勝つために…
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部活が終わった後、特に用事が無いときは残る大坪・宮地・木村。緑間達ほどではないが結構な頻度で残って練習する彼らだが、今のこの状況に疑問を抱いていた。毎日毎日残っているこの部活きっての傍若無人な奴がいないのだ。高尾や神田がいないのはわからなくもないが、緑間が1日ならまだしもこんなに連日残らないなんてありえない!もしかしてなんかあったのか?とそろそろ本人に事情を聞こうとしたところ...久しぶりに部活後の体育館に彼らの姿が見えたのだった。だが、彼らは違和感を覚えた。
何時も神田は部活が終わると制服に着替えているのだが、なぜかそのままの服装のまま。
何故だ?と思っている彼らにゆっくりとした足取りで美桜は近づいた。
「先輩方...お願いがあるんですけど」
「どうしたんだ、神田?」
「私と...1on1してください」
真剣な眼差しで美桜は彼らに頭を下げる。空耳か?と我が耳を疑う大坪達。だが、実際目の前にいる美桜は頭を下げたままだった。三人はお互い顔を合わせあった。なんで1on1?まず美桜ができるのか?と疑問が頭をよぎる彼らはそれをそのまま彼女に投げかけていた
「お前...できたのか?バスケ?」
「中学2年までバスケ部でプレーしてました」
代表して宮地が聞く。そして、返ってきた答えに言葉を失うのだった。
もともと連れてきたのは緑間だ。だから勝手にマネージャーをずっとしてたんだろうと解釈していたのだが...まさか選手側だったなんて。とんでもない勘違いをしていたことに今頃になって気づいた大坪達は固まったまま。なかなか頷いてくれないことに、渋っているのだろうと思った高尾は彼女の隣に行くと大きく頭を下げるのだった。
「俺からもお願いします!」
頭を下げる後輩二人の姿に、大坪は大きく息を吐きだした。
「わかった...やろう」
そして始まる1on1なのだが、彼らは度肝を抜かれるのだった。
俊敏な身のこなし。巧みにボールを操るボールハンドリング力。そして確実に入れるシュート力。
初めて見る美桜のバスケに呆気に取られる彼ら。そしていつの間にかその隣には珍しい人物が立っていた。
「ほぅ...面白いことやってるじゃないか」
「監督⁉」
何時もいない監督が腕を組んで立っていたのだ。驚く様子もなくじっと宮地と美桜の1on1を見つめる監督。たまらず大坪は口を開いた。
「監督は知ってたんですか?神田のこと」
「ん?なんだ...大坪も知らないのか?」
監督は手に持っていたものを大坪達に差し出した。大坪達が受け取ったのは2年前の月バス。ページをめくっていくとキセキの世代の特集らしく、彼らのインタビュー記事が載っていた。そしてめくる大坪の手の動きが止まる。一斉に覗き込む彼らの目に飛び込んできたのは神田美桜という文字。そして中学時代のバスケをする美桜の写真だった。
「1年からスタメン入り。全中連覇に貢献した。キセキの世代と肩を並べてもいいほどの実力を持つ。そんな彼女に付けられた異名は
『絢爛豪華な疾風のドリブラー』」
大坪達が顔を上げる。でも、ここで新たな疑問が生まれる。
一体何故?マネージャーに?
