境界の彼方
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『文芸部室に来い。栗山未来は生きている。』
そう書かれた紙が置いてあるのを確認した途端、皆それぞれ外へ飛び出した。
「あの空に見えているものはなに!?!?」
空一面に広がる大きな物体を見上げ、美月が声を上げる。
「な!?」
博臣に制止された美月は目の前に広がる光景に眼を見張った。
地面から沸くように妖夢が現れたのだ。
「妖夢!?」
だが、後方から現れた雫がそれに飛び蹴りを食らわせるのだった。
「二のさん!?」
「どうやらまた祭りみたいね!!」
驚く博臣たちに振り向いた雫は毎度のように好戦的な瞳をしていた。
「アッキー!!」
3人で目的の場所へ走っていると、前方に秋人と桜の姿が見え、博臣は声をかける。
「博臣、お前ら…どうしてここに??」
「何者かがこれを…」
不思議がる秋人に、博臣と桜と雫はあの紙を秋人に見せる。
「妖夢が!!」
その中、校舎にへばりつく妖夢を見ていた美月が声を上げる。すると、そこにいた妖夢が空に浮かぶ球状のものに吸い寄せられていったのだ。
「急ごう!!」
秋人の掛け声で皆部室に向けて走り出す。
そして、秋人を先頭に部室へ入ろうとするのだが、扉を開けた途端秋人は思わず立ちど待ってしまう。
「待て!待て待て待て!下がれ!」
慌てて後方に下がろうとする秋人。
後ろにいた博臣達が気にするように覗き込もうとするのだが、それを慌てて秋人へ制止させると皆を後ろへ。
すると、土埃が巻き起こり部室から鎧の物体が現れるのだった。
「ウォー!」
うめき声をあげる物体に、皆に下がれと博臣が指示を出し、周囲に緊張感が走り渡るのだが…
「あっ!しまった!」
鎧の兜が取れる。
その人物に皆の緊張感は一気にほぐれた。
声を出していたのは、弥生。兜が取れ慌てふためく弥生。そんな彼女を秋人は一発ぶん殴るのだった。
「何をやってるんだ!状況を考えろ!状況を!」
「何をするよろ!やっちゃん、せっかくカッコイイ…!」
「だー!久々に出てきたと思ったらなんだよ!!
あの手紙もお前か!?何回りくどいことをやってんだよ!」
「苦しいよろ!家庭内暴力よろ!EDよろ、ED!!」
「DVだ!!このバカ母!!」
茶番ともとれる言い争いに呆れながら既に近くにあったイスに秋人を除く一行は座っていた。この緊急事態に何をしているんだと思っていた博臣はちゃっかりとコーヒーを買い、口に含んでいた。その博臣の真向かいに腰掛けていた雫が一体だれだと博臣に尋ねる。
「誰??」
「アッキーの母親だ」
「ふーん」
「あっくん……反抗期」
「アンタが母親なら誰でも反抗するよ!!」
ツッコミを入れまくる秋人は息を荒げだす。その光景に一向に収まる気配を感じない博臣と美月が小さくため息を付きながら口を挟んだ。
「親子でお楽しみのところ申し訳ないんだが…」
「そろそろ私達を呼び出した目的をお母さんに聞いてもらえないかしら?」
この二人のお陰で茶番劇は集結。弥生はようやく本題を切り出した。それは秋人にとって願っても見なかった事実だった。
「ホントか??ホントに栗山さんは生きてるんだな」
「えぇ生きているよろ
未来ちゃんは今も独りで戦っているよろ
ホントは手を貸せないんだけど、このまま境界の彼方が勝っちゃうよろ
世界が滅びちゃうよろ
だから非常事態ということで柔軟な対応をすることにしたよろ」
パイプ椅子に腰掛けた弥生が真剣な表情で話を続ける。が、弥生が着ている服があまりにも奇抜すぎて美月と桜はたまらず口を開く。
