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バタッ!と音を立てて同時に倒れ込む二人。どうやら体力の限界らしい。息を切らしながらも笑い声を上げる二人。それを見て黒子と高尾は顔を見合わせ頷きあうと二人がいる場所へ歩を進めるのだった。
やっぱり美桜はすげーなと溢れんばかりの笑顔を浮かべる火神。つられて美桜の表情にも笑みが溢れる。
「大丈夫。大我はもっともっと強くなるよ。だから頑張って」
やってるぜ!!と言う火神の瞳には強い決意が垣間見えた。それを見て、美桜は脳裏に浮かだものを必死にかき消そうとする。美桜にとって火神の姿がどうしても昔の青峰の姿に見重なってしまうのだ。どうやっても消えることが無い...チラつくのは青峰の残存。そして、美桜は負の無限ループに陥る。
どうしてここに大輝がいないの?
あふれるばかりの輝きを見せる火神。そしてその隣には青峰の影として支えていた黒子。その二人は光り輝く場所にいるのに、青峰がいるのは、美桜が必死に必死に手を伸ばしても届くことがないくらい奥深くの暗い闇の中。
私はただバスケを純粋に楽しむ姿を見たいだけなのに...
今の彼は、バスケの時笑わなくなった、面倒くさいと口癖のように言うようになった。輝いていた群青の瞳はいつの間にか霞んでしまった。
一体いつどこで道を外してしまったのだろう。そして何故救えなかったのだろう。今もまだ美桜に纏わりつくのは己の後悔だけ。この状況を知っていたとしても変えられなかったかもしれない。でも悔やまずにはいられないのだ。
だって...私は
「美桜!」
ハッと現実に引き戻される美桜。いつの間にか青峰の残像は消え、今目の前に映るのは心配そうに顔を覗き込む高尾の顔。美桜の目の焦点が合ってきたのを確認した高尾はホッと息を吐く。
「え...あ..かず…なり?どうしたの?」
「どうしたの?じゃねぇーよ!心配したんだぞ」
いくら名前を呼んでも無反応。火神や黒子の方を向いてはいるがその瞳が映しているのはそこではない。心ここにあらずの彼女を見かねた高尾は必死に美桜を引き戻そうと彼女の肩を掴み必死に揺さぶっていたのだ。
ごめんと目を伏せる美桜は哀しげな表情をする。たまらず高尾は彼女を抱き寄せる。
「過去を振り返るなとは言わない。だけど、前を見ろ!失ったものに物思いにふけってちゃダメなんだ。これから美桜自身で掴むんだ」
言い聞かせるようにゆっくりと美桜の耳元で囁かれた言葉。その言葉は一つ一つ美桜の心にじっくりと染み込んでいった。そしてジワジワと美桜の心を温めるのだった。
「二人共、僕達が居るの忘れてませんか?」
「よく他人がいる前で抱き合えるな。見てるこっちが恥ずかしいぜ」
ハッとして声の方に目をやると、不機嫌そうな顔をする黒子、そして気まずそうに顔を赤くする火神がいた。やってしまった!!と慌てて高尾は美桜から離れる。羞恥で高尾の顔は真っ赤に。一方の美桜はというと、顔を赤らめてはいるものの離れていってしまった温もりを名残惜しんでいた。
「勝手に二人だけの世界に入らないでくださいよ」
「ごめんてば!テッちゃん」
ケラケラと笑う高尾に思わず黒子はムッと来て高尾の腹に鉄拳を食らわす。あまりの痛さに高尾は腹を抱え悶絶する。その光景を見て、美桜は高笑いする。
「えー...心配してくんないのかよ」
