境界の彼方
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栗山未来を取り戻すために、世界の平和を取り戻すために奔走した。
その結果として”境界の彼方”は秋人の体内に戻り、世界は平和を取り戻した。
妖夢は相変わらず存在し、異界士はいつもの通りそれを倒し生活をしている。
彩華と愛も元の家に戻り普段どおりの生活を送っている。
藤真弥勒の行方は関わった者達だけしか知れず、異界士協会の名を語って活動をしていたという線で全てが片付けられた。
だが、少しずつ変化したものがあった。
「良いな…博臣
お前が名瀬家の…」
「わかっています!!それ以上は…」
消えてしまった泉の代わりに博臣が正式に統括になったのだ。言われなくてもわかっている。数段高い場所に置かれた椅子に鎮座する祖父の言葉を絞り出す声で遮った博臣は、背を向け重たい空気が流れる部屋を後にする。そして、バタンと扉を閉めた博臣。そんな彼の前に待っていたかのように佇んでいたのは志帆だった。
「志帆?!」
「今日から貴方様が名瀬家を統括していきます。不本意かもしれませんが...」
博臣の心情を察して志帆は顔を歪める。だが、覚悟を決めてもらわないと困ると志帆は意を決して口を開く。
「私は只今から博臣様の側近です。
時には守る盾となり、時には手となり足となる駒として...
お傍に居させて頂きます」
「...よろしく頼む」
そしてもちろん名瀬家の統括についた博臣の側近として志帆が務めることに。
だが、側近として忙しなく日中も行動する志帆に博臣はある事を命じた。それは、卒業するまでキチンと登校する事だった。
「何故です??」
案の定、不平を漏らす志帆に、博臣は小さく息をついた。
「俺は泉姉さんみたいにならないと言ったはずだ」
「ですが…それだと仕事が回りません」
「そこは俺が調整する」
「そんな手間を煩わすわけには…」
「駄目だ。
どんなにそれで仕事が回らなくなっても
後半年は俺と一緒に学校に登校してもらう」
「……命令ですか??」
「あぁ…」
「はぁ…わかりました」
渋々ながらも志帆はそれを受け入れた。その結果、文芸部の部室には志帆も含めて4人の姿があった。だが、その場には秋人たちが救いたかった栗山未来はいなかった。
「結局、最後は悪が滅びるのは分かっているのに読み進めるのは全く時間の無駄じゃない?」
いつもの様にキャンディを舐めながら本に目を通す美月が毒を吐く。
「まぁ美月が言ってることも一理あるわね」
その隣で、本を読む志帆が賛同する。
「それが娯楽というものだろ。」
真正面で本をめくっていた秋人がそんな二人の言葉にため息混じりに答える。そんな彼の背後では毎度のように博臣が彼の脇に手を伸ばす。
「やめい!」
「冬は手を温める季節だろ?何も不自然なことではない。」
「オオアリクイだ!」
「3点。」
だが、その騒がしい彼らの中には”栗山未来”はいなかった。
この生活に対し秋人は味気ないものを感じていた。結局、負けてしまったのだ。栗山未来の犠牲の上で成り立っている未来なんてなんの意味もない。それでも時は残酷に過ぎていった。
だがその日常に無情にも慣れ始めてきた半年後、摩訶不思議な出来事が起こるのだった。
普段と変わらない放課後の風景。西に沈む夕日でオレンジ色に広がる空の下で帰宅しようとしていた秋人の掌にあった金色の指輪が突如姿を消したのだった。それはまるで持ち主の場所に戻るかのように。それを目の当たりにした秋人は何かを察し、門から踵を返して走り出すのだった。もちろん、秋人とすれ違った志帆達も彼の慌ただしい様子に呆気にとられるのだった。
秋人はすれ違った志帆達に目をくれることなく屋上の扉を開けて階段を駆け上がる。そして最後の段を上りきった秋人は屋上に佇む女性の後ろ姿に眼を見張るのだった。
「あ…あの!!」
白い息を吐きながら秋人は必死に声を絞り出した。
「眼鏡が…
ようするに眼鏡をかけた栗山さんが…
大好きです!!」
深く息を吸い込んだ秋人はフェンスの前で外を眺めている背に思いの丈をぶつけた。その二人の間には風が通り抜ける。その風にピンク色の髪を靡かせ、少女はゆっくりと秋人に顔を向けた。
「不愉快です…」
柔らかい声で紡がれた彼女に悪態に秋人は自然と口元を緩めた。
あらかじめそう定まっていたのか
栗山さんが頑張ったおかげかわからない
それとも己の想いが届いたのか…
「あぁそうだ、忘れ物だよ」
秋人は思い出したかのようにあるものを栗山未来の前に差し出した。それは彼女の赤縁の眼鏡だった。
「この眼鏡をかけてくれないか??」
その眼鏡を見た未来は目を瞬かせて嬉しそうにそれを受け取り、眼鏡をかけると破顔した顔を秋人に向けたのだった。
だが、その表情も一瞬で薄れてしまった。不思議そうに未来は秋人を眺め、そして無情にも秋人にとって残酷な一声を叩きつけるのだった。
「それで…
貴方はどなたですか??」
その結果として”境界の彼方”は秋人の体内に戻り、世界は平和を取り戻した。
妖夢は相変わらず存在し、異界士はいつもの通りそれを倒し生活をしている。
彩華と愛も元の家に戻り普段どおりの生活を送っている。
藤真弥勒の行方は関わった者達だけしか知れず、異界士協会の名を語って活動をしていたという線で全てが片付けられた。
だが、少しずつ変化したものがあった。
「良いな…博臣
お前が名瀬家の…」
「わかっています!!それ以上は…」
消えてしまった泉の代わりに博臣が正式に統括になったのだ。言われなくてもわかっている。数段高い場所に置かれた椅子に鎮座する祖父の言葉を絞り出す声で遮った博臣は、背を向け重たい空気が流れる部屋を後にする。そして、バタンと扉を閉めた博臣。そんな彼の前に待っていたかのように佇んでいたのは志帆だった。
「志帆?!」
「今日から貴方様が名瀬家を統括していきます。不本意かもしれませんが...」
博臣の心情を察して志帆は顔を歪める。だが、覚悟を決めてもらわないと困ると志帆は意を決して口を開く。
「私は只今から博臣様の側近です。
時には守る盾となり、時には手となり足となる駒として...