「秋人…この人格好ともはや語尾がリンクしてないんだけど
なんとかならない??」
「蹴る」
「待て
突っ込むと喜ぶからスルーしろ」
秋人は今すぐに動き出しそうな二人に、理解できるがここで話を遮ると前に進まないと静止する。
「それで栗山さんを助ける方法は??」
大人しく聞いていた博臣が話の切り口を切り出す。それに真剣な表情のまま立ち上がった弥生は小さく深呼吸をすると大きな声で叫ぶのだった。
「その前に一つ聞かせてもらうよろ
皆ー!!栗山未来のところに行きたいか
「そういうのはいいから早く言え!!」
掛け声のように大きな声を上げる弥生をすかさず秋人が肘鉄を喰らわした。壁に押さえつけられた弥生は涙目で苦しいと訴えながらも下を指差した。
「わかったよろ…下よろ」
「んん?妖夢石…」
そこに落ちていたのは妖夢石。不思議に思いながら秋人は拾おうとするが、秋人が触れた途端に光だすのだった。
「うわぁ!!なんだよコレ」
「確か虚ろの影を倒したときの妖夢石よね??」
「それは虚ろの影じゃないよろ」
光りだした妖夢石に他の皆が集まりだす。この石は虚ろの影を倒した地面に転がっていた妖夢石だった。だが実際は虚ろの影の妖夢石ではなかったのだ。その弥生の指摘に博臣が息を呑んだ。
「は!…まさか」
「そう…これはあっくんの一部。
つまり境界の彼方の一部でもあるってこと」
その事実を知ると秋人はゆっくりとしゃがみこみ再び手を伸ばした。拒絶するように反応を示す妖夢石を今度こそはと秋人は眩い光を出す石を懸命に掴み取った。その途端に脳裏に過るのは境界の彼方の中で戦っている未来の姿だった。
「境界の彼方には栗山未来が作り出した…
彼女の強い思いが作り出した秋人の傀儡がいるわ
それを捕まえなさい…全力で
後はその妖夢石が運んでくれるはずよ」
「なんで…なんでそんなことを知ってるんだよ」
「わかるでしょ…貴方の母親は神原弥生よ」
淡々と述べる弥生に秋人は疑惑の眼差しを向ける。それに対して弥生は含んだ笑みを浮かべた。本当ならしっかりと追求したい秋人であったが今はそれどころでないと納得していないがこの話を区切り立ち上がった。
「いずれ僕のこともきちんと話してもらうからな」
ガッシャーン!!
激しく窓ガラスが割れる音が響く。その衝撃に慌てて窓から離れる一行はなんだと視線を向ける。するとそこにいたのは泉だった。
「もー!びっくりしたー!」
「神原弥生?!」
「驚かさないでよ!泉!
さぁ!!早く行きなさい!!」
悲鳴を人一倍上げながらも弥生は秋人に早く行くように促した。それに泉は強い口調で異議を唱える。
「待って…行ってどうするつもり?貴方はもう」
「不死身じゃない
わかってるさ
でも僕は今もメガネと眼鏡美少女のためなら何だってできる変態だ」
秋人は小さく口角を上げると未来の元に行くためにこの場に背を向けて走り出す。泉は制止しようと試みるが周囲を囲む人物を見て、眉を顰めてしまう。
「悪いけど…今度は俺達の番だ」
「珍しいわね〜アンタが引くなんて」
泉が追いかけるのをやめたことに雫は珍しいと声を上げるなか、桜が割れた窓越しから身を乗り出し秋人に叫ぶのだった。
「神原先輩!!」
「蹴り飛ばす準備をしておけ!!必ず連れて戻る!」
「……はい!!」
その後、秋人を追いかけるように美月と博臣が飛び出していった。人数が減った場で静かに佇んでいた泉が弥生を冷たい目で見下ろした。
「まさかここで貴女に会えるとわね…神原弥生」
「暫くだったぴょん!!
泉も大きくなったっぴょん!」
「……蹴りたい」
「何が狙い??
