長月灯篭祭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はいでけた」
「うわぁ~・・・」
着付けをしてもらった愛は嬉しそうにはしゃいだ。
「巾着持ってくる!」
「ちっさいのにしおしや?」
「はーい!」
そう言いながら巾着を取りに走り出す。
愛が居なくなったのを確認すると彩華は座り直し二人に尋ねた。
「で、神原君はどうもないん?」
「学校休んでるわ、風邪かなにかでしょ」
「せやったらええねんやけど・・・
ああ見えて、気にしいやさかいね神原君は・・・妖夢化して自分が自分やのうなった時は、いつも結構引きずらはるんよ・・・
博臣くん時もせやったろ」
「毎年なんですか?」
祭りに行く彩華と愛を送り出した二人は店に残りそれぞれの時間を過ごしていた。ふと、未来は彩華の言っていた言葉が気になり隣のテーブルで黙々と手元の本に眼を通している美月に話しかけた。
「え?」
「彩華さん言ってたじゃないですか、毎年頑なに行こうとしないって」
「別に貴女には関係ないわ」
「話して貰えませんか・・・」
「どうして」
「どうしてって・・・」
「秋人だってそうでしょ、理由も言わず学校休んで・・・
結局独りなのよ、みんな」
「じゃあ、志帆先輩と博臣先輩はどうなんですか??」
「あの二人は…」
珍しく、間を開けた美月は自分の率直に見た第3者からの視点を伝える。
「互いに想いあっているのはバレバレね
でも…
特に志帆は深く考えすぎて板挟み状態。互いの立場と自分の想いにね。お陰で兄貴は振り向いてくれないと嘆いているわね」
「そうなんですね」
「それでも二人だって、結局独りで色々なことを悩んで抱え込んでるから、一緒よ」
美月は眼をそっと閉じ脳裏に二人の姿を思い浮かべた。
名瀬家の長男で幹部についている博臣、そして当主の泉に側近として傍にいる志帆。二人とも独断で色々と勝手をできる立場ではない。それぞれ互いに持っている仕事も違うし立場も違うのだから。
まぁ志帆が素直にならないと何も始まらないわね
心の中で美月は小さくため息をつくのだった。
対して、一足先に着付けを終え彩華の店を出た志帆は博臣と合流していた。
「甚平にマフラーって似合わないよね」
「しょうがないだろ?俺は極度の冷え症なんだから」
「まぁね…
博臣がマフラーしてなかったら既視感を覚えるよ」
互いに軽口を言い合いながら節度の距離を保ち並んで歩いていた。だが、二人は祭り会場とは真逆の方向へ歩いていた。
「でも…良かったの??」
今日会って二人で決めた事項だ。でも、二人でと誘ってきたのが博臣だっただけに志帆は探るように彼を見る。
「まぁ天秤にかけたらこっちが最優先事項だろ」
「そうだね」
「それに行こうと思えば二人でまた行けるしな」
「え…えぇ…そ…そうだね」
「歯切れが悪いな」
挙動不審な彼女をフッと小さく優しく呆れながら微笑むと組んでいた腕を解く。そして、袖に入れていた手をサッと出し志帆の手を掴んだ。
「えぇ?!?!」
「………寒い」
驚く志帆はやんわりと手を離そうとするが、博臣は逆にブルっと身体を震わすと志帆の手を引っ張り彼女を引き寄せた。
「暖とっていいか??」
「いや普通順序逆でしょ」
引き寄せられた志帆の腰にされげなく回された博臣の腕。必然的に密着しながら歩くことになってしまった。一応意志を尊重しようとしてくれることは嬉しいが今更拒絶しても離れる気は恐らくないと感じた志帆は困った顔をする。
甚平を着ているためいつも以上に体温を奪われて寒そうにしているのか?
それともくっつくための口実なのか?
