夏休みの一幕
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一通り落ち着いた所でゲームが再開される。
ボールを持った緑間は前方へ走り出した美桜へ放る。そのボールを目で追いつつ、タイミングを見計らって飛び上がり美桜はキャッチ。前に向かって美桜は走ろうとするが立ち塞がる人物の影に邪魔される。
「そう簡単に突破させないぜ!」
鋭く視線を尖らせる高尾。たまらず美桜は立ち止まり、ボールを突きながら視線を巡らす。その後、前を見据え右に行くと見せかけ左から抜こうとするが高尾には筒抜けらしくなかなかかわせない。この状況に顔を曇らせる美桜。だが、彼女の視界にとある影を見つけると口角を上げた。
「残念...私は囮だよ」
飛び上がり前方へボールを高く投げる。ゆっくりと弧を描いたボールはとある人物の手の平にすっぽりおさまった。
「よっしゃ!行くぜ!!」
飛び上がった態勢でボールを受け取るとそのまま火神はゴールへ叩き込んだ。
「げっ!本命そっちか!」
「どう?」
驚愕した表情で火神を見る高尾に満足げな表情で見やる美桜。だが、高尾は表情を一変させ不敵な笑みを浮かべた。
「確かに驚いたけど…あいつのこと忘れてないか?」
え…と思っている美桜の近くをボールが勢いよく駆け抜けた。
「…僕を忘れてませんか?ひどいです。」
ゴール下で、黒子がサイクロンパスを繰り出したのだ。
「ナイス、黒子っち!」
別サイドのゴール近くにいた黄瀬がボールをキャッチ。そのまま決めようとするが、目の前にはなんと緑間がいた。
「フン!こう来ると思っていたのだよ」
「じゃあ…力ずくで行かせてもらうっす!」
黄瀬は前へ駆け出す。それを緑間は止めようとするが、黄瀬はそれを遮りつつゴールへダンクした。
「ナイッシュ!黄瀬君!」
「あっちゃ…してやられた…」
笑顔を浮かべる高尾…対して美桜はやってしまった…と苦虫を嚙み潰したような表情をした。
そんな彼女にボールが投げられる。視角から放られたボール。だが、なんなく手を挙げてボールを受け取った美桜はゆっくりと背後を振り返る。
「美桜…行くぞ…」
迷いのない緑間の真っ直ぐな眼差し。唯我独尊な彼に背中を押してもらっている、任してもらっている。そのことがどれほど光栄なことであろうか。美桜は嬉しさを心のなかに留めて、小さく頷くとドリブルをするのだった。
*****
さぁ…どうするかな
相変わらず、私のマークはかずだし…
ホントなら、テツヤの動きをとめたいんだけどな…
思考を巡らす美桜の背後から忍び寄る影。彼は後ろからスティールしてボールを奪おうとする…が、それはあっさりとかわされた。
「テツヤの動きはバレバレだよ!」
「そうでしたね。やっぱり美桜さんにはお見通しでしたか」
美桜は首を曲げ背後をチラ見し得意げに笑う。対して、黒子は肩を落とした。黒子が近くにいるのを確認した美桜は前方にいる火神にパスを送る。黒子の動きを止められないのなら自分に引き付ければいいと考えたのだ。
ボールを受け取り前に切り込もうとする火神。その背後からは猛烈な勢いで走る黄瀬。
そして叩き込まれそうになったボールを黄瀬は弾いた。
「そう簡単に...点は取らせないっすよ!火神っち!」
「チッ!そう楽には点は取れないか」
ダンクの応酬が繰り広げられ
かたや3Pシュートが放たれ
スティール合戦が始まったり
各々が自由に自身のプレーを披露していく。
だが、その中で美桜のフラストレーションは溜まっていく一方だった。PGの役目は果たしているものの、自身のプレーができていなかったからだ。美桜の動きが手に取るかのように先を読んでプレーを遮り苦しめているのは高尾だ。彼女が唇を噛み締める表情を浮かべる一方で高尾は口角を上げた。
「...かず!ジャマ!退いてよ!」
「ハイハイ...わかりましたよって...退くわけないだろ?」
ギャアギャアと騒ぎ声をたてながら追いかけっこかのような攻防戦が繰り広げられる。
「たく...何やってんだよ。神田のやつ」
「何言ってるんですか、火神君。恐らく美桜さん全力ですよ。ということはそれだけ高尾君が凄い事をしてるんですよ」