神原秋人とはいったいなんなの??」
「何ってあっくんはやっちゃんの息子ぴょん
あ…でも息子とっても下ネタ的な意味じゃ…」
たまらず桜が弥生を蹴り飛ばした。その衝撃で弥生は本棚にぶつけて倒れ込み、顔には本が降り注いだ。その弥生を流石の雫も呆れた表情で見ていた。
「……我慢できなかった」
「安心して貴女がやらなくても私がやっていた」
「質問に答えなさい!!不死身の半妖とはなんなの??
貴女は何を狙っているの!!」
「そんなつまらない事を聞くなんて…
泉もつまらなくなったぴょん
つまらない大人になったら駄目っぴょ…」
弥生の言葉を遮るように泉は弥生に向けて薙を刺した。
「……誰も好きでなったわけじゃない」
「……泉」
「泉姉さん」
その時外に出ていた博臣と美月が扉を開けた。その途端、薙を刺していたはずの弥生の姿は消えていて窓辺に移動していた。
「あぁ…!!傀儡?!」
「大人たちのうだうだにいつもまでこの子達を付き合わせるつもりよ
異界士協会はもう動いてるのよ」
いつになく真剣味を帯びた声でそう泉に言い聞かす弥生の背後で一筋の紫色の光が空に向けて放たれた。それを弥生は見ると、博臣と美月に視線をやった。
「博臣くん美月ちゃん
秋人と未来ちゃんはただの妖夢と異界士ではない特別な存在なの
よろしく頼みます!!」
「待て!!」
「姉さん!!
今は…あの光が先じゃないのか??」
博臣と美月に小さく微笑んだ弥生は、一言言い残すと飛び終えて消える。それに慌てて泉は追いかけようとするが博臣は制止させた。その博臣の視線の先は境界の彼方に放たれる光に向けられていた。泉もその方向に視線をやるとスゥッと目を細めた。
「そうね…志帆が心配だわ」
その言葉に博臣と美月は息を呑んだ。
「泉姉様、志帆は彼処にいるの!?」
「恐らくね…」
「…ック!!」
「兄貴!!」
居ても立っても居られず博臣は慌てたように走り出した。その後を追うように美月達も続くのだった。
そう書かれた紙が置いてあるのを確認した途端、皆それぞれ外へ飛び出した。
「あの空に見えているものはなに!?!?」
空一面に広がる大きな物体を見上げ、美月が声を上げる。
「な!?」
博臣に制止された美月は目の前に広がる光景に眼を見張った。
地面から沸くように妖夢が現れたのだ。
「妖夢!?」
だが、後方から現れた雫がそれに飛び蹴りを食らわせるのだった。
「二のさん!?」
「どうやらまた祭りみたいね!!」
驚く博臣たちに振り向いた雫は毎度のように好戦的な瞳をしていた。
「アッキー!!」
3人で目的の場所へ走っていると、前方に秋人と桜の姿が見え、博臣は声をかける。
「博臣、お前ら…どうしてここに??」
「何者かがこれを…」
不思議がる秋人に、博臣と桜と雫はあの紙を秋人に見せる。
「妖夢が!!」
その中、校舎にへばりつく妖夢を見ていた美月が声を上げる。すると、そこにいた妖夢が空に浮かぶ球状のものに吸い寄せられていったのだ。
「急ごう!!」
秋人の掛け声で皆部室に向けて走り出す。
そして、秋人を先頭に部室へ入ろうとするのだが、扉を開けた途端秋人は思わず立ちど待ってしまう。
「待て!待て待て待て!下がれ!」
慌てて後方に下がろうとする秋人。
後ろにいた博臣達が気にするように覗き込もうとするのだが、それを慌てて秋人へ制止させると皆を後ろへ。
すると、土埃が巻き起こり部室から鎧の物体が現れるのだった。
「ウォー!」
うめき声をあげる物体に、皆に下がれと博臣が指示を出し、周囲に緊張感が走り渡るのだが…
「あっ!しまった!」
鎧の兜が取れる。
その人物に皆の緊張感は一気にほぐれた。
声を出していたのは、弥生。兜が取れ慌てふためく弥生。そんな彼女を秋人は一発ぶん殴るのだった。
「何をやってるんだ!状況を考えろ!状況を!」
「何をするよろ!やっちゃん、せっかくカッコイイ…!」
「だー!久々に出てきたと思ったらなんだよ!!