思わぬ美桜の反応に対して不平を漏らす高尾だが、その表情に笑みが溢れるのだった。
「まぁ、茶番はこれくらいにしといて」
「今の茶番だったのか?」
「ちょっ!茶番扱いかよ」
場を収めようと思ったのに!!と頬を膨らませ美桜は火神と高尾をどつく。そんな彼女にたまらず両者は口を噤んだ。ようやく静まった二人を横目に美桜は黒子へ向き直る。
「テツヤ...勝ってね」
自分勝手なのかもしれない。それでも美桜は黒子達に勝ってほしいのだ。敗戦をきっかけに緑間や黄瀬が変わったように青峰ももしかしたら変わるのではないかと美桜は淡い期待を抱くのだ。
「そういえば、お前らは組み合わせどうだったんだよ?」
「順当に行けば、準決勝で洛山にあたるよ。誠凛と当たるとすれば、WC決勝戦」
火神の疑問に答える美桜は、鞄の中から1枚の紙を取り出した。その紙はトーナメント表。それを4人は覗き込んだ。
両校は入っているブロックが一緒ではなかった。反対側のブロックに入った両校が当たるとすれば決勝戦だ。
「決勝でやろうぜ。テッちゃん」
「ハイ、決着をつけましょう」
「当たる前に負けんじゃねぇーぞ」
「それはこっちのセリフ。あと…」
この前は試合のルール上の関係で、引き分けで幕を閉じた。互いに全力を尽くしたが、勝敗がつくことがなかった。だからこそ、次こそは
決着をつけたかったのだ。
「戦うときは覚悟しといてね…
とっておきの秘策は、私達にもあるんだからね」
「上等だ!その秘策とやらは俺らが打ち破ってやる」
含み笑みを浮かべる美桜に対抗するように火神は面白いと、高揚感で口角を上げた。
*****
「…洛山と当たるんだな」
二人と別れた後、高尾がふと口を開く。高尾はあの時はじめて、組合せ表を見たのだ。
少しでも秀徳の皆の力になりたい
そのために自分ができることをやりたい
数ヶ月前、美桜が言った言葉が思い出される。その一言がきっかけで彼女は赤司が使うアンクルブレイクを習得した。赤司を攻略するために繰り返した練習の日々は決して無駄ではなかったのだ。
「そういえば、秘策ってなんだ?」
「…それは、明日のお楽しみ」
彼女が最後に言ったセリフが気になっていた高尾が不思議そうに尋ねる。その問いに美桜は、すぐに答えることはなかった。
答えを教えてもらえなかった高尾はいたずらに笑みを零す彼女の言葉に瞠目する。が、すぐに表情を崩し笑みをこぼした。
「ははっ!わかった、明日を楽しみにするよ」
「そうして!
明日、驚くもの見せてあげる」
そう自信満々に胸を張った美桜は翌日、驚くべきものを見せるのだった。
やっぱり美桜はすげーなと溢れんばかりの笑顔を浮かべる火神。つられて美桜の表情にも笑みが溢れる。
「大丈夫。大我はもっともっと強くなるよ。だから頑張って」
やってるぜ!!と言う火神の瞳には強い決意が垣間見えた。それを見て、美桜は脳裏に浮かだものを必死にかき消そうとする。美桜にとって火神の姿がどうしても昔の青峰の姿に見重なってしまうのだ。どうやっても消えることが無い...チラつくのは青峰の残存。そして、美桜は負の無限ループに陥る。
どうしてここに大輝がいないの?
あふれるばかりの輝きを見せる火神。そしてその隣には青峰の影として支えていた黒子。その二人は光り輝く場所にいるのに、青峰がいるのは、美桜が必死に必死に手を伸ばしても届くことがないくらい奥深くの暗い闇の中。
私はただバスケを純粋に楽しむ姿を見たいだけなのに...