この状況に苛立つ火神。彼自身、彼女の実力を身を感じて知っているからこそ歯痒かった。でも、黒子の意見は少し違った。美桜自身、力は抜いておらず全力を出している。それなのに目の前の彼を抜けないということは高尾の実力が上がってきているのだろうと考えたのだ。そしてそれは彼女の実力を知っている他の二人も同意見であった。
「スゴイっすね。みおっちがあんなに追い詰められてるの久しぶりに見たんすけど」
「あいつらは毎日バカみたいに1on1してるからな」
高尾が美桜の動きをこんなに止めることが出来ると思ってなかった黄瀬は驚きの声を上げ、彼らのプレーを丸くした目で凝視する。目の前にいる緑間はそんな黄瀬を見て鼻で笑った。確かに実力の差はあるかもしれない。だが、高尾はほぼ毎日暇さえあれば時間の許す限り美桜とバスケをしていた。流石にそのくらい濃い密度で彼女のバスケに触れていたのならば、プレーを止めることは容易いのだろう。
「え?マジすか!羨ましいんすけど!!」
思った通りの黄瀬の反応に思わず溜息を吐く緑間。彼の視界に映る黄瀬は目をキラキラ輝かせ、羨ましそうな表情を浮かべた。
「あー!もう!!こうなったら!!」
しつこすぎるマークに対し焦れったくなった美桜は強行突破を仕掛けた。緋色の瞳を鋭く細め、前へ切り込む。必然的に高尾も引っ付いて来るがお構いなしに走る。だが、美桜はゴール前で止まろうとしない。一体どうするつもりだ、高尾は不思議に思いながら追いかけ続けた。そんな彼の表情を一目見た美桜はニヤリと笑うとバックボードの裏からシュートを放った。高く上がったボールはそのまま吸い込まれるようにゴールネットを揺らすのだった。
「どう?」
「あぁもう…
ムカつくほどカッコいいぜ、俺の彼女様はよ」
シュートを決めた美桜は溢れんばかりの笑みを浮かべる。そんな挑発じみた笑みを向ける彼女の姿は誰よりも綺麗で見惚れるほどカッコよく輝いていた。
「だけどこのままやられっぱなしってわけにはいかねーな」
「そーこなくっちゃ」
清々しい表情を浮かべていた高尾は瞬時に目つきを変える。ダークブルーの瞳の奥でメラメラと炎を燃やす好戦的な彼の姿に美桜は嬉しそうに口角を上げ、走り出すのだった。
ボールを持った緑間は前方へ走り出した美桜へ放る。そのボールを目で追いつつ、タイミングを見計らって飛び上がり美桜はキャッチ。前に向かって美桜は走ろうとするが立ち塞がる人物の影に邪魔される。
「そう簡単に突破させないぜ!」
鋭く視線を尖らせる高尾。たまらず美桜は立ち止まり、ボールを突きながら視線を巡らす。その後、前を見据え右に行くと見せかけ左から抜こうとするが高尾には筒抜けらしくなかなかかわせない。この状況に顔を曇らせる美桜。だが、彼女の視界にとある影を見つけると口角を上げた。
「残念...私は囮だよ」
飛び上がり前方へボールを高く投げる。ゆっくりと弧を描いたボールはとある人物の手の平にすっぽりおさまった。
「よっしゃ!行くぜ!!」
飛び上がった態勢でボールを受け取るとそのまま火神はゴールへ叩き込んだ。
「げっ!本命そっちか!」
「どう?」
驚愕した表情で火神を見る高尾に満足げな表情で見やる美桜。だが、高尾は表情を一変させ不敵な笑みを浮かべた。
「確かに驚いたけど…あいつのこと忘れてないか?」
え…と思っている美桜の近くをボールが勢いよく駆け抜けた。
「…僕を忘れてませんか?ひどいです。」
ゴール下で、黒子がサイクロンパスを繰り出したのだ。
「ナイス、黒子っち!」
別サイドのゴール近くにいた黄瀬がボールをキャッチ。そのまま決めようとするが、目の前にはなんと緑間がいた。
「フン!こう来ると思っていたのだよ」
「じゃあ…力ずくで行かせてもらうっす!」
黄瀬は前へ駆け出す。それを緑間は止めようとするが、黄瀬はそれを遮りつつゴールへダンクした。
「ナイッシュ!黄瀬君!」
「あっちゃ…してやられた…」
笑顔を浮かべる高尾…対して美桜はやってしまった…と苦虫を嚙み潰したような表情をした。
そんな彼女にボールが投げられる。視角から放られたボール。だが、なんなく手を挙げてボールを受け取った美桜はゆっくりと背後を振り返る。
「美桜…行くぞ…」
