誠凛対陽泉(WC準々決勝)
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「出てきた!
創部2年目で快進撃を続ける脅威の新星、誠凛高校!」
「来たぞ。2回戦、3回戦を前代未聞の無失点勝利。イージスの盾。陽泉高校!」
WCの日程は順調に進み、東京代表:秀徳高校、京都代表:洛山高校は準決勝に駒を進めた。残りの椅子はあと2つ。
誠凛高校 対 陽泉高校
海常高校 対 福田総合学園高校
それぞれの試合で勝ったチームが次へ駒を進められる。
超攻撃型チーム 誠凛高校に対し、陽泉高校は1失点も許さない異例の0ゲームの無失点という圧倒的な防御力を見せ上がってきた、通称イージスの盾。
「これよりWC準々決勝…誠凛高校対陽泉高校の試合を始めます」
攻撃力がある矛と防御力を持つ楯、この両校の戦いの火蓋が今切られた。
「ジャンパーバイオレーション。白9番!」
ホイッスルと共に試合が始まりジャンプボールは陽泉になったと思われたが、突如審判の笛が鳴る。
「えっ、今何が起こった?」
「...最高点に達する前にボールに触っちゃったんだよ」
「そんなことできるのかよ?」
「あっ君は出来るんだよ」
1足先に準決勝進出を決めていた高尾と美桜はもちろん、観客席でこの一戦を観戦していた。首を捻る高尾の驚きに対して美桜は苦笑いを浮かべる。身長が2m級、それに加え日本人離れした長い手足を持つ紫原にとって造作のないこと。案の定、紫原のチームメイト達も頭を抱えていた。試合は仕切り直し。誠凛の攻撃から開始となった。
「ってかさ、紫原以外も身長高くね?」
「そうだね...」
対峙していないのに観客席まで伝わる圧倒的威圧感のある鉄壁の陽泉。それもそのはず。陽泉には2m級の選手が3人いるのだ。
深く根を下ろした大木のような不動の威圧感を放つ陽泉に対して、誠凛は鉄壁を崩すためにスピードのあるパスを繰り出す。
フリーになった日向が行ける!とシュートをしようとするが、目の前には既に紫原がいた。
「どこが…ひねりつぶすよ」
呆気なく紫原の手によりボールは弾かれてしまう。しかし、伊月が拾ったことで誠凛の攻撃は繋がる。
次の策として誠凛は黒子の横のロングパスも加えることで攻撃サイドを瞬時に切りかえてきた。通常狭いコートで選手が密集している中でそんなパスをしてしまったらまずカットされてしまう。だが、黒子がいればそんなパスも通らせることが可能なのだ。
しかし、それらは全て無意味だった。
何故ならスリーポイントラインより内側は紫原の守備範囲だからだ。そして彼は攻撃に参加しないので、カウンターも効かない。恵まれた体格、常人を超えた反射神経...彼は最強のセンターなのである。
着々と陽泉が点を入れていく、一方で誠凛はシュートを放つが点を追加することができず加えてリバウンドも陽泉に阻まれてしまう
「やべーな…誠凛」
「点は入ってないけど…シュートを打ててないわけではない。リバウンドが取れればいいんだけど…」
「体格が優れてる陽泉がリバウンドをものにしてる。精神的にキツイな」
互いに苦虫を嚙み潰したような表情で美桜と高尾がコートを見る中、ついに18点差。次の陽泉の攻撃を止められなければ確実に誠凛のメンタルは崩壊してしまうだろう。それだけ、第1クォーターが終わって20点差か18点差かは天と地ほどの違いがあるのだ。
陽泉のシュートは火神が飛んだことで軌道がずれゴール端にボールが当たる。リバウンドを取りたい誠凛だが、火神が飛んでしまった今ゴール下にいるのは日向と木吉だけ。
負けるか…誠凛のゴール下は俺が守る!
木吉の脳裏に浮かぶのは前に景虎に言われた言葉だった。握力強化のためにリストカールやハンドグリップを使っていた。木吉が今欲しいのは皆を守る力。そのために今自分になにができるか木吉が考えた結果だったのだ。木吉の熱意を聞いた景虎が木吉に寄こしたのは大きな重たい石。握力強化に一番手っ取り早いのは実際に掴みにくいものだと言う景虎。こりゃきつそうだと手元の石を見つめる木吉に景虎は何言ってんだと溜息をつくのだった。
「あいつらと約束したんだろ?
もっとでけーもの掴みてぇなら…これくらい余裕でつかんでみせろ」
勢いよく飛んだ木吉は左手を思い切り伸ばし片手で空中のボールを掴んだのだ。木吉のお陰で誠凛は最悪の展開を回避したのだった。
「なんとか追加点は阻止できたけど...」
「それでもこの点差か...」
誠凛と2度試合をしているからわかる。彼らの攻撃がやわではないことを。だが、それでも鉄壁の盾を崩せなかった。1点を取れてないこの状況に呆気に取られる美桜と高尾。
一方、その2人の背後に向かって慌ただしい足音が近寄ってきていた。
「大ちゃん早く早く!」
「あ?なんで俺まで来ないと行けないんだよ?」
「買い物いきなりすっぽかしたの大ちゃんでしょ?埋め合わせくらいしてよね!」
その足音と共に聞こえてきたのは聞き覚えのあるもの。不思議に思い2人は振り返る。すると入り口付近には到着したばかりの桃井と青峰がいた。
「さつき!大輝!」
「あっ、美桜!」
美桜が2人の名を呼ぶと桃井が声を上げて手を振る。そして勢いよく彼女の元へと駆け寄った。
「こんな所で会うなんて奇遇だね!」
「ホントだね」
駆け寄ってきた桃井の身体を支えた美桜は嬉しそうに頬を緩ました。対して、その2人のやり取りを微笑ましげに眺める高尾の肩を青峰は軽く叩いた。
「よぉ、かず」
「やっほー、大ちゃん」
ゆったりとした足取りで彼らのもとに着いた青峰はそのまま高尾の隣に並ぶとコートに視線を落とした。
「で?今、どんな状況なんだ?」
「18対0で、陽泉リードだよ」
「はぁ?!」
「えっ?」
高尾の言葉に青峰と桃井は驚きの表情で慌てて電光得点板を確認した。初戦で当たったからこそ二人も誠凛の強さを知っている。誠凛の攻撃は0点で抑えられるほどやわではないと。
「マジか、誠凛の攻撃を全部防いでるとは思わなかったぜ」
「誠凛は果敢に攻めてるんだけど、それ以上に陽泉が鉄壁の守りで点を防いでるんだよね」
「このままで終わるわけないよね?」
「だけど、どうあの鉄壁を崩せば...」
「ちょっとかず、あるじゃない?崩す策が」
不安そうに見つめる桃井と高尾に対して、美桜と青峰は含んだ笑みを浮かべていた。
「え?」
「いるじゃねーか?度肝を抜かせるようなシュートを打てるやつが」
「あっ!」
青峰の言葉でようやく2人の思っていることに気付いたら高尾は合点がいったと声を上げる。一方で桃井だけは首をひねっていた。
「えっ、なになに?誰の事?」
「見てればわかるよ、動くとすれば次のクォーターだろうから」
私だけ蚊帳の外だと嘆くさつきに美桜は柔らかく笑いかける。見てもらったほうが聞くよりも理解しやすい。美桜は再びコートに視線を下ろす。エメラルドグリーンの瞳は静かにある者を追う。彼らの想定通り、第2クォーターで黒子は秘策を繰り出す。