バスケに青春を懸ける
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「ありや...また遅刻っすわ..しかもまた負けてるし」
「黄瀬がグダグダしてるからでしょ」
「俺のせい?!?!」
中間テストも終わり、東京都で行われているIH出場校を決める試合会場の観客席にひょっこりと現れたのは黄瀬と絢雅だった。ホントは、笠松も誘ったのだが、蹴りを喰らって断られてしまったのだ。この調子だと一人で行く羽目になると思いきや、ダメ元で絢雅を誘ったところ一発オッケー。
キセキの世代は嫌いだ。それでも、誠凛がぎゃふんといわせてくれるのではないかと淡い気持ちを抱いたのと、純粋に青峰のプレーを見てみたいという気持ちが絢雅にあっただけなのだが…
既に始まっている誠凛対桐皇の試合を横目に見て二人は歩くのだが、丁度目の前に見覚えのある人物が入りこんできて足を止めるのだった。
一人静かにコート上で行われている試合を眺めている、緑色髪が特徴的な青年。
「緑間っち」
「黄瀬!」
ビクリと黄瀬に声をかけられた緑間は振り向き、視界に黄瀬を捉えた。そんな緑間ははいつもの眼鏡をしていなく、何故かサングラスをかけていた。ビクリと黄瀬の存在に驚いた緑間、と同時に彼が持っていた箱の蓋が開く。
「何故気づいたのだよ」
驚いた声を出す緑間に内心呆れながら黄瀬は返答する。
「アホすかサングラスって..
恥ずかしいから速攻外してほしいっす」
「なに!?」
「しかもなんすか?その箱」
黄瀬が人差し指で指すのはもちろん彼が左手に持っているもの白い箱。蓋が開いた中から覗かせるのは、ビヨヨ―ンと伸びたバネの先につく顔マークの黄色い球だった。
「今日のラッキーアイテムに決まっているのだよ」
それを聞いて数回瞬きしたあとこれ以上突っ込むのは時間の無駄だと黄瀬は思い止めた。
「あれすか...周りには見たくないと言ったけど結局来ちゃった的な?」
腰に手をあて呆れながら聞く黄瀬に対して、緑間は反論する。
「適当なことを言うな!近くを通っただけなのだよ」
「...家..真逆じゃないスカ...」
真っ当な事を言われた緑間は反論できず固まってしまった.。そんな彼に静かに近づいた影はヒョイッと緑間の手からあるものを奪った。
「なぁ!?!?」
「蟹座だっけ??」
絢雅は箱をじっと見つめた後、緑間へ視線をむけた。ラッキーアイテムを取られた緑間はムッとした表情を浮かべた。
「なんなのだよお前は!!後、サッサとそれを返すのだよ!!」
「緑間っち…この前一緒にお好み焼き食べたじゃないすか」
手を差し出す緑間に対して、絢雅は拒絶するように首を振った。それにムキになった緑間は更に表情を顰める。そんな彼に黄瀬は呆れ返った表情を浮かべた。確かに絢雅の行動には驚きはしたものの、流石に彼女と出会って2ヶ月経っただけにこれが平常運転なのだと理解してたからだ。まぁそれ以上に気になったのは緑間の記憶力のなさ。つい最近、お好み焼きを投げあったのが彼の中からすっかり消え去っていたのだから。
「...いたか??」
「二人揃ってムキになってお好み焼きバンバン飛ばしてたじゃないスカ
ねぇ?絢雅っち」
あの時の騒動を思い出した黄瀬はげんなりとした表情に。そして、同意を求めるように当事者である絢雅に話を振るのだが...
「......あの時の勝負がまだだった」
「ちょ!絢雅っち!!
