Free【大学生編】
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満開の桜が咲き誇るこの時期...
新品のスーツをビシッと着る女性が、とある大学の門を見上げていた。
その大学は霧狼学園大学。
風で靡くブラウン色の髪を片手で抑えながら、彼女は琥珀色の瞳を細めて期待で胸を膨らませた。
彼女の名は、平井雪菜
そして彼女の夢は、水泳の選手
幼き頃に両親に連れてこられた国際試合の会場。そこで見た景色に彼女は魅せられたのだ。
光に照らされキラキラと輝く水。その水を掻き分けて泳ぐ人達の綺麗なフォーム。
私もあんなふうに泳いでみたい
キラキラと琥珀色の瞳を輝かせ、彼女はそう思ってしまったのだ。
その夢への第一歩!!
雪菜は門を潜ろうとしたその時、人混みの中から自分の名を呼ぶ声に、彼女の気分は一気に急降下。
「あれ〜... 雪菜じゃない」
彼女の気分を害する正体が目の前に現れる。明るい栗色の髪。かけている黒縁メガネから鶸色の瞳を覗かす彼を 雪菜はコレでもかというくらい睨みつける。
「なんでいるの日和」
「なんでってそりゃあココに入学するからに決まってるじゃん」
睨みつける彼女に臆する事なくニコニコと笑う彼は遠野日和。
その背後からは少し慌てたようにもう一人が顔を覗かせる。
「日和!勝手に何処かって... 雪菜」
「あ!郁也!久しぶり」
現れた人物に先程と打って変わって 雪菜は笑みを零す。青緑色の髪にルビー色の瞳の彼は桐島郁也。
この二人と 雪菜の関係はアメリカ時代の水泳仲間だった。
だが、 雪菜と日和は会う度に言い争いを起こす犬猿の仲だった。
「相変わらず郁也にベッタリなのね」
「別に雪菜には関係ないじゃないか」
「そんなにベッタリされて郁也が不憫すぎるって言いたいの!」
「...そんなわけないじゃないか」
「それは日和が決めつけてるだけでしょ!」
互いに啀み合った、二人は同時にフン!とそっぽを向く。
案の定、小さな火花を散らす二人に郁也は盛大に溜息をついた。
「あ!郁也!写真撮ろうよ」
おもむろに自分のスマホを取り出した日和は郁也に声をかけるとそれを 雪菜に手渡す。
無言で受け取った 雪菜は青筋を立てる。
「私に何しろと?」
「もちろん決まってるじゃないか。
僕と郁也が映るから残った 雪菜が撮ってよ」
「ハブり者みたいに言わないでくれる?」
「違わないだろ?」
「アンタらが特殊なだけだから!
直ぐに私だって友達作るからね!!」
「ハイハイ、精々頑張って」
苛立ちを露わにする雪菜を日和は涼しい顔で軽くあしらう。
「あ〜もう...3人で撮ればいい話だろ」
痺れを切らした郁也は雪菜の手から携帯を掻っ攫うように奪い取る。
郁也を真ん中にし左右に納得いかない顔をする両者が立つ。
「僕は郁也と二人で撮りたいのに」
「なんで私がコイツと」
互いに不平を漏らしそっぽ向く二人に郁也は一言。
「じゃ撮るの止めようか」
ニコリと笑う郁也。だが、彼が心の中で怒っていることに気づいた二人はアタフタと手振りを大げさにし始める。
「うわぁ〜!!
そんな事言わないでよ、郁也〜」
「折角だから撮ろうか3人で」
「はじめからそう言えば良いんだよ。
ほら、撮るよ」
「そういえば 雪菜。
蒼は一緒じゃないの?」
なんだかんだ写真を撮り終わった後も別れることなく自然と一緒に歩き出す3人。
ふと、郁也が不思議に思ったことを口にする。
「あ〜、蒼なら愛しの彼と同居生活」
顎に手を当てながらにこやかに言う雪菜。その言葉にすかさず反応したのは紛れもなく蒼を過保護に見てきた日和だった。
「あの蒼に彼氏だって!?」
凄い形相で驚く日和の悲鳴に似た叫び声が桜舞う青空に木霊するのだった。
クシュン
小さく可愛らしいクシャミ音。
肩辺りまで伸ばした黒い髪がクシャミで小さく揺れる。
閉じた菫色の瞳をそっと開けると、そこには心配そうに自分を覗き込む新緑色の瞳が映し出された。
「蒼大丈夫??」
「あ...うん。誰かが噂話でもしてるのかな?」
アハハと笑う女性の名は宮沢蒼。
「ほんとに?風邪引いてない??」
本気で心配する青年の名は、橘真琴。
二人は、同じ大学に進学し同居生活を始めていたのだ。
「そう言えば、雪菜ちゃんは今日入学式だっけ?」
真琴は壁に張られてるカレンダーを見る。
「うん。そう言ってた」
「あーあ、俺たちは明日から講義かぁ〜。
ついていけるかなぁ」
真琴は、蒼の隣にヘタリと座り込むと両手を床に付き天井を仰ぐ。
「そんなに不安?」
「蒼は不安じゃないの?」
