交叉する運命
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「クソ〜...蒼のやつ!!」
悪態をつきながら、雪菜は家のドアを押し開ける。
入学式が終わった後、雪菜は一目散に蒼に連絡をとったのだ。
電話口に出た蒼は、雪菜の反応をわかっていたかのように高笑い。
雪菜からと日和からと、双方から連絡が来る蒼は二人が同じ大学に行く事を知っていたのだ。日和の進学先なんて全く興味を持っていなかった雪菜が、そんな事を蒼に尋ねるなんて行動をとるはずがない。そんな彼女の思考回路なんて筒抜けな蒼はあえて日和の進学先について連絡することはなかった。完全に思惑通りに事が運んだことに蒼はずっと終始面白がって笑いを止めることはなかった。もちろん、自分の反応を楽しんでいる笑っている蒼に対し雪菜は額に青筋を立てたのだ。
今度会ったら存分にからかってやる.......
雪菜は、何倍返しにしてやろうかと秘かに考えながら建物のエレベーターホールに向かう。
だが、エレベーターを待っている二人の後ろ姿を見て雪菜の身体は固まってしまう。雪菜は思わず目を疑って凝視する。だが、どう見てもそこに居るのは日和と郁也。
何故偶然は、こんなに度重なってしまうのだろう...
雪菜は、ガクリと肩を落としながら二人のいる場へ歩き出した。
「......おはよう。二人共」
意気消沈の雪菜から発せられた声は、朝なのにどんよりと暗く沈んだ声。そんな彼女の声に二人は振り向くことでようやく雪菜の存在に気づく。
「「....ッ!!雪菜!?!?」」
ビクリと飛び上がるように驚き、同時にハモるように声を張り上げた二人に雪菜は若干呆れ気味な表情を浮かべた。
「そんな二人揃って大きな声出して驚かないでよ」
「驚くでしょ、普通」
「そうそう。
まさか、雪菜もここに住んでるなんてこれっきしも思わないしね」
郁也と日和のそれぞれの言葉につられるように雪菜も口を開く。
「ホントだよね〜、
郁也だけならともかくなんで日和まで...」
雪菜の余計な一言に、郁也は小さくため息をついた。
どうしていつもこうなるのやらと…
郁也の予想通りに日和はもちろんピクリと眉を動かした。
「いいでしょ?別に
それにそんな羨ましいなら蒼と同じ場所に住めば良かったじゃないか」
「ヤダよ」
まさかのは躊躇いもなく即答して否定する雪菜に、日和はニヤニヤとしながら挑発するような言葉を投げかける。
「あれぇ〜、喧嘩でもした〜?」
「断じて違うから!!
そうじゃなくて!!」
「そうじゃなくて?」
「......あんな幸せそうな顔をする蒼の邪魔したくないからさ」
小さく呟くと雪菜はそっと目を伏せる。
蒼の幸せそうな顔を思い浮かべ嬉しそうに雪菜は頬を染め、胸の前で両手を組んだ。
そんな雪菜の表情を、彼女の綺麗なブラウン色の髪の隙間から見えた日和は一瞬心臓を鷲掴みされた心地に陥る。
が、すぐ様それを隠そうと顔を逸らし違う方向に目線を動かす。
「...そっか」
小さく言葉を漏らした日和の表情は、柔らかく頬が少し赤くなっていた。
「......早くしないとバス乗り遅れるよ二人共」
見ていられないと郁也はサッと一人歩き出す。その言葉でようやく現実に意識を戻された二人は慌て始める。
「「え...ちょ!郁也!?」」
剽軽な声をタイミングよく同時に出す二人に、郁也は足を止めて振り向く。
「二人共、息合いすぎ」
少し表情を柔らかくしてクスリと笑った郁也はそのまま丁度開いたエレベーターの中へ。
呆然とした二人は見事にエレベーターを乗り過ごす。そんな取り残された二人の、脳裏には郁也のめったに見ない表情が焼き付かれた。
「あー!」
しばらく経ち突然大きな声を上げる日和。思わず雪菜は両耳を塞ぎながら隣りにいる彼を睨みつける。
「そんな大きな声を近くで出さないでって言ったでしょ!」
そんな彼女にお構いなしで、日和は形相な顔を浮かべ、感情のままに苛立ちをぶつける。
「雪菜のせいで、郁也に置いてかれたじゃないか!」
「はぁ!?なんで私のせいになってるの!?」
もちろんその言葉に雪菜も負けじとムキになって反論する。
「どう考えたって雪菜のせいだろ!」
「からかってきた日和のせいでしょ!