今の彼は、バスケの時笑わなくなった、面倒くさいと口癖のように言うようになった。輝いていた群青の瞳はいつの間にか霞んでしまった。
一体いつどこで道を外してしまったのだろう。そして何故救えなかったのだろう。今もまだ美桜に纏わりつくのは己の後悔だけ。この状況を知っていたとしても変えられなかったかもしれない。でも悔やまずにはいられないのだ。
だって...私は
「美桜!」
ハッと現実に引き戻される美桜。いつの間にか青峰の残像は消え、今目の前に映るのは心配そうに顔を覗き込む高尾の顔。美桜の目の焦点が合ってきたのを確認した高尾はホッと息を吐く。
「え...あ..かず…なり?どうしたの?」
「どうしたの?じゃねぇーよ!心配したんだぞ」
いくら名前を呼んでも無反応。火神や黒子の方を向いてはいるがその瞳が映しているのはそこではない。心ここにあらずの彼女を見かねた高尾は必死に美桜を引き戻そうと彼女の肩を掴み必死に揺さぶっていたのだ。
ごめんと目を伏せる美桜は哀しげな表情をする。たまらず高尾は彼女を抱き寄せる。
「過去を振り返るなとは言わない。だけど、前を見ろ!失ったものに物思いにふけってちゃダメなんだ。これから美桜自身で掴むんだ」
言い聞かせるようにゆっくりと美桜の耳元で囁かれた言葉。その言葉は一つ一つ美桜の心にじっくりと染み込んでいった。そしてジワジワと美桜の心を温めるのだった。
「二人共、僕達が居るの忘れてませんか?」
「よく他人がいる前で抱き合えるな。見てるこっちが恥ずかしいぜ」
ハッとして声の方に目をやると、不機嫌そうな顔をする黒子、そして気まずそうに顔を赤くする火神がいた。やってしまった!!と慌てて高尾は美桜から離れる。羞恥で高尾の顔は真っ赤に。一方の美桜はというと、顔を赤らめてはいるものの離れていってしまった温もりを名残惜しんでいた。
「勝手に二人だけの世界に入らないでくださいよ」
「ごめんてば!テッちゃん」
ケラケラと笑う高尾に思わず黒子はムッと来て高尾の腹に鉄拳を食らわす。あまりの痛さに高尾は腹を抱え悶絶する。その光景を見て、美桜は高笑いする。
「えー...心配してくんないのかよ」
思わぬ美桜の反応に対して不平を漏らす高尾だが、その表情に笑みが溢れるのだった。
「まぁ、茶番はこれくらいにしといて」
「今の茶番だったのか?」
「ちょっ!茶番扱いかよ」
場を収めようと思ったのに!!と頬を膨らませ美桜は火神と高尾をどつく。そんな彼女にたまらず両者は口を噤んだ。ようやく静まった二人を横目に美桜は黒子へ向き直る。
「テツヤ...勝ってね」
自分勝手なのかもしれない。それでも美桜は黒子達に勝ってほしいのだ。敗戦をきっかけに緑間や黄瀬が変わったように青峰ももしかしたら変わるのではないかと美桜は淡い期待を抱くのだ。
「そういえば、お前らは組み合わせどうだったんだよ?」
「順当に行けば、準決勝で洛山にあたるよ。誠凛と当たるとすれば、WC決勝戦」
火神の疑問に答える美桜は、鞄の中から1枚の紙を取り出した。その紙はトーナメント表。それを4人は覗き込んだ。
両校は入っているブロックが一緒ではなかった。反対側のブロックに入った両校が当たるとすれば決勝戦だ。
「決勝でやろうぜ。テッちゃん」
「ハイ、決着をつけましょう」
「当たる前に負けんじゃねぇーぞ」
「それはこっちのセリフ。あと…」
この前は試合のルール上の関係で、引き分けで幕を閉じた。互いに全力を尽くしたが、勝敗がつくことがなかった。だからこそ、次こそは
決着をつけたかったのだ。
「戦うときは覚悟しといてね…
とっておきの秘策は、私達にもあるんだからね」
「上等だ!その秘策とやらは俺らが打ち破ってやる」
含み笑みを浮かべる美桜に対抗するように火神は面白いと、高揚感で口角を上げた。
*****
「…洛山と当たるんだな」
二人と別れた後、高尾がふと口を開く。高尾はあの時はじめて、組合せ表を見たのだ。
少しでも秀徳の皆の力になりたい
そのために自分ができることをやりたい
数ヶ月前、美桜が言った言葉が思い出される。その一言がきっかけで彼女は赤司が使うアンクルブレイクを習得した。赤司を攻略するために繰り返した練習の日々は決して無駄ではなかったのだ。
「そういえば、秘策ってなんだ?」
「…それは、明日のお楽しみ」
彼女が最後に言ったセリフが気になっていた高尾が不思議そうに尋ねる。その問いに美桜は、すぐに答えることはなかった。
答えを教えてもらえなかった高尾はいたずらに笑みを零す彼女の言葉に瞠目する。が、すぐに表情を崩し笑みをこぼした。
「ははっ!わかった、明日を楽しみにするよ」
「そうして!
明日、驚くもの見せてあげる」
そう自信満々に胸を張った美桜は翌日、驚くべきものを見せるのだった。