その勝負はもうしなくていいっすから!!」
メラメラと内から炎を燃やし始める絢雅が黄瀬の視界に映る。まだ根に持っていたのかと黄瀬はもうあの惨状は懲り懲りだと慌てふためいた。
「ところで、ラッキーアイテムって効果あるの??」
さっきの闘争心はどこへやら。黄瀬が気づいた時には、不思議そうに奪った箱を指さし尋ねる絢雅がいた。
さっぱりしているというか…なんというか…
拍子抜けする黄瀬の視界の先では、フンと鼻を鳴らした緑間が饒舌にラッキーアイテムについて語り始める。
「ふーん」
「まぁ…人事を尽くさないと無駄だかな」
人事を尽くして天命を待つという座右の銘を掲げる運命論者の緑間はそう吐き捨てるとサッと絢雅からビックリ箱を奪い返した。
意地になって箱を取りに来ると思いきや既に興味は薄れたらしく絢雅は試合が行われているコートに視線を移していた。
「で?どうすか試合は?」
そういえばと黄瀬は緑間に試合の現状を尋ねた。その言葉に緑間は呆れかえった言葉を吐き出した。
「どうもこうもない...話にならないのだよ...青峰がいないようだか...それでもついていくのがやっとだ...」
やっとサングラスを外していつもの眼鏡をつけると緑間はクッとメガネを押し上げる仕草をした。
「青峰っち...いないんスカ?」
なんとなくだがわかっていたことだが、事実を突きつけられると流石に黄瀬は目を見開いた。対して、その事実を聞いた絢雅は興味が薄れ始める。
「青峰出ないなら帰る」
「今更帰る発言しないで欲しいんすけど…」
ホントに帰りそうなニュアンスを醸し出す絢雅に黄瀬はガクリと肩を落とした。そんな黄瀬の視線の先では、黒子と火神のコンビがシュートを決めてる。
「まぁ今あの二人が決めたじゃないすか?これからっすよ」
楽観的な黄瀬に対し、緑間は大きくため息を吐いた。
「忘れたのか?黄瀬...桐皇には桃井がいるのだよ..あいつはただのマネージャーではないだろ?中学時代何度も助けられたのだよ...つまり..逆に敵になるとこの上なく厄介だ。」
「桃っちか...そういや..青峰っちと幼馴染みだったすね?」
緑間が視線を向けた先を見ると桐皇のベンチにバインダーを持った桃井の姿を黄瀬は捉えた。
そういえば。桃っちも桐皇いったんでしたっけ?と思いを巡らせていたのだが...
「...って!!あの子確か黒子っちのこと好きじゃなかったっすか!?むしろ本気なんて出せないんじゃ...」
「そうだったのか??」
思考も巡らました結果、黄瀬の脳裏に黒子に猛アタックする桃井の姿が蘇った。
だが、声を上げた黄瀬の言葉に対して緑間はキョトンと真顔のまま。そんな緑間に黄瀬は驚愕の表情を浮かべるのだった。
「はぁ!?!?気づいてなかったんすか!?バレバレ..っか..毎日アタックしまくりだったじゃないすか!あれ見て気づかないとか...猿っすか!?」
「なに!?猿とはなんだ!猿とは!!」
緑間は盛大に突っかかってきた後、小さく息をつき落ち着きを取り戻すとやんわりと黄瀬の言葉を訂正する。
「まぁいい...だったらなおさらなのだよ...黒子が試合で手を抜かれる事を望むはずがないのだよ。そもそも形が違えどあいつのバスケに対する姿勢は選手と遜色は無い..試合でわざと負けるようなそんな玉ではないだろ?」
緑間は眼鏡を押し上げると、投げかけるように黄瀬に問うのだった。
そして、緑間が言ったように桃井は手を抜くような行動を一切しなかった。お陰で、初めての対決なはずなのにいともたやすく誠凛のプレーは封じられた。
それに加えて、途中から遅れてきた青峰が加わったことで試合はほぼ独断状態。
終わってみれば、ダブルスコアで誠凛は桐皇に叩きのめされたのだ。
「じゃあな...黄瀬」
圧倒的な力の差で誠凛は敗北。その結果を見届けるとあっさりと踵を返す緑間に黄瀬は慌てて声をかけた。
「はや!?
ちょっとはショックとかないんすか?..