まぁ何かしら事情があるのだろうと彼らは追求するような野暮な詮索はやめようとこれ以上考えないようにした。だがそれとは別に彼らに新たな疑問が浮かび上がっていた。
「というか高尾は知ってたのか?この事?」
隣で一緒にその雑誌を覗いた高尾に聞く木村。え?と唐突に話を振られ一瞬きょとんとする高尾だっだが、へらへらと笑い出す。
「知ってましたよ!あ…でも知ったのはたまたますけど」
「知ってたなら言えよ!」
木村は自分の腕を使い高尾の首を絞める。いたいっす!顔を歪めギブギブ!!と高尾は木村の腕を叩く。傍らで行われる茶番劇に呆れながらも大坪は真剣な眼差しで宮地と美桜の攻防戦が行われるコートを見るのだった。
*****
ハァ…ハァ…
何度も1on1を行った結果、美桜と宮地は息を荒げて肩で息をしていた。両膝に手を置いていた宮地は汗を拭いながら、同様の姿な彼女に悪態をついていた。
「たく…こんなに出来るなら言えよ。轢くぞこら」
「すいません」
いつも以上に覇気がない宮地を見て、たまらず美桜は苦笑をした。そんな彼らの元に周りで見ていた者が集まってきた。
「出来るのはわかったのだが、急にどうしたんだ?」
美桜がバスケをかなりできるのは十分身をもって感じた。だが、何故いまなのかと大坪が疑問を口にする。それに美桜は自分の心の内を明かす。
少しでも皆さんの力になりたいんです。
彼女の凛とした声に場が静寂化する。あまりにも熱意の籠った美桜の緋色の瞳に一同は惹き込まれていたのだ。そんな中、カツンカツンと靴音を立てて近づくのは遠くでこの様子を見守っていた監督だった。
「神田ー。そんなに出来るなら、明日からゲーム練習に加われ」
「はい!」
監督の鶴の一声に美桜は即座に大きな声で返す。
彼らとともに頂点に立つために私が持っているすべてを捧げよう…
この体育館に緑間に引っ張られる形でやってきた頃の少女はもうここにはいなかった。覚悟を決めた彼女の瞳は迷うことなく真っ直ぐ監督を見上げる。そんな少女を監督はご満悦げに眼を細めるのだった。
*****
「というか緑間は相変わらずなんだな?」
大坪達の見つめる先では、黙々とシュートを打ち続ける緑間がいた。その彼の姿をジッと見ていた彼ら。だが、その時宮地が小さな声を上げた。
「ん?でもなんか違和感ないか?」
シュート体勢を眺めていた宮地はいつもと違う違和感を感じ取った。でも、一体その正体がなんなのかはわからなかった。その様子を傍で見ていた高尾は種明かしをする。
「宮地さーん。手をよく見てくださいよ」
高尾の一言に彼らは慌てたように緑間の手を血眼になって眺めた。それでようやく気が付く。
緑間は左利きだ。だから、いつもボールを左手で押し出しているのだが、何故か今は逆の右手を使っていたのだ。
いったいどういう風の吹き回しだ?
「いつかの対策のためです」
疑問を抱く彼らに対して、この打ち方をするように指示した美桜は口元に弧を描いてたのだった。
何時も神田は部活が終わると制服に着替えているのだが、なぜかそのままの服装のまま。
何故だ?と思っている彼らにゆっくりとした足取りで美桜は近づいた。
「先輩方...お願いがあるんですけど」
「どうしたんだ、神田?」
「私と...1on1してください」
真剣な眼差しで美桜は彼らに頭を下げる。空耳か?と我が耳を疑う大坪達。だが、実際目の前にいる美桜は頭を下げたままだった。三人はお互い顔を合わせあった。なんで1on1?まず美桜ができるのか?と疑問が頭をよぎる彼らはそれをそのまま彼女に投げかけていた
「お前...できたのか?バスケ?」
「中学2年までバスケ部でプレーしてました」
代表して宮地が聞く。そして、返ってきた答えに言葉を失うのだった。
もともと連れてきたのは緑間だ。だから勝手にマネージャーをずっとしてたんだろうと解釈していたのだが...まさか選手側だったなんて。とんでもない勘違いをしていたことに今頃になって気づいた大坪達は固まったまま。なかなか頷いてくれないことに、渋っているのだろうと思った高尾は彼女の隣に行くと大きく頭を下げるのだった。
「俺からもお願いします!」
頭を下げる後輩二人の姿に、大坪は大きく息を吐きだした。
「わかった...やろう」
そして始まる1on1なのだが、彼らは度肝を抜かれるのだった。
俊敏な身のこなし。巧みにボールを操るボールハンドリング力。そして確実に入れるシュート力。
初めて見る美桜のバスケに呆気に取られる彼ら。そしていつの間にかその隣には珍しい人物が立っていた。
「ほぅ...面白いことやってるじゃないか」
「監督⁉」
何時もいない監督が腕を組んで立っていたのだ。驚く様子もなくじっと宮地と美桜の1on1を見つめる監督。たまらず大坪は口を開いた。
「監督は知ってたんですか?神田のこと」
「ん?なんだ...大坪も知らないのか?」
監督は手に持っていたものを大坪達に差し出した。大坪達が受け取ったのは2年前の月バス。ページをめくっていくとキセキの世代の特集らしく、彼らのインタビュー記事が載っていた。そしてめくる大坪の手の動きが止まる。一斉に覗き込む彼らの目に飛び込んできたのは神田美桜という文字。そして中学時代のバスケをする美桜の写真だった。
「1年からスタメン入り。全中連覇に貢献した。キセキの世代と肩を並べてもいいほどの実力を持つ。そんな彼女に付けられた異名は
『絢爛豪華な疾風のドリブラー』」
大坪達が顔を上げる。でも、ここで新たな疑問が生まれる。
一体何故?マネージャーに?
