バスケに青春を懸ける
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「今日は桐皇学園とだね…」
「そうっすね」
ジリジリと肌を焼くような熱い夏、海常メンバーはIH会場に来ていた。順調に勝ち上がった彼ら達はともにベスト8まで駒を進めていた。
男子チームの次の対戦相手は、青峰率いる桐皇学園だったのだ。
外で、風に当たり物思いに耽っている黄瀬の後ろ姿をふと見かけた絢雅は思わず足が彼の方へ動いてしまったのだ。
だが、黄瀬は絢雅に気づき嬉しそうに飛びつく素振りを見せることなく、どこまでも続く青い空を静かに見ていた。
そんないつもと違う黄瀬の雰囲気に絢雅は目を見張った。
「……黄瀬って大人しく出来るんだ」
「俺をなんだと思ってるんすか」
やっと視線をこちらに向けた黄瀬は目尻を下げ、肩をすくめてみせた。
「……ギャンギャン騒ぐ駄犬??」
「そんな~!俺ずっとそう思われてたんすか」
黄瀬は思わず表情を歪めた。だが、すぐ表情を引っ込めると空を見上げた。
「俺って、基本ちょっと見れば何でもできるじゃないすか…」
「自慢話なら、私直ぐに踵を返して立ち去るけど…」
「ちょ!最後まで話聞いて欲しいから口火を切ったのにそれはないっすよ」
「はぁ……わかった、話続けて」
「スポーツは好き、だけどやったらすぐ出来て、暫くやったら相手がいなくなっちゃうから毎日がつまんなかったんす
誰でもいい…俺を燃えさせてくれる相手が欲しかった…
そんな時俺は出会った…手も足もでない凄いやつに」
出逢いは突然…
歩いていた黄瀬の後頭部にゴツっとボールが当たる
いってぇ…と振り返った黄瀬の視界に入ったのは、群青色の光
ボールを受け取った彼は悪い悪いと謝ると直様、体育館へ
その姿に惹きつけられるように体育館へ足を運んだ黄瀬は彼のバスケに激しく心を動かされたのだ。
この先、俺がどんなに頑張っても追いつけないかもしれない
けどだからいい
この人とバスケがしてみたい
そして…いつか…いつか!!
空に想いを馳せながら隣に立つ絢雅に語る黄瀬の表情は、まるで少年のようにキラキラとしていた。憧れの人に対する尊敬、そしていつか彼を越えたいという強い想いが絢雅の胸に痛く響いた。
「………その人が青峰だったんだ」
「そうっす
いつか勝ちたい…そう思ってた」
黄金の瞳を閉じると黄瀬はそう呟く。彼を後押しするように夏風が優しく吹き金色の髪をそよいだ。
「でも、もういつかじゃない…
今勝ちたいんだ」
ゆっくりと眼を開けると黄瀬は絢雅の方を向き言い切った。黄瀬の黄金の眼はいつになく輝いていて、その奥にはメラメラと燃える炎が見えた。その表情に、絢雅は眼を細めて嬉しそうに口角を上げた。
「……いい目するようになったね」
黄瀬の瞳の輝きに熱意に絢雅は思わずニヤけた。
勝って欲しい…海常のエースとしても…黄瀬涼太としても…
絢雅はグッと拳を握ると鼓舞するように黄瀬の胸に突き出した。
「思いっきりぶつかって
……勝ってこい」
海常を勝たせたいという気持ちももちろんある、だがその感情以上に勝るのは青峰に勝ちたいという闘争心
黄瀬のその想いを肯定するような絢雅の力強い言葉に黄瀬は嬉しさを感じた。
「見ててよ!!絢雅っち!!俺勝つっすよ」
黄瀬は、目の前の彼女に向けて満面の笑みを零した。
自分のためにも…こんな自分を応援してくれる絢雅のためにも
黄瀬は新たな想いを背負って青峰との対決に向かうのだった。
海常と桐皇との一戦が始まった
第一クォーターは海常のリードで終える。だが、第ニクォーターから青峰が尻上がりに調子を上げてきた。青峰の動きを読む黄瀬の動きのさらに先を読み青峰が次々と交わし点を入れていく。ジリジリと青峰を抑えきれなくなってきた。それでも、海常は黄瀬にボールを集めた。なぜなら、海常のエースは黄瀬だからだ。
そして同点で海常がタイムアウトを取った時、黄瀬はある覚悟を固めた。
それは、青峰のプレーの模倣
でも、それにはリスクがついていた。青峰の動き一つ一つを注意深く観察する時間、そこまでチームが桐皇に着いていけるかの問題。加えて、その模倣が完成するまでに時間が果たして間に合うのか…
それでもそのリスクを承知の上で笠松達は了承した。海常のエースをとことん信じて支える。
黄瀬ならできる!!