お傍に居させて頂きます」
「...よろしく頼む」
そしてもちろん名瀬家の統括についた博臣の側近として志帆が務めることに。
だが、側近として忙しなく日中も行動する志帆に博臣はある事を命じた。それは、卒業するまでキチンと登校する事だった。
「何故です??」
案の定、不平を漏らす志帆に、博臣は小さく息をついた。
「俺は泉姉さんみたいにならないと言ったはずだ」
「ですが…それだと仕事が回りません」
「そこは俺が調整する」
「そんな手間を煩わすわけには…」
「駄目だ。
どんなにそれで仕事が回らなくなっても
後半年は俺と一緒に学校に登校してもらう」
「……命令ですか??」
「あぁ…」
「はぁ…わかりました」
渋々ながらも志帆はそれを受け入れた。その結果、文芸部の部室には志帆も含めて4人の姿があった。だが、その場には秋人たちが救いたかった栗山未来はいなかった。
「結局、最後は悪が滅びるのは分かっているのに読み進めるのは全く時間の無駄じゃない?」
いつもの様にキャンディを舐めながら本に目を通す美月が毒を吐く。
「まぁ美月が言ってることも一理あるわね」
その隣で、本を読む志帆が賛同する。
「それが娯楽というものだろ。」
真正面で本をめくっていた秋人がそんな二人の言葉にため息混じりに答える。そんな彼の背後では毎度のように博臣が彼の脇に手を伸ばす。
「やめい!」
「冬は手を温める季節だろ?何も不自然なことではない。」
「オオアリクイだ!」
「3点。」
だが、その騒がしい彼らの中には”栗山未来”はいなかった。
この生活に対し秋人は味気ないものを感じていた。結局、負けてしまったのだ。栗山未来の犠牲の上で成り立っている未来なんてなんの意味もない。それでも時は残酷に過ぎていった。
だがその日常に無情にも慣れ始めてきた半年後、摩訶不思議な出来事が起こるのだった。
普段と変わらない放課後の風景。西に沈む夕日でオレンジ色に広がる空の下で帰宅しようとしていた秋人の掌にあった金色の指輪が突如姿を消したのだった。それはまるで持ち主の場所に戻るかのように。それを目の当たりにした秋人は何かを察し、門から踵を返して走り出すのだった。もちろん、秋人とすれ違った志帆達も彼の慌ただしい様子に呆気にとられるのだった。
秋人はすれ違った志帆達に目をくれることなく屋上の扉を開けて階段を駆け上がる。そして最後の段を上りきった秋人は屋上に佇む女性の後ろ姿に眼を見張るのだった。
「あ…あの!!」
白い息を吐きながら秋人は必死に声を絞り出した。
「眼鏡が…
ようするに眼鏡をかけた栗山さんが…
大好きです!!」
深く息を吸い込んだ秋人はフェンスの前で外を眺めている背に思いの丈をぶつけた。その二人の間には風が通り抜ける。その風にピンク色の髪を靡かせ、少女はゆっくりと秋人に顔を向けた。
「不愉快です…」
柔らかい声で紡がれた彼女に悪態に秋人は自然と口元を緩めた。
あらかじめそう定まっていたのか
栗山さんが頑張ったおかげかわからない
それとも己の想いが届いたのか…
「あぁそうだ、忘れ物だよ」
秋人は思い出したかのようにあるものを栗山未来の前に差し出した。それは彼女の赤縁の眼鏡だった。
「この眼鏡をかけてくれないか??」
その眼鏡を見た未来は目を瞬かせて嬉しそうにそれを受け取り、眼鏡をかけると破顔した顔を秋人に向けたのだった。
だが、その表情も一瞬で薄れてしまった。不思議そうに未来は秋人を眺め、そして無情にも秋人にとって残酷な一声を叩きつけるのだった。
「それで…
貴方はどなたですか??」