別に行く場所は一緒なんだから、そんなにガツガツ言わなくても良いでしょ!!」
「はぁ...わかってないな雪菜は」
雪菜の言葉に対して日和は、ため息を付きやれやれと肩をすくめた。
「何を?」
「僕は郁也と過ごす時間は1分1秒無駄にしたくないんだよ」
ホントにさらっと日和の口から紡がれる言葉に雪菜は完全に呆れ返ってしまった。
郁也を好きすぎるのも程があると...
「...あっそ
って!バスの時間、ほんとにやばい!!」
もう突っ込むのも面倒くさいと思った雪菜がふと手元の時計に目をやる。途端に、雪菜はいつの間にか時間が経っているのに気づき慌てふためいた。
そんな雪菜の様子に、日和も時間を確認しようとスマホの画面を表示させる。すると、ホントにバスが来るまで時間が無かった。
「雪菜!なんでもっと早く気づかないんだよ!!」
「五月蝿いな!!
日和だって気づかなかったくせに!!」
ギャアギャアと互いにお前のせいだろ!と低レベルな言い合いで罪をなすりつけあいながら二人は肩を並べて階段へ走り出したのだった。
そんな慌ただしい朝を迎える雪菜に対して、蒼は真琴と遙と遙の住まいの近くにあるプールを訪れていた。
誰もいない水に、気持ちよさげに蒼と遙は浮いていた。
そして、水面に顔を出した二人をニコニコと真琴が見つめて、プールサイドから手を差し出す。
そんな様子の真琴を見て、遙と蒼は顔を見合わせると真琴の手を掴み思い切り水面に引き込んだ。
バッシャーン!!!
「ひどいよ…二人共!!」
盛大に水しぶきを立てて落ちてきた真琴に、悪戯顔をした蒼が笑いかける。
「だってやりたくなっちゃったんだもん」
「ほら…泳ぎに来たんだろ」
遙は一言言うと一人で泳ぎ始める。
そんな彼を追うように二人も泳ぎ始めた。
「そういえば、ハル昔言ってたよね?
早くただの人になりたいって…
今でもそう思ってる??」
泳ぎ終えて駅に向かう途中、真琴がふと思い出した言葉を遙にぶつける。
「俺は……」
真琴の言葉に言いよどむ遙。
そして、遙の答えを聞き終える事なく踏切の警笛が鳴り響き始める。
「真琴!!電車来ちゃう!!」
「あ!ホントだ!!」
二人は遙とは逆路線の為、慌てて踏切を渡ろうと駆け出した。
「じゃあね!ハル!!頑張って!!」
「バイバイ!!」
二人と別れた遙は、自分はどうしたいのだろうと自問自答するのだった。
「僕はただの人になんかならない」
「え?何の話?」
「どういうこと??郁也」
ポツリと呟いた郁也の言葉に雪菜と日和はキョトンとする。
そんな彼らに一瞬顔を向けたあと、郁也は視線を戻し呟く。
「そういうことわざ」
「心配しなくても郁弥はただの人になんかならないよ
郁弥は郁弥なんだから」
「それ褒めてる?」
日和の言葉に、げんなりした表情を浮かべた郁也は疑いの目を持って彼を見る。
「もちろん!!」
「貶してるふうにしか私には聞こえないんだけど」
郁也が感じ取ったように聞こえた雪菜もウンザリとした表情だった。
そんな二人の事なんかお構いなく、日和は黙ったままの郁也に口を開く。
「あれ…怒った?」
「……別に」
郁也はそっぽ向くとバスの窓から見える青空を見上げるのだった。
遙と郁也……
二人の再会の時は刻一刻と迫っていた…
悪態をつきながら、雪菜は家のドアを押し開ける。
入学式が終わった後、雪菜は一目散に蒼に連絡をとったのだ。
電話口に出た蒼は、雪菜の反応をわかっていたかのように高笑い。
雪菜からと日和からと、双方から連絡が来る蒼は二人が同じ大学に行く事を知っていたのだ。日和の進学先なんて全く興味を持っていなかった雪菜が、そんな事を蒼に尋ねるなんて行動をとるはずがない。そんな彼女の思考回路なんて筒抜けな蒼はあえて日和の進学先について連絡することはなかった。完全に思惑通りに事が運んだことに蒼はずっと終始面白がって笑いを止めることはなかった。もちろん、自分の反応を楽しんでいる笑っている蒼に対し雪菜は額に青筋を立てたのだ。
今度会ったら存分にからかってやる.......
