は嬉しすぎて胸が熱くなった。そして無意識のうちに高鳴った感情が溢れてしまっていた。
「はぁ??なんで馬鹿って言われねぇーといけねーんだよ」
「だって…励まそうとしたのになんで逆に私が励まされてるのよ」
「んぁ??俺は嬉しかったぜ
ドア開けたら真っ先にお前が目に入ったこと」
ポンポンとあやすように大きな手が絢雅の頭を叩く。それで更に涙が溢れてしまった絢雅は笠松の手から離れるように数歩下がると、急いで腕で涙を拭った。
「あーもう、兄さんのせいで顔がグシャグシャ」
「俺のせいにすんな!」
「いったい!」
互いに互いを小突き合った二人は暫くすると自然に笑みが溢れた。
そして静かな廊下に彼らの笑い声が暫く響き渡った。
そしてようやく落ち着きを取り戻した二人は真剣な面付を浮かべ、次に向けて思いを馳せた。
「互いにWCでリベンジだな」
「次はもっと上に行く」
もっともっと高みを目指し、二人は気持ちを新たに前へ歩き出した。
あ…叶わなかったのか…
急に力が抜けた絢雅の身体はへなりと座席に沈み込んだ。そんな彼女の瞳に映ったのは、悔しそうに立ち上がろうとしても足が限界で何度も座り込む黄瀬。床にクソっと拳を突いて悔し涙を流していた。そんな彼に笠松は手を差し伸べていた。
黄瀬に対して励ましの声をかけ
暗い空気のチームを活気づけ
チーム全体を引き纏める
これこそホントの主将の鏡でないか
笠松の偉大さに絢雅が感服していると、ため息混じりの声が聞こえてきた。
「あーぁ…強がっちゃって」
そんな笠松の姿に対して、ポツリと声を漏らしたのは如月だった。
「えぇ??」
思わず絢雅は如月の方を振り向いた。そんな彼女に、如月は悲しげに小さく表情を崩した。
「アイツは、きっとどこか人知れず悔し涙を流すよ
誰よりも…優勝に強い想いを抱いてたからね」
「あの…先輩」
絢雅は、兄という笠松しか知らない。だからこそ、気になった。
一体どんだけ重たい重責を抱えているのか…
如月の言葉を聞き終えると、礼を言うこと無く絢雅は一目散に走り出した。
「……意外と後先考えないよね」
「まぁ…自分の気持ちに真っ直ぐでいいんじゃない??」
「普段は出さないけど、内に熱いもの秘めてるよね」
「出せばいいのに〜〜」
「いや…出したら出したで面倒くない?」
「熱血漢、溢れる絢雅かぁ…想像しにくい」
「笠松の性格に異常なバスケ馬鹿が加わるって考えると御免被りたいね」
絢雅の駆ける後ろ姿を見て、彼女たちは苦笑した。
「あれ??そういえば、笠松先輩は??」
ふと荷物を背負って歩いていた黄瀬がいない笠松の存在に疑問を抱いた。その黄瀬の漏らした声に、少し前に歩いていた森山が足を止めて、歯切れ悪く答えた。
「あ…あぁ…先行ってろってさ」
「俺、様子見てくるっすよ」
その言葉に黄瀬は引き返そうとするが、そんな彼をいつになく真剣な表情をした森山が止めた。
「良いからやめとけ!!」
その声に黄瀬はハッとした。
脳裏にとっさに駆け巡るのは試合前にやり取りした会話だった。
「IHに来てからよくそうしてるっすね」
廊下のベンチに座り込み考え込む笠松を呼びに来た黄瀬はふと疑問をぶつけた。
「うちは去年のIH、優勝すら望める過去最強のメンバーだったが結果は知ってるか?」
唐突に投げかけられた問い。それに対し黄瀬はかすかな記憶を思い起こす。
「確か…
初戦敗退…」
「あれは俺のせいだ…
一点差の土壇場でパスミスして逆転をゆるした。
先輩たちの涙…
OBたちからの非難…
俺はやめようとまで思った。
けど…監督は俺をキャプテンに選んで言った。
『だから…お前がやれ…』と
その時に俺は決めた。
償えるとは思ってねぇ、救われるつもりもねぇ…
それでもIHで優勝する。
それが俺のけじめでキャプテンとしての存在意義だ。」
そうだ…今は戻っちゃだめだ
そんな暇あったら進め!!一歩でも前へ!!