志帆はわからなかったがしょうがないなぁと素直に受け入れることにした。
こんな姿を誰かに見られたら確実に噂が流れる。でも、人通りが少ない場所だからいいかと志帆は開き直った。もしかしたら無意識に浮かれていたのかもしれない。非現実的な今の状況に。
「志帆の身体は温かいな」
「そう言う博臣は相変わらず冷たいね」
柔らかく微笑む志帆を横目に博臣は腰に回す腕の力を強めた。
確かに肌寒いが、ここまでやるまで我慢できない寒さでない。半分狙ってやった行動。いつものように拒絶されると思いきや珍しく素直になされるままの志帆の反応に博臣は無意識に口角を上げた。
この時間が名残惜しくできれば終わらないで欲しい
博臣は少しでも堪能したいがために目的地に行くまでの歩くスピードを意識的に緩めるのだった。
「うわぁ~・・・」
着付けをしてもらった愛は嬉しそうにはしゃいだ。
「巾着持ってくる!」
「ちっさいのにしおしや?」
「はーい!」
そう言いながら巾着を取りに走り出す。
愛が居なくなったのを確認すると彩華は座り直し二人に尋ねた。
「で、神原君はどうもないん?」
「学校休んでるわ、風邪かなにかでしょ」
「せやったらええねんやけど・・・
ああ見えて、気にしいやさかいね神原君は・・・妖夢化して自分が自分やのうなった時は、いつも結構引きずらはるんよ・・・
博臣くん時もせやったろ」
「毎年なんですか?」
祭りに行く彩華と愛を送り出した二人は店に残りそれぞれの時間を過ごしていた。ふと、未来は彩華の言っていた言葉が気になり隣のテーブルで黙々と手元の本に眼を通している美月に話しかけた。
「え?」
「彩華さん言ってたじゃないですか、毎年頑なに行こうとしないって」
「別に貴女には関係ないわ」
「話して貰えませんか・・・」
「どうして」
「どうしてって・・・」
「秋人だってそうでしょ、理由も言わず学校休んで・・・
結局独りなのよ、みんな」
「じゃあ、志帆先輩と博臣先輩はどうなんですか??」
「あの二人は…」
珍しく、間を開けた美月は自分の率直に見た第3者からの視点を伝える。
「互いに想いあっているのはバレバレね
でも…
特に志帆は深く考えすぎて板挟み状態。互いの立場と自分の想いにね。お陰で兄貴は振り向いてくれないと嘆いているわね」
「そうなんですね」
「それでも二人だって、結局独りで色々なことを悩んで抱え込んでるから、一緒よ」
美月は眼をそっと閉じ脳裏に二人の姿を思い浮かべた。
名瀬家の長男で幹部についている博臣、そして当主の泉に側近として傍にいる志帆。二人とも独断で色々と勝手をできる立場ではない。それぞれ互いに持っている仕事も違うし立場も違うのだから。
まぁ志帆が素直にならないと何も始まらないわね
心の中で美月は小さくため息をつくのだった。
対して、一足先に着付けを終え彩華の店を出た志帆は博臣と合流していた。
「甚平にマフラーって似合わないよね」
「しょうがないだろ?俺は極度の冷え症なんだから」
「まぁね…
博臣がマフラーしてなかったら既視感を覚えるよ」
互いに軽口を言い合いながら節度の距離を保ち並んで歩いていた。だが、二人は祭り会場とは真逆の方向へ歩いていた。
「でも…良かったの??」
今日会って二人で決めた事項だ。でも、二人でと誘ってきたのが博臣だっただけに志帆は探るように彼を見る。
「まぁ天秤にかけたらこっちが最優先事項だろ」
「そうだね」
「それに行こうと思えば二人でまた行けるしな」
「え…えぇ…そ…そうだね」
「歯切れが悪いな」
挙動不審な彼女をフッと小さく優しく呆れながら微笑むと組んでいた腕を解く。そして、袖に入れていた手をサッと出し志帆の手を掴んだ。
「えぇ?!?!」
「………寒い」
驚く志帆はやんわりと手を離そうとするが、博臣は逆にブルっと身体を震わすと志帆の手を引っ張り彼女を引き寄せた。
「暖とっていいか??」
「いや普通順序逆でしょ」
引き寄せられた志帆の腰にされげなく回された博臣の腕。必然的に密着しながら歩くことになってしまった。一応意志を尊重しようとしてくれることは嬉しいが今更拒絶しても離れる気は恐らくないと感じた志帆は困った顔をする。
甚平を着ているためいつも以上に体温を奪われて寒そうにしているのか?
それともくっつくための口実なのか?
志帆はわからなかったがしょうがないなぁと素直に受け入れることにした。
こんな姿を誰かに見られたら確実に噂が流れる。でも、人通りが少ない場所だからいいかと志帆は開き直った。もしかしたら無意識に浮かれていたのかもしれない。非現実的な今の状況に。
「志帆の身体は温かいな」
「そう言う博臣は相変わらず冷たいね」
柔らかく微笑む志帆を横目に博臣は腰に回す腕の力を強めた。
確かに肌寒いが、ここまでやるまで我慢できない寒さでない。半分狙ってやった行動。いつものように拒絶されると思いきや珍しく素直になされるままの志帆の反応に博臣は無意識に口角を上げた。
この時間が名残惜しくできれば終わらないで欲しい
博臣は少しでも堪能したいがために目的地に行くまでの歩くスピードを意識的に緩めるのだった。