雪菜は、何倍返しにしてやろうかと秘かに考えながら建物のエレベーターホールに向かう。
だが、エレベーターを待っている二人の後ろ姿を見て雪菜の身体は固まってしまう。雪菜は思わず目を疑って凝視する。だが、どう見てもそこに居るのは日和と郁也。
何故偶然は、こんなに度重なってしまうのだろう...
雪菜は、ガクリと肩を落としながら二人のいる場へ歩き出した。
「......おはよう。二人共」
意気消沈の雪菜から発せられた声は、朝なのにどんよりと暗く沈んだ声。そんな彼女の声に二人は振り向くことでようやく雪菜の存在に気づく。
「「....ッ!!雪菜!?!?」」
ビクリと飛び上がるように驚き、同時にハモるように声を張り上げた二人に雪菜は若干呆れ気味な表情を浮かべた。
「そんな二人揃って大きな声出して驚かないでよ」
「驚くでしょ、普通」
「そうそう。
まさか、雪菜もここに住んでるなんてこれっきしも思わないしね」
郁也と日和のそれぞれの言葉につられるように雪菜も口を開く。
「ホントだよね〜、
郁也だけならともかくなんで日和まで...」
雪菜の余計な一言に、郁也は小さくため息をついた。
どうしていつもこうなるのやらと…
郁也の予想通りに日和はもちろんピクリと眉を動かした。
「いいでしょ?別に
それにそんな羨ましいなら蒼と同じ場所に住めば良かったじゃないか」
「ヤダよ」
まさかのは躊躇いもなく即答して否定する雪菜に、日和はニヤニヤとしながら挑発するような言葉を投げかける。
「あれぇ〜、喧嘩でもした〜?」
「断じて違うから!!
そうじゃなくて!!」
「そうじゃなくて?」
「......あんな幸せそうな顔をする蒼の邪魔したくないからさ」
小さく呟くと雪菜はそっと目を伏せる。
蒼の幸せそうな顔を思い浮かべ嬉しそうに雪菜は頬を染め、胸の前で両手を組んだ。
そんな雪菜の表情を、彼女の綺麗なブラウン色の髪の隙間から見えた日和は一瞬心臓を鷲掴みされた心地に陥る。
が、すぐ様それを隠そうと顔を逸らし違う方向に目線を動かす。
「...そっか」
小さく言葉を漏らした日和の表情は、柔らかく頬が少し赤くなっていた。
「......早くしないとバス乗り遅れるよ二人共」
見ていられないと郁也はサッと一人歩き出す。その言葉でようやく現実に意識を戻された二人は慌て始める。
「「え...ちょ!郁也!?」」
剽軽な声をタイミングよく同時に出す二人に、郁也は足を止めて振り向く。
「二人共、息合いすぎ」
少し表情を柔らかくしてクスリと笑った郁也はそのまま丁度開いたエレベーターの中へ。
呆然とした二人は見事にエレベーターを乗り過ごす。そんな取り残された二人の、脳裏には郁也のめったに見ない表情が焼き付かれた。
「あー!」
しばらく経ち突然大きな声を上げる日和。思わず雪菜は両耳を塞ぎながら隣りにいる彼を睨みつける。
「そんな大きな声を近くで出さないでって言ったでしょ!」
そんな彼女にお構いなしで、日和は形相な顔を浮かべ、感情のままに苛立ちをぶつける。
「雪菜のせいで、郁也に置いてかれたじゃないか!」
「はぁ!?なんで私のせいになってるの!?」
もちろんその言葉に雪菜も負けじとムキになって反論する。
「どう考えたって雪菜のせいだろ!」
「からかってきた日和のせいでしょ!