この結果に…」
「俺より..黒子の心配をしたほうがいいのだよ..」
黄瀬の言葉に数歩歩いた緑間は足を止めると振り返ってこう呟いた。
「え??」
「青峰に黒子のバスケは全く通用しなかった..精神的にも相当なダメージだろう..しかも誠凛はまだ若いチームだ..この修正を一晩でするのは容易ではないのだよ
残り2試合に影響がなければ良いがな...」
チンプンカンプンな黄瀬に更に意味深な言葉を言い残すと緑間は会場を去った。
「緑間の言う通りだね」
未だに固まったままの黄瀬に、コートの選手たちを眺めていた絢雅が声をかけた。
「どういうことっすか?」
「少しは自分で考えたらどう??」
「またそれっすか~」
ガクリと肩を落とす黄瀬を横目に絢雅はもうここには用はないと歩き出す。そんな彼女を慌てて黄瀬は追うように会場を出た。
そして緑間と絢雅の言っていた意味を次の日以降も見に行った黄瀬はようやく理解した。
誠凛は、残りの2試合全て勝つことができなかったのだ。絶不調とも言える黒子のパスは、逆にチームの足を引っ張ってしまったのだ。
「1on1…しねーすか」
すべての試合を見終えた黄瀬はそのままの足で海常の体育館へ。そこにはひとり黙々とシュート練習をする笠松の姿があった。
「しねーすかって
お前決勝リーグの最終戦見に行ったんじゃないのか?」
思わぬタイミングで突然現れた黄瀬を手を止めた笠松は訝しげに見た。
「行きました」
「結果はどうだったんだよ」
「無性にバスケがしたくなったっす」
「聞いてねーよ!!」
「あれ??結果、気になんないんスカ??」
「噛み合わねーな」
「行きますよ」
バシッと黄瀬は肩をすくめている笠松が持っていたボールを上から叩いて弾くと、床にバウンドしたそれを拾いドリブルを始めた。
「あ!!てめぇ!!」
何かわからないが、黄瀬はモヤモヤする鬱憤を晴らすようにダンクを打ち込むのだった。
「黄瀬がグダグダしてるからでしょ」
「俺のせい?!?!」
中間テストも終わり、東京都で行われているIH出場校を決める試合会場の観客席にひょっこりと現れたのは黄瀬と絢雅だった。ホントは、笠松も誘ったのだが、蹴りを喰らって断られてしまったのだ。この調子だと一人で行く羽目になると思いきや、ダメ元で絢雅を誘ったところ一発オッケー。
キセキの世代は嫌いだ。それでも、誠凛がぎゃふんといわせてくれるのではないかと淡い気持ちを抱いたのと、純粋に青峰のプレーを見てみたいという気持ちが絢雅にあっただけなのだが…
既に始まっている誠凛対桐皇の試合を横目に見て二人は歩くのだが、丁度目の前に見覚えのある人物が入りこんできて足を止めるのだった。
一人静かにコート上で行われている試合を眺めている、緑色髪が特徴的な青年。
「緑間っち」
「黄瀬!」
ビクリと黄瀬に声をかけられた緑間は振り向き、視界に黄瀬を捉えた。そんな緑間ははいつもの眼鏡をしていなく、何故かサングラスをかけていた。ビクリと黄瀬の存在に驚いた緑間、と同時に彼が持っていた箱の蓋が開く。
「何故気づいたのだよ」
驚いた声を出す緑間に内心呆れながら黄瀬は返答する。
「アホすかサングラスって..
