徐々に動き出す歯車
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「なぁなぁ!あの子良くない?」
「美人だよな」
「不登校気味だったからどんだけ地味で陰気臭いやつかと思ったら」
「超絶滅多にお目にかかれない風貌で驚いたよな」
「知的で清楚!!」
「あの青い瞳に覗かれたい!!」
「どんな声で啼いてくれるのかな」
「絶対、着痩せしてるよな!!」
「華奢で細いあの身体を抱いてみたい!!」
教室の後ろで遠巻きに見ながら上ずった声でコソコソ話しながら前方に座る少女を男子生徒が見ていた。
そんな彼ら達に無表情の博臣がドカドカと近づいた。
「おい!!」
「ヒィ!!なんだ名瀬か?どうしたんだ??」
ビクッと身体を震わした彼らは、博臣に振り向くと引き攣った笑みを浮かべた。
「志帆をそんな目で見るな
反吐が出る」
蔑むような目で一瞥すると博臣は、スタスタと志帆のもとへ。
一人、本に目を通していた志帆は近づいてくるのが不機嫌オーラ満載の博臣で思わず首を傾げながら本を閉じる。
「どうしたの??」
登校時、下校時、時間が合えば一緒に帰るがそれ以外は同じ教室にいてもほぼ干渉しないのだ。なのに、何故か志帆の目の前にいるのは完全にご機嫌斜めな博臣だった。
「ちょっと来い」
「え??あぁ...ちょ!!」
博臣は志帆の手を取り立ち上がらせそのまま引っ張り出す。志帆はというと彼の行為の原因が全く読み取れず困惑したままなすままに引っ張られた。
ようやく解放された場所は、いつもの屋上。普段以上に強い力で引っ張られたためか離された手首は少し赤くなっていた。なんてことをしてくれてんだ!!と睨むように博臣を志帆は見るのだが、当の本人は黙り込んだまま定位置のダストに寝転んだ。
そのまま目を閉じる彼に志帆は困惑しながらゆっくり近づいた。
「ねぇ?ホントにどうしたの??」
完全に無視。そんな彼の態度に志帆は眉を顰めるが、大きく息をつくことで心を落ち着かせる。そして、彼が寝転ぶダストに腰掛けて、彼を困った表情で見下ろした。
「もしかして、気にしてるの??」
「………何をだ??」
「私が注目を集めていることに」
「だったら何だ??」
「心配しすぎ
別に誰に口説かれようと靡かないし、言い寄ってきたら返り討ちにするだけだから」
誰にどんな甘い言葉を囁かれようが、志帆の心が揺れ動くなんてありえない。
だって今だってこれからだって志帆の心のなかにある人物は一人だからだ。
ふんわりと博臣を見て志帆は笑った。
「へぇ〜〜」
博臣はニヤリと口角を上げると、上体を起こした。
え...?!
気づけば志帆の視界は反転。背に当たる冷たく硬い感触。視界に大きく映るのは雲一つない青空。そしてそんな晴れやかな空と対照的に不敵に笑う博臣だった。
「志帆はしっかりしてる様に見えて、抜けてるとこがあるのが玉に瑕だな」
「それ褒めてる??貶してる??」
自分の体の上で馬乗り状態になっている博臣に志帆は顔をしかめながら尋ねる。
「もちろん褒めてるさ!
可愛げがある」
「あっ、そう...