別に行く場所は一緒なんだから、そんなにガツガツ言わなくても良いでしょ!!」
「はぁ...わかってないな雪菜は」
雪菜の言葉に対して日和は、ため息を付きやれやれと肩をすくめた。
「何を?」
「僕は郁也と過ごす時間は1分1秒無駄にしたくないんだよ」
ホントにさらっと日和の口から紡がれる言葉に雪菜は完全に呆れ返ってしまった。
郁也を好きすぎるのも程があると...
「...あっそ
って!バスの時間、ほんとにやばい!!」
もう突っ込むのも面倒くさいと思った雪菜がふと手元の時計に目をやる。途端に、雪菜はいつの間にか時間が経っているのに気づき慌てふためいた。
そんな雪菜の様子に、日和も時間を確認しようとスマホの画面を表示させる。すると、ホントにバスが来るまで時間が無かった。
「雪菜!なんでもっと早く気づかないんだよ!!」
「五月蝿いな!!
日和だって気づかなかったくせに!!」
ギャアギャアと互いにお前のせいだろ!と低レベルな言い合いで罪をなすりつけあいながら二人は肩を並べて階段へ走り出したのだった。
そんな慌ただしい朝を迎える雪菜に対して、蒼は真琴と遙と遙の住まいの近くにあるプールを訪れていた。
誰もいない水に、気持ちよさげに蒼と遙は浮いていた。
そして、水面に顔を出した二人をニコニコと真琴が見つめて、プールサイドから手を差し出す。
そんな様子の真琴を見て、遙と蒼は顔を見合わせると真琴の手を掴み思い切り水面に引き込んだ。
バッシャーン!!!
「ひどいよ…二人共!!」
盛大に水しぶきを立てて落ちてきた真琴に、悪戯顔をした蒼が笑いかける。
「だってやりたくなっちゃったんだもん」
「ほら…泳ぎに来たんだろ」
遙は一言言うと一人で泳ぎ始める。
そんな彼を追うように二人も泳ぎ始めた。
「そういえば、ハル昔言ってたよね?
早くただの人になりたいって…
今でもそう思ってる??」
泳ぎ終えて駅に向かう途中、真琴がふと思い出した言葉を遙にぶつける。
「俺は……」
真琴の言葉に言いよどむ遙。
そして、遙の答えを聞き終える事なく踏切の警笛が鳴り響き始める。
「真琴!!電車来ちゃう!!」
「あ!ホントだ!!」
二人は遙とは逆路線の為、慌てて踏切を渡ろうと駆け出した。
「じゃあね!ハル!!頑張って!!」
「バイバイ!!」
二人と別れた遙は、自分はどうしたいのだろうと自問自答するのだった。
「僕はただの人になんかならない」
「え?何の話?」
「どういうこと??郁也」
ポツリと呟いた郁也の言葉に雪菜と日和はキョトンとする。
そんな彼らに一瞬顔を向けたあと、郁也は視線を戻し呟く。
「そういうことわざ」
「心配しなくても郁弥はただの人になんかならないよ
郁弥は郁弥なんだから」
「それ褒めてる?」
日和の言葉に、げんなりした表情を浮かべた郁也は疑いの目を持って彼を見る。
「もちろん!!」
「貶してるふうにしか私には聞こえないんだけど」
郁也が感じ取ったように聞こえた雪菜もウンザリとした表情だった。
そんな二人の事なんかお構いなく、日和は黙ったままの郁也に口を開く。
「あれ…怒った?」
「……別に」
郁也はそっぽ向くとバスの窓から見える青空を見上げるのだった。
遙と郁也……
二人の再会の時は刻一刻と迫っていた…