まぁ何かしら事情があるのだろうと彼らは追求するような野暮な詮索はやめようとこれ以上考えないようにした。だがそれとは別に彼らに新たな疑問が浮かび上がっていた。
「というか高尾は知ってたのか?この事?」
隣で一緒にその雑誌を覗いた高尾に聞く木村。え?と唐突に話を振られ一瞬きょとんとする高尾だっだが、へらへらと笑い出す。
「知ってましたよ!あ…でも知ったのはたまたますけど」
「知ってたなら言えよ!」
木村は自分の腕を使い高尾の首を絞める。いたいっす!顔を歪めギブギブ!!と高尾は木村の腕を叩く。傍らで行われる茶番劇に呆れながらも大坪は真剣な眼差しで宮地と美桜の攻防戦が行われるコートを見るのだった。
*****
ハァ…ハァ…
何度も1on1を行った結果、美桜と宮地は息を荒げて肩で息をしていた。両膝に手を置いていた宮地は汗を拭いながら、同様の姿な彼女に悪態をついていた。
「たく…こんなに出来るなら言えよ。轢くぞこら」
「すいません」
いつも以上に覇気がない宮地を見て、たまらず美桜は苦笑をした。そんな彼らの元に周りで見ていた者が集まってきた。
「出来るのはわかったのだが、急にどうしたんだ?」
美桜がバスケをかなりできるのは十分身をもって感じた。だが、何故いまなのかと大坪が疑問を口にする。それに美桜は自分の心の内を明かす。
少しでも皆さんの力になりたいんです。
彼女の凛とした声に場が静寂化する。あまりにも熱意の籠った美桜の緋色の瞳に一同は惹き込まれていたのだ。そんな中、カツンカツンと靴音を立てて近づくのは遠くでこの様子を見守っていた監督だった。
「神田ー。そんなに出来るなら、明日からゲーム練習に加われ」
「はい!」
監督の鶴の一声に美桜は即座に大きな声で返す。
彼らとともに頂点に立つために私が持っているすべてを捧げよう…
この体育館に緑間に引っ張られる形でやってきた頃の少女はもうここにはいなかった。覚悟を決めた彼女の瞳は迷うことなく真っ直ぐ監督を見上げる。そんな少女を監督はご満悦げに眼を細めるのだった。
*****
「というか緑間は相変わらずなんだな?」
大坪達の見つめる先では、黙々とシュートを打ち続ける緑間がいた。その彼の姿をジッと見ていた彼ら。だが、その時宮地が小さな声を上げた。
「ん?でもなんか違和感ないか?」
シュート体勢を眺めていた宮地はいつもと違う違和感を感じ取った。でも、一体その正体がなんなのかはわからなかった。その様子を傍で見ていた高尾は種明かしをする。
「宮地さーん。手をよく見てくださいよ」
高尾の一言に彼らは慌てたように緑間の手を血眼になって眺めた。それでようやく気が付く。
緑間は左利きだ。だから、いつもボールを左手で押し出しているのだが、何故か今は逆の右手を使っていたのだ。
いったいどういう風の吹き回しだ?
「いつかの対策のためです」
疑問を抱く彼らに対して、この打ち方をするように指示した美桜は口元に弧を描いてたのだった。