あの手紙もお前か!?何回りくどいことをやってんだよ!」
「苦しいよろ!家庭内暴力よろ!EDよろ、ED!!」
「DVだ!!このバカ母!!」
茶番ともとれる言い争いに呆れながら既に近くにあったイスに秋人を除く一行は座っていた。この緊急事態に何をしているんだと思っていた博臣はちゃっかりとコーヒーを買い、口に含んでいた。その博臣の真向かいに腰掛けていた雫が一体だれだと博臣に尋ねる。
「誰??」
「アッキーの母親だ」
「ふーん」
「あっくん……反抗期」
「アンタが母親なら誰でも反抗するよ!!」
ツッコミを入れまくる秋人は息を荒げだす。その光景に一向に収まる気配を感じない博臣と美月が小さくため息を付きながら口を挟んだ。
「親子でお楽しみのところ申し訳ないんだが…」
「そろそろ私達を呼び出した目的をお母さんに聞いてもらえないかしら?」
この二人のお陰で茶番劇は集結。弥生はようやく本題を切り出した。それは秋人にとって願っても見なかった事実だった。
「ホントか??ホントに栗山さんは生きてるんだな」
「えぇ生きているよろ
未来ちゃんは今も独りで戦っているよろ
ホントは手を貸せないんだけど、このまま境界の彼方が勝っちゃうよろ
世界が滅びちゃうよろ
だから非常事態ということで柔軟な対応をすることにしたよろ」
パイプ椅子に腰掛けた弥生が真剣な表情で話を続ける。が、弥生が着ている服があまりにも奇抜すぎて美月と桜はたまらず口を開く。
「秋人…この人格好ともはや語尾がリンクしてないんだけど
なんとかならない??」
「蹴る」
「待て
突っ込むと喜ぶからスルーしろ」
秋人は今すぐに動き出しそうな二人に、理解できるがここで話を遮ると前に進まないと静止する。
「それで栗山さんを助ける方法は??」
大人しく聞いていた博臣が話の切り口を切り出す。それに真剣な表情のまま立ち上がった弥生は小さく深呼吸をすると大きな声で叫ぶのだった。
「その前に一つ聞かせてもらうよろ
皆ー!!栗山未来のところに行きたいか
「そういうのはいいから早く言え!!」
掛け声のように大きな声を上げる弥生をすかさず秋人が肘鉄を喰らわした。壁に押さえつけられた弥生は涙目で苦しいと訴えながらも下を指差した。
「わかったよろ…下よろ」
「んん?妖夢石…」
そこに落ちていたのは妖夢石。不思議に思いながら秋人は拾おうとするが、秋人が触れた途端に光だすのだった。
「うわぁ!!なんだよコレ」
「確か虚ろの影を倒したときの妖夢石よね??」
「それは虚ろの影じゃないよろ」
光りだした妖夢石に他の皆が集まりだす。この石は虚ろの影を倒した地面に転がっていた妖夢石だった。だが実際は虚ろの影の妖夢石ではなかったのだ。その弥生の指摘に博臣が息を呑んだ。
「は!…まさか」
「そう…これはあっくんの一部。
つまり境界の彼方の一部でもあるってこと」
その事実を知ると秋人はゆっくりとしゃがみこみ再び手を伸ばした。拒絶するように反応を示す妖夢石を今度こそはと秋人は眩い光を出す石を懸命に掴み取った。その途端に脳裏に過るのは境界の彼方の中で戦っている未来の姿だった。
「境界の彼方には栗山未来が作り出した…
彼女の強い思いが作り出した秋人の傀儡がいるわ
それを捕まえなさい…全力で
後はその妖夢石が運んでくれるはずよ」
「なんで…なんでそんなことを知ってるんだよ」
「わかるでしょ…貴方の母親は神原弥生よ」
淡々と述べる弥生に秋人は疑惑の眼差しを向ける。それに対して弥生は含んだ笑みを浮かべた。本当ならしっかりと追求したい秋人であったが今はそれどころでないと納得していないがこの話を区切り立ち上がった。
「いずれ僕のこともきちんと話してもらうからな」
ガッシャーン!!