迷いのない緑間の真っ直ぐな眼差し。唯我独尊な彼に背中を押してもらっている、任してもらっている。そのことがどれほど光栄なことであろうか。美桜は嬉しさを心のなかに留めて、小さく頷くとドリブルをするのだった。
*****
さぁ…どうするかな
相変わらず、私のマークはかずだし…
ホントなら、テツヤの動きをとめたいんだけどな…
思考を巡らす美桜の背後から忍び寄る影。彼は後ろからスティールしてボールを奪おうとする…が、それはあっさりとかわされた。
「テツヤの動きはバレバレだよ!」
「そうでしたね。やっぱり美桜さんにはお見通しでしたか」
美桜は首を曲げ背後をチラ見し得意げに笑う。対して、黒子は肩を落とした。黒子が近くにいるのを確認した美桜は前方にいる火神にパスを送る。黒子の動きを止められないのなら自分に引き付ければいいと考えたのだ。
ボールを受け取り前に切り込もうとする火神。その背後からは猛烈な勢いで走る黄瀬。
そして叩き込まれそうになったボールを黄瀬は弾いた。
「そう簡単に...点は取らせないっすよ!火神っち!」
「チッ!そう楽には点は取れないか」
ダンクの応酬が繰り広げられ
かたや3Pシュートが放たれ
スティール合戦が始まったり
各々が自由に自身のプレーを披露していく。
だが、その中で美桜のフラストレーションは溜まっていく一方だった。PGの役目は果たしているものの、自身のプレーができていなかったからだ。美桜の動きが手に取るかのように先を読んでプレーを遮り苦しめているのは高尾だ。彼女が唇を噛み締める表情を浮かべる一方で高尾は口角を上げた。
「...かず!ジャマ!退いてよ!」
「ハイハイ...わかりましたよって...退くわけないだろ?」
ギャアギャアと騒ぎ声をたてながら追いかけっこかのような攻防戦が繰り広げられる。
「たく...何やってんだよ。神田のやつ」
「何言ってるんですか、火神君。恐らく美桜さん全力ですよ。ということはそれだけ高尾君が凄い事をしてるんですよ」
この状況に苛立つ火神。彼自身、彼女の実力を身を感じて知っているからこそ歯痒かった。でも、黒子の意見は少し違った。美桜自身、力は抜いておらず全力を出している。それなのに目の前の彼を抜けないということは高尾の実力が上がってきているのだろうと考えたのだ。そしてそれは彼女の実力を知っている他の二人も同意見であった。
「スゴイっすね。みおっちがあんなに追い詰められてるの久しぶりに見たんすけど」
「あいつらは毎日バカみたいに1on1してるからな」
高尾が美桜の動きをこんなに止めることが出来ると思ってなかった黄瀬は驚きの声を上げ、彼らのプレーを丸くした目で凝視する。目の前にいる緑間はそんな黄瀬を見て鼻で笑った。確かに実力の差はあるかもしれない。だが、高尾はほぼ毎日暇さえあれば時間の許す限り美桜とバスケをしていた。流石にそのくらい濃い密度で彼女のバスケに触れていたのならば、プレーを止めることは容易いのだろう。
「え?マジすか!羨ましいんすけど!!」
思った通りの黄瀬の反応に思わず溜息を吐く緑間。彼の視界に映る黄瀬は目をキラキラ輝かせ、羨ましそうな表情を浮かべた。
「あー!もう!!こうなったら!!」
しつこすぎるマークに対し焦れったくなった美桜は強行突破を仕掛けた。緋色の瞳を鋭く細め、前へ切り込む。必然的に高尾も引っ付いて来るがお構いなしに走る。だが、美桜はゴール前で止まろうとしない。一体どうするつもりだ、高尾は不思議に思いながら追いかけ続けた。そんな彼の表情を一目見た美桜はニヤリと笑うとバックボードの裏からシュートを放った。高く上がったボールはそのまま吸い込まれるようにゴールネットを揺らすのだった。
「どう?」
「あぁもう…
ムカつくほどカッコいいぜ、俺の彼女様はよ」
シュートを決めた美桜は溢れんばかりの笑みを浮かべる。そんな挑発じみた笑みを向ける彼女の姿は誰よりも綺麗で見惚れるほどカッコよく輝いていた。
「だけどこのままやられっぱなしってわけにはいかねーな」
「そーこなくっちゃ」
清々しい表情を浮かべていた高尾は瞬時に目つきを変える。ダークブルーの瞳の奥でメラメラと炎を燃やす好戦的な彼の姿に美桜は嬉しそうに口角を上げ、走り出すのだった。