笠松達は黄瀬を信じて桐皇に喰らいつくことを決意した。
人は憧れると、その人が負けてほしくないと心の奥底で願ってしまう。
黄瀬も薄々気づいてた、青峰の模倣が出来ない原因を
あぁ…クソ、やっぱめちゃくちゃカッコいいな
青峰と対峙して黄瀬は心からそう思った。そして改めて実感した。
人にはマネできない唯一絶対のスタイルを持つ青峰に憧れてバスケを始めたのだと。
「勝ちたいと願いつつ、心の底では負けて欲しくないと思うから
だから…
憧れるのはもう……やめる」
黄瀬は、勝つために青峰に対する憧れを切り捨てた。結果、黄瀬の変わり目の兆候が早くも第三クォーターで見られた。
15点差……
エースを信じて笠松達はその点差を必死に守った。そんな彼らの姿に黄瀬は黒子の言っていたことを思い起こした。
チームのために今俺が成すべきことは……
そして、黄瀬は遂に青峰の模倣を完成させた。
青い光と黄色い光の激しいぶつかりあい
観客席で見ていた絢雅は手に汗を握る思いで見ていた。
「一瞬も気が抜けないわね」
「8点差と10点差をずっと行き来している状態……
差が縮まらなず、流れが一向に変わらないなんて」
彼女の周囲に座っていた如月と坂井は思わず小さく息をついた。
「そういえば…絢雅はなんでそんなに力が入ってるの??」
不思議そうに田邉がいつになく真剣にコートを見ている絢雅に尋ねた。
「……勝ってほしいんです、アイツに」
田邉の問いに絢雅は視線を逸らすこと無く答えた。
いつになく、感情が込められた絢雅の声に彼女たちは小さく笑みを零した。
どうか……黄瀬の努力が、想いが報われますように…
だが、絢雅のその想いが届くことはなかった。
桐皇側のミスで緊張の糸が解け、海常の攻撃。これを取れば、一気に海常に活気がつき流れを引き寄せることができるかもしれないという大事な局面。
黄瀬と青峰の睨めあうという硬直状態という、激しい読みあいが起こる。
そして、黄瀬が取った選択は後方にいた笠松へのパスだった。
意表をつくようなプレーに、流石の青峰も防げないだろうと思った。
だが、青峰はわかっていたかのようにそれをあっさりとボールを弾いた。個人プレー重視の青峰を模倣した黄瀬のたった一つの目線のフェイク。それは仲間を頼ることがない青峰が絶対やることがない動作だった。だから、青峰は黄瀬の取る行動を見抜いたのだ。
唯一のチャンスを逃した…この試合はもう…
呆然と立ち尽くす黄瀬。そんな彼に喝を入れるように笠松がどついた。
「切り替えろ!!