激しく窓ガラスが割れる音が響く。その衝撃に慌てて窓から離れる一行はなんだと視線を向ける。するとそこにいたのは泉だった。
「もー!びっくりしたー!」
「神原弥生?!」
「驚かさないでよ!泉!
さぁ!!早く行きなさい!!」
悲鳴を人一倍上げながらも弥生は秋人に早く行くように促した。それに泉は強い口調で異議を唱える。
「待って…行ってどうするつもり?貴方はもう」
「不死身じゃない
わかってるさ
でも僕は今もメガネと眼鏡美少女のためなら何だってできる変態だ」
秋人は小さく口角を上げると未来の元に行くためにこの場に背を向けて走り出す。泉は制止しようと試みるが周囲を囲む人物を見て、眉を顰めてしまう。
「悪いけど…今度は俺達の番だ」
「珍しいわね〜アンタが引くなんて」
泉が追いかけるのをやめたことに雫は珍しいと声を上げるなか、桜が割れた窓越しから身を乗り出し秋人に叫ぶのだった。
「神原先輩!!」
「蹴り飛ばす準備をしておけ!!必ず連れて戻る!」
「……はい!!」
その後、秋人を追いかけるように美月と博臣が飛び出していった。人数が減った場で静かに佇んでいた泉が弥生を冷たい目で見下ろした。
「まさかここで貴女に会えるとわね…神原弥生」
「暫くだったぴょん!!
泉も大きくなったっぴょん!」
「……蹴りたい」
「何が狙い??
神原秋人とはいったいなんなの??」
「何ってあっくんはやっちゃんの息子ぴょん
あ…でも息子とっても下ネタ的な意味じゃ…」
たまらず桜が弥生を蹴り飛ばした。その衝撃で弥生は本棚にぶつけて倒れ込み、顔には本が降り注いだ。その弥生を流石の雫も呆れた表情で見ていた。
「……我慢できなかった」
「安心して貴女がやらなくても私がやっていた」
「質問に答えなさい!!不死身の半妖とはなんなの??
貴女は何を狙っているの!!」
「そんなつまらない事を聞くなんて…
泉もつまらなくなったぴょん
つまらない大人になったら駄目っぴょ…」
弥生の言葉を遮るように泉は弥生に向けて薙を刺した。
「……誰も好きでなったわけじゃない」
「……泉」
「泉姉さん」
その時外に出ていた博臣と美月が扉を開けた。その途端、薙を刺していたはずの弥生の姿は消えていて窓辺に移動していた。
「あぁ…!!傀儡?!」
「大人たちのうだうだにいつもまでこの子達を付き合わせるつもりよ
異界士協会はもう動いてるのよ」
いつになく真剣味を帯びた声でそう泉に言い聞かす弥生の背後で一筋の紫色の光が空に向けて放たれた。それを弥生は見ると、博臣と美月に視線をやった。
「博臣くん美月ちゃん
秋人と未来ちゃんはただの妖夢と異界士ではない特別な存在なの
よろしく頼みます!!」
「待て!!」
「姉さん!!
今は…あの光が先じゃないのか??」
博臣と美月に小さく微笑んだ弥生は、一言言い残すと飛び終えて消える。それに慌てて泉は追いかけようとするが博臣は制止させた。その博臣の視線の先は境界の彼方に放たれる光に向けられていた。泉もその方向に視線をやるとスゥッと目を細めた。
「そうね…志帆が心配だわ」
その言葉に博臣と美月は息を呑んだ。
「泉姉様、志帆は彼処にいるの!?」
「恐らくね…」
「…ック!!」
「兄貴!!」
居ても立っても居られず博臣は慌てたように走り出した。その後を追うように美月達も続くのだった。