交叉する運命
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「あ〜ぁ…俺授業ついていけなかったらどうしよう?」
講義室で、真琴がバックを下ろし準備をする同じ机サイドで少し距離を開けた状態で荷物を置いた人物が嘆くように漏らす。
その声に真琴は反応するとニコリと顔を向ける。
「よかったらノート貸すよ?」
真琴のご厚意に彼は目を丸くする。
「えぇ!?マジで!!」
「うん」
そう言った真琴の机に置かれていたスマホが振動する。
それに気づいた真琴は画面を開く。
それを喜んでいた彼も一緒に覗き込む。
「え?渚??橘の彼女??」
不思議そうに尋ねる彼に真琴は小さく首を振った。
「いや?男だよ。部活の後輩」
そう言う真琴のスマホの画面にはこう表示されていた…
仮入部はたくさん来てくれたけど
今年の岩鳶水泳部新入部員……
残ったのは3人だった
「おぉ!!マコちゃん返信はやい!!」
岩鳶高校のプールサイドでしゃがみこんでスマホを操作していた渚は嬉しそうに声を上げる。
「大丈夫かな?授業中ってことない?」
心配そうに江がしゃがみながら口を開く。
「真琴先輩は授業中に返信するような人ではありませんよ」
そう言いながら怜もしゃがみこむ。
そして3人は渚のスマホを覗き込んだ。
そうか。
がんばれ。
「って……これだけ!?!?」
「まぁ、新入部員が3人とだけ言われても返答に困るでしょうし」
「でも、アオちゃんは沢山返信してくれたよ!!」
渚はスマホを操作し蒼から来たものを見せる。
え!!ホントに!?
凄いねぇ!!
去年ゼロだったから、3人入ってくれただけでも有り難いよね!!
どんな子!!見たい!!
「アオちゃんらしい返信」
「蒼先輩のテンションの高さは相変わらずですね」
「よし!!じゃあ写真を撮ろう!!」
そして最初は、3人の名前を書いた紙をそれぞれにもってもらい一枚ずつ撮るのだが、どうしても囚人ぽく映ってしまう。
最終的に、水着姿になって全員で撮ろうとなったのだが…
「あぁ〜怜くん半目になってる!!」
「…美しくない
もう一度やり直してくれま…」
「えい!!送信っと!!」
「ギャアアア!!!!!!」
「怜くんぽい!!」
「どういう意味ですか!!!」
毎度のように怜の絶叫じみた悲鳴が木霊するのだった。
「レイちゃん半目!!」
「怜らしいなぁ」
授業が終わり入り口で待ち合わせしていた真琴と蒼にその写真が届く。
その写真を見て二人は笑みを溢す。
だが、感傷に浸ってると真琴のスマホが鳴った。
「えっ?ハル??」
不思議そうに通話に出ようとする真琴。しかし、すかさずに蒼がそれを奪い取る。
「えぇ!?蒼!?!?」
「良いじゃん良いじゃん!!」
ウキウキと蒼が代わるように遙から来た電話に出る。
「…真琴、俺だ」
電話口に出た蒼は遙でない聞き覚えの全くない声に眉間にシワを寄せる。
「え?どちら様??」
「おぉ!!一発でバレた!!
って…お前こそ誰だよ!?」
蒼の声に、真琴が出ると思っていたその人物は驚きの声を上げる。
ぎゃぎゃあ元気そうな声を出す人物に、警戒心を露わにした蒼は隣にいる真琴を訝しげに見る。
だが、通話口から聞こえてきた声に真琴は聞き覚えがないと首を横に振るとそっと蒼に手を差し出す。
その行為の意味に気づいた蒼は持っていたスマホを真琴に返す。
「誰?ハルはそこにいるんですか??」
不審感を露わに恐る恐る尋ねる真琴の声に、通話口の人物は嬉しそうに声を上げる。
「お!本人出てきたな!
ハルもいるし貴澄もいるぜ!」
「…えっと」
「あ!真琴!!」
思い当たらない人物から、遙と貴澄の名前が気軽げに呼ばれ益々わからなくなり返答に戸惑う真琴。
だが、突如通話口の人物が貴澄の声に変わり真琴はホッと胸をなでおろす。
「びっくりしたでしょ!!ハルかと思ったら旭で…」
クスクスと笑いながら正体を明かす貴澄。途端に隣から聞こえてくるのはさっきの人物の『だ〜!?貴澄!?なにさらっとバラしてるんだよ!』と慌てふためく声。
「あさひ…ってあの旭!?!?」
「そうだよ真琴!!久しぶりだな!!」
驚く真琴の耳にさっきの声の主、旭が出る。
「真琴!!誰??その人!?」
唯一、話が読めない蒼が切なげに真琴に訴えかける。
「中学時代の仲間だよ」
嬉しげに真琴はそう言うと、通話に戻る。
と言うことは、郁也とも同じ中学で水泳部だった人ってこと?
考え込む蒼を横目に真琴は楽しげに通話を続ける。
ようやく、一区切りして通話を終えた真琴は蒼に話しかける。
「今から3人に会うことになったけど、蒼行く?」
「え...あ...うーんと」
蒼は言葉を濁す目を泳がした。
折角のお誘いなのだが、この後は急に用事が入ったのだ。
「...ゴメン、ホントは行きたいんだけど」
「ううん...
また今度紹介するね」
子犬みたいにしょんぼりとする蒼に、気にすることないと真琴は優しく声をかけるのだった。