で?なんで私は押し倒されてるの??」
志帆はそう言いながら抜けようと身じろぐが全く博臣の身体はビクトもしなかった。そんな可愛らしい反応を見せる志帆に博臣は諭すように囁いた。
「危機感がまるでない志帆に教えてやろうと思ってな?」
博臣は志帆の頬に手を添える。博臣のヒンヤリと冷たい手に、志帆はブルッと身体を震わした。猛獣が獲物を捕らえるような冷たい瞳、いつになく悪面の表情を浮かべる博臣に志帆は恐怖を覚えた。
「男はいつだって狼なんだ。
いくら志帆が強くても不意打ちを喰らったら女であるお前が抗う力なんて高が知れてる」
冷たい言葉に対して、壊れ物を扱うように志帆の頬を優しく撫でる手の感触に、志帆は困惑する。と同時にゾクリと背筋が甘く震えた。
「俺は心配してるんだ
俺がいない所で誰かに志帆が襲われないかと...」
穏やかで優しい声音が志帆の耳元で囁かれた。この襲われかねない状況下なのに、志帆は不本意ながらも顔が高潮してしまった。端正な顔立ちの博臣の顔が眼の前にあるのもそうだが、自分を心配してくれる一つ一つの言葉が嬉しかったからだ。
でも、このまま博臣のなすがままの状態は釈然としない。何かやり返さねばと志帆は思考を巡らす。
そんな中、カツカツと滅多に人が来ない屋上の階段を登ってくる足音が聞こえてくる。
「ハァ…
これに懲りたら次からは気をつけるんだな」
盛大にため息を吐き博臣は志帆の身体から腰を上げようとする。だが、視線を外し一瞬の隙を見せた博臣の後頭部に志帆は手を伸ばし回した。
「なっ!!」
突然の出来事に驚き真の抜けた表情を浮かべる博臣の頬に上体を起こした志帆は自分の唇を押し当てた。バランスを崩した博臣に触れるようなキスをした志帆は博臣から顔を少し離すと口角を上げ、してやったりの表情を浮かべた。
「やってくれるじゃないか?」
博臣は、唇をペロッと舌で舐めニヤリと笑った。
二人にとってこの行為は相手へのイタズラ。やられた博臣は、愉しげな行為を思いつき志帆を再び押し倒そうとするが、それは何者かの声で遮られることに。
「あれ?博臣と志帆じゃないか?」
驚くような声に二人は階段の方に目をやる。そこには、凝視するように二人を見ている秋人がいたのだ。
まさかの人物の乱入で二人は思考が固まる。だが、先に動き出した志帆が上に乗っかったままの博臣を押し飛ばしたことで時間が動き出す。
「何やってんだよ?お前ら」
怪訝な顔を浮かべる秋人に、ニコニコと満面の笑みで志帆は近付く。
「別に何でもないよ?
ただ博臣に襲われかけただけだから」
「なっ!!」
事情を全く知らない秋人に志帆はさり気なく爆弾発言を落とすと、満足そうな笑みを浮かべて階段を降りていった。
対して、やり返すことも出来なかっただけでなく完全にしっぺ返しを喰らった博臣は、ギャアギャアと騒ぎまくる秋人を落ち着かせるのに苦労するのだった。
「美人だよな」
「不登校気味だったからどんだけ地味で陰気臭いやつかと思ったら」
「超絶滅多にお目にかかれない風貌で驚いたよな」
「知的で清楚!!」
「あの青い瞳に覗かれたい!!」
「どんな声で啼いてくれるのかな」
「絶対、着痩せしてるよな!!」
「華奢で細いあの身体を抱いてみたい!!」
教室の後ろで遠巻きに見ながら上ずった声でコソコソ話しながら前方に座る少女を男子生徒が見ていた。
そんな彼ら達に無表情の博臣がドカドカと近づいた。
「おい!!」
「ヒィ!!なんだ名瀬か?どうしたんだ??」
ビクッと身体を震わした彼らは、博臣に振り向くと引き攣った笑みを浮かべた。
「志帆をそんな目で見るな
反吐が出る」
蔑むような目で一瞥すると博臣は、スタスタと志帆のもとへ。
一人、本に目を通していた志帆は近づいてくるのが不機嫌オーラ満載の博臣で思わず首を傾げながら本を閉じる。
「どうしたの??」
登校時、下校時、時間が合えば一緒に帰るがそれ以外は同じ教室にいてもほぼ干渉しないのだ。なのに、何故か志帆の目の前にいるのは完全にご機嫌斜めな博臣だった。
「ちょっと来い」
「え??あぁ...ちょ!!」
博臣は志帆の手を取り立ち上がらせそのまま引っ張り出す。志帆はというと彼の行為の原因が全く読み取れず困惑したままなすままに引っ張られた。
ようやく解放された場所は、いつもの屋上。普段以上に強い力で引っ張られたためか離された手首は少し赤くなっていた。なんてことをしてくれてんだ!!と睨むように博臣を志帆は見るのだが、当の本人は黙り込んだまま定位置のダストに寝転んだ。
そのまま目を閉じる彼に志帆は困惑しながらゆっくり近づいた。
「ねぇ?ホントにどうしたの??」
完全に無視。そんな彼の態度に志帆は眉を顰めるが、大きく息をつくことで心を落ち着かせる。そして、彼が寝転ぶダストに腰掛けて、彼を困った表情で見下ろした。
「もしかして、気にしてるの??」
「………何をだ??」
「私が注目を集めていることに」
「だったら何だ??」
「心配しすぎ
別に誰に口説かれようと靡かないし、言い寄ってきたら返り討ちにするだけだから」
誰にどんな甘い言葉を囁かれようが、志帆の心が揺れ動くなんてありえない。
だって今だってこれからだって志帆の心のなかにある人物は一人だからだ。
ふんわりと博臣を見て志帆は笑った。
「へぇ〜〜」
博臣はニヤリと口角を上げると、上体を起こした。
え...?!
