虚ろの影
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空が茜色に染まる時刻...
フラフラふらついていた志帆は、どうせ誰もいないだろうと文芸部の部室の扉を開ける。
そして部室へ入ったのだが、目に映る光景に大きく目を開けて驚く。
部室の中央にある机に気持ち良さそうに寝る一人の人物。
もはやトレードマークともいえるマフラーを首に巻いたまま、サラサラの黒髪に隠れる柳緑色の瞳は固く閉ざされていた。
志帆は起こさないようにそっと近づき、隣の椅子に腰掛ける。
普段は、変態発言しかしない極度のシスコンなのだが、それを除けば端正な顔立ちで女子からモテる要素をたくさん持つ彼。
それは実際彼が一度通ると女性陣の注目を掻っ攫い黄色い歓声が密やかに沸き起こるのがなりよりも証拠だ。
いつも隣にいる志帆も夕日に照らされる彼に思わず見惚れてしまう。
ずっとこんな平穏の時間であればいいのに...
志帆は無意識のうちに彼に手をそっと伸ばす。だがその手は、彼に届く前に彼自身に静止させられる。
冷え性の彼の手から感じるヒンヤリとした感覚に、夢心地だった志帆の頭は回転し始める。と、同時にこの状況に危機感を覚え蒼ざめた。
目の前の彼は面白そうに、柳緑色の瞳を細めていたのだ。
「今日は随分積極的だな?志帆?」
「こ...コレはち...違う!!」
全力で否定する志帆。
だが、この反応は博臣を煽らせるには十分。
悪面ヅラを浮かべたまま逃げないように彼女の手首を掴んだまま志帆にゆっくりと近づいた。
「見惚れてたか?」
「..........なわけ無いじゃん」
「その間はなんだ?」
即座に否定出来なかった志帆に、博臣は直ぐ様突く。
この間は、志帆が躊躇してしまった時間だ。博臣が言ってることは事実であったため即座に言葉を出せなかったのだ。
「素直になった方が身のためだぞ?」
楽しげに喉を鳴らし近づく博臣。
このままだと何されるかわからないと、志帆は危機感を覚え、逃れるように連連と言葉を述べた。
「認めます!認めます!
博臣に見惚れてました!!」
言うのすら恥ずかしい言葉に、志帆は顔を真っ赤にしながら答える。
「認めたんだから早く離れて!!」
「....しょうがない
お仕置きはこれくらいにしとくか」
珍しく必死に狼狽しながら訴える志帆。そんな彼女を至近距離で楽しげに見ていた博臣は、これ以上は自分自身にも毒だと感じ、目を閉じ小さく息をつくとサッと志帆から離れた。
フワフワとした銀髪が夕日に照らされキラキラと茜色に輝き、加えて白い肌が恥心で赤く染まり、青色の瞳がユラユラと揺れ、アクアマリンを見ているかのように錯覚させる。
そんな今の志帆は艷やかであり、博臣は心の中で大きく息を呑んでしまった。
対して、志帆はというとこんなに意図も簡単に彼が素直に離れるとは思っていなかっただけに唖然とする。と同時に心の奥底では、何故か彼が離れてしまったことに心寂しげな感情が沸き起こっていた。
「ほら、行くぞ」
博臣の言葉にハッとした志帆が勢いよく顔を上げ振り向く。するとすでに彼は、部室の扉に手をかけていた。
「......!?」
突然の博臣の言葉に、志帆は呆然とする。急いで頭の中を整理するが、この後彼と行動を共にする予定は入っていない。
全く動く素振りを見せない志帆に、博臣は大きく息をつくと己の携帯をポケットから取り出し操作すると画面を彼女に見えるように突き出した。
「泉ねぇさんからだ」
「えぇ!?」
その言葉に慌てて志帆は見る。
そこに書いてあるのは、志帆は今晩は屋敷に帰ってこない事と、博臣と行動を共にすること、ととても簡潔な文章だった。
泉の本心が読めず、眉間にしわを寄せたまま志帆は博臣を見るが、彼も意図を読めず小さく首を横に振るだけだった。
「なんで、博臣の所に連絡が入ったんだろう?」
「そんなの決まってるだろ?