まだ試合は終わっちゃいねーぞ!!」
その声に振り向いた黄瀬は彼らの諦めていない表情を見て、小さく笑みを零した。
最後まで諦めちゃいけない…
その行為は絢雅の気持ちを踏みにじることにもなるから
ふと、観客席に視線を向けるとすぐに黄瀬の視界に藤色の髪が入った。
絢雅の姿を確認すると黄瀬は、直ぐに視線をコート上に戻した。
海常のメンバーは誰一人最後まで試合を捨てるとこなく全力で走り回った。
「負けるだけならまだしも俺だけ諦めるわけにはいかんーすわ
敗因があるとしたら…まだ力が足りなかっただけっす」
青峰のダンクを止めようと飛び上がった黄瀬は悲痛な表情を浮かべてそう答えた。
「当たり前のことをいってんじゃねーよ」
その言葉に青峰は小さく鼻を鳴らして答えると、目の前の黄瀬を退けてそのままボールをゴールへ打ち込むのだった。
「そうっすね」
ジリジリと肌を焼くような熱い夏、海常メンバーはIH会場に来ていた。順調に勝ち上がった彼ら達はともにベスト8まで駒を進めていた。
男子チームの次の対戦相手は、青峰率いる桐皇学園だったのだ。
外で、風に当たり物思いに耽っている黄瀬の後ろ姿をふと見かけた絢雅は思わず足が彼の方へ動いてしまったのだ。
だが、黄瀬は絢雅に気づき嬉しそうに飛びつく素振りを見せることなく、どこまでも続く青い空を静かに見ていた。
そんないつもと違う黄瀬の雰囲気に絢雅は目を見張った。
「……黄瀬って大人しく出来るんだ」
「俺をなんだと思ってるんすか」
やっと視線をこちらに向けた黄瀬は目尻を下げ、肩をすくめてみせた。
「……ギャンギャン騒ぐ駄犬??」
「そんな~!俺ずっとそう思われてたんすか」
黄瀬は思わず表情を歪めた。だが、すぐ表情を引っ込めると空を見上げた。
「俺って、基本ちょっと見れば何でもできるじゃないすか…」
「自慢話なら、私直ぐに踵を返して立ち去るけど…」
「ちょ!最後まで話聞いて欲しいから口火を切ったのにそれはないっすよ」
「はぁ……わかった、話続けて」
「スポーツは好き、だけどやったらすぐ出来て、暫くやったら相手がいなくなっちゃうから毎日がつまんなかったんす
誰でもいい…俺を燃えさせてくれる相手が欲しかった…
そんな時俺は出会った…手も足もでない凄いやつに」
出逢いは突然…
歩いていた黄瀬の後頭部にゴツっとボールが当たる
いってぇ…と振り返った黄瀬の視界に入ったのは、群青色の光
ボールを受け取った彼は悪い悪いと謝ると直様、体育館へ
その姿に惹きつけられるように体育館へ足を運んだ黄瀬は彼のバスケに激しく心を動かされたのだ。
この先、俺がどんなに頑張っても追いつけないかもしれない
けどだからいい
この人とバスケがしてみたい
そして…いつか…いつか!!
空に想いを馳せながら隣に立つ絢雅に語る黄瀬の表情は、まるで少年のようにキラキラとしていた。憧れの人に対する尊敬、そしていつか彼を越えたいという強い想いが絢雅の胸に痛く響いた。
「………その人が青峰だったんだ」
「そうっす
いつか勝ちたい…そう思ってた」
黄金の瞳を閉じると黄瀬はそう呟く。彼を後押しするように夏風が優しく吹き金色の髪をそよいだ。
「でも、もういつかじゃない…
今勝ちたいんだ」
ゆっくりと眼を開けると黄瀬は絢雅の方を向き言い切った。黄瀬の黄金の眼はいつになく輝いていて、その奥にはメラメラと燃える炎が見えた。その表情に、絢雅は眼を細めて嬉しそうに口角を上げた。
「……いい目するようになったね」
黄瀬の瞳の輝きに熱意に絢雅は思わずニヤけた。
勝って欲しい…海常のエースとしても…黄瀬涼太としても…
絢雅はグッと拳を握ると鼓舞するように黄瀬の胸に突き出した。
「思いっきりぶつかって
……勝ってこい」
海常を勝たせたいという気持ちももちろんある、だがその感情以上に勝るのは青峰に勝ちたいという闘争心
黄瀬のその想いを肯定するような絢雅の力強い言葉に黄瀬は嬉しさを感じた。
「見ててよ!!絢雅っち!!俺勝つっすよ」
黄瀬は、目の前の彼女に向けて満面の笑みを零した。
自分のためにも…こんな自分を応援してくれる絢雅のためにも
黄瀬は新たな想いを背負って青峰との対決に向かうのだった。
海常と桐皇との一戦が始まった
第一クォーターは海常のリードで終える。だが、第ニクォーターから青峰が尻上がりに調子を上げてきた。青峰の動きを読む黄瀬の動きのさらに先を読み青峰が次々と交わし点を入れていく。ジリジリと青峰を抑えきれなくなってきた。それでも、海常は黄瀬にボールを集めた。なぜなら、海常のエースは黄瀬だからだ。
そして同点で海常がタイムアウトを取った時、黄瀬はある覚悟を固めた。
それは、青峰のプレーの模倣
でも、それにはリスクがついていた。青峰の動き一つ一つを注意深く観察する時間、そこまでチームが桐皇に着いていけるかの問題。加えて、その模倣が完成するまでに時間が果たして間に合うのか…
それでもそのリスクを承知の上で笠松達は了承した。海常のエースをとことん信じて支える。
黄瀬ならできる!!