恥ずかしいから速攻外してほしいっす」
「なに!?」
「しかもなんすか?その箱」
黄瀬が人差し指で指すのはもちろん彼が左手に持っているもの白い箱。蓋が開いた中から覗かせるのは、ビヨヨ―ンと伸びたバネの先につく顔マークの黄色い球だった。
「今日のラッキーアイテムに決まっているのだよ」
それを聞いて数回瞬きしたあとこれ以上突っ込むのは時間の無駄だと黄瀬は思い止めた。
「あれすか...周りには見たくないと言ったけど結局来ちゃった的な?」
腰に手をあて呆れながら聞く黄瀬に対して、緑間は反論する。
「適当なことを言うな!近くを通っただけなのだよ」
「...家..真逆じゃないスカ...」
真っ当な事を言われた緑間は反論できず固まってしまった.。そんな彼に静かに近づいた影はヒョイッと緑間の手からあるものを奪った。
「なぁ!?!?」
「蟹座だっけ??」
絢雅は箱をじっと見つめた後、緑間へ視線をむけた。ラッキーアイテムを取られた緑間はムッとした表情を浮かべた。
「なんなのだよお前は!!後、サッサとそれを返すのだよ!!」
「緑間っち…この前一緒にお好み焼き食べたじゃないすか」
手を差し出す緑間に対して、絢雅は拒絶するように首を振った。それにムキになった緑間は更に表情を顰める。そんな彼に黄瀬は呆れ返った表情を浮かべた。確かに絢雅の行動には驚きはしたものの、流石に彼女と出会って2ヶ月経っただけにこれが平常運転なのだと理解してたからだ。まぁそれ以上に気になったのは緑間の記憶力のなさ。つい最近、お好み焼きを投げあったのが彼の中からすっかり消え去っていたのだから。
「...いたか??」
「二人揃ってムキになってお好み焼きバンバン飛ばしてたじゃないスカ
ねぇ?絢雅っち」
あの時の騒動を思い出した黄瀬はげんなりとした表情に。そして、同意を求めるように当事者である絢雅に話を振るのだが...
「......あの時の勝負がまだだった」
「ちょ!絢雅っち!!
その勝負はもうしなくていいっすから!!」
メラメラと内から炎を燃やし始める絢雅が黄瀬の視界に映る。まだ根に持っていたのかと黄瀬はもうあの惨状は懲り懲りだと慌てふためいた。
「ところで、ラッキーアイテムって効果あるの??」
さっきの闘争心はどこへやら。黄瀬が気づいた時には、不思議そうに奪った箱を指さし尋ねる絢雅がいた。
さっぱりしているというか…なんというか…
拍子抜けする黄瀬の視界の先では、フンと鼻を鳴らした緑間が饒舌にラッキーアイテムについて語り始める。
「ふーん」
「まぁ…人事を尽くさないと無駄だかな」
人事を尽くして天命を待つという座右の銘を掲げる運命論者の緑間はそう吐き捨てるとサッと絢雅からビックリ箱を奪い返した。
意地になって箱を取りに来ると思いきや既に興味は薄れたらしく絢雅は試合が行われているコートに視線を移していた。
「で?どうすか試合は?」
そういえばと黄瀬は緑間に試合の現状を尋ねた。その言葉に緑間は呆れかえった言葉を吐き出した。
「どうもこうもない...話にならないのだよ...青峰がいないようだか...それでもついていくのがやっとだ...」
やっとサングラスを外していつもの眼鏡をつけると緑間はクッとメガネを押し上げる仕草をした。
「青峰っち...いないんスカ?」
なんとなくだがわかっていたことだが、事実を突きつけられると流石に黄瀬は目を見開いた。対して、その事実を聞いた絢雅は興味が薄れ始める。
「青峰出ないなら帰る」
「今更帰る発言しないで欲しいんすけど…」
ホントに帰りそうなニュアンスを醸し出す絢雅に黄瀬はガクリと肩を落とした。そんな黄瀬の視線の先では、黒子と火神のコンビがシュートを決めてる。
「まぁ今あの二人が決めたじゃないすか?これからっすよ」
楽観的な黄瀬に対し、緑間は大きくため息を吐いた。
「忘れたのか?黄瀬...桐皇には桃井がいるのだよ..あいつはただのマネージャーではないだろ?中学時代何度も助けられたのだよ...つまり..逆に敵になるとこの上なく厄介だ。」
「桃っちか...そういや..青峰っちと幼馴染みだったすね?」
緑間が視線を向けた先を見ると桐皇のベンチにバインダーを持った桃井の姿を黄瀬は捉えた。
そういえば。桃っちも桐皇いったんでしたっけ?と思いを巡らせていたのだが...