唇を噛み締め黄瀬は戻ること無く前に歩いた。
海常の控室にたどり着いた絢雅は。その部屋の中から聞こえてくる笠松の悔しげに吐き出される嗚咽を壁に凭れ掛かってジッと静かに聞いていた。
普段は弱音を吐かずに部員を叱咤してまとめ上げてるけど…誰よりも一番自分に厳しい
何故なら、自分が一番許せないから…
自分のたかが一つのミスで優勝を期待されてたチームが一回戦で敗退してしまった
だから、主将としてチームを優勝させたいという気持ちが人一倍強いんだよ
「何も…知らなかった」
絢雅は、無意識で唇を噛み締めた。
自分の事を棚に上げるが、もっと弱音を吐いて欲しい…
いつも甘やかされ、勇気をくれる言葉や励ましの言葉をもらってるだけ、何か自ら与えたことはあったのだろうか……
絢雅は自問自答を暫くした。
「あれ??絢雅じゃねーか」
絢雅の思考をふと止めたのは控室から出てきた笠松の声だった。いつの間にか、笠松は溜めていた感情を吐き出し終わりスッキリした表情になっていたのだ。
だが、控室から出た途端視界に飛び込んできた絢雅の姿に笠松は眼を見張った。と、同時に状況を理解してバツが悪そうに頭をガシガシと掻いた。
「もしかして…聞いちまったか??」
その声に絢雅は小さく頷くと俯いた。そんな彼女に笠松はフッと小さく笑うと近づいた。
「なんつー顔してんだよ」
その声と同時に大きな手が頭上に乗せられた事に絢雅は気づく。その手は絢雅の髪をワシャワシャと激しく撫でた。
「ちょ!!ちょっと!!兄さん!!」
絹のように細い藤色の髪は、笠松の手によりグシャグシャに。思わず絢雅は、不満げに声を上げた。そして笠松の手を振り払い顔を上げるのだが、絢雅は喉から出そうとした言葉を引っ込めてしまった。何故なら、視界に映る笠松の表情があまりにも柔らかかったからだ。
「おっと...悪い悪い」
小さく笑みを溢しながら笠松は今度は優しく絢雅の藤色の髪を整えるように撫でた。その優しく温かい手の感触に絢雅は思わず頬を緩ました。
「絢雅はそのままでいい」
ポツリと漏らした笠松の声に絢雅は後ろめそうに表情を曇らした。
「でも…兄さんにもらってばっかで何もあげられてない」
「……そんな事ないぜ」
そんな絢雅の考えなどふっ飛ばすような言葉を笠松は彼女の頭に手を置きながら声をかけた。
親の勧めで始めたミニバスケ
その姿を見て直ぐに興味を持ったのは絢雅だった。
バスケ……したい
キラキラとした瞳でボールを持って見上げてきた絢雅。そこから、笠松の見様見真似で始めた絢雅の熱心にバスケをする姿に笠松は何度も救われた。
純粋な絢雅の瞳
バスケに対する絢雅の姿勢
心の底から楽しむ絢雅のバスケをするプレー
何度も挫折しそうになった時に、笠松は絢雅のバスケに救われていたのだ。
「俺は何度も絢雅に助けられてんだからな」
「……ッ!...グスッ!兄さんの馬鹿」
頭上に置かれてる温かい手、予想を遥かに上回るたった一言の言葉に絢雅は嬉しすぎて胸が熱くなった。そして無意識のうちに高鳴った感情が溢れてしまっていた。
「はぁ??なんで馬鹿って言われねぇーといけねーんだよ」
「だって…励まそうとしたのになんで逆に私が励まされてるのよ」
「んぁ??俺は嬉しかったぜ
ドア開けたら真っ先にお前が目に入ったこと」
ポンポンとあやすように大きな手が絢雅の頭を叩く。それで更に涙が溢れてしまった絢雅は笠松の手から離れるように数歩下がると、急いで腕で涙を拭った。
「あーもう、兄さんのせいで顔がグシャグシャ」
「俺のせいにすんな!」
「いったい!」
互いに互いを小突き合った二人は暫くすると自然に笑みが溢れた。
そして静かな廊下に彼らの笑い声が暫く響き渡った。
そしてようやく落ち着きを取り戻した二人は真剣な面付を浮かべ、次に向けて思いを馳せた。
「互いにWCでリベンジだな」
「次はもっと上に行く」
もっともっと高みを目指し、二人は気持ちを新たに前へ歩き出した。