笠松達は黄瀬を信じて桐皇に喰らいつくことを決意した。
人は憧れると、その人が負けてほしくないと心の奥底で願ってしまう。
黄瀬も薄々気づいてた、青峰の模倣が出来ない原因を
あぁ…クソ、やっぱめちゃくちゃカッコいいな
青峰と対峙して黄瀬は心からそう思った。そして改めて実感した。
人にはマネできない唯一絶対のスタイルを持つ青峰に憧れてバスケを始めたのだと。
「勝ちたいと願いつつ、心の底では負けて欲しくないと思うから
だから…
憧れるのはもう……やめる」
黄瀬は、勝つために青峰に対する憧れを切り捨てた。結果、黄瀬の変わり目の兆候が早くも第三クォーターで見られた。
15点差……
エースを信じて笠松達はその点差を必死に守った。そんな彼らの姿に黄瀬は黒子の言っていたことを思い起こした。
チームのために今俺が成すべきことは……
そして、黄瀬は遂に青峰の模倣を完成させた。
青い光と黄色い光の激しいぶつかりあい
観客席で見ていた絢雅は手に汗を握る思いで見ていた。
「一瞬も気が抜けないわね」
「8点差と10点差をずっと行き来している状態……
差が縮まらなず、流れが一向に変わらないなんて」
彼女の周囲に座っていた如月と坂井は思わず小さく息をついた。
「そういえば…絢雅はなんでそんなに力が入ってるの??」
不思議そうに田邉がいつになく真剣にコートを見ている絢雅に尋ねた。
「……勝ってほしいんです、アイツに」
田邉の問いに絢雅は視線を逸らすこと無く答えた。
いつになく、感情が込められた絢雅の声に彼女たちは小さく笑みを零した。
どうか……黄瀬の努力が、想いが報われますように…
だが、絢雅のその想いが届くことはなかった。
桐皇側のミスで緊張の糸が解け、海常の攻撃。これを取れば、一気に海常に活気がつき流れを引き寄せることができるかもしれないという大事な局面。
黄瀬と青峰の睨めあうという硬直状態という、激しい読みあいが起こる。
そして、黄瀬が取った選択は後方にいた笠松へのパスだった。
意表をつくようなプレーに、流石の青峰も防げないだろうと思った。
だが、青峰はわかっていたかのようにそれをあっさりとボールを弾いた。個人プレー重視の青峰を模倣した黄瀬のたった一つの目線のフェイク。それは仲間を頼ることがない青峰が絶対やることがない動作だった。だから、青峰は黄瀬の取る行動を見抜いたのだ。
唯一のチャンスを逃した…この試合はもう…
呆然と立ち尽くす黄瀬。そんな彼に喝を入れるように笠松がどついた。
「切り替えろ!!
まだ試合は終わっちゃいねーぞ!!」
その声に振り向いた黄瀬は彼らの諦めていない表情を見て、小さく笑みを零した。
最後まで諦めちゃいけない…
その行為は絢雅の気持ちを踏みにじることにもなるから
ふと、観客席に視線を向けるとすぐに黄瀬の視界に藤色の髪が入った。
絢雅の姿を確認すると黄瀬は、直ぐに視線をコート上に戻した。
海常のメンバーは誰一人最後まで試合を捨てるとこなく全力で走り回った。
「負けるだけならまだしも俺だけ諦めるわけにはいかんーすわ
敗因があるとしたら…まだ力が足りなかっただけっす」
青峰のダンクを止めようと飛び上がった黄瀬は悲痛な表情を浮かべてそう答えた。
「当たり前のことをいってんじゃねーよ」
その言葉に青峰は小さく鼻を鳴らして答えると、目の前の黄瀬を退けてそのままボールをゴールへ打ち込むのだった。