気づけば志帆の視界は反転。背に当たる冷たく硬い感触。視界に大きく映るのは雲一つない青空。そしてそんな晴れやかな空と対照的に不敵に笑う博臣だった。
「志帆はしっかりしてる様に見えて、抜けてるとこがあるのが玉に瑕だな」
「それ褒めてる??貶してる??」
自分の体の上で馬乗り状態になっている博臣に志帆は顔をしかめながら尋ねる。
「もちろん褒めてるさ!
可愛げがある」
「あっ、そう...
で?なんで私は押し倒されてるの??」
志帆はそう言いながら抜けようと身じろぐが全く博臣の身体はビクトもしなかった。そんな可愛らしい反応を見せる志帆に博臣は諭すように囁いた。
「危機感がまるでない志帆に教えてやろうと思ってな?」
博臣は志帆の頬に手を添える。博臣のヒンヤリと冷たい手に、志帆はブルッと身体を震わした。猛獣が獲物を捕らえるような冷たい瞳、いつになく悪面の表情を浮かべる博臣に志帆は恐怖を覚えた。
「男はいつだって狼なんだ。
いくら志帆が強くても不意打ちを喰らったら女であるお前が抗う力なんて高が知れてる」
冷たい言葉に対して、壊れ物を扱うように志帆の頬を優しく撫でる手の感触に、志帆は困惑する。と同時にゾクリと背筋が甘く震えた。
「俺は心配してるんだ
俺がいない所で誰かに志帆が襲われないかと...」
穏やかで優しい声音が志帆の耳元で囁かれた。この襲われかねない状況下なのに、志帆は不本意ながらも顔が高潮してしまった。端正な顔立ちの博臣の顔が眼の前にあるのもそうだが、自分を心配してくれる一つ一つの言葉が嬉しかったからだ。
でも、このまま博臣のなすがままの状態は釈然としない。何かやり返さねばと志帆は思考を巡らす。
そんな中、カツカツと滅多に人が来ない屋上の階段を登ってくる足音が聞こえてくる。
「ハァ…
これに懲りたら次からは気をつけるんだな」
盛大にため息を吐き博臣は志帆の身体から腰を上げようとする。だが、視線を外し一瞬の隙を見せた博臣の後頭部に志帆は手を伸ばし回した。
「なっ!!」
突然の出来事に驚き真の抜けた表情を浮かべる博臣の頬に上体を起こした志帆は自分の唇を押し当てた。バランスを崩した博臣に触れるようなキスをした志帆は博臣から顔を少し離すと口角を上げ、してやったりの表情を浮かべた。
「やってくれるじゃないか?」
博臣は、唇をペロッと舌で舐めニヤリと笑った。
二人にとってこの行為は相手へのイタズラ。やられた博臣は、愉しげな行為を思いつき志帆を再び押し倒そうとするが、それは何者かの声で遮られることに。
「あれ?博臣と志帆じゃないか?」
驚くような声に二人は階段の方に目をやる。そこには、凝視するように二人を見ている秋人がいたのだ。
まさかの人物の乱入で二人は思考が固まる。だが、先に動き出した志帆が上に乗っかったままの博臣を押し飛ばしたことで時間が動き出す。
「何やってんだよ?お前ら」
怪訝な顔を浮かべる秋人に、ニコニコと満面の笑みで志帆は近付く。
「別に何でもないよ?
ただ博臣に襲われかけただけだから」
「なっ!!」
事情を全く知らない秋人に志帆はさり気なく爆弾発言を落とすと、満足そうな笑みを浮かべて階段を降りていった。
対して、やり返すことも出来なかっただけでなく完全にしっぺ返しを喰らった博臣は、ギャアギャアと騒ぎまくる秋人を落ち着かせるのに苦労するのだった。