「...って!!あの子確か黒子っちのこと好きじゃなかったっすか!?むしろ本気なんて出せないんじゃ...」
「そうだったのか??」
思考も巡らました結果、黄瀬の脳裏に黒子に猛アタックする桃井の姿が蘇った。
だが、声を上げた黄瀬の言葉に対して緑間はキョトンと真顔のまま。そんな緑間に黄瀬は驚愕の表情を浮かべるのだった。
「はぁ!?!?気づいてなかったんすか!?バレバレ..っか..毎日アタックしまくりだったじゃないすか!あれ見て気づかないとか...猿っすか!?」
「なに!?猿とはなんだ!猿とは!!」
緑間は盛大に突っかかってきた後、小さく息をつき落ち着きを取り戻すとやんわりと黄瀬の言葉を訂正する。
「まぁいい...だったらなおさらなのだよ...黒子が試合で手を抜かれる事を望むはずがないのだよ。そもそも形が違えどあいつのバスケに対する姿勢は選手と遜色は無い..試合でわざと負けるようなそんな玉ではないだろ?」
緑間は眼鏡を押し上げると、投げかけるように黄瀬に問うのだった。
そして、緑間が言ったように桃井は手を抜くような行動を一切しなかった。お陰で、初めての対決なはずなのにいともたやすく誠凛のプレーは封じられた。
それに加えて、途中から遅れてきた青峰が加わったことで試合はほぼ独断状態。
終わってみれば、ダブルスコアで誠凛は桐皇に叩きのめされたのだ。
「じゃあな...黄瀬」
圧倒的な力の差で誠凛は敗北。その結果を見届けるとあっさりと踵を返す緑間に黄瀬は慌てて声をかけた。
「はや!?
ちょっとはショックとかないんすか?..
この結果に…」
「俺より..黒子の心配をしたほうがいいのだよ..」
黄瀬の言葉に数歩歩いた緑間は足を止めると振り返ってこう呟いた。
「え??」
「青峰に黒子のバスケは全く通用しなかった..精神的にも相当なダメージだろう..しかも誠凛はまだ若いチームだ..この修正を一晩でするのは容易ではないのだよ
残り2試合に影響がなければ良いがな...」
チンプンカンプンな黄瀬に更に意味深な言葉を言い残すと緑間は会場を去った。
「緑間の言う通りだね」
未だに固まったままの黄瀬に、コートの選手たちを眺めていた絢雅が声をかけた。
「どういうことっすか?」
「少しは自分で考えたらどう??」
「またそれっすか~」
ガクリと肩を落とす黄瀬を横目に絢雅はもうここには用はないと歩き出す。そんな彼女を慌てて黄瀬は追うように会場を出た。
そして緑間と絢雅の言っていた意味を次の日以降も見に行った黄瀬はようやく理解した。
誠凛は、残りの2試合全て勝つことができなかったのだ。絶不調とも言える黒子のパスは、逆にチームの足を引っ張ってしまったのだ。
「1on1…しねーすか」
すべての試合を見終えた黄瀬はそのままの足で海常の体育館へ。そこにはひとり黙々とシュート練習をする笠松の姿があった。
「しねーすかって
お前決勝リーグの最終戦見に行ったんじゃないのか?」
思わぬタイミングで突然現れた黄瀬を手を止めた笠松は訝しげに見た。
「行きました」
「結果はどうだったんだよ」
「無性にバスケがしたくなったっす」
「聞いてねーよ!!」
「あれ??結果、気になんないんスカ??」
「噛み合わねーな」
「行きますよ」
バシッと黄瀬は肩をすくめている笠松が持っていたボールを上から叩いて弾くと、床にバウンドしたそれを拾いドリブルを始めた。
「あ!!てめぇ!!」
何かわからないが、黄瀬はモヤモヤする鬱憤を晴らすようにダンクを打ち込むのだった。