志帆が考えなしに飛び出すのを防ぐためだろ?」
志帆に疑問に当然のようにサラリと述べる博臣の言葉に、志帆はごもっとも過ぎて何も言い返すことはできず押し黙る。
「とりあえず、考えるのは後にしろ。
行くぞ」
博臣は真剣な面付きで言うと、もう振り返ることなく部室を出る。
サッサと来いと言わんばかりの大きな背中に志帆は直ぐに気持ちを切り替えると彼を追いかけるように部室を出るのだった。
フラフラふらついていた志帆は、どうせ誰もいないだろうと文芸部の部室の扉を開ける。
そして部室へ入ったのだが、目に映る光景に大きく目を開けて驚く。
部室の中央にある机に気持ち良さそうに寝る一人の人物。
もはやトレードマークともいえるマフラーを首に巻いたまま、サラサラの黒髪に隠れる柳緑色の瞳は固く閉ざされていた。
志帆は起こさないようにそっと近づき、隣の椅子に腰掛ける。
普段は、変態発言しかしない極度のシスコンなのだが、それを除けば端正な顔立ちで女子からモテる要素をたくさん持つ彼。
それは実際彼が一度通ると女性陣の注目を掻っ攫い黄色い歓声が密やかに沸き起こるのがなりよりも証拠だ。
いつも隣にいる志帆も夕日に照らされる彼に思わず見惚れてしまう。
ずっとこんな平穏の時間であればいいのに...
志帆は無意識のうちに彼に手をそっと伸ばす。だがその手は、彼に届く前に彼自身に静止させられる。
冷え性の彼の手から感じるヒンヤリとした感覚に、夢心地だった志帆の頭は回転し始める。と、同時にこの状況に危機感を覚え蒼ざめた。
目の前の彼は面白そうに、柳緑色の瞳を細めていたのだ。
「今日は随分積極的だな?志帆?」
「こ...コレはち...違う!!」
全力で否定する志帆。
だが、この反応は博臣を煽らせるには十分。
悪面ヅラを浮かべたまま逃げないように彼女の手首を掴んだまま志帆にゆっくりと近づいた。
「見惚れてたか?」
「..........なわけ無いじゃん」
「その間はなんだ?」
即座に否定出来なかった志帆に、博臣は直ぐ様突く。
この間は、志帆が躊躇してしまった時間だ。博臣が言ってることは事実であったため即座に言葉を出せなかったのだ。
「素直になった方が身のためだぞ?」
楽しげに喉を鳴らし近づく博臣。
このままだと何されるかわからないと、志帆は危機感を覚え、逃れるように連連と言葉を述べた。
「認めます!認めます!
博臣に見惚れてました!!」
言うのすら恥ずかしい言葉に、志帆は顔を真っ赤にしながら答える。
「認めたんだから早く離れて!!」
「....しょうがない
お仕置きはこれくらいにしとくか」
珍しく必死に狼狽しながら訴える志帆。そんな彼女を至近距離で楽しげに見ていた博臣は、これ以上は自分自身にも毒だと感じ、目を閉じ小さく息をつくとサッと志帆から離れた。
フワフワとした銀髪が夕日に照らされキラキラと茜色に輝き、加えて白い肌が恥心で赤く染まり、青色の瞳がユラユラと揺れ、アクアマリンを見ているかのように錯覚させる。
そんな今の志帆は艷やかであり、博臣は心の中で大きく息を呑んでしまった。
対して、志帆はというとこんなに意図も簡単に彼が素直に離れるとは思っていなかっただけに唖然とする。と同時に心の奥底では、何故か彼が離れてしまったことに心寂しげな感情が沸き起こっていた。
「ほら、行くぞ」
博臣の言葉にハッとした志帆が勢いよく顔を上げ振り向く。するとすでに彼は、部室の扉に手をかけていた。
「......!?」
突然の博臣の言葉に、志帆は呆然とする。急いで頭の中を整理するが、この後彼と行動を共にする予定は入っていない。
全く動く素振りを見せない志帆に、博臣は大きく息をつくと己の携帯をポケットから取り出し操作すると画面を彼女に見えるように突き出した。
「泉ねぇさんからだ」
「えぇ!?」
その言葉に慌てて志帆は見る。
そこに書いてあるのは、志帆は今晩は屋敷に帰ってこない事と、博臣と行動を共にすること、ととても簡潔な文章だった。
泉の本心が読めず、眉間にしわを寄せたまま志帆は博臣を見るが、彼も意図を読めず小さく首を横に振るだけだった。
「なんで、博臣の所に連絡が入ったんだろう?」
「そんなの決まってるだろ?
志帆が考えなしに飛び出すのを防ぐためだろ?」
志帆に疑問に当然のようにサラリと述べる博臣の言葉に、志帆はごもっとも過ぎて何も言い返すことはできず押し黙る。
「とりあえず、考えるのは後にしろ。
行くぞ」
博臣は真剣な面付きで言うと、もう振り返ることなく部室を出る。
サッサと来いと言わんばかりの大きな背中に志帆は直ぐに気持ちを切り替えると彼を追いかけるように部室を出るのだった。