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「ドンマイ、緑間」

「っーかむしろナイスだぜ。行かなきゃ完全に決められてた。」

木村・宮地がそれぞれ今の緑間のプレーに対し労う中、ファールを取られることなくブロックする予定だった緑間自身は先ほどの木吉のプレーを思い起こし唇を噛みしめていた。

「とりあえず首の皮一枚繋がった…。後は祈るしかねーな」

「バカ!そうじゃねーだろ」

「押し込まれたら文句なしに終わりっす。もし外れても絶対うちが取らないと」

確かに木村が言うことは一理ある。だが、このまま2本フリーショットを決められれば秀徳の負けだ。祈ることも大事だが、外れた場合秀徳はそのボールを死守しなければいけないのだ。木村に対し、目角を立てる宮地。そして高尾も宮地に続ける形で口を開く。

「いくら奴でもこの場面でプレッシャーを感じないなどありえん。祈る前に全力で備えよ!リバウンド死守だ!」

大坪の掛け声で緊張感を更に高める秀徳。僅かな望みを捨てずに彼らは最後の1プレーを迎える。

一方の誠凛はというと…

「スクリーンアウト。絶対負けるな!」

「とは言え、外せとは言ってない。備えだ」

「2本とも決めればそれが一番手っ取り早いんで」

「楽しんでこうぜ…です」

限界を迎え震える膝を見つめ顔をしかめる木吉。対して、少しでも負荷にならないようにと日向・伊月・火神・黒子と言葉をかけていく。それを見て、木吉は大きく息をつく。

「じゃ…そうさせてもらおうか!」

頼りになるチームメイトがいる。だから、大丈夫だ!

木吉は決心を決めてフリーショットラインに立った。ボールを貰い手の中で回転させ集中力を高める。そしてまず1本目を放つ。そのボールは見事にゴールネットへ吸い込まれた。

一気に歓声が鳴り響き、同点だ!と誠凛ベンチも声をあげる。その中で、入って安堵したのかホッと木吉は息を吐く。

そして運命の2投目…

固唾を呑んで周囲が一瞬の隙を見逃すまいと見守る中、ボールが放たれた。

ゆっくりゆっくりと弧を描きながらボールは宙へ。それを祈る気持ちで見ていた美桜はハッと気づく。

この軌道は…

ガン!という音とともにボールはゴール端に当たる。

「「「リバウンドォ!」」」

両チームの監督そして美桜が声を張り上げる。それと同時にゴール下につく者が一斉に飛び上がる。その中で反応が早かったのは大坪だった。だが赤い閃光がそれを阻んだ。その閃光の正体は火神。
大坪の手に届く前に圧倒的な跳躍力を持つ火神が先にボールをものにしたのだ。手にしたボールを叩き込もうと雄叫びをあげ再び飛ぶ火神。させるか!と最後の力を振り絞って緑間は阻止しにかかる。

お互いの意地と意地がぶつかりあう。

一体どちらに軍配が上がるのか、全員の視線が彼ら二人の勝負に集まった。だがこの勝負、決着がつくことがなかった。

104ー104

最後のプレイ。両チームともに得点を入れることができず、試合終了のブザーが会場に鳴り響き渡る。それと同時にこの得点に会場内ではどよめきが走っていた。
本来ならば、延長戦で決着をつけるのだが、今回は時間短縮のためにその規定が設けられていないのだ。

つまり引き分け…

この結果を呑み込むと、美桜は大きく息を吐きだすと会場内を見渡した。コート内にいる選手は誰もがやりきったという達成感に満ち溢れ、観客席からはこの試合の健闘を称えるかのように拍手が鳴り響いていた。

決着をつけることができなかった。それでも、見ている者を魅了するほどの試合だった。それを間近で見ることができた美桜は、自分は幸せ者だと嚙み締めたのだった。

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