「えぇ〜、だって今まででなんとかなったし今回も何とかなるっしょ!」
「蒼のその常にポジティブさが羨ましいよ」
真琴は蒼の満面の笑みに毒気を抜かれる。
「考えたって何も始まらないじゃん?」
「まぁ...それもそうだね!」
真琴は微笑み小さく頷く。そんな彼に、蒼はウンウンと頷くと真琴の上にチョコンと乗っかった。
「えぇ!?蒼!?」
「どうしたの?真琴??」
「え...あ...うん...なんでもない」
真琴は、言いかけた言葉を飲み込んで顔を赤く染める。
同居を始めてから、恥心が無くなったのか日に日に蒼は真琴に甘えてくる事が多くなった。真琴としては嬉しいことこの上ないのだが、無意識な蒼の行動は流石の真琴も理性が持たない。
「そう言えば、雪菜会えたかなぁ?」
真琴の胸に身を預けた蒼はボソッと独り言を呟く。
「誰に??」
「実はね、雪菜の想い人も同じ大学なんだよ!ホント運命的だよね!」
不思議そうに蒼を後ろから覗き込む真琴が尋ねると、蒼は嬉しそうに答えた。
「えぇ!?雪菜ちゃん好きな人いたんだ!」
「でもね、二人共素直じゃないから
全然進展しないんだよ」
あの雪菜にまさか好きな人がいたのかと真琴は驚き、対して蒼は口を開きながら不機嫌そうに頬を膨らます。
「....そ、そうなんだ」
ぎこちない笑みをする真琴。
蒼は、今までで溜めていたものを吐き出したいのかクルッと身体を反転させ、真琴に詰め寄る気迫で口を開く。
「でね!いつも私と郁也は顔を見合わせて溜息をつくんだ」
「郁也??」
真琴は聞き覚えのある言葉に目を見開く。
「うん!私のアメリカ時代の友達なんだ」
「郁也って...もしかして桐島郁也?」
「そうだよ?ってか、知ってるの!?」
今度は逆に蒼が、真琴が郁也の事を知ってた事実に目を見開く。
「中学のチームメイトだよ、
一緒にメドレーリレー泳いだんだよ」
そう言う真琴の表情に、少し影が落ちているのに蒼は気づく。
何かあったのだろうか?と思う蒼だが、なんとなくその事実が、郁也が一人で泳ぐ理由と繋がってるのではないかという考えにいきつく。
「そうなんだ。
じゃあ、今の郁也は真琴達が知ってる郁也じゃないかもしれない」
悲しげに呟く蒼の言葉は部屋の中に小さく消えていくのだった。
新品のスーツをビシッと着る女性が、とある大学の門を見上げていた。
その大学は霧狼学園大学。
風で靡くブラウン色の髪を片手で抑えながら、彼女は琥珀色の瞳を細めて期待で胸を膨らませた。
彼女の名は、平井雪菜
そして彼女の夢は、水泳の選手
幼き頃に両親に連れてこられた国際試合の会場。そこで見た景色に彼女は魅せられたのだ。
光に照らされキラキラと輝く水。その水を掻き分けて泳ぐ人達の綺麗なフォーム。
私もあんなふうに泳いでみたい
キラキラと琥珀色の瞳を輝かせ、彼女はそう思ってしまったのだ。
その夢への第一歩!!
雪菜は門を潜ろうとしたその時、人混みの中から自分の名を呼ぶ声に、彼女の気分は一気に急降下。
「あれ〜... 雪菜じゃない」
彼女の気分を害する正体が目の前に現れる。明るい栗色の髪。かけている黒縁メガネから鶸色の瞳を覗かす彼を 雪菜はコレでもかというくらい睨みつける。
「なんでいるの日和」
「なんでってそりゃあココに入学するからに決まってるじゃん」
睨みつける彼女に臆する事なくニコニコと笑う彼は遠野日和。
その背後からは少し慌てたようにもう一人が顔を覗かせる。
「日和!勝手に何処かって... 雪菜」
「あ!郁也!久しぶり」
現れた人物に先程と打って変わって 雪菜は笑みを零す。青緑色の髪にルビー色の瞳の彼は桐島郁也。
この二人と 雪菜の関係はアメリカ時代の水泳仲間だった。
だが、 雪菜と日和は会う度に言い争いを起こす犬猿の仲だった。
「相変わらず郁也にベッタリなのね」
「別に雪菜には関係ないじゃないか」
「そんなにベッタリされて郁也が不憫すぎるって言いたいの!」
「...そんなわけないじゃないか」
「それは日和が決めつけてるだけでしょ!」
互いに啀み合った、二人は同時にフン!とそっぽを向く。
案の定、小さな火花を散らす二人に郁也は盛大に溜息をついた。
「あ!郁也!写真撮ろうよ」
おもむろに自分のスマホを取り出した日和は郁也に声をかけるとそれを 雪菜に手渡す。
無言で受け取った 雪菜は青筋を立てる。
「私に何しろと?」
「もちろん決まってるじゃないか。
僕と郁也が映るから残った 雪菜が撮ってよ」
「ハブり者みたいに言わないでくれる?」
「違わないだろ?」
「アンタらが特殊なだけだから!
直ぐに私だって友達作るからね!!」
「ハイハイ、精々頑張って」
苛立ちを露わにする雪菜を日和は涼しい顔で軽くあしらう。
「あ〜もう...3人で撮ればいい話だろ」
痺れを切らした郁也は雪菜の手から携帯を掻っ攫うように奪い取る。
郁也を真ん中にし左右に納得いかない顔をする両者が立つ。
「僕は郁也と二人で撮りたいのに」
「なんで私がコイツと」
互いに不平を漏らしそっぽ向く二人に郁也は一言。
「じゃ撮るの止めようか」
ニコリと笑う郁也。だが、彼が心の中で怒っていることに気づいた二人はアタフタと手振りを大げさにし始める。
「うわぁ〜!!
そんな事言わないでよ、郁也〜」
「折角だから撮ろうか3人で」
「はじめからそう言えば良いんだよ。
ほら、撮るよ」
「そういえば 雪菜。
蒼は一緒じゃないの?」
なんだかんだ写真を撮り終わった後も別れることなく自然と一緒に歩き出す3人。
ふと、郁也が不思議に思ったことを口にする。
「あ〜、蒼なら愛しの彼と同居生活」
顎に手を当てながらにこやかに言う雪菜。その言葉にすかさず反応したのは紛れもなく蒼を過保護に見てきた日和だった。
「あの蒼に彼氏だって!?」
凄い形相で驚く日和の悲鳴に似た叫び声が桜舞う青空に木霊するのだった。
クシュン
小さく可愛らしいクシャミ音。
肩辺りまで伸ばした黒い髪がクシャミで小さく揺れる。
閉じた菫色の瞳をそっと開けると、そこには心配そうに自分を覗き込む新緑色の瞳が映し出された。
「蒼大丈夫??」
「あ...うん。誰かが噂話でもしてるのかな?」
アハハと笑う女性の名は宮沢蒼。
「ほんとに?風邪引いてない??」
本気で心配する青年の名は、橘真琴。
二人は、同じ大学に進学し同居生活を始めていたのだ。
「そう言えば、雪菜ちゃんは今日入学式だっけ?」
真琴は壁に張られてるカレンダーを見る。
「うん。そう言ってた」
「あーあ、俺たちは明日から講義かぁ〜。
ついていけるかなぁ」
真琴は、蒼の隣にヘタリと座り込むと両手を床に付き天井を仰ぐ。
「そんなに不安?」
「蒼は不安じゃないの?」
「えぇ〜、だって今まででなんとかなったし今回も何とかなるっしょ!」
「蒼のその常にポジティブさが羨ましいよ」
真琴は蒼の満面の笑みに毒気を抜かれる。
「考えたって何も始まらないじゃん?」
「まぁ...それもそうだね!」
真琴は微笑み小さく頷く。そんな彼に、蒼はウンウンと頷くと真琴の上にチョコンと乗っかった。
「えぇ!?蒼!?」
「どうしたの?真琴??」
「え...あ...うん...なんでもない」
真琴は、言いかけた言葉を飲み込んで顔を赤く染める。
同居を始めてから、恥心が無くなったのか日に日に蒼は真琴に甘えてくる事が多くなった。真琴としては嬉しいことこの上ないのだが、無意識な蒼の行動は流石の真琴も理性が持たない。
「そう言えば、雪菜会えたかなぁ?」
真琴の胸に身を預けた蒼はボソッと独り言を呟く。
「誰に??」
「実はね、雪菜の想い人も同じ大学なんだよ!ホント運命的だよね!」
不思議そうに蒼を後ろから覗き込む真琴が尋ねると、蒼は嬉しそうに答えた。
「えぇ!?雪菜ちゃん好きな人いたんだ!」
「でもね、二人共素直じゃないから
全然進展しないんだよ」
あの雪菜にまさか好きな人がいたのかと真琴は驚き、対して蒼は口を開きながら不機嫌そうに頬を膨らます。
「....そ、そうなんだ」
ぎこちない笑みをする真琴。
蒼は、今までで溜めていたものを吐き出したいのかクルッと身体を反転させ、真琴に詰め寄る気迫で口を開く。
「でね!いつも私と郁也は顔を見合わせて溜息をつくんだ」
「郁也??」
真琴は聞き覚えのある言葉に目を見開く。
「うん!私のアメリカ時代の友達なんだ」
「郁也って...もしかして桐島郁也?」
「そうだよ?ってか、知ってるの!?」
今度は逆に蒼が、真琴が郁也の事を知ってた事実に目を見開く。
「中学のチームメイトだよ、
一緒にメドレーリレー泳いだんだよ」
そう言う真琴の表情に、少し影が落ちているのに蒼は気づく。
何かあったのだろうか?と思う蒼だが、なんとなくその事実が、郁也が一人で泳ぐ理由と繋がってるのではないかという考えにいきつく。
「そうなんだ。
じゃあ、今の郁也は真琴達が知ってる郁也じゃないかもしれない」
悲しげに呟く蒼の言葉は部屋の中に小さく消えていくのだった。