虚ろの影
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「志帆…」
「どうしましたか?泉様??」
「今日来るわよ…虚ろの影が」
窓から見える外の景色を見ながら、泉の葵色の瞳は険しくなる。
それを見て志帆は身を引き締める。
「そうですか…」
「基本地区に滞在する異界士は接近禁止を発令して、
檻及び結界を張れるものは虚ろの影を街の外に誘導するように協力を要請って形でお願いできる?」
「わかりました」
それが、今朝の泉と志帆の会話。
そんな会話と打って変わって穏やかな日常があった。
今日は、何故か名瀬家に異界士協会の観察部の人が来るそうなのだが、志帆は泉に大丈夫だと追い出されるように学校へ強制的に行くことになるのだった。
対して、泉は異界士協会の人と対峙していた。
「初めて来ましたが、立派なものですねー。」
「異界士協会 観察部…」
「はい、藤真弥勒と言います。名瀬泉さん。」
「協会が何のようでしょうか。」
「虚ろな影ですよ。あのクラスの妖夢が来るのは珍しいことです。観察対象というわけです。夢は有名の一里塚。夢の妖。妖夢は人の怨嗟の塊とも言われています。人の心のいがみ、憎しみ嫉妬にさ殺意。人が存在する以上、妖夢は存在し続ける。それが見えるが故に倒し続けるなんて異界士も因果な商売だとは思いませんか?」
そんな彼の言動に泉はクスリと小さく笑う。
「面白い事を考えるのですね、協会は」
「というと??」
「太古の昔から妖夢討伐を生業としてきた異界士の娘からすると、妖夢は農家にとっての米…漁師にとっての魚みたいなものです。
なにであるかなんてどうでもいい」
「なるほど…
妖夢の絵ですか??」
カップに入っているコーヒーを啜りながら相槌を打つとふと壁に立てかけられている額縁に気づく。
「凍結界に沈めてあります」
淡々に答える泉の言葉に、藤真は一瞬飲み物を吹きそうになるのをかろうじてこらえる。
「ん!?じゃぁほんもの……
そういえば凍結界の使い手でしたね…名瀬泉といえば...
ところで、今日は側近の方はいらっしゃらないのですね?」
急に一転させ怪しくメガネの奥の瞳を光らせる藤真。そんな彼を警戒しながら泉は口を開く。
「えぇ。今日は席を外して貰ったのですが。何か用でもありましたか?」
「い...いえ!!
ただ興味があっただけですよ。瀬那志帆さんにも......
一つ質問してもいいですか?」
「何でしょう?」
「貴方にとって妖夢とはなんですか?」
「決まってるじゃないですか…ただの化け物ですよ」
一方、学校では…
「自由に血を操る一族か…」
「なんか知ってることはないか?過去になんかあったとか…事件があったとか…」
文芸部の部室。そこで黙々と手元にある本に目を通しながら博臣と秋人が会話をしていた。
「さぁ〜ね…借りに知っていたところで教える義理はないが…
これに関しては本当に知らない」
「……そうか」
「なにか言ってたのか」
博臣の言葉にうーんと眉を顰め考え込む秋人。
それをチラ見し様子を確認した博臣は再び目の前の本に視線を戻し口を開く。
「言いたくないなら言う必要はないさ」
「いや…話して良いのかわからないだけだ
ただ…なにか隠していることだけは確かだ」
「騙されているんじゃないか??」
本を机に置いた博臣は背を向けていた態勢を変え横向きになり秋人に顔を向ける。
「アッキーは巨乳で立ち位置が可愛そうな子を放っておけない性格だからな」
「ちょっと待て…否定はしないが巨乳のところは訂正してもらうぞ!
メガネストが女の子に求める最重要項目はメガネだ!!」
「…アッキーは自らの性癖を語るのが趣味なのか??」
「うるさい!!
シスコンという性癖を持つ博臣に僕を非難する資格はない!!」
秋人に言われながらもどこ吹く風と受け流しながら博臣は部室に檻を張る。
「一本筋が通ってるだけいいだろ?
なんちゃってメガネ好きに俺の神聖なる妹の愛はわからないさ」
「僕のメガネ愛をなんちゃってで片付けるな!!」
極度に秋人は否定する。
が、ふと思い出したことがあり、悪巧みするような不吉な笑みを浮かべる。
「その神聖なる妹にメガネを掛けたこともあるんだからな」
「…!?!?!?なんだと!!」
秋人からの思わぬ事実に、動転した博臣は急に立ち上がる。そんな彼に秋人は畳み掛ける。
「部屋で二人きりの時に掛けさせてもらったぜ!いや!!掛けまくったという表現が正しいかもしれない!!途中からは美月も楽しんでたからな」
「…掛けまくる!?!?俺の妹になんてことを!!」
頭を抱える博臣。
得意げに鼻を鳴らす秋人。
そんな二人を冷ややかな瞳で見るのは美月。眼鏡をかけた彼女は一向に気づかない二人に毒舌とも言える言葉をかける。
「そこの変態二人?ここを部室と知っての狼藉かしら?」
普段眼鏡をかけていない彼女を見て二人の反応は雲泥の差。
「おぉ〜!!美月!!遂にメガネの素晴らしさに目覚めたんだな!!」
嬉しそうに目を輝かせ喜ぶ秋人。
対して、博臣はショックを受けズルズルと倒れ込む。
「そこの変態兄貴にダメージを与えたかっただけよ」
美月は緑縁のメガネを机に放り捨てると博臣に歩み寄る。
投げ捨てられた眼鏡は秋人が大事そうに回収する中、美月が口を開く。
「それより変態兄貴」
「お兄ちゃんと呼べといってるだろ?」
頑固拒絶する博臣に盛大に美月は溜息をつくと皮肉を含みつつ言葉を改める。
「変態お兄ちゃん?
檻をとっとと解除してほしいんだけど……」
“お兄ちゃん“
その言葉に敏感に反応した博臣の表情は嬉しそうに輝く。それは思わず秋人が突っ込みを入れるくらいだった。
「あぁ!わかった」
「変態は認めるのかよ!!」
美月の申し出に応じた博臣は虚空を横薙に斬って部室に張った檻を解除した。
「それと一応文芸部員なんだから少しは選考手伝ってくれる??」
「選考するのは構わないさ!
実の妹シリーズとか義理の妹シリーズとか妹の登場する原稿ならばなんでも…
なんなら妹しかでない作品でもいいぞ!!」
つらつらと博臣が述べる中、美月は背後の秋人に目の前の饒舌に語る人物に諭されないように紙切れを渡す。それを秋人は気づくと不思議そうに受け取った。
「ねぇ〜よ」
妹シリーズにしか目がない博臣に秋人が突っ込みを入れる中、仁王立ちの美月は大きく二文字を口パクをする。
それをなにを勘違いしたのか、博臣は頬を嬉しそうに赤く染める。
「…す……き…?」
それに嫌悪感を露わにして顔を引き攣らせる美月。
「どうみても、し・ね だろ!!」
そして放課後、秋人は美月に指定された場所へ。
そこで美月から聞いたのは、未来が虚ろの影を狙っているという情報だった。
「どうしましたか?泉様??」
「今日来るわよ…虚ろの影が」
窓から見える外の景色を見ながら、泉の葵色の瞳は険しくなる。
それを見て志帆は身を引き締める。
「そうですか…」
「基本地区に滞在する異界士は接近禁止を発令して、
檻及び結界を張れるものは虚ろの影を街の外に誘導するように協力を要請って形でお願いできる?」
「わかりました」
それが、今朝の泉と志帆の会話。
そんな会話と打って変わって穏やかな日常があった。
今日は、何故か名瀬家に異界士協会の観察部の人が来るそうなのだが、志帆は泉に大丈夫だと追い出されるように学校へ強制的に行くことになるのだった。
対して、泉は異界士協会の人と対峙していた。
「初めて来ましたが、立派なものですねー。」
「異界士協会 観察部…」
「はい、藤真弥勒と言います。名瀬泉さん。」
「協会が何のようでしょうか。」
「虚ろな影ですよ。あのクラスの妖夢が来るのは珍しいことです。観察対象というわけです。夢は有名の一里塚。夢の妖。妖夢は人の怨嗟の塊とも言われています。人の心のいがみ、憎しみ嫉妬にさ殺意。人が存在する以上、妖夢は存在し続ける。それが見えるが故に倒し続けるなんて異界士も因果な商売だとは思いませんか?」
そんな彼の言動に泉はクスリと小さく笑う。
「面白い事を考えるのですね、協会は」
「というと??」
「太古の昔から妖夢討伐を生業としてきた異界士の娘からすると、妖夢は農家にとっての米…漁師にとっての魚みたいなものです。
なにであるかなんてどうでもいい」
「なるほど…
妖夢の絵ですか??」
カップに入っているコーヒーを啜りながら相槌を打つとふと壁に立てかけられている額縁に気づく。
「凍結界に沈めてあります」
淡々に答える泉の言葉に、藤真は一瞬飲み物を吹きそうになるのをかろうじてこらえる。
「ん!?じゃぁほんもの……
そういえば凍結界の使い手でしたね…名瀬泉といえば...
ところで、今日は側近の方はいらっしゃらないのですね?」
急に一転させ怪しくメガネの奥の瞳を光らせる藤真。そんな彼を警戒しながら泉は口を開く。
「えぇ。今日は席を外して貰ったのですが。何か用でもありましたか?」
「い...いえ!!
ただ興味があっただけですよ。瀬那志帆さんにも......
一つ質問してもいいですか?」
「何でしょう?」
「貴方にとって妖夢とはなんですか?」
「決まってるじゃないですか…ただの化け物ですよ」
一方、学校では…
「自由に血を操る一族か…」
「なんか知ってることはないか?過去になんかあったとか…事件があったとか…」
文芸部の部室。そこで黙々と手元にある本に目を通しながら博臣と秋人が会話をしていた。
「さぁ〜ね…借りに知っていたところで教える義理はないが…
これに関しては本当に知らない」
「……そうか」
「なにか言ってたのか」
博臣の言葉にうーんと眉を顰め考え込む秋人。
それをチラ見し様子を確認した博臣は再び目の前の本に視線を戻し口を開く。
「言いたくないなら言う必要はないさ」
「いや…話して良いのかわからないだけだ
ただ…なにか隠していることだけは確かだ」
「騙されているんじゃないか??」
本を机に置いた博臣は背を向けていた態勢を変え横向きになり秋人に顔を向ける。
「アッキーは巨乳で立ち位置が可愛そうな子を放っておけない性格だからな」
「ちょっと待て…否定はしないが巨乳のところは訂正してもらうぞ!
メガネストが女の子に求める最重要項目はメガネだ!!」
「…アッキーは自らの性癖を語るのが趣味なのか??」
「うるさい!!
シスコンという性癖を持つ博臣に僕を非難する資格はない!!」
秋人に言われながらもどこ吹く風と受け流しながら博臣は部室に檻を張る。
「一本筋が通ってるだけいいだろ?
なんちゃってメガネ好きに俺の神聖なる妹の愛はわからないさ」
「僕のメガネ愛をなんちゃってで片付けるな!!」
極度に秋人は否定する。
が、ふと思い出したことがあり、悪巧みするような不吉な笑みを浮かべる。
「その神聖なる妹にメガネを掛けたこともあるんだからな」
「…!?!?!?なんだと!!」
秋人からの思わぬ事実に、動転した博臣は急に立ち上がる。そんな彼に秋人は畳み掛ける。
「部屋で二人きりの時に掛けさせてもらったぜ!いや!!掛けまくったという表現が正しいかもしれない!!途中からは美月も楽しんでたからな」
「…掛けまくる!?!?俺の妹になんてことを!!」
頭を抱える博臣。
得意げに鼻を鳴らす秋人。
そんな二人を冷ややかな瞳で見るのは美月。眼鏡をかけた彼女は一向に気づかない二人に毒舌とも言える言葉をかける。
「そこの変態二人?ここを部室と知っての狼藉かしら?」
普段眼鏡をかけていない彼女を見て二人の反応は雲泥の差。
「おぉ〜!!美月!!遂にメガネの素晴らしさに目覚めたんだな!!」
嬉しそうに目を輝かせ喜ぶ秋人。
対して、博臣はショックを受けズルズルと倒れ込む。
「そこの変態兄貴にダメージを与えたかっただけよ」
美月は緑縁のメガネを机に放り捨てると博臣に歩み寄る。
投げ捨てられた眼鏡は秋人が大事そうに回収する中、美月が口を開く。
「それより変態兄貴」
「お兄ちゃんと呼べといってるだろ?」
頑固拒絶する博臣に盛大に美月は溜息をつくと皮肉を含みつつ言葉を改める。
「変態お兄ちゃん?
檻をとっとと解除してほしいんだけど……」
“お兄ちゃん“
その言葉に敏感に反応した博臣の表情は嬉しそうに輝く。それは思わず秋人が突っ込みを入れるくらいだった。
「あぁ!わかった」
「変態は認めるのかよ!!」
美月の申し出に応じた博臣は虚空を横薙に斬って部室に張った檻を解除した。
「それと一応文芸部員なんだから少しは選考手伝ってくれる??」
「選考するのは構わないさ!
実の妹シリーズとか義理の妹シリーズとか妹の登場する原稿ならばなんでも…
なんなら妹しかでない作品でもいいぞ!!」
つらつらと博臣が述べる中、美月は背後の秋人に目の前の饒舌に語る人物に諭されないように紙切れを渡す。それを秋人は気づくと不思議そうに受け取った。
「ねぇ〜よ」
妹シリーズにしか目がない博臣に秋人が突っ込みを入れる中、仁王立ちの美月は大きく二文字を口パクをする。
それをなにを勘違いしたのか、博臣は頬を嬉しそうに赤く染める。
「…す……き…?」
それに嫌悪感を露わにして顔を引き攣らせる美月。
「どうみても、し・ね だろ!!」
そして放課後、秋人は美月に指定された場所へ。
そこで美月から聞いたのは、未来が虚ろの